フロント/話題と人環境活動レポートで環境大臣賞を受賞した来ハトメ工業(株)従業員の皆さん

2017年05月15日グローバルネット2017年5月号

「環境ばかりに一生懸命で、肝心の商売は何年も日の目を見ない会社に対して、周囲から白い目で見られているような気がする。しかし、いずれは環境活動が肥料になり、努力が幸運の芽を出し、会社も良い方向に行くと思っている」(来 満会長)。

中小企業が発行する環境活動レポートの冒頭で、経営トップが率直な胸の内を吐露している会社が、2016年度の第20回環境コミュニケーション大賞(環境省と当財団が主催)で環境大臣賞を受賞した。自社の環境経営の取り組みを環境報告書(大企業)、環境活動レポート(中小企業)という形で情報開示し、株主や消費者との環境コミュニケーションを高めている企業を表彰する「環境コミュニケーション大賞」制度は、20周年を迎えた。

環境報告書部門で環境大臣賞を受賞した大和ハウスグループ、コニカミノルタ(株)、積水ハウス(株)、SOMPOホールディングス(株)などの並み居る大企業に交じって、環境活動レポート部門で環境大臣賞に輝いたのは埼玉県八潮市にある従業員数37人の来ハトメ工業(株)。電子基板のアルミ部品メーカーで、創業70年の中小企業だ。

受賞理由に「社員の声が随所に記載され、人間味が伝わる環境活動レポートである。従業員の環境意識の醸成が会社全体の環境への取り組みを推進している」とあるように、従業員の働く姿が写真で紹介され、肩書、入社年次、担当する環境保全対策が記されている。

管理部の主任で活動レポートの実質的な作成者である入社11年目の石原隆雅さんは「レポートは従業員みんなの作品。対外的には社員を知ってもらうため、社内的には家族とのコミュニケーションを図るために活用してもらいたい」と、読みやすく、血の通ったレポート作りに努めているという。

同社には日本人と結婚したフィリピン人女性が11人も働いているが、勤続17年といったベテランが多い。創業時から「人を大事にする」ことを経営方針に掲げている会社だが、来 昌伸社長は「給料は安いんですがね。居心地がいいんですかね」。5年前の昌伸社長就任後、業績も上向いているという。 (H)

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