スクリーニングについて

 

2000年10月6日

大村 卓

 

注)以下の文章では、JBICの環境ガイドラインのうち、国際金融業務に係るガイドラインを旧輸銀ガイドライン、海外経済協力業務に係るガイドラインを旧OECFガイドラインと称している

 

 

1.1 スクリーニングとは、特定の行為について、環境配慮の手続の対象とするかどうか、また、どのような手続を適用するかを決定する方法と考えられる。

 

1.2 通常、環境配慮手続の詳細さを想定し、行為(開発事業等)の懸念される環境影響の程度に応じて、3分類程度に分類される。

 

 A:環境への重大な影響が懸念され、詳細な環境配慮を必要とする場合

 B:環境への影響は懸念されるが、詳細な環境配慮までは必要と考えられない場合

 C:環境への影響は無いか軽微であると予見され、環境配慮は必要とされない場合

 

1.3 このような分類では、Aの場合に「環境アセスメント」の実施を求め、Bの場合には、「環境アセスメント」まではいかないものの環境に関する調査・検討がなされることとするなど、その後の審査や案件監理等の手続を規定するとともに、借入人がなすべき環境配慮手続を示す分類となることが重要であり、一般的である。

 

  旧輸銀ガイドラインでは、カテゴリ分類は、融資機関側の確認作業の程度を示すことが主眼となっており、借入人が行うべき環境配慮が明確になっていない(カテゴリAで、環境アセスメントの実施を求めているかどうか曖昧である)

 

  環境アセスメントは、環境への影響が懸念される場合において、十分な環境配慮の実施を確保する保証することを目的として発展し、普及してきた手続であり、カテゴリAに相当する

 

1.4 また、環境影響の大きさとは別に、融資機関の関与の度合いが低い場合や、先進国を対象として行う場合は、手続を軽微にする考え方もある。

 

 例えば、旧輸銀、米輸銀のガイドラインでは、先進国で行われるプロジェクト、融資機関の関与が小さいまたは規模が小さいプロジェクトは、環境配慮の対象としないこととなっている。(ただし、旧輸銀のガイドラインでは、関与が小さいものでもカテゴリAに相当する場合は、カテゴリAとして扱うこととなっている)

 

 先進国で事業等が行われる場合は、先進国では既に環境アセスメント制度等の環境配慮メカニズムが十分機能しており、融資機関の確認は軽微でよいとの前提に立っていると考えられる。

 

 関与が小さい場合とは、旧輸銀GLは、「総プロジェクトコストに占める融資額が5%未満、あるいは融資額が1000万米ドル未満」、米輸銀では「1000万ドル以下かつ返済期間が7年以下」としている。

 

  なお、いずれの機関も、このような場合でも実際の影響が大きいなどの理由があれば、カテゴリを変更し、環境配慮の対象とするとしている。(なお、米輸銀の場合は、カテゴリ変更の責任者を明確(副総裁、環境技術局)にしている)

 

2. スクリーニングの手法

 

2.1 ある案件の環境影響の程度は、個々の事案により様々であることから、分類を特定するには、個々の事案を検討することにより行われる。

  なお、各国の環境影響評価制度では、我が国のよう制度のように、事業の種類・規模のクライテリアにより環境影響評価制度の適用の有無を予め規定しておく方法を採用している国もあるが、多種多様な国への支援を行う援助機関等では、このような方式はとられていない。

 

2.2 スクリーニングで個々の事案を検討するに際しては、以下のような考え方があり、通常、これらを組み合わせて規定している。

 

 a)事業等が行われる地域及びその周辺地域(影響が及ぶと考えられる地域)の環境特性(脆弱な環境かどうか)

 b)事業等が環境に大きな負荷を及ぼす特性をもっているかどうか(事業特性)

 c)事業等が大規模であるか、特定の種類であるか(ある程度の影響が予見される)

 d)定型的な対策では対応が困難であるあるようなものかどうか

 e)既存事例から判断できないような複雑さをもったものであるかどうか

 

2.3 地域環境特性

 

 a)の脆弱な環境としては、OECD勧告の付属書には、表1のような例示があり、旧OECFのガイドラインにもほぼ取り入れられている(湿地が除かれているなど細部が異なる)

 旧輸銀のカテゴリAにも脆弱な地域として、OECD勧告の例示の一部及び国の自然保護関係指定地等を掲げている。

 これらの脆弱な地域については、単にその土地の改変のみならず、大気・水等を通じた遠隔影響も考慮に入れるのが通常であり、脆弱地域に立地する場合に限ってカテゴリAとする旧輸銀ガイドラインは異質のように思われる。

 

2.4 事業特性

 

 OECD勧告では、環境影響の明確な記述が必要なプロジェクトを表2のように例示している。

 旧OECFガイドラインでは、特定の種類の事業で大規模なものあるいは、以下のような性格を有するものをAカテゴリとしている。(ただし、あくまで例示であり、個別の検討が必要としている)

 

