環境条約シリーズ293 2016年6月に発効したIUU漁業入港国協定

2016年10月17日グローバルネット2016年8月号

前・上智大学教授 磯崎 博司

漁業資源や海洋生態系の保全との関係で、違法・無報告・無規制(IUU)漁業の取締りが、緊急の国際課題とされている。その背景には、各漁船を管理する権利と責任を有する旗国(船籍国)が、適切な措置をとっていないことがある。そのため、IUU漁業については、保存および管理のための国際的な措置の公海上の漁船による遵守を促進するための協定(1993年)(本誌2004年6月)、公海漁業協定(1995年)(本誌1996年4月)、責任ある漁業のための食糧農業機関(FAO)行動規範(1995年)などが策定された。

しかし、改善が見られなかったため、2001年には、IUU漁業の防止・抑止・廃止のためのFAO国際行動計画が、2005年には、IUU漁業に対処するための入港国措置に関するFAO模範計画が採択された。さらに、国連総会およびFAO漁業委員会は、入港国措置のための最低基準に関する法的拘束力のある国際文書の検討を要請した。それに応えて、IUU漁業の防止・抑止・廃止のための入港国措置に関する協定が、FAO総会において2009年11月22日に採択された。

この協定は、旗国の責任を前提にしながら、できる限り、入港国措置、沿岸国措置および市場措置を組み合わせている。その一環で、規制対象行為を、IUU漁業そのものに加えて、漁業関連活動にも拡大している。漁業関連活動とは、漁業の支援または準備のためのすべての操業(魚の最初の陸揚げ、梱包、加工、転送または移送を含む)、および、人員・燃料・網・その他の物資の海上提供をいうと定められている(類似の規制の参考として、南太平洋地域流し網漁業禁止条約、本誌1992年6月)。

これらの入港国による措置の具体的な内容については、入港前提供情報、入港国査察手続き、査察結果報告、入港国措置情報システム、および、査察員訓練指 針、それぞれに関する附属書に定められている。

この協定は、定められた発効条件が整い、2016年6月5日に発効した。7月現在で、締約国は34ヵ国と欧州連合(EU)であるが、日本は含まれていない。

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