第8回 環境コミュニケーション大賞

環境報告書部門

受 賞 一 覧

 

報告書タイトルをクリックすると講評を見ることができます

環境報告大賞(環境大臣賞)  1点

事 業 所 名

報告書タイトル

東日本旅客鉄道株式会社

JR東日本グループ 社会環境報告書2004

 

持続可能性報告大賞(環境大臣賞)  1点

事 業 所 名

報告書タイトル

株式会社イトーヨーカ堂

イトーヨーカドー 企業の社会的責任報告書 ―社会・環境活動報告2004

環境報告優秀賞(地球・人間環境フォーラム理事長賞)  14点

事 業 所 名

報告書タイトル

株式会社イトーヨーカ堂

イトーヨーカドー 企業の社会的責任報告書―社会・環境活動報告2004

株式会社NTTドコモ北海道

NTTドコモ北海道グループ 環境報告書2004

キヤノン株式会社

キヤノン サステナビリティ報告書2004

生活協同組合コープながの

環境報告書2004

サントリー株式会社

サントリーEcoshipレポート2004(冊子版)
サントリーサステナビリティレポート2004(web版)

積水ハウス株式会社

環境報告書「ECO WORKS 2004」

ソニーイーエムシーエス株式会社 木更津テック

社会・環境報告書2004

大成建設株式会社

大成建設 環境・社会報告書2004

トヨタ自動車株式会社

Environmental & Social Report 2004

日産自動車株式会社

サステナビリティレポート2004 / 環境報告書2004

富士写真フイルム株式会社

富士フイルム 社会・環境レポート2004

松下電器産業株式会社

The Panasonic Report for Sustainability 2004
「松下電器グループ・環境経営報告書2004」

株式会社リコー

リコーグループ サステナビリティ・レポート2004
(環境経営報告書/社会的責任経営報告書/アニュアル・レポート)

株式会社リコー 福井事業所

2004年度 リコー福井事業所 環境報告書
2004年度 リコー福井事業所 環境報告書 ダイジェスト版

持続可能性報告優秀賞(地球・人間環境フォーラム理事長賞)  6点

事 業 所 名

報告書タイトル

アサヒビール株式会社

アサヒビールグループ CSRレポート2004

サントリー株式会社

サントリーEcoshipレポート2004(冊子版)
サントリーサステナビリティレポート2004(web版)

ソニー株式会社

CSRレポート2004

日産自動車株式会社

サステナビリティレポート2004/環境報告書2004

富士ゼロックス株式会社

サステナビリティレポート 2004

株式会社リコー

リコーグループ サステナビリティ・レポート2004
(環境経営報告書/社会的責任経営報告書/アニュアル・レポート)

 

奨励賞  6点

事 業 所 名

報告書タイトル

株式会社ウッドワン

ウッドワン環境レポート2004

株式会社資生堂

資生堂CSRレポート2004 -人と社会と 美しさのために-

全日本空輸株式会社

環境報告書〜Sustainability for Society〜 2004年度版

三重県

平成16年版三重県環境報告書

株式会社三越

三越環境レポート 2004年

ユニ・チャーム株式会社

CSR報告書2004

 

 

※奨励賞を受賞しておりました株式会社モスフードサービスは、諸般の事情により受賞の辞退の申し入れがありましたので、12月28日付で同社の受賞取り消しを決定いたしました。
 

参考)環境報告書部門の重複受賞者リスト

事業所名

受   賞

株式会社イトーヨーカ堂

持続可能性報告大賞(環境大臣賞)

環境報告優秀賞(地球・人間環境フォーラム理事長賞)

環境報告マイスター賞<通算4回受賞>

日産自動車株式会社

環境報告優秀賞(地球・人間環境フォーラム理事長賞)

持続可能性報告優秀賞(地球・人間環境フォーラム理事長賞)

環境報告マイスター賞<通算4回受賞>

株式会社リコー

環境報告優秀賞(地球・人間環境フォーラム理事長賞)

持続可能性報告優秀賞(地球・人間環境フォーラム理事長賞)

環境報告マイスター賞<通算4回受賞>

サントリー株式会社

環境報告優秀賞(地球・人間環境フォーラム理事長賞)

持続可能性報告優秀賞(地球・人間環境フォーラム理事長賞)

トヨタ自動車株式会社

環境報告優秀賞(地球・人間環境フォーラム理事長賞)