    @広範囲、多様かつ負荷逆な環境影響を生じるもの

  A多くの住民に影響が及ぶもの

  B再生可能な自然資源を大量に消費するもの

  C土地利用あるいは社会的、物理的、生態的環境の著しい変化が発生する原因となるもの

  D大量の有害廃棄物の発生あるいは処理を伴うもの

 

 世銀やIFCでは、資料1、資料2のように、影響の性質でカテゴリを分けるとしているほか、旧OECFガイドラインと同様に、各カテゴリ毎に典型事業を例示しているが、あくまで例示であり個別の検討が必要としている。なお、世銀とIFCがそれぞれ示している事例の分類は必ずしも同じではない。

 

  旧輸銀ガイドラインでは、カテゴリBに相当するセクター(事業分類)が列挙されており、事業特性の扱いは、カテゴリBを示すために用いられていると思われる。

 

2.4 その他の考え方

 

 先例がない、影響が複雑・広範囲、対策の検討が困難などは、詳細な検討が必要かどうかを決める際に重要な事項となろう。

 

3. スクリーニングの手続

 

3.1 スクリーニングに必要な情報

 

 スクリーニングは、個別の環境影響についての情報が必要で、設計諸元だけでは決められない。このため、スクリーニングに際して必要な情報を実施者から求めることが必要であり、これをガイドラインで示すことが重要である。

 

 旧輸銀ガイドラインや米輸銀(資料3)では、スクリーニングフォームを定め、カテゴリ分類に必要な最小限の情報の提出を求めている。

 世銀では、タスクチームが環境ユニットと協議して潜在的影響の性質と程度を調査し、環境データシートを作成することとなっている。

 また、世銀では、ダム案件などでは早期に環境予備調査を行うことを求め、その結果を環境審査(スクリーニングを含むと解される)に活かすとしている。

 旧OECFガイドラインでは、必要とされる情報は明確ではない。

 

3.2 スクリーニングの時期

 

 スクリーニングは、融資機関の手続の分類を決めるものであるから、基本的に借入人からの情報提供があって開始されるものである。しかし、分類によって借入人に求められる環境配慮が大きく異なるので、借入人にとって早期にスクリーニングの結果を見越して準備できることが望ましい。これがひいては、環境配慮の早期着手につながり、十分な調査、代替案の検討に係る柔軟性、十分な関係者との協議等を確保できる基礎となる。

 

 世銀の場合は、案件構想書類の作成段階あるいはそれ以前に定めることとなっており、その後、「必要に応じて、環境アセスメントのTOR(仕様書)作成を世銀が支援する」とあることからも、ごく初期にスクリーニングすることを想定している。これは、世銀が援助機関であり、早期段階から案件に関与できることが背景にあろう。

 

 IFCの場合は、F/S等が終了した段階での案件持ち込みが想定されており、分類はプロジェクトデータシート早期審査の一環として行われる。

 

 旧OECFについてはガイドライン上は明確ではないが、年次協議などの機会を通じ早期に案件を把握した段階で行い、借入人に伝えることが望ましいと考えられる。

 

4.  その他の視点

 

4.1 融資対象としない案件(エクスクルージョンリスト)

 

 旧OECFガイドラインでは、「プロジェクトは原則として、相手国の国内法等で指定された自然保護区等の外で実施しなければならない」としており、このような自然保護区内で行われる事業は原則融資しないことと明定されている。

 

 米輸銀では、特定のフロンや禁止農薬を明示しなどこれに対する融資を禁じている。

 OPICでは、いくつかの禁止カテゴリを明示している。それには、熱帯林でのインフラや採鉱、自然生態系等に重大で非可逆的な影響を与える大規模ダム、廃止が決まっているオゾン層破壊物質、POPなどの有害化学物質の商業生産、移住が5000人を超える案件、世界遺産地域、国立公園等に影響の及ぶプロジェクト等が示されている。

 

 これらは、機関の取り組みを知らせることに役立つと思われる。一方、廃止される農薬など言わずもがなの部分もあり、必要な範囲を絞るほうがよいのではないか。

 

4.2 FIカテゴリー

 

 世界銀行のガイドラインの改訂やIFCのガイドラインでは、金融仲介者(FI)のためのカテゴリが設けられた。

 金融仲介者を介する融資(ツーステップローン等)では、融資機関が融資をする時点では、実施される事業が分かっていないので具体的なABCの分類は困難である。このため、金融仲介者が実際に融資審査をする際に、融資機関(世銀等)に成り代わって、そのガイドラインに従い環境配慮を確認することが求められる。

 FIカテゴリはこのために設けられ、融資機関は金融仲介者の環境配慮の確認能力等を審査・確認することとなる。

 

5.ガイドライン統合にあたっての論点

 

 以下のような点が考えられる。

 

5.1 スクリーニングの考え方や基準は統一すべきではないか

 

 ・事業の環境への影響の程度は、融資機関の業務形態に限らず同じはずであるから、基準が異なるのは不自然。

 ・実際の業務面でも混乱が生じるのではないか

 

5.2 統合されたスクリーニング基準では、詳細な環境配慮が必要なカテゴリには、環境アセスメントを借入人に求めることを明示すべきではないか

 

