フォーラム随想スケートボード

2016年11月15日グローバルネット2016年9月号

日本エッセイスト・クラブ常務理事 森脇 逸男

 日本がこれまで最高の金メダル41個。リオデジャネイロ・オリンピックが閉幕した。感動の場面の連続に、会期中、テレビの前で釘づけになっていた人は多かったようだ。

 さて、次は2020年の東京五輪だ。IOCの総会で、この東京五輪での新種目採用が決まった。野球・ソフトボール、空手、ローラースポーツのスケートボード、スポーツクライミング、サーフィンの5競技18種目だ。どれも若い人に人気があり、東京五輪に向けての世界の期待も一段と高まるに違いない。関係者の喜びは大きいが、ちょっと気になるのは、この中のスケートボードだ。

 1960年代から流行り始めたスポーツで、裏側に前後2個の車輪を付けた80センチ弱の長さの板に乗って自在に滑りまくる。本当に気持ちよさそうだ。急斜面を昇降したり、縁石に飛び上がったり、1列に並べた三角コーンの間を潜って行ったり、ボードの上で逆立ちしたりなど、いろいろ技術が開発されている。    

 さて、それがどうして気になるのか。以下はちょっと個人的な話になるが、わが家の近くの公園に、スケートボードのスケート場がある。ざっと1000平方メートル以上の広さで、斜面や段差が作ってあって、利用者が絶えない。金網の外では、のんびり見物している人の姿も見られる。

 ところが、このスケート場が何年か前にできてから、周辺の道路をスケートボードで颯爽と走りまくる若い人が増えた。新しいスポーツに挑戦する若者の姿は、好ましいと思うが、問題はわれわれが普通に歩いている歩道を滑ってくることだ。ことにわが家からそれほど遠くないところに、丁字路で少し道幅のある歩道があることで、それがまた先ほど書いたスケート場からそれほど遠くない。

 仲間を呼びやすいのか、あるいはスケート場の利用料が高いのか(2時間200円)、夕方7時ごろから集まって、その道路のところで、何人かがせっせと滑っている。

 熱心に滑っていることはわかるけれども、問題は、そこが結構いろいろな人が往来する歩道だということだ。歩行者には、かなりの年配のご老人もいる。正面から最高速でスケートボードで来られてぶつかられれば、ひとたまりもないだろう。もちろん、スケボーの側は、ちゃんとよけますというだろう。そのくらいの技術がなければもちろん、オリンピックなど遠い夢だ。

 でもしかし、本来は市民が心配なく歩けるはずの歩道で、どうして向こうから突進して来るスケートボードを心配しながら歩かなければならないのか。一応、所轄の警察署に電話してみた。

「スケボーを歩道で走らせても、いいのでしょうか」
「道路交通法では『交通のひんぱんな道路において、球戲をし、ローラースケートをし、またはこれらに類する行為をすること』が禁止行為とされている」  

「毎晩のようにわが家の近くの道路でスケボーをしている連中がいるのですが」  
「それを現認したとき110番してください」  

「ここでスケボーをするなと警告の掲示をしてもらえませんか」  
「それは区道なので区役所の仕事です。区におっしゃってください」

 その都度、110番したり、区役所に申し出たりして、こちらの名前がどうかして明るみに出れば、スケボーを楽しんでいる若い人たちから怨まれて、どんな目に遭うかもわからない。  いささか卑怯だけど、それ以上何も言わないことにした。

 ところが、今回、スケボーがオリンピック種目になるという。スケボーをやりたいという素人の若者はもっと増えるだろう。若者が道路でなく、ちゃんと練習できるところをもっと増やしてもらいたい。善良な歩行者が仮にもぶつかって怪我をすることのないようにしていただきたいと、切に思う。

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