環境報告マイスター賞<通算5回受賞>

松下電器産業株式会社

環境報告優秀賞(地球・人間環境フォーラム理事長賞)

環境報告マイスター賞<通算5回受賞>

キヤノン株式会社

環境報告優秀賞(地球・人間環境フォーラム理事長賞)

環境報告マイスター賞<通算4回受賞>

※「環境報告マイスター賞」とは、大賞・優秀賞該当作のうち、過去通算3回以上大賞または優秀賞を受賞している事業者の応募作におくられる賞で、受賞通算回数を示して表彰されます。今回は、6点が受賞しました。



第8回環境コミュニケーション大賞 環境報告書部門 講評

 

環境報告大賞(環境大臣賞)

東日本旅客鉄道株式会社「JR東日本グループ 社会環境報告書2004

報告書に客観性や定量性が求められるとどうしても数字の羅列などで無味乾燥となり、読みづらいものとなってしまう。JR東日本グループは特筆すべき事項を、推進した現場の皆さん方の体験談の形を通して紹介し、客観的で網羅性のある結果は詳細編で報告する形で紹介したバランスの取れた優れた報告書である。

多くの読者に対する説明責任は、事実の報告だけでなく、事実を受けてどう対応しているかを説明して初めて完結する。マイナスイメージを植えつけかねない事故情報について、トップメッセージを通して事態の重大性の認識を、本文の中では事実と再発防止に向けての具体的対応状況を報告していて、安心レベルへの希求が伝わってくる。

船舶や鉄道の輸送は輸送連鎖の頂点に位置するため、これらの業界の報告書ではモーダルシフトに関する記述があまり見られないが、JR東日本グループはインターモーダルの重要性を認識し、その推進状況を報告していて好感が持てる。

 

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持続可能性報告大賞(環境大臣賞)
 環境報告優秀賞(地球・人間環境フォーラム理事長賞)

株式会社イトーヨーカ堂 「イトーヨーカドー 企業の社会的責任報告書―社会・環境活動報告2004

ステークホルダー別の編集は、それぞれのステークホルダーとの双方向のコミュニケーションを重視し、信頼される誠実な企業でありたいとという「社是」を表すものとして高く評価したい。一般の消費者にも見やすく、分かりやすい。対応部署が明記されていることも、CSRが全社的な取り組みであることが良くわかる。CSRの取り組み状況を定量的に把握する「CSR指標」や「CSR会計」など、独自の工夫を凝らしていることも評価できる。今後、サステナブルな社会を構築する上で消費者の役割が極めて重要になってきており、その接点にいるのが小売業であり、更なる革新的な取り組みを果たしていってもらいたい。CSR重視のため、環境面の取り扱いが少なくなってきているが、単にこれを増やすということではなく、各ステークホルダーとの対話の中で環境も統合した記述なども工夫するなどのリーダー役を果たしていってもらいたい。

 

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環境報告優秀賞(地球・人間環境フォーラム理事長賞)

株式会社NTTドコモ北海道NTTドコモ北海道グループ 環境報告書2004

データ量が豊富であり、環境方針、目的、目標が明確化され、取り組み活動が網羅的に記載されており熱心に環境問題に取り組んでいる姿勢が見受けられる。通信業という環境負荷をイメージしづらい業種でありながら、事業活動に伴う環境負荷を「事業活動のマテリアルバランス」として見開きでまとめられており、読者の理解を助ける工夫がなされていることも高く評価できる。しかし、同図において、消費者の位置付けや関与をもう少しわかりやすくするともっとよかった。本社施設内視察を含めたステークホルダーミーティングを実施する等、地域社会とのコミュニケーションを積極的に推進していることも好感が持てる。

今後の環境問題への取り組みのビジョンや活動が明確に示されていると、さらに充実した報告書となると考えられる。また、情報量が多いことは評価できるが、ページ当たりの情報量が多すぎるため読みづらくなっていることが少し残念である。

  

 

キヤノン株式会社キヤノン サステナビリティ報告書2004

2年目を迎えたサステナビリティ報告書では、関係するステークホルダーに「地球環境」を加え(!)、読者層を意識した報告書となっている。さらにその主要な部分を占める投資家と消費者との意思疎通の状況を報告していることで報告書を充実したものにしている。

環境負荷の全体像を示し、その低減努力を報告することは読者の理解を得るために欠かせない。その基礎となるものは生涯環境負荷である。キヤノンが国際物流を含む全情報を開示したことは、情報開示の質の高さの一端を示すもので、読者による主要な活動情報の網羅性評価を助けるものとなっている。