5.3 カテゴリFIに相当するものを導入すべきではないか

 

5.4 スクリーニングに際して必要な情報が分かるような仕組みを海外経済協力業務においても考えるべきではないか。

 

5.5 各業務の形態に応じて、スクリーニングを早期に行えるよう、借入人に対する協議や支援を明記すべきではないか

 

5.6 スクリーニングの銀行内での内部手続を明確化すべきでないか

 

  (スクリーニングのみならず、むしろガイドライン全般に関わる課題と思われる)

 


資料1:世界銀行のスクリーニング書類

環境審査

 

8.    世界銀行は、各提出案件について環境審査を実施し、その案件に適切なEAの種類、並びに範囲を定める。案件は、その種別、位置、微妙さ、および案件が環境へ与えうる影響の性質・程度によって、4つのカテゴリーに分類される。

 

a)カテゴリーA:案件が環境に著しく悪影響を与え、その影響が微妙であったり、多岐にわたっていたり、先例が示されていないと考えられる場合、その案件は、カテゴリーAに分類される。影響は、物理的に作業が行われる施設または現場よりも広範囲に及ぶ可能性がある。カテゴリーA案件のEAは、案件が環境に与え得る好・悪両影響を調査し、それらを有効代替案(「案件を実施しない場合」を含む)が与えうる影響と比較し、悪影響を回避、最小化、緩和、もしくは補償し、案件の環境に対する性能を向上するために必要とされるあらゆる方策を勧告する。カテゴリーA案件に関する報告書は、借入人が責任を持って作成する。報告書は一般的に「環境影響評価報告書(EIA)」(もしくは、適切に包括された地域的EAまたはセクターEA)の形式をとり、必要に応じて、そこへ第7パラグラフで挙げた他文書の要素が組み込まれる。

b)カテゴリーB:案件が人類または環境面から重要とされる地域―湿地、森林、牧草地および他の自然生息地を含む―へ与え得る悪影響が、カテゴリーA案件より小さいと考えられる場合、その案件は、カテゴリーBに分類される。影響は、現場に特定されたもので、不可逆であると認められるものはほとんどなく、またほとんどの場合において、緩和策がカテゴリーA案件の場合に比べてたやすく考案される。カテゴリーB案件のEAの範囲は、案件によって差異があるものの、カテゴリーA案件のEAより狭い。カテゴリーB案件のEAは、カテゴリーA EAと同様、案件が環境へ与えうる好・悪両影響を調査し、悪影響を回避、最小化、緩和、または補償し、環境に対する性能を向上させるために必要なあらゆる方策を勧告する。カテゴリーB EAの調査結果は、案件書類(「案件審査書類(PAD)」および「案件情報書類(PID)」)に記述される。

c) カテゴリーC:案件の環境への悪影響が最小限もしくは全く存在しないと考えられる場合、その案件は、カテゴリーCに分類される。カテゴリーC案件については、環境審査以上のEA行動は必要とされない。

d)カテゴリーFI:案件への世界銀行による融資が、金融仲介者を通してサブプロジェクトに対して行われ、そのサブプロジェクトが環境に悪影響を及ぼす可能性がある場合、その案件は、カテゴリーFIに分類される。

 


GP 4.01 Annex B

 

模範例声明(GPs)は勧告的性格を持つものである。このGPには世界銀行職員が世界銀行の政策や手順を実行する際に有益な情報が含まれている。主題の完全な扱いとは限らない。

 

 

案件の種類と典型的環境分類

 

世界銀行および国々の実績によると、ある特定セクターの案件または特定種の案件に対する最適な環境分類は、通常下記の通りである。しかし、これらはあくまでも例として挙げられたのみで、実際に環境アセスメントの範囲、延いては環境分類を決定するのは、セクターではなく影響の範囲である。

 

カテゴリーA案件/項目

 

(a)    ダムおよび貯水池。

(b)    林業生産案件。

(c)     工場施設(大規模)および工場用地。大規模な拡張、復興、改造も含む。

(d)    灌漑、排水、および治水(大規模)。

(e)     水産および海産業(大規模)。

(f)     土地の開拓および整地。

(g)    鉱物開発。(石油およびガスを含む。)

(h)    港湾開発。

(i)      埋め立ておよび新規土地開発。

(j)      移住。

(k)    河川流域開発。

(l)      火力および水力発電開発または拡張。

(m)   殺虫剤その他有害性/毒性物質の生産・輸送・使用。

(n)    幹線道路・農村部道路の新規建設または大規模な改良。

(o)     有害廃棄物の管理と廃棄。

 

カテゴリーB案件/項目

 

(a)    農産工業(小規模)。

(b)    送電。

(c)     灌漑および排水(小規模)。

(d)    再生可能エネルギー(水力発電ダムは除く)。

(e)     農村部の電化。

(f)     観光。

(g)    農村部の上水道および衛生。

(h)    流域案件(管理または復興)。

(i)      保護地域と生態系の保全。

(j)      幹線道路・農村部道路の維持・再建。

(k)    既存工業施設の再建・修復(小規模)。

(l)      エネルギー効率および省エネルギー。

 

