フロント/話題と人社会に根を下ろした草の根レベルの活動を 途上国の開発支援から環境保護の分野へ 国際環境NGOグリーンピース・ジャパン事務局長米田 祐子さん

2016年12月15日グローバルネット2016年10月号

今年春から約5ヵ月の間空席だった国際環境NGOグリーンピースの日本事務所の事務局長の座に就いたのは、地球環境ではなく途上国の開発支援に長年携わってきた開発分野のエキスパートだった。

米田さんは大学・大学院で国際関係学を学び、卒業後、ニューヨークにある国連開発計画に就職した。日本が拠出するファンドの管理を担う部署に配属となったが、「現場の最前線に出たい」と退職。それから16年間、六つもの国際NGOに所属し、アジア・アフリカを中心に貧困・子供・人権などの分野で活動してきた。

カンボジアやソマリアでは女性や子供の支援に奔走した。リベリアでは当時流行したエボラ出血熱対策のための戦略を立ち上げた。どの仕事でも「燃え尽きそうだった」ほど働いたが、「目は常に開発の仕事の現場である途上国にしか向いていなかった」という。そんな米田さんだが、グリーンピースから声が掛かった時には、「サステナブルな開発には人間と環境との良好な関係が大切だった。日本を現場に、自分のこれまでの経験を生かす活動ができるのかもしれない」と可能性を感じたという。

過激な抗議行動のイメージが強く、日本社会ではまだ風当たりの厳しいグリーンピースだが、活動を支える日本での個人会員の数は現在約6,000人。2011年の福島の原発事故直後に放射線調査を実施した後は寄付や支援の声が相次いだという。「多くの人の共感を得て、皆の声を発信し意識を変えていけるような活動を展開していきたい」と米田さんは抱負を語る。そして、どんな視点でどんな貢献ができるのかを見極め、さらに、他団体との連携も一層強化し、社会に根を下ろした草の根レベルでの活動を目指したいという。

穏やかな笑顔と柔らかい物腰。でも性格は「物事をはっきり言うタイプ」だという。「厳しい批判を受けても、痛みを感じつつ、でも感情的にならずに落ち着いて聞き、言うべきことは言える」と自らを評する米田さんは「モノ言うリーダー」とお見受けした。「人を動かすことはまだまだ勉強中」と笑うが、37人のスタッフをいかに動かし、社会を動かすことにつなげていけるのか、手腕が期待される。(絵)