持続性社会の実現努力が適切であるかどうかを理解するためには、環境は勿論のこと、経済(財務)面、社会面での主要なパフォーマンスの結果情報が必要である。この点で、キヤノンの報告書は一瞥把握可能な形で開示していて理解を容易にしている優れた報告書である。

 

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生活協同組合コープながの環境報告書2004

従来の生協の報告書から一歩抜け出したものであり、なおかつ生協の報告書らしい地味で手づくり感のある報告書である。シロウトっぽい作りながら、「情報を受ける立場にたった情報発信」の姿勢がみられ、読みやすくする工夫が感じられる。トップのコミットメントは長くはないが、社会情勢の認識を含め幅広い問題意識がうかがえる。環境配慮についての具体的な説明を載せたり、組合員を巻き込んだ活動紹介は組合員への情報発信という面でわかりやすい。さらに、事業所マップなどを載せたり、組合員の声を吸い上げる仕組みを紹介したり、外部の人間が見ても十分に活動内容が理解できる。さらに、インプットアウトプットデータも開示しており、パフォーマンスデータの開示も充実している。

 

 

サントリー株式会社サントリーEcoshipレポート2004(冊子版)」「サントリーサステナビリティレポート2004(web版)

同業他社に比べ、レポートのデータは多くないが、その代わりWebの開示が素晴らしい。紙とWebの併用はどこでも行っているが、これを有機的に結びつけるのに各社は苦労している。その意味でガイドライン対照表などは、膨大なデータを検索するのに非常に効果的だった。また、FAQも詳細に載っていて使い勝手が良い。レポートはWebで網羅している環境・サステナビリティディスクロージャーの一部分と考えることもできる。レポートの中では企業の取り組みの根幹となる、経営者のコミットメント、目標管理の記載が充実している。

  

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積水ハウス株式会社 環境報告書「ECO WORKS 2004

「住まいが変われば社会が変わる」という言葉に代表されるトップコミットメントは、メッセージ性があり、事業活動を踏まえた取り組みの方向性が明確にされている。持続可能な社会へのビジョンも明確である。

全体の構成も、読み手を意識したものとなっており、ハイライト記載と具体的なデータを踏まえた記載とがうまく使い分けられている。環境パフォーマンスは各セクションで提示されており評価できる。

住宅のライフサイクル分析のデータなども盛り込まれているが、住宅事業を中心にした報告であり、その他の事業分野の報告が弱いことが難点。企業全体における住宅分野の割合や、自社事業全体に対する報告の充実が望まれる。また、マイナス情報については、土壌汚染の調査結果の報告のみであり、網羅的・積極的な記載が望まれる。

 

 

ソニーイーエムシーエス株式会社 木更津テック社会・環境報告書2004

企業全体の中における事業所としての方針、ビジョンがしっかりしており、それに基づく取り組みについて、情報量が豊富で網羅性も高い報告となっている。情報量が多い割には、フロー図、表、イラスト、写真、平易な言葉を用いて、丁寧にわかりやすい記載となっており、環境設計、製品のアフターサービス、サプライチェーン等の取り組みは、担当者の顔写真入りで親しみのわく内容となっている。また、サイトレポートとして重要な地域住民を意識した視点で、各工場の詳細データ、リスクマップ等のリスクマネジメントに関する情報も豊富である。

 

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大成建設株式会社大成建設 環境・社会報告書2004

部門ごとで紙面を構成し、それぞれの特徴的取り組みを記載しているのは、会社の活動が理解しやすく、読みやすい構成として評価できる。トップの環境負荷の認識、コミットメントも明確に述べられている。また、マイナス情報が短いながらもまとめられてわかりやすく報告されている。

 しかし、反面、環境側面に加えて社会的側面も新たに加えたことなど、報告書に盛り込まれた情報の範囲が広がったこともあってか、部門別のところは少々断片的な取り組み紹介と感じられるかもしれない。パフォーマンスの定量化は全社レベルであるが、分析結果についての報告を加えるなどして、全体と部門とのつながりを量的に見えやすくする工夫の余地がある。報告対象範囲は単体情報が中心であるが、今後はグループ全体に広げてもらいたい。

 

 

