2004年度(16年度)調査報告書

平成16年度 我が国ODA及び民間海外事業における
環境社会配慮強化調査業務 Part 1」(環境省請負事業)

(財)地球・人間環境フォーラムでは、平成16年度環境省請負事業として、開発途上地域、特にアジア地域において企業が対応を求められるCSRへの対応に係る先進事例等の収集を行い、日系企業等関係者への情報提供を行うとともに、企業の取組を促進するための行政施策の今後の方向性を検討することを目的とした調査を実施し、このたびその結果を報告書にとりまとめました。

実施に当たっては、日本、イギリス、オランダ、フィリピン、タイ、シンガポール、中国において、①CSRの基本方針、②開発途上地域における企業活動におけるCSR方針の適用、③発展途上地域における環境社会配慮の具体的な項目、④サプライ・チェーン・マネジメントなどについて、58の企業、NGO等にヒアリング調査を実施しました。今回の報告書ではそのうちの29事例を掲載しました。

報告書は2005年7月28日開催のシンポジウム「アジアのCSRはどうなっているか」の会場で無料配布されます。今、ホットなアジアにおけるCSRの話題が満載であり、多くの企業の事例、談話を掲載しています。ぜひ、御社におけるアジアCSR戦略立案にご活用下さい。

【本書の特徴】
CSRにおける内外の動向を整理
CSRにおける活きた情報が満載
フィリピン、タイ、中国におけるグローバル企業の「現場の話」を掲載
欧州企業の発展途上国における戦略について充実
サプライ・チェーン・マネジメントの実践事例を掲載
原材料調達、生態系配慮、環境影響評価(EIA)などの視点も
市民社会とのコミュニケーションのあり方を探ります

本報告書について
本調査Part 2(ODA編)についてはこちらをご参照下さい。

報告書または章ごとにPDF形式で表示・ダウンロードできます。
報告書全体のダウンロード

以下章ごとのダウンロード
はじめに
調査概要
略語表
頻出用語対照表

1.企業の社会的責任(CSR)をめぐる国内外の動向
1.1 CSRへの取り組みを求められる日系企業
1.2 定義が難しいCSR
1.3 日本国内のCSRに関する動向
1.4 国際的なCSRに関する動向
1.5 CSRに関する国際的なガイドライン等

2.調査結果概要(国別)
2.1 日本

2.2 イギリス、オランダ
 Interview 欧州企業が途上国の環境社会配慮に熱心なわけ~SustainAbility社談話

2.3 シンガポール
BOX シンガポール・コンパクト
BOX CSRセンター (CCSR : Centre for CSR)

2.4 フィリピン

2.5 タイ

2.6 中国
BOX 国務院発展研究センター
BOX 中国美国商会(在中国米国商工会議所:AmCham-China)上海事務所
BOX 中国企業連合会持続発展工商委員会(CBCSD: China Business Council for Sustainable Development)

3.詳細結果:事例
3.1 日本編
事例 1 松下電器:「企業は社会の公器」をアジアで実践
事例 2 リコーグループ:構成員の全員参加でCSR浸透を図る
事例 3 ソニー:サプライヤーマネジメントで、製品に含まれる化学物質を徹底的に管理
事例 4 サラヤ:持続可能なパーム・プロジェクトを開始
事例 5 坂口電熱:技術力でCSRに対応
事例 6 イオン:取引行動規範に基づき、サプライヤーに環境・社会配慮を促す
事例 7 フェアトレードカンパニー:CSRのビジネスモデルを実践する
事例 8 ミズノ:サプライチェーンの社会面からの配慮を進める
事例 9 アミタ:利他的ビジネスモデルを追求

3.2 イギリス・オランダ編
事例 10 マークス&スペンサー:魚、木材、綿などの持続可能な調達に戦略的に対応
 Interview サプライチェーン管理を行う要因~NGOからの圧力(談話)61
事例 11 シェル:地域住民との協働や生物多様性の保全に力を入れる
 Interview シェルの地域住民との対話手法(談話)
事例 12 BP:事業における環境社会評価(ESIA)に徹底して取り組む
事例 13 リオ・ティント:地元社会と生物多様性の保全を重視しはじめた世界的鉱山グループ
事例 14 キャドバリー・シュウェプス:「倫理的な調達」への挑戦
事例 15 ハイネケン:地元に根付いたブランドを守り、HIV/AIDS対策にも貢献
事例 16 ボディショップ:高品質の商品を通じて世界の価値観の変革を狙う
事例 17 Ahold:全世界に散在するスーパーマーケットのブランド管理に向けた挑戦
事例 18 TPG:国連食料機関とのパートナーシップで、飢餓解消へ本業のノウハウを提供
 Interview サプライヤー管理のコツと難点~フィリップスの経験より83

3.3 シンガポール編
事例 19 YKKアジア:国ごとに異なる文化・慣習に柔軟なCSR対応を進める
事例 20 OCBCバンク:地域のリーダーとして社会貢献を積極支援する金融機関

3.4 フィリピン編
事例 21 富士通テン・フィリピン:日本国内と同等の徹底した環境パフォーマンス管理を進める
 Interview 富士通テン・フィリピンの徹底した廃棄物管理(談話)
事例 22 ミラント・フィリピン:地域コミュニティの自立に貢献する電力会社
事例 23 ネスレ・フィリピン:サプライ・チェーンのグリーン化プログラム
事例 24 Levi Strauss:労働側面での対応――サプライヤー監査は警察型から自立支援へ進化中