カテゴリーC案件/項目

 

(a)    教育。

(b)    家族計画。

(c)     健康。

(d)    栄養。

(e)     制度開発。

(f)     ほとんどの人事案件。


資料2:IFCのスクリーニング手続き

Project Screening

22. The purpose of project screening is to decide on the nature and extent of the environmental assessment needed for the project. Projects are categorized by the Environment Division into environmental review category A, B, C, or FI in accordance with IFC’s OP 4.01, Environmental Assessment . The classification of a project depends on the type, location,4 sensitivity,5 and scale of the project,6 as well as the nature and magnitude of its potential impacts. IFC uses four categories for its projects. They are defined as follows:

23. Annex B contains additional procedural requirements on project categorization, while Annex C further specifies the appropriate Environmental Assessment (EA) tools. Annexes D and E contain procedural requirements related to EA for large dams and reservoirs and EA for projects involving pest management, respectively. Due to the variety of FI projects encountered and the complexity of many of these projects, detailed procedural requirements for categorizing FI projects and assessing their requirements are set forth in Annex F . Contents of a resettlement plan are specified in Annex A to OP 4.12, Involuntary Resettlement. A Glossary of Terms is presented at the end of the Annexes.

24. A number of Guidance Notes are provided to assist IFC staff and project sponsors during the EA process. Guidance Note A provides a checklist that can be used to identify potential issues during preparation of an EIA. Guidance Notes B, C and D provide outlines of an EIA for a Category A project, an Environmental Action Plan (EAP), and an environmental audit, respectively. Guidance Note E provides an outline of a project specific major hazard assessment. Finally, Guidance Note F contains best practice guidance for preparation of a Public Consultation and Disclosure Plan (PCDP). The requirements for a Resettlement Plan are contained in an Annex in OP 4.12, Involuntary Resettlement.


Annex B

 

A proposed project is classified as Category A if it is likely to have significant adverse environmental impacts  that are sensitive,1 diverse or unprecedented. These projects may affect an area broader than the sites or facilities subject to physical works. Environmental Assessment (EA) for a Category A project examines the project's potential positive and negative impacts, compares them with those of feasible alternatives (including the "without project" scenario), and recommends any measures needed to prevent, minimize, mitigate, or compensate for adverse impacts and improve performance. A full environmental assessment is required which is normally an Environmental Impact Assessment (EIA). Although decisions on categorization are made on a case-by-case basis, examples of Category A projects are:

Category B Projects

 

A proposed project is classified as Category B if its potential adverse environmental impacts on human populations or environmentally important areas - including  wetlands, forests, grasslands, and other natural habitats - are less adverse than those of Category A projects. These impacts are site-specific; few if any of them are irreversible; and in most cases mitigatory measures  can be designed more readily than for Category A projects. The scope of EA for a Category B project may vary from project to project, but it is narrower than that of an EA for Category A projects. Like Category A EA, it  examines the project's potential positive and negative impacts and recommends any measures needed to prevent, minimize, mitigate, or compensate for adverse impacts and improve environmental performance. A wide range of  environmental guidelines have been developed by local or country authorities, as well as by a number of organizations, including the World Bank Group (e.g., Pollution Prevention and Abatement Handbook, Occupational  Health and Safety Guidelines). In addition, specific environmental design criteria can be developed for individual projects. Examples of Category B projects are:

Category C Projects

A proposed project is classified as Category C if it is likely to have minimal or no adverse environmental impacts. Beyond screening, no further EA action is  required for a Category C project. Examples of Category C projects are:

Category FI Projects

A proposed project is classified as Category FI if it involves investment of IFC funds through a financial intermediary in subprojects that may result in adverse  environmental impacts. In addition, in some financial markets projects, IFC funds are not targeted to specific subprojects, but the financial institution has operations which may have adverse environmental impacts (e.g.  project finance). In such cases IFC may also classify the project as Category FI.

Due to the variety of FI projects encountered and the complexity of many of these projects, Annex F has been prepared  which describes in detail the procedures which IFC has developed for categorizing FI projects and assessing their requirements. Examples of Category FI projects are:

________________

1. A potential impact is considered "sensitive" if it may be  irreversible (e.g., lead to loss of a major natural habitat), affect vulnerable groups of ethnic minorities, involve involuntary displacement and resettlement, or affect significant cultural heritage sites.