トヨタ自動車株式会社Environmental & Social Report 2004

豊富なデータ・情報量は言うまでもなく、環境への取り組みに関しても「目標」「活動結果」「次年度方針」がきちんと記載されている。細かいデータの記載はないが、連結対象も594社と非常に広く、企業として環境へ積極的に取り組む姿勢が感じられる。色使い、図使いが上手く、また、リンク先が記載されているため、文字量が多いことによる読みにくさがカバーされている。社会面に関する記載を充分確保しつつも、環境面に関する記載が詳細・網羅的になされており、「環境報告書」らしい環境報告書である。難を言えば、総合的に完成されている分、訴求性に欠ける感があると言えるかも知れない。

  

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日産自動車株式会社サステナビリティレポート2004」「環境報告書2004

同社の報告書は「環境報告書2004」および「サステナビリティレポート2004」を中心に、これを補完するものとしてアニュアルレポート、ファクトファイル、コーポレート・シチズンシップ・アクティビティの3レポートが加わり、豪華な5部構成となっており、正に力作といえる。

「環境報告書2004」はグローバルな視点と未来志向を兼ね備えたストーリー性豊かな報告書となっており、大変読み易い。特に「日産の視点」からみた地球環境問題に対する3つの重点課題、(地球温暖化・大気/水質/土壌の保全・資源問題)を絞り、その対応をまとめ上げており、ステークホルダーに対してのアピール度も高い。

 

 

富士写真フイルム株式会社富士フイルム 社会・環境レポート2004

本報告書では、グループ全体のCSR体制における取り組みの徹底化とその結果が詳細に示されている。それは、サステナビリティ会計によるCSR指向を強調した情報開示や、モノづくりへの環境配慮や環境パフォーマンスといった環境面と労働環境や従業員教育といった社会面の結果を、図表や文章を多用して説明していることから判断できる。このように、本報告書は、各ページの説明が非常に詳細であるために、情報の深さ、網羅性という点からは高く評価できる。しかし、そのことがかえって字数や総ページ数を多くし、また字が小さく読みにくくなっている。今後は、この二律背反にどう対応するか工夫を凝らしてもらいたい。

  

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松下電器産業株式会社 「The Panasonic Report for Sustainability 2004 松下電器グループ・環境経営報告書2004

タイトルを“The Panasonic Report for Sustainability 2004”と改称し、内容も環境経営および持続可能社会へ向けたビジョンと取り組みを報告するものとなっている。前半32頁まではわかりやすく活動内容を伝えるハイライトとなっており、写真や図を多く取り入れることによって理解容易性を高めている。

環境報告では内容の充実を維持しつつ、Q&A形式にすることによって読みやすく、より具体的な解説をしている。またネガティブ情報としてCO2排出量増加、PCB廃棄物問題、土壌汚染、品質問題も記載している。

社会性報告では、各テーマの開示項目を拡大し、より充実させている。特にユニバーサルデザインに企業の社会的責任を見出している点がユニークである。

最後に国際NGOナチュラル・ステップによる持続可能性分析結果を3年間の進展度で報告することによって信頼性を高めている。

 

 

株式会社リコー「リコーグループ サステナビリティ・レポート2004」 (環境経営報告書社会的責任経営報告書アニュアル・レポート

 リコーが目指すところの企業と地球環境との関係に対するビジョン(コメットサークルなど)が、グループ全体を通じて浸透してきていることが、データや事例の充実によって裏付けられている。また、環境経営や情報開示に対して、環境経営当初からの持続可能な発展と企業経営とを融合させるという変わらない姿勢が、経営者からのメッセージから見て取れ、パフォーマンスの改善や高いパフォーマンスの維持という結果に繋がっていることがわかる。

 加えて、2004年報告書では中国でのグリーン調達やRoHS対応など、事業形態やサプライチェーンの観点からリコーグループが取り組まなければならない課題についても認識があり、トピックス扱いで情報開示されているところが評価されよう。

  

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株式会社リコー 福井事業所2004年度 リコー福井事業所 環境報告書」「2004年度 リコー福井事業所 環境報告書 ダイジェスト版

 サイトレポートとして、読み手を近隣住民にフォーカスした点が、読みやすさとわかり易さにつながっている。企業発行の報告書の目的と異なる、サイトレポートとしての役割、方向性の検討がしっかりなされていると感じる。以前より優秀なサイトレポートとして手本となるすばらしいレポートであったが、年々より良いレポートになっている。情報量は増えているのだが、図示とトピック記事が読み手の理解を助けている。ただダイジェスト版はトピック記事がなく、情報の羅列になっていてわかりにくい。

