特集/再生可能エネルギーの普及における固体バイオマスの持続可能性とは?英国におけるバイオマスの持続可能性基準

2016年12月15日グローバルネット2016年10月号

グローバルネット編集部

シンポジウムでは、英国のOfgem E-serveの燃料と持続性環境シニアマネージャーであるジャスミン・キレン氏を迎え、英国におけるバイオマスの持続可能性基準とその運用状況について説明してもらった。

Ofgem(Office of Government Electricity Market=ガス電力市場規制局)は、省庁に属さない独立した政府機関で、規制業務を管轄する部門と、政府に代わりグリーンエネルギーと社会制度に責任を持つOfgem E-Serveから成る。英国には、大規模な再生可能電力を支援する制度として、「再生可能エネルギー義務 (RO)」があり、認可された発電事業者に一定の割合の再生可能電力を求めるものであり、Ofgem-E-Serveは、ビジネス・エネルギー・産業戦略省※に代わってこの事業を運営管理している。

バイオマスというのは、その成分の90%以上が植物体、動物体、菌類、藻類、バクテリアなどから成るもので、固体、液体、気体などの形状を取り得る。英国では、2011年以来年々、バイオマス利用が増加し、2014〜15年の期間では900万t近くに達している。過去2年間では、固体バイオマス調達の65%が欧州連合(EU)域外からで、その内の75%が米国およびカナダからである。2014〜15年の間に、1億6,590万m3のバイオガス、1億5,210万Lのバイオ燃料、1,040万tの固体バイオマスを電力発電用に使用している。

2015年12月以降、すべてのバイオ燃料施設および全体設備容量が1MW以上の固体バイオマスおよびバイオガス発電施設は、ROに準じた支援を受けるためには、持続可能性基準を満たし、報告しなければならない。全体設備容量が1MW未満の固体バイオマスおよびバイオガス発電施設は、持続可能性基準に照らした報告義務はあるが、その内容は支援を受けるための判断には反映されない。

持続可能性基準

持続可能性基準は、欧州再生可能エネルギー指令(RED)に由来し、英国の法律にも記載されている。

バイオマスが持続可能であるためには、以下の二つの基準を満たしている必要がある。 土地基準―バイオマスを採取する土地に注目する。目的は豊かな生物多様性と炭素ストックを有する地域を保護することである。法律では非木質バイオマスについて採取を禁止する土地のタイプを、木質バイオマスについては、森林管理関連の要件を設定している。 温室効果ガス基準―  ライフサイクルでの温室効果ガス排出を測る。算出する手法は法律で定められている。

土地基準

1.非木質バイオマス 非木質バイオマスの土地基準は、保全された土地からのバイオマス資源の採取を禁止している。保全された土地とは、①2008年1月以降に原生林または自然保護を目的として指定を受けた土地②2008年1月時点で高い生物多様性を有する草地または泥炭地③以前から継続的な森林地帯、軽く樹木で覆われている(疎林)地域または湿地と定義されている。

2.木質バイオマス 木質バイオマスについては、以下の二つの土地基準に適合する持続可能な供給源から採取しなければならない。

1)以下の持続可能性要件を満たしている ①生態系への影響の最小化②生産能力の維持③生態系の健全性の維持④生物多様性の維持⑤地域を管理する者が労働者の健康・安全・生活などに関する当該地域における国および地方の法律を順守かつ土地所有権や伝統的な土地利用を尊重⑥上記が保障されるための定期的な監査を実施

2)欧州森林持続可能性基準または国際的な原則に合致する方法で管理された土地で生育された木材

木質バイオマスは、採取する土地についてこれらすべての基準を満たしている必要がある。

温室効果ガス(GHG)排出基準

土地基準に加えて、GHG排出基準も満たす必要がある。バイオマスのライフサイクルでのGHG排出を算出する。固体バイオマスおよびバイオガスは、炭素単位 (gGHG/MJ electricity)、液体バイオ燃料は、化石燃料と比較した削減割合で、現在の基準は、固体バイオマス/バイオガス = 79.2 gGHG/MJ e、液体バイオ燃料35%以上の削減割合が求められる。

英国はEUで最初に固体バイオマスおよびバイオガスのための持続可能性基準を導入した国である。EUは2020〜2030年の間に固体バイオマスおよびバイオガスのための基準を施行する予定。

※2016 年7 月の省庁再編により「エネルギー気候変動省(DECC)」は、新設された「ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)」に統合された

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