 

 

資料3:米国輸銀の環境スクリーニング書類(http://www.exim.gov/envscrn.html

資料4:JBIC海外経済協力業務の環境ガイドライン(http://www.jbic.go.jp/japanese/environ/intro/oec.html

資料5:JBIC国際金融等業務の環境ガイドライン(http://www.jbic.go.jp/japanese/environ/guide/index.html


資料6:開発援助プロジェクト及びプログラムに係る環境アセスメントに関するOECD理事会勧告

 

開発援助プロジェクト及びプログラムに係る環境アセスメントに関する

0ECD理事会勧告(仮訳)

 

1985年6月20日採択

理事会は、

1960年12月14日のOECD条約第5条(b)に鑑み、

 

1979年5月8日の環境に著しい影響を及ぼすプロジェクトの環境アセスメントに関する理事会勧告に鑑み、

1979年5月8日の環境大臣会合で採択された「子見的環境政策に関する宣言」に鑑み、

特に、その第1項及び第10項において、OECD加盟国政府及びユーゴスラビア政府が、「著しい環境影響を伴いそうなあらゆる経済社会部門の意志決定の早期の段階において、環境への配慮が組み込まれることを確保するよう努める」旨及び「環境悪化の防止を支援するために、すべての国、特に開発途上国と最大限可能な限り協力を継続する」旨を宣言したことを想起し、

多くの加盟国及び非加盟国において、各国内におけるプロジェクトの環境影響評価については既に多年にわたる経験が積み重ねられていることを考慮し、

環境問題を扱う際の共通の原則を加盟国が採択し、開発途上国における環境アセスメントの利用を支持、支援する必要があることを念頭に置き、

 

開発途上国は自らの環境を管理する責任を有するものの、加盟国の援助機関は必要に応じ環境アセスメシトを実施すべきであり、また、その際には被援助国政府の積極的参加を求めるべきであることを認識し、

開発援助委員会(DAC)の支持を受けての環境委員会の提案に基づき、

I.加盟国政府に対し以下のことを確保するよう勧告する。

(a)その性格、規模及び立地場所のために環境に著しい影響を及ぼす可能性のある開発援助プロジェクト及びプログラムについては、可能な限り早い段賭において適切な程度に、環境の観点からアセスメントが行われること。

(b)個々の具体的な開発援助プロジェクト又はプログラムを詳細な環境アセスメントの対象とするか否かの判断に際し、加盟国の援助機関は、被援助国の固有の法制度や社会経済情勢、環境条件を顧慮しつつ、附属書に示されたプロジェクト及びプログラムについて特に注意を払うこと。

(c)危険な物質や工程が合まれる場合、加盟国政府自身及び加盟国の企業が関与するプロジェクトには最善の防止・保護技術及び最善の製造工程が導入されることを促進するための方策も引き続き検討すること。

 

II.環境委員会に対し以下を指示する。

 

加盟国の援助機関の実際の経験に照し、また、開発援助委員会(DAC)との協力の下に、開発援助プロジェクト及びプログラムの環境影響の評価の実施を促進するとともに、ある種の援助プロジェクト及びプログラムが環境に及ぼす可能性のある悪影響を早期に防止し、軽減することに寄与するために必要な手続き、手順、及びリソースに関する指針を作成すること。

 


附属書

 

環境アセスメントが最も必要とされるプロジェクト及びプログラム

.環境アセスメントが最も必要とされるプロジェクト及びプログラムは、プロジェクト又はプログラムが環境に及ぼすと予想される直接、間接の影響が重大なものとなりそうかどうかの確認を目的とした多くのクライテリアに基づき判定される。

 

.個々のプロジェクト又はプログラムが環境に大きな影響を有するか否かの判断に際しては、まず何よりも、そのプロジェクト又はプログラムの実施場所として計画されている地域の生態学的条件を考慮する必要がある。ある種の非常に脆弱な環境(例えば、湿地、マングローブの沼沢地、ざんご礁、熱帯林、半乾燥地)においては、常に、詳細な環境アセスメントが必要である。環境アセスメントを実施する場合、考慮すべき問題としては以下に対する影響が挙げられる。

 

a)土壌及び土壌保全(浸食、塩化等)

b)砂漠化にさらされている地域

c)熱帯雨林及び熱帯植生

d)水源

e)魚及び野生生物資源の保護・保全にとって、あるいはその持続的利用

にとって貴重な生息地

f)固有の価値を有する地域(歴史的、考古学的、文化的、審美的、科学的)

g)人口又は産業活動が集中しており、それ以上の産業開発又は都市拡大

が重大な環境間題を引き起こしそうな地域(特に、大気及び水質について)

h)特定の脆弱な人口集団にとって特別な社会的価値のある地域(例えば、

伝統的な生活様式を持つ遊牧民等の人々)

 

3.環境アセスメントが最も必要とされるプロジェクト又はプログラムは以下の項目に整理される。

a)再生可能資源の利用における重大な変更(例えば、農業生産、森林、牧

草地への土地の転換、農村開発、木材生産)

b)耕作法及び漁法の重大な変更(例えば、新作物の導入、大規模な機械化)

農業における化学物質の利用(例えば、殺虫剤、肥料)

c)水資源の開発利用(例えば、ダム、灌がい・排水事業、水及び流域管理、

水供給)

d)インフラストラクチャー(例えば、道路、橋、空港、港湾、送電線、パ

イプライン、鉄道)

e)産業活動(例えば、金属精練工場、木材加工工場、化学工場、発電所、

セメント工場、石油精製・化学工場、農業関連産業)

f)採掘産業(例えば、鉱業、砕石、泥炭、石油及びガスの採掘)

g)廃棄物の管理及び処分(例えば、下水道施設、廃棄物埋立地、家庭ごみ

処理施設及び有害廃棄物処理施設)

