エルサレムは、年間降水量(約500mm/年)が同程度またはそれ以上である都市の中で、年間の太陽光照射時間が最長であるばかりでなく、太陽光照射時間が一年間に(平均して)3400時間以上ある区域の中で平均降水量が最も多いという点において独特な気候を有している。亜熱帯の砂漠地帯のように太陽光が豊富(それでいて半乾燥地帯の砂漠としては十分な降水量がある)であるという特徴は温水加熱用太陽エネルギーの集熱に効果的に活用されている。『ホートンの気候学一覧表(Hougton's
Tables in Climatology)』によると、エルサレム市の年平均太陽光照射時間は3474時間である。この数値は極めて高い。それというのも、エルサレム市が標高750mの山の上に位置し、しかも砂漠と境界を接しているためである。ユデアン(Judean)砂漠の年間降水量は100mm程度で、エルサレムからわずか20キロしか離れていない。
 イスラエル国民と、とりわけエルサレム市民に対し、この独特の天気を利用した温水器の設置を奨励するため次のような規制が適用されている(詳しくは文末に示した規制を参照のこと):
 1995年に全国で調査した126万6千戸のうち87万2274戸が太陽熱温水システムを利用していることを明記する。しかしながら、ハイファとテルアビブの導入率(それぞれ54.6%と58.9%)は全国平均より幾分低い。
 太陽熱利用の増加を図るため、次に述べる追加規制もいくつか適用されている:
 世界の文明国家で慣例となっているサマータイムをイスラエルでも、少なくとも年間150日間実施することが提案されている。サマータイムは日中の比較的涼しい時間帯における活動時間を長くするため省エネルギーにつながり、国民には快適さと便利さがもたらされる。サマータイムの実施期間をいつにするかについては、内務省がイスラエル国会(クネセト)の内務・環境委員会と調整の上決定されることとする。実施期間の決定は、確実性を高め、適宜な推進計画を可能にするため、少なくとも実施の三年前に時宜に応じて決定されるものとする。
 省エネを目的とした建物の断熱密封に関する規制もある:住宅用建物の外装を構成する断熱密封はイスラエル独自の基準に従って計画・施行されることとする。
 住居用以外の建物の外壁の断熱密封についてもまた、少なくとも幅20cmの中空ブロックでできた、両面にしっくいが塗られている壁でできていることとする、といった規制もある。
 最後に、先述の太陽熱温水システムにおけるエルサレム市の規制を以下に記載する。
- 建物がホテル、ゲストハウス、老人ホーム、寄宿制学校、教育機関、あるいはそれに類する利用目的で建てられる場合:開放式で、一日あたり温水消費量1リットルにつき30キロカロリーを下回らないこととする。また閉鎖式で34キロカロリーを下回らないこととする;
- 建物が住居目的で建てられる場合:開放式で、一日あたり貯蔵タンク容量1リットルにつき41キロカロリー。また、閉鎖式、あるいは水平型貯蔵タンクのついた開放式で46キロカロリー。
- 閉鎖式の場合、熱交換器の変換能力は貯蔵タンク容量1リットルあたり1°Cにつき1.5ワットとする;
- 開放式が設置される住居ユニットは上述の通り取り扱われるものとする;
- 住居ユニットは各戸につき貯蔵タンク一基を有するものとする。
- 部屋数1の住居ユニットの場合、最低60リットル;
- 部屋数2〜3の住居ユニットの場合、最低120リットル;
- 4部屋か、それ以上の住居ユニットの場合、最低150リットル;
補足