事例6:水課徴金、「賢く使う水」キャンペーン、環境教育、住民との協議 ステファン・ノーナン/ゴールドコースト市Financial Coordinator Quality & Performance |
ゴールドコーストにおける水道事業は、「ゴールドコースト・ウォーター」という機関が行っています。ゴールドコースト・ウォーターは2つのダムをもち、6,000万立方メートルの水を39万人の居住者、年間330万人の旅行者に供給しています。ゴールドコーストでは、@地域に重点をおくこと、A環境の持続可能性、B経済の持続可能性――の3つの考え方に重点が置かれていて、水資源管理にもこの理念が反映されています。
1.水道利用の課金制度
オーストラリアの全国レベルの水資源管理方針は、基本的には水道事業に競争をもたらすような方向に変化しており、1998年に水道の課金システムに関する案が採択されました。
課金制度の導入の結果、一人あたりの水消費量は削減され、水源確保のためのダム建設は今まで考えていたより10年以上延期することができることがわかりました。水の課金は水の使用量を減らすツールの一つになりうるということが証明されたわけです。
ゴールドコースト・ウォーターは2000年から2003までの目標として、@顧客満足度の10%向上、A一軒あたりの水道使用料を3%削減する(これはすでに達成済み。現在11.5%削減されている)、B窒素排出量の25%削減、Cリン排出量の50%削減、D水の再使用の50%増加――の5つを掲げています。
下図は一人あたりの水需要を示したグラフです。1995年、ゴールドコーストでは「賢く使う水プログラムWater Wise Program」、すなわち学校、リゾート・観光地域について水の使用の教育を行っていくプログラムを開始しました。この段階ではまだ、水の課金制度は導入されていませんでした。課金制度の導入によって水の使用量は20%減少しました。第二次の課金戦略の導入によっても水の使用料が減りました。しかし近年、その効果も横ばい状態となっているので、もう一度考えなければならない時期になっています。
2.賢く使う水プログラム
「賢く使う水プログラム」は、市議会が水の使用量を削減するために実施するプログラムで、1993年からはじまりました。目標は水使用量の削減および水使用の際の環境配慮で、地域住民、年金生活者、環境活動家、事業者などのステークホルダーと協議をしながら、水に関する環境教育を進めていきました。ターゲットとして重視しているのは、学校およびホテルで、ホテル業界向け、学校教育向けのマニュアルがつくられました。ホテルが重要だと考えた理由は、年間にゴールドコーストを訪れる旅行者の数が330万人であり、彼らが水資源に与える影響は大きなものがあるからです。
賢く使う水・学校プログラムは、@クラス単位の授業、相互活動、A市長や議員のクラス訪問、B生徒会による活動、C水保全活動のコンテスト、D水収支家計簿の作成――などのメニューから学校ごとに企画できるプログラムで、子ども達への教育を通じて地域の水に関する意識の向上に効果的でした。
そのほか、水の課金に関しても、電話によるホットラインを開設したり、「水のメーターをどう読むか」というパンフレットを配付したり、水利用情報のきめの細かい開示などを通じて地域とのコミュニケーションに効果をあげています。