 

4.プロジェクト又はプログラムについての上記リストは、重要度による順番ではなく、また、ある特定のプロジェクト又はプログラムのタイプが必然的に他よりも環境アセスメントを必要とすることを意味するものでもない。更に、上記には記載されていないものの、ある地域の環境には著しい影響を有するかもしれないプロジェクト又はプログラムも存在するかもしれないので、このリストは完全綱羅的なものではない。あるプロジェクト又はプログラムが上記のリストに載っていることは、このようなプロジェクト又はプログラムが必ず環境に悪影響をもたらすことを意味するものではなく、実際、その中のあるものは環境にプラスの影響をもたらすこともあるが、経験が示すところによれば、このようなプロジェクト又はプログラムによる環境への悪影響を除去又は軽減するためにしばしば特別の対策が必要となっている。従って、あるプロジェクト又はプログラムを詳細な環境アセスメントの対象とすべきか否かは、個々の具体的な場合についての全ての事実を分析した結果によることになる。

 


開発援助プロジェクト及びプログラムに係る環境アセスメント

の促進に必要な施策に関する理事会勧告(仮訳)

 

1986年10月23日採択

理事会は、

1960年12月14日の経済協力開発機構条約5(b)を尊重し、1979年5月8日の「環境に著しい影響を及ぼすプロジェクトのアセスメントに関する理事会勧告」を尊重し、

閣僚レベル環境委員会においてOECD加盟国政府及びユーゴスラビア国政府により採択された1979年5月8日の「予見的環境政策に関する宣言」(C(79)121の附属書)を尊重し、

 

閣僚レベル環境委員会においてOECD加盟国政府及びユーゴスラビア国政府により採択
された1985年6月20日の「環境:次世代への資源に関する宣言」(C(85)11
1)を尊重し、

 

特に、「環境:次世代への資源に関する宣言」のパラ1及びパラ11において、OECD
加盟国政府及びユーゴスラビア国政府が、環境影響評価及び適切な経済的手段の利用を拡大すること及び開発途上国における環境保全上健全な開発への寄与を強化することを宣言していることを想起し、

 

1985年6月20日の「開発援助プロジェクト及びプログラムに係る環境アセスメントに関する理事会勧告」(C(85)104)を尊重し、

 

加盟国がその活動の環境への影響の可能性を考慮し、開発途上国とのより密接な協力を追及する必要性に留意し、

開発援助プロジェクト及びプログラムの環境アセスメントが高くつく潜在的な環境への悪影響のリスクを減少させうることを認識し、

加盟国の経験から、環境アセスメントプロセスの成功は、効率的な組織、手続き及び資源によることを認識し、

 

環境委員会及び開発援助委員会の提案に基づき、

 

l 加盟国政府に以下のことを勧告する:

a)各国における援助活動に向けた環境アセスメント政策の正式な採択を積極的に支持すること

b)このような政策の実施に関する既存の手続き及び実務の適正さを検討すること

c)この検討に鑑み、必要な範囲において、附属書Iに概説されているアプローチを必要に応じ考虜しつつ、環境アセスメントプロセスの効果的な実施手続きを作成すること

 

d)開発援助プロジェクト及びプログラムの計画と実施に責任を有する部局内で、このような手続きを実施するための責任体制をしっかりと確立すること

e)援助機関の本部において環境アセスメントプロセスを監督し、指導するための責任体制を確立すること

f)環境アセスメントプロセスを時宜を得た費用効果のよい方法で実施するのに十分な人的、財政的リソースが供与されることを確保すること

g)附属書IIに概説されている施策のすべて又は一部を考慮しつつ、環境アセスメントを実施する能力を向上させたいと願っている被援助国への人的、財政的リソースの供与を確保すること

 

II 開発援助プロジェクト及びプログラムに係る環境アセスメントを実施するうえでの進展及び実施の経験に関する情報交換を行うことを加盟国に要請する

III 開発援助委員会に環境委員会との協力のもとに以下のことを行うことを指示する

 

a)加盟国の援助機関が開発援助プロジェクト及びプログラムに係る環境アせスメントを実施する方法に関する情報を収集すること

b)ある種の開発援助活動の環境影響を評価する際にどのようにしてリスクアセスメントを取入れてゆくことができるかを検討すること

 

c)本勧告を実施するために取られたすべての施策及び他の国際機関における関連活動について、3年以内に理事会への報告書を作成すること

IV 事務総長に対し、開発援助プロジェクト及びプログフムの環境アセスメントがすべての国によってよりよく実施されることを促進する観点から、適当な国際織関に本勧告及び付随する報告書(ENV(85)27)を送付することを指示する

附属書I

開発援助活動に係る環境アセスメントプロセスを確立するためのアプローチ

 