 サイトの取り組み記載の充実度に比べると、商品設計や環境会計、サプライチェーンといった全社的、対外的な取り組みの記載の充実が望まれる。

 

 

持続可能性報告優秀賞(地球・人間環境フォーラム理事長賞)

アサヒビール株式会社アサヒビールグループ CSRレポート2004

データも詳細に収集してあり、それぞれ取り組みの記述もわかりやすい。ただ、読み手によってはパフォーマンスと記載が分かれていると把握しにくいと感じるかもしれない。記載部分にもっと数値データを利用したほうが記載内容がわかりやすかったのではないだろうか。およそ考えられる記載項目は網羅しているが、図と数字をリンクさせた項目を充実させればなお読みやすい。折込みで入っているチャートは工夫されており、全社的な取り組みが良くわかる。年表も興味深く読ませていただいた。アルコール各社に言えることだが、社会責任に関し、アルコール依存症や未成年の飲酒といった負の部分についての取り組み記述も充実していってもらいたい。

 

 

サントリー株式会社サントリーEcoshipレポート2004(冊子版)」「サントリーサステナビリティレポート2004(web版)

前出同業他社に比べ、レポートのデータが不足しているが、その代わりWebの開示が素晴らしい。ガイドライン対照表などは、膨大なデータを検索するのに非常に効果的だった。また、FAQも詳細に載っていて使い勝手が良い。

レポートの中では企業の取り組みの根幹となる、経営者のコミットメント、目標管理の記載が充実している。また、従業員についての記載が豊富で、単に働きやすさや安全のみならず、意欲を発揮できる職場作りに注力した取組みが開示されている。今後とも、サントリーの持つ無形資産の可視化に向け、様々な工夫にチャレンジしてもらいたい。

酒類の売り上げは5割以下ではあるが、アルコール企業というイメージは強い。アルコール各社にいえることだが、社会責任に関し、アルコール依存症や未成年の飲酒といった負の部分についての取り組み記述も充実していってもらいたい。

  

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ソニー株式会社CSRレポート2004

 世界各国・地域の具体的な取り組みも紹介があり、ネガティブな情報も含めて開示され、まさに先進的な多国籍企業の「CSR報告書」という感じである。

 日本では、まだ情報開示が困難な分野と思われる社会性の部分についての情報開示が充実し、ステークホルダー別の記載になっているので、たいへん読みやすくなっている。また、CSR報告書であっても、環境側面もデータは充実している。データ集計方法や考え方、サイト別データも掲載され、環境報告書としても、とても優れている。

 

 

日産自動車株式会社サステナビリティレポート2004」「環境報告書2004

同社の報告書は「環境報告書2004」および「サステナビリティレポート2004」を中心に、これを補完するものとしてアニュアルレポート、ファクトファイル、コーポレート・シチズンシップ・アクティビティの3レポートが加わり、豪華な5部構成となっており、正に力作といえる。

「サステナビリティレポート2004」では日産のコーポレートガバナンスの基本的考え方を展開しており、幅広いステークホルダーとのコラボレーション、および将来を見据えた企業の在り方には感動を覚える。更にその中で、地球環境に関する上記の3つの重点課題に対しても、自然と産業の調和を目指す日産の技術指向がよく読み取れる内容となっている。

  

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富士ゼロックス株式会社「Sustainability Report 2004

情報の種類で冊子とインターネットとでわけて開示しているので、若干読みづらいが、冊子のほうはトップのコミットメントとドキュメントカンパニーという企業理念を紹介する媒体としてわかりやすい。インターネットのデータ編では、社会性の項目が幅広く開示され、充実している。特に労務人事関係のデータが豊富なのは参考になる。また商品の発火事故に関してまとめた緊急時対応の事例もわかりやすい。

 

 

株式会社リコー「リコーグループ サステナビリティ・レポート2004」 (環境経営報告書社会的責任経営報告書アニュアル・レポート

本年は、同社の社会的責任に関する活動の報告は、社会的責任経営報告書として環境経営報告書とは別立てで発行されたことは注目に値すべきことであろう。「環境」「社会」「経済」にそれぞれ重点をおいた報告書「環境経営報告書」「社会的責任経営報告書」「アニュアル・レポート」にてバランスのとれたコミュニケーションを行なおうとする姿勢が読み取れる。

本報告書では、社会的取り組みと環境への取り組みに関して、詳細なデータを開示するのではなく、CSR経営を継続的に発展させるためのマネジメントシステムに関する情報を中心に充実した記載がなされている。

