環境条約シリーズ290モントリオール議定書の第27回締約国会合の開催

2016年05月15日グローバルネット2016年5月号

前・上智大学教授
磯崎 博司(いそざき ひろじ)

 

2015年11月1~5日までドバイにおいて、オゾン層破壊物質(ODS)に関するモントリオール議定書の第27回締約国会合(MOP27)が開かれた(本誌1995年8月、99年7月、2007年10月)。

その会合において、ODSではないが、温室効果の高いハイドロフルオロカーボン(HFC)を規制対象に追加し、その生産と消費を段階的に削減するための議定書改正案が、北米3ヵ国(アメリカ・カナダ・メキシコ)、インド、ヨーロッパ連合および島嶼8ヵ国(ミクロネシア連邦など)のそれぞれから提出された。その検討のためにコンタクトグループが設置され、HFC規制管理のあり方、開発途上国の特別な事情、資金・技術の移転などが議論された。その結果、議定書改正を含むHFC規制管理の進め方に関する決定、「ドバイ・パスウェイ」が採択され、特別MOPなどが2016年に開催されることとなった。

次に、HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)の段階的撤廃については不確定な要素があるため、技術経済評価委員会に対して、その課題について検討評価を続け、MOP28に向けて報告を準備するよう要請する決定が採択された。関連して、HCFCを含むかまたはそれに依存する製品や機器の輸入を禁止する諸国のリストの公表に関する決定も採択された。また、不遵守手続きに基づいて(本誌1998年6月)、HCFCの消費上限量を超過したため、ボスニア・ヘルツェゴビナおよびリビアに対して遵守回復を促す決定が採択された。

他方、四塩化炭素の不可欠用途のための規制免除として、中国による研究分析(オイル検出)用の2016年分の申請が承認された。同様に、臭化メチルの不可欠用途のための規制免除としては、オーストラリア(イチゴ、トマト)による2017年分の申請が、また、アルゼンチン(イチゴ、トマト)、中国(ショウガ)、メキシコ(イチゴ、キイチゴ)および南アフリカ(製粉施設、家屋)による2016年分の申請が承認された。

MOP28は、2016年11月にルワンダのキガリで開催される予定である。

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