1.援助活動の環境影響の評価のための新たなプロセスが創設される場合にも、既存の手続きをこのようなプロセスに合せてゆく場合にも、環境アセスメントは、被援助国政府との調整が計られ、プロジェクト及びプログラムの早い段階で実施され、援助活動の実施に反映され、モニタリングと事後評価によるフォローアップが行われるべきであることを提案する

2.このようなプロセスのうち以下の要素が有用と考えられる

a)完全な環境アセスメントが必要かどうかを決めるために、最初にスクリーニングが行われるべきである

b)プロジェクト又はプログラムに係る環境アセスメントは、フィージビリテイ調査前又はプロジェクト提案段階で開始され、費用便益及び工ンジニアリングのフィージビリテイ調査に組入れられるべきである

 

c)アセスメントの内容は、プロジェクト又はプログラムの適切な代替案及びそれらに伴う最も著しい環境影響を見出すための手続きにより決定されるへきである。その理由は、意思決定を行うために必要な最も重要な間題だけに取組むことにより、アセスメントが最も時宣を得た、費用効果のよい方法で実施されることを確保するためである。

この手続きは、問題を議論し、アセスメントにおいて取組むべき問題を決定するためにプロジェクト又はプログラムに責任のある一群の人々が集まって実施するのが望ましい。被援助国政府職員及び、可能な範囲において、援助活動により影響を受ける人々その他の関係者がこの手続きに関与することが重要である。

d)この手続きの後に、アセスメント自体の実施細目の作成に移るへきである。ブロジェクト又はプログラムの規模、性格及び実施場所により、アセスメントは、既存の情報に基づき一人の担当者によって実施される1−2ページの分析から、広範な野外調査及びデータ収集に基づき学際的なチームにより実施される包括的な環境影響評価書まで様々でありうる。アセスメントの「範囲」に拘らす、アセスメントは、従来からの調査(例えばエンジニアリングのフィージビリテイ調査)とともに実施されることが必要である。

 

e)アセスメントは、特定の活動の結果生じうる環境影響を指摘するだけでなく、プロジェクト又はプログラムが実施された場合の悪影響を抑制するためにとられるべき軽減(例えば矯正的)対策又は代替案を提案するものであるべきである。更に、軽減対策が実行に移されることを確保するために、被援助困において適当な制度上の仕組みを確立することに注意が払われるべきである。

 

f)アセスメントプロセスは、プロジェクト又はプログラムの実施の決定がなされたあとも継続し、建設及び稼働中のモニタリングも含むべきである。モニタリングは、アセスメントの知見(例えば、提案された軽減対策)が実施されていることを確認し、実施された予測(例えば、プロジェクトの大気、水、人の健康、生態系の安定への実際の影響)の正確さを検証するために必要である。モニタリングの結果、プロジェクトの修正及び将来の同様のプロジェクト及びプログラムにパラ(C)に記述されている手続きを実施するためのデータベースの改善が行われることがありうる。

 

附属書II

 

開発途上国の環境アセスメント実施能力向上のための方策の提案

 

 

1.援助機関の環境アセスメントプロセスの究極の目標は、開発途上国が自力で彼等自身の開発を環境保全上健全な方策で管理するのを助けることである。開発途上国に環境アセスメント能力を移転し、開発途上国における環境アセスメントの能力向上を支援する上で援助機関が取りうる方策として以下のことを提案する。

 

2.すぐに取りうる方策としては、援助機関が責任を有する環境アセスメントを実施するときに非援助国政府職員を積極的に巻き込むことである。このよう関与は、非援助国政府職員等をスコーピングに巻き込むことにより始まり、アセスメントの実施及びモニタリングに非援助国政府職員を従事させることにより持続させうる。(附属書I参照)

 

3.OECD加盟国の援助機関及び環境担当官庁が環境アセスメントのトレーニングコースを設立することが考えられる。トレーニングは、政府及び産業界の代表及び上級意思決定者、高級行政官、プロジェクトマネージャー、技術のスペシャリスト、担当部局員、環境の利益団体の代表等の多くのターゲットグループに対して行われるべきである。どのようなタイプのトレーニングが行われるべきかは、ターゲットグループをどれにするかによって異なろう。例えば、政策決定者に対しては、経済開発計画に環境の要素を取り込むことを怠ったことにより生ずる悪影響を実証し、環境保全上健全な計画策定により得られる便益を強調するためにセミナーを開催すべきである。プロジェクトマネージャーや技術専門家に対するトレーニングは、環境アセスメントのための手続きと方法、環境管理における環境アセスメントの役割と重要性を強調することになろう。

 

4.OECD加盟国政府は、一定期間国家計画官庁とともに作業する「環境専門家」を派遣することにより、開発途上国政府への直接の支援を検討することもあろう。このような専門家は、政府職員がプロジェクト、プログラム又は政策から生ずることが予想される環境影響を評価し、意思決定者や公衆に環境への悪影響を軽減し、影響を受ける地域における人間環境の質を向上させる適切な代替案を知らせるのを助けるという役割を果たすことになろう。

 

