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2010年のある二家族の生活〜あなたはどちらを選びますか

 地球温暖化防止京都会議(COP3)で、私たちは気候変動防止へ向けて重要な一歩を踏み出しました。温室効果ガスの排出を2008〜2012年までに6%削減しなければならない国際的な責任を負ったのです。
 では2010年には私たちはどのような生活をしているのでしょうか。昨年10月発表された「ライフスタイルからみた地球温暖化防止対策」という報告書では面白いシュミレーションを行っています。ある二つの家族の冬の一日を比較し、年間の二酸化炭素の排出量の差を算出してみたものです(図)。
 北山家と西山家はどちらも東京のベッドタウンの自治体に一戸建ての家を構え、家族構成もまったく同じ。つまりはどちらも「現実となるかもしれない」二つのオプションともいえます。両家の唯一大きな違いは、環境への意識があるかないかということです。北山家は、公害を克服して環境保全への多くの取り組みを進めるα市に越してきてから、まわりに刺激されて徐々に環境への意識にめざめてきました。家電製品の待機電力を節約することからはじまって、調理や余暇の過ごし方にも環境への配慮を忘れません。西山家は、特に環境に対して意識が高いとはいえません。
 その意識の違いが、実に年間1,220kgCもの二酸化炭素排出量の差となってあらわれる、と報告書では試算しています。これは95年の一世帯あたりの排出量の優に3分の1を超えています。
 「温暖化防止は大切だけど、生活の質は落としたくないな」という人も多いでしょう。しかし、この2つのシナリオを読む限り、北山家の生活が西山家の生活より劣っているようには見えません。むしろ、より豊かな質の高い生活を享受しているかもしれません。
 家庭部門のCO2排出量は総量・一人当たり・一世帯当たりともに一貫して増加し続けています。また、単身者世帯の増加や家庭での電気製品の普及と大型化等、二酸化炭素の増加要因も増えてきています。それでもなお、より多くの家庭が北山家のライフスタイルを選択することによってはじめて、私たちは進行しつつある気候変動に歯止めをかける希望をもつことができるのです。


北山家の一日(α市在住) 西山家の一日(A市在住)
7:00 起床
住居は断熱住宅ですので、昨夜の暖房の名残で15℃あります。それでも少し寒いのでエアコンのスイッチを入れました。
断熱材による暖房の削減
ガスストーブ、エアコン、石油ストーブ各1台が1日3時間、年間120時間可能と仮定→1年では122.0kgC
7:00 起床
家の中は5℃です。寒いので暖房を入れました。暖房は一部屋ごとにあります。居間だけでなく、寝室、子供部屋にも暖房を入れます。
7:30 ごみ出し
ごみの回収場所では、ビン、缶はもちろん、トレー、牛乳パック、ペットボトルも分別回収しています。資源にならないごみは1枚50円の袋に入れて出します。α市では1997年当時、資源ごみはビン、缶だけでしたが、その後他の資源ごみも回収することになりました。
食品包装容器のリサイクル
トレー360kgC、牛乳パック180本、ペットボトル50本をリサイクル→1年で8.9kgC 可燃ゴミの削減
1日0.5kgを削減→1年で43.8kg
朝シャンをやめる
1回6分200日をやめる→1年で23.9kgC
7:30 ごみだし
ごみの回収場所では、ビン、缶以外は分別回収していません。A市が資源回収にあまり熱心ではなく、住民からも要求がないからです。そのため、ごみの量が多くて困ったA市では、ごみ袋1枚200円としています。
初子さん(長女)は朝シャンを始めました。
8:20 長女秋子さん登校
3km離れた中学には自転車で通っています。自転車道がきちんと整備されていて、とても快適に走れます。
α市では、自転車利用や徒歩の促進のための道路整備に力を入れています
自動車での送迎をやめる。
往復6km年200日やめる→1年で76.8kgC
8:10 太郎さん(父)出勤 自宅から駅まで5km(自動車)→電車→徒歩でトータル33kmを通勤しています。
9:00 春男さん(父)出勤
勤務先まで約33kmあり、バス→電車→徒歩で通勤しています。駅までの道はバスレーンが設置されているので、遅れることなく駅まで着きます。バスの動力は電気です。
通勤を自動車から電気バスへ
片道3km、年間240回を自動車からバスへ(バスは燃費が通常よりも10%向上と仮定)→1年で78.0kgC
8:20 長女初子さん登校
3km離れた中学に通っています。交通量の多い一般道を使わなくてはならないため、お母さんが自動車で送り迎えをするようになりました。
10:00 夏子さん洗濯と掃除開始
α市では太陽光発電装置の導入を推薦しており、市の補助金も独自に設けています。多くの住宅でこの装置を導入しています。
夏子さんは、洗濯はまとめて、掃除機をかける前には部屋を片づけています。
太陽光発電を利用する
2kWの発電が1日8時間年200日可能
1年で384.0kgC

