2006年5月12日

エコ燃料(バイオマス燃料)の持続可能性に関する要請

国際環境NGO FoE Japan、財団法人地球・人間環境フォーラムの2団体及び個人(泊みゆき/NPO法人バイオマス産業社 会ネットワーク理事長ほか)は、本日、環境省に対し、バイオマス燃料を一律に「エコ燃料」と呼び、急激に大量の輸 入を行うことは、温暖化防止対策に逆行し、持続可能性に反するさまざまな問題を生みかねないおそれがあるとし、@ 国産・地域産のバイオマスの利用を優先すること、Aバイオマス燃料の輸入に際しては、生産地および加工過程におけ る環境・社会問題のより少ないものを優先すること、B原料調達の際のサプライチェーンの把握と透明性の確保などを 柱とするガイドラインを作成すること――などを求める要請書を提出した(別紙)。

現在、日本政府は、温暖化防止という観点からバイオマス利用の促進のため50万キロリットル(原油換算)のバイオマス 輸送用燃料の導入を見込んでいる。しかし、このバイオマス燃料の大部分(90.8〜92.8%)は輸入になる見込みであると、 環境省の「エコ燃料推進会議」が試算している。

海外ではガソリン代替のエタノール(原料:サトウキビ等)やディーゼル代替のBDF=バイオディーゼル燃料(原料:パー ム油等)の原料である植物をプランテーションで大量に生産し、自国での消費に加えて輸出する動きが見られるが、この 大規模なプランテーションの開発が生産地において環境・社会問題を引き起こしていることがある。

例えば、バイオマス燃料として有望視されているパーム油の生産のためのオイルパーム・プランテーションの急速な拡大は、 東南アジアにおける森林減少の要因の一つとされており、大規模な森林生態系の転換、用地取得に伴う地元住民の権利の侵 害、不適切な農薬の使用による水質・労働者の健康への影響、低賃金・危険作業等の労働問題、廃水問題などの環境・社会 問題が生じている。

今回の要請書は、こうした生産地の問題について警鐘を鳴らしたものである。

別紙:持続可能な「エコ燃料」(バイオマス燃料)利用推進に関する要請 (PDF)
添付資料1:パーム油生産の環境・社会影響について (PDF)
添付資料2:RSPO 持続可能なパーム油のための原則と基準(仮訳)(PDF)
添付資料3:議論を呼んだプランテーション開発の事例−カリマンタン国境における巨大プランテーション事業 (PDF)

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