「極東ロシアのタイガを守る〜森林保護区の現状」

Saving Russia's Far Eastern Taiga - Deforestaton, Protected Areas, and Forests 'Hotspots'
1999年6月2日

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地球の友 著

編集協力:(財)地球・人間環境フォーラム

 1998年のロシア極東部で発生した森林火災は、被害面積約200万haに及び、ハバロフスク地方とサハリン州の森林に大きな打撃を与えた。調査によると、この同年の火災により3,000万tもの二酸化炭素が大気中に放出され、90万haに及ぶ森林が炭素固定能力を完全に失った。こうした森林はなぜ発生したのだろうか。なぜ、ここまで被害が広がったのだろうか。  同報告書では、地球の友ジャパンが長年の同地での保全活動を踏まえ、日本にとって最大の丸太供給地である同地の森林の現状について、また同地域の森林保護地区について報告したSaving Russia's Far Eastern Taiga - Deforestaton, Protected Areas, and Forests 'Hotspots'のPartTである。

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PartII(各保護地域ごとの分析)については英文のレポートを読むことができます。

エゾマツ伐採
↑エゾマツの森をなぎ倒し、商品価値のある木だけヘリコプターでつり上げ、沖で待つ船に運ぶ。(サハリン)

皆伐

↑皆伐跡地(サハリン)

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写真提供:地球の友


目 次

極東ロシアのタイガを守る 〜極東ロシアの森林保護区の現状〜
1 ロシアの森林資源

2 ロシア極東地域の森林
 ロシア極東地域において最も商業的価値のある森林
 ロシア極東地域の地勢と生態系

3 極東ロシアの森林保護の重要性
 生物多様性の保全
 気候変動の安定化
 ロシア極東地域の75%を覆う永久凍土
 長期木材供給

4 ロシア極東における森林減少の主要原因
 火災
 伐採
 (1) ロシア極東地域における木材産業の背景
 (2) ケーススタディ1:ウスリー・タイガでの伐採
 (3) ケーススタディ2:1998年の森林火災
ロシア極東地域の森林減少に関するまとめ

5 ロシアの保護地域制度
 ロシア保護区域制度の歴史
 保護区の形態
 (1) ザポヴェドニク(厳正自然保護地域/IUCNカテゴリーIA)
 (2) ザカズニク (野性生物保護地域/IUCNカテゴリーW)
 (3) 天然記念物 (Pamyatniki Priody/IUCNカテゴリーV)
 (4) 国立公園(National Parks/IUCNカテゴリーU)
 (5) 伝統的自然利用区域(Territories of Traditional Nature Use; TTPs/IUCNカテゴリーZ)
 (6) 自然公園(Prirodniye Parky)
 (7) 民間の自然保護区
 (8) 伐採規制林

6 ロシア極東地域における保護地域制度の分析
 制度上の課題
 (1) 資金不足
 (2) 法規制の軽視
 (3) 統一された管理機構の欠如
 (4) 保護地域管理における連邦政府と地方政府の対立
 (5) 貧弱な一般市民からの支援
 ロシア極東地域の森林と生物多様性保護
 ロシア極東地域の保護制度の地域的分析
 結論

7 ロシア極東生物多様性ホットスポット
 ホットスポット研究―現在と過去
 合意形成手段としてのホットスポットプロセス
 他の保護プロジェクトとの互換性
 結論

8 ロシアへの森林保全協力に関する行動提案
 (1) ロシアの保護地域制度への支援
 (2) 新たな保護区の 設定への支援
 (3) 森林火災対処への支援
 (4) 日本国内でのロシア森林保全への意識の啓発
 (5) ロシアの不法伐採や密貿易などに関する処置への支援
 (6) 地域に根差した持続可能な資源利用プロジェクトの協同開発と支援
9 参考文献



地球・人間環境フォーラム