電気のむだをなくす
掃除機5分を365日、テレビ1時間を240日なくす
1年で5.3kgC
10:00 花子さん洗濯と掃除開始
花子さんはテレビをつけたまま掃除と洗濯をはじめました。それが終わると、テレビをつけたまま、昼寝をしてしまいました。
10:00 春男さん会社着
さっそくパソコンのスイッチを入れます。このパソコンは10分以上入力がないと、自動的に待機状態になる省エネ型パソコンで、消費電力も少なくなります。
パソコンのスイッチを切る
260Wのパソコンを1日2時間240日切る
→1年で15.0kgC
9:00 太郎さん会社着
早速パソコンのスイッチを入れます。すぐ上司からよばれたため席を離れ、1時間近く戻ってきませんでした。その間、パソコンはつけっぱなしでした。
12:30 春男さん昼食
社員が率先して、人がいないスペースの照明や暖房は消すようにしています。これは、社員のなかから持ち上がった運動で、多くの社員が賛同し、実行されるようになりました。
照明・冷暖房を消す
180m2で300人が10時間稼働するオフィスで昼休みに1時間消灯
1年で6.2kgC/人
12:00 太郎さん昼食
社員がそろって食事にいきます。その間、照明や暖房、OA機器はすべてつけっぱなしでした。
15:00 夏子さん買い物
夕食のメニューを決め、冷蔵庫の在庫を調べ、必要なものを決めました。さあ、近所のスーパーに買い物に出かけます。スーパーまでは自転車でいくことにしました。
通勤と買い物を自転車へ
往復4km年150回を自動車から自転車へ
1年で38.4kgC
15:00 花子さん買い物
近くのスーパーまで自動車で買い物にいきます。夕食のメニューを決めずにとりあえず買い物に行くことにしました。
15:10 スーパー着
このスーパーは、α市からエコショップとして認定されています。認定の基準はなかなかきびしく、
  • 再生資源を利用した製品を積極的に扱っている
  • 資源ごみのリサイクルボックスを設置している
  • トレーなどはなるべく使わず、ばら売りが多い
  • 環境マークのついた製品の品揃えが充実している
  • 買い物袋や包装紙減量に積極的である
  • ごみの減量、資源のリサイクルなどについてキャンペーンやPR、地域活動に積極的 といったことを満たしていると認定されます。
買い物袋を受け取らない
360枚分を受け取らない
→1年で2.9kgC

余分な食品を購入しない
150gのトマトに換算して年間150個分削減
→1年で7.5kgC

エコマーク製品を買う
10%省エネになった洗剤598円を年10個買うと家庭
1年で0.5kgC
15:20 スーパー着
このスーパーは、環境NGOから非環境的であると非難を受けたことがあります。その理由は以下の通りです。
  • 再生資源を利用した製品を扱っていない
  • 資源ごみのリサイクルボックスを設置していない
  • 肉、魚類はすべてトレーで売っている
  • 環境マークのついた製品の品揃えに不熱心
  • 買い物袋を無料でふんだんに渡すことをセールスポイントとしている
  • ごみの減量、資源のリサイクルなどにまったく無関心
17:00 夏子さん調理開始
夏子さんの調理は、調理にかかるエネルギーや、食材を無駄にしない、ごみはなるべく出さないエコクッキングに徹しています。
  • やかんは底が平らなものを使う(熱効率がよい)
  • ガスコンロは、それまでに使っていた暖かい方を使う
  • 唐揚げの衣は小さめの袋に入れてその中でまぶす(最後に残る粉の量が少なくて済む)
夏子さんは生ごみコンポストを使っています。メタンガスが出ないタイプで、堆肥は家庭菜園で使用します。
エコクッキングに努める
1回で水85リットル
ガス119リットル、ごみ80gの削減を年300回→1年で32.7kgC
17:00 花子さん調理開始
花子さんの調理はあまり環境に配慮されていません。温室物の野菜や果物、冷凍食品をよく使います。食材の半端はすべて捨ててしまいます。
生ごみはそのまま可燃ごみとして捨てています。
19:00 春男さん帰宅。夕食
食事の時間に、今度の日曜日に開かれるγ市のフリーマーケットに家族で出かける話をしました。冬男君が育ち盛りで、着るものがすぐ小さくなるため、冬男君の服を買うことが目的です。
フリーマーケットを利用する
ワンピースに換算して年間10着分をフリーマーケットで購入する→1年で48.7kgC(原油換算)
20:00 太郎さん帰宅 夕食
食事の時間に、今度の日曜日にB市のXデパートに家族で出かける話をしました。二郎君が育ち盛りで、着るものがすぐ小さくなるため、二郎君の服を買うことが目的です。

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更新日 2003/12/17
名前 GEF


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