フロント/話題と人キップ・ハウレットさん(米国広葉樹合板べニヤ協会(HPVA)代表)

2016年11月15日グローバルネット2016年9月号

調達木材の違法リスクは企業が自ら判断を
米国の合法木材調達マニュアルと豊富な実践例を紹介
キップ・ハウレットさん(米国広葉樹合板べニヤ協会(HPVA)代表)

キップ・ハウレットさん(米国広葉樹合板べニヤ協会(HPVA)代表)

キップ・ハウレットさん(米国広葉樹合板べニヤ協会(HPVA)代表)

 今年の5月、日本の新たな違法伐採対策としてクリーンウッド法(合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律)が成立した。合法木材の流通・取引を増やすことで違法伐採木材を日本市場から排除しようというもので、木材関連事業者が木材デューデリジェンス(木材DD=念入りな確認)を実施することが期待されている。違法伐採木材取引を禁じる法律がすでに施行され、木材DDの実践例が豊富にある欧米の事例を学ぶためのセミナーを当フォーラムなどが開催、キップさんは講師の一人として来日した。

 キップさんが代表を務める業界団体HPVAは、米国内外から原料となる広葉樹を調達して、べニヤや合板、床材を国内で製造するメーカーなどで構成されている。近年では中国で生産される安い製品に市場を奪われてきたことから、2008年にレイシー法(1900年に制定された野生生物保護のための法律)が違法木材の取引を規制するために改正されたことを歓迎したという。そして「HPVAに加盟する米国企業はしっかりとしたDDができることを示したい」と、その他の業界団体や環境NGOなど28企業・団体を巻き込み、マニュアル「合法木材調達のためのDD米国国家規格」を3年かけて開発した。

 キップさんはセミナーに参加した100人以上の企業担当者に向けて、木材の合法性リスク評価のポイントとして、伐採国(原産国)と樹種によってリスクを四つに区分する方法を解説した。しかしマニュアルの導入はHPVAでも個別の企業の判断に任されているという。調達する木材の原産国における違法性リスクを企業が自ら判断していくというプロセスは、政府の「お墨付き」に頼りがちの日本企業にとってはまったく新しい考え方だが、欧米の企業にとっても始まったばかりの取り組みだという。

 「木材DDを企業のマネジメントシステムに入れ込まなくてはいけない。調達担当部署だけに任せずに、コンプライアンス担当の役員が他の分野の法令順守と一緒に調達木材の合法性に目を光らせることが重要」と木材DDマニュアル運用のヒントも語ってくれた。

 HPVAの代表就任前は、米国化学工業協会や塩素化学工業協会の役員、製紙メーカーのジョージア・パシフィック社で環境担当役員を務めた。 (希)

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