3.5 タイ編
事例 25 タイ味の素:副生物を肥料として農地へ還元、新会社も発足
事例 26 トヨタ自動車タイ:サプライヤー、販売店を巻き込んだEMS構築を促進
事例 27 スウィフト:農家の自立支援で、新たなビジネスモデルを確立

3.6 中国編
事例 28 東芝・中国:生産者としての製品責任、地域に還元する意識
事例 29 BASF中国:明確な方針の提示と実行で中国CSRのリーダーシップを展開

4.結論及び提言

本報告書について
 (財)地球・人間環境フォーラムは環境省の委託を受け、平成8年度から平成11年度及び平成13年度から平成15年度に開発途上国地域に進出している日系企業の環境対策の支援を目的として、年度毎に順次、フィリピン、インドネシア、タイ、マレーシア、ベトナ ム、シンガポール及び中国の7ヶ国を対象とした調査を実施し、その成果を国別の環境対策ガイドブックとして取 りまとめた。

 近年の企業活動のグローバル化に伴い、開発途上地域、特にアジア地域において活動を展開する日系企業にとって は、これまでの調査で対象としてきた公害対策等従来型の環境問題への対応はもちろんのこと、サプライチェーン管 理や市民社会との対話、人権や雇用問題への対応といった幅広い領域を有する企業の社会的責任(CSR)を念頭においた 環境配慮の強化が、急速に求められるようになっている。しかしながら、異なる社会的特性を持ち情報も比較的限られ ているアジア地域の各国において、日本企業が幅広いCSRの要求事項を達成していくことは、実施面で困難が伴うのが実情である。

 このような動向を踏まえ、本調査事業は、特にアジア地域において企業が対応を求められるCSRへの対応に係る先進事例等 の収集を行い、日系企業等関係者への情報提供を行うとともに、企業の取り組みを促進するための行政施策の今後の方向性を 検討することを通じて、我が国の民間海外事業における環境配慮の強化に資することを目的として実施された。

 実施に当たっては、文献調査を行い、さらに日本、イギリス、オランダ、フィリピン、タイ、シンガポール、中国において 現地ヒアリング調査を実施した。

 調査の結果、グローバル企業の開発途上地域におけるCSR戦略、実践の具体例が多数収集されるとともに、アジア各国におけ るCSR促進に向けた力強い動きが明らかになったのは喜ばしいことであった。本報告書はこれらの動向の概要及び具体例をなる べく多く紹介し、企業及び行政への提言をまとめたものである。

調査概要
本調査は以下のような手法で実施した。

(1) 企業の海外活動におけるCSR対応状況の文献等調査(平成16年10月~12月)
企業が作成・公表している環境報告書等から、アジア地域での企業活動において行っているCSRに関連する取り組みの概略に関する情報を収集し、開発途上地域において事業活動を展開しCSRに関連して顕著な取り組みを行っている日本企業及び欧米資本の企業を抽出した。
(2) 日本国内ヒアリング調査(平成16年10月~17年2月)
(1)で抽出した企業の本社又は東京支社のCSR担当部署等を順次訪問し、開発途上地域におけるCSRに係る取組方針や事例についてのヒアリングを行った。

(3) イギリス・オランダ調査(平成16年12月)

(1)で抽出した企業でイギリス・オランダに本社・支店を持つ企業のCSR担当部署等を訪問し、開発途上地域におけるCSRに係る取組方針や事例についてのヒアリングを行った。

(4) シンガポール、フィリピン、タイ、中国調査(平成17年2月~3月)

(1)で抽出した企業のうち、シンガポール、フィリピン、タイ、中国において事業活動を展開している企業の事業所又は海外関連会社、サプライヤー、行政・企業関連機関、CSRに関連するNGO/NPOへのヒアリングを行い、地域レベルでの取り組みの実状、現地の環境規制動向や社会状況など取り組みに影響を及ぼしている要因、取り組みの継続・発展に向けた課題、行政に期待したい役割・施策の方向性に関する意見を聴取した。
調査期間
平成16年9月~平成17年3月
調査チーム
中寺 良栄  (財)地球・人間環境フォーラム企画調査部長 全体総括
満田 夏花     同上   研究主任 日本、イギリス、オランダ、フィリピン、タイ、ODA
坂本 有希     同上   研究主任 シンガポール、ODA
桜井 典子     同上   研究員 中国
足立 直樹     同上   客員研究員 日本、イギリス、オランダ、フィリピン、タイ
海野みづえ     同上   客員研究員 中国、シンガポール
角田季美枝     同上   客員研究員 日本

本調査実施にあたり、特に以下の団体・個人のご協力、アドバイスを頂きました。
厚く御礼を申し上げます。
Philipinnes Business for Social Progress(PBSP、フィリピン)
Prida Tsiasuwan, Social Venture Network(SVN、タイ)
Stephen Loke, President, Centre for Corporate Social Responsibility(シンガポール)
サステナビリティ・コミュニケーション・ネットワーク(NSC、日本)


作成日:2016年11月16日 11時07分
更新日:2017年02月15日 22時42分