また、環境経営でも、社会的責任経営においても、経営者緒言において全員参加が謳われている。社会的責任経営への経営者の信念とマネジメントシステムに関する充実した情報開示から、読者に対して今後のCSR経営のリーディングカンパニーとして大いに期待を持たせる報告書である。

多くの企業が関心を寄せているCSRであるが、自社のCSRとは何か、の定義を自らの信念に基づいて決定し、実行している企業はまだ数少ない。その中で、自社のCSRに対する信念に基づいて社会的責任のフレームワークをつくり、実行しているところに好感を持つ。

  

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奨励賞

株式会社ウッドワンウッドワン環境レポート2004

初めての環境報告書としては、コンパクトながら、製品、事業活動における取り組みの情報を明瞭な言葉でわかりやすく整理しており、非常に好感が持てる。また、今後の報告の方針(範囲の拡大)も明確に示されている。事業の主題については詳しく説明されていて、特性やポイントがわかりやすい。

製品の環境配慮についてもエコ製品の紹介がされている。

 

 

株式会社資生堂資生堂CSRレポート2004 ―人と社会と 美しさのために―

CSRレポートという名称を冠している通り、THE SHISEIDO CODE、CSR推進体制、CSR領域概念図、8年目を迎えた企業倫理委員会でのPDCAサイクルの取り組み、そして男女共同参画活動等は、他社の見本となる先進的なCSR取り組み事例である。しかしながら、環境の保全全般に関しては、記載情報量の更なる充実を図り、可能な限り環境パフォーマンス・データを示し、かつ経年変化も把握できるよう検討願いたい。また環境方針(グローバル・エコスタンダード)、目的目標、実績のつながりが把握できる一覧表の記載も検討願いたい。

  

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全日本空輸株式会社「環境報告書〜Sustainability for Society〜 2004年度版

 冊子は二色刷りの簡素なものであるが、内容は航空会社と環境の関わりについて厳選されており、日本の航空会社として初めて環境報告書を発行して以来、今年で12年目となる継続性と誠実さが読み取れる報告書となっている。

 報告書の特徴としては、航空運送の企業として取り組むべき内容を章ごとに区分して取り上げ、環境問題の一般論と企業の姿勢とをリンクさせている。また各章の始めに〈ANAの約束と成果〉を記載すると共に、昨年度策定した5カ年計画「ANAグループエコロジープラン2003−2007」の初年度実績を公表しており、企業として果たすべき責任と課題を明確に示している点が評価できる。

 また国際環境絵本コンクールや植林活動(10年計画)を実施するなど、社会貢献とコミュニケーションに対する努力が読み取れる。

さらに今後環境マネジメントシステムに関わる内容として、内部監査の基準や内容、緊急事対応等の記載があるとより充実すると思われる。

 

 

三重県平成16年版三重県環境報告書

県民向けと職員向けの2分冊になっており、県民向けはわかりやすさを考慮したためか、ページ数も少なく、内容も概要版的な要素が強く、代表的な取り組みについて写真を多用するなど読みやすい反面、データ・情報に乏しく、網羅性に欠けるところがある。職員向けは、三重県の環境行政について体系的に説明した上で、データ等もより詳細なものを記載しており、環境基本計画の進捗状況も達成率を用いて報告されている。全体として、従来の行政が発行する報告書に比べデータは少ないかもしれませんが、ポイントを押さえコンパクトにまとめられており、読みやすく構成されています。また、平成15年8月のRDF貯槽における爆発事故についての報告もなされています。初応募としては、まとまりのあるものとなっています。

  

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株式会社三越三越環境レポート 2004年

グリーン商品の販売、環境に配慮したライフスタイル提案のイベント特集などが充実しており、消費者を中心とするステークホルダーとのコミュニケーションが進んでいることがうかがえる。環境情報については、店舗の省エネや廃棄物減についても記載があり、さらにサイト別データも細かく報告され、たいへん充実している。

 

 

ユニ・チャーム株式会社CSR報告書2004

 ビジョンや体制を説明した上で、比較可能性を考慮した形でのパフォーマンス情報の開示に努めている点で高く評価される報告書である。ページ当たりの情報量が比較的多い割に、見やすく、すっきりしたデザインで、コラムなどを読ませる工夫も見られる。タイトルもCSR報告書であり、環境情報の開示という点では相対的に不足している部分もあるが、全ライフサイクルでの環境負荷および取り組みの情報開示という点では比較的優れている。