5.環境の状況に関する適切な基礎データと情報が不足していることが、開発途上国において環境アセスメントを成功裡に実施するうえでの大きな制約となっている。OECD加盟国の援助機関及び環境担当官庁は、被援助国の「環境プロファイル」や特に影響を受けやすい地域に関する基礎研究等の情報を提供することを検討するかもしれない。さらに、被援助国が自らの研究を実施するための直接の財政的、技術的援助を行うこともあろう。

 


二国間及び多国間援助機関におけるハイレベルの意志決定者用の

環境チェックリストに関する理事会勧告(仮訳)

 

1989年2月22日採択

 

理事会は、1960年12月14日のOECD条約第5条(6)を尊重し、

1986年10月23日の「開発援助プロジェクト及びプログラムに係る環境アセスメントの促進」に必要な施策に関する理事会勧告」〔C(86)26(Final)〕を尊重し、

1988年5月18日及び19日の大臣会合における、OECDは持続的開発への貢献のため、二国間及び多国間援助プロジェクトの環境面のレビューに対する共通のアプローチの発展のための作業を継続すべきとの理事会の合意〔C(88)107〕を尊重し、

加盟国がその活動の環境への影響の可能性を考慮し、開発途上国とのより密接な協カを追求する必要性に留意し、

開発援助委員会がプロジェクト審査原則に環境保護規程を盛り込んだ〔DAC(88)3(Final)〕ことを認識し、

環境委員会及び開発委員会の提案に基づき、

 

l.加盟国政府に以下のことを勧告する:

a)二国間及び多国間開発援助にあたって資金援助が提案されている開発プロジェクトの確認、計画、実施、評価において、環境の側面が考慮されることを確保すること。

b)以下の人々が「ハイレベルの意志決定者用の環境チェックリスト」(附属書1)、を利用できるようにすること。

1.二国間開発援助プロジェクトの承認に責任を有する政府高官

2.多国間開発援助機関への政府代表者

c)上記b)1.2の職員が開発援助プロジェクトの承認又は却下以前に環境チェックリストを利用するよう支援すること。

d)プロジェクトと同様にプログラム援助に関する決定の環境影響にも配慮するよう上記b)1.2の職員を支援すること。

 

II.加盟国が二国間、多国間開発援助プロジェクトに対する「環境チェックリスト」の利用経験に関する情報を交換するよう奨励する。

 

III.開発援助委員会に環境委員会との協力のもとに以下のことを行うよう奨励する。

a)「環境チェックリスト」の、二国間、多国間開発援助の意志決定に際しての活用方法をモニターすること。

b)OECD加盟国における、二国間、多国間のプロジェクト開発及び意志決定への環境解析・評価の組み入れの効果について、「チェックリスト」及び他の関連手法の自発的適用を含めて、3年以内に報告すること。

 

IV.事務総長に対し、すべての援助機関により、開発援助プロジェクトの環境レビューがよりよく実施されることを促進する観点から、本勧告を多国間援助機関及び他の適当な国際機関に送付することを指示する。

 

 


附属書1

 

ハイレベルの意志決定者用の環境チェックリスト

 

I.影響の確認

*1.プロジェクトが脆弱な環境に影響を与えるか。

*2.プロジェクトの正及び負の重大な現境影響について明確に記述されているか。リスクが評価されているか。

3.越境汚染を含めたプロジェクト実施場所以外への影響(いわゆるアップストリーム・ダウンストリームに対する影響)や、影響が現れるまでのタイムラグが考慮されているか。

 

II.緩和策

*4.どのような緩和策が提示され、どのような代替地が検討されたか。

5.過去の同様のプロジェクトからのどのような教訓が本プロジェクトの環境評価に反映されたか。

*6.プロジェクトの準備に際して、関係住民・団体が関与し、彼等の利益が適切に考慮されているか。住民移転を伴うか。適切な補償措置が示されているか。

 

III.手続き

7.援助機関及び被援助国政府の採用している環境ガイドラインがどのように利用されたか。

*8.意志決定過程のどの段階に、環壊アセスメントが含まれていたか。

9.プロジェクトの正と負の環境影響が、プロジェクトの経済分析にどのように組み込まれたか。

*10.プロジェクトの準捕に際し、環境保全に責任を有する途上国の機関が相談を受けたか。プロジェクトの承認に責任を有する途上国の中央機関がプロジェクトの環境影響に気づいているか、また彼等は環境対策が含まれることを承認したか。

 

IV.実施

*11.環境対策を効果的なものとするためには、途上国の組織強化が必要か。また、もしそうであるならどのような行動が必要か。

12.実施中及び実施後に誰がどのように環境影響及び緩和策をモニターするのか。

13.必要な環境対策費が見積もられ、その資金供給のための適切で現実的な保証があるか。

 

*附属書2参照

 


附属書2

チェックリストの質問項目の一部に関する解説

 

1.脆弱な環境の例

a)土壊及び土壌保全地域

b)砂漠化にさらされている地域及び半乾燥地域

c)熱帯南林及び熱帯植生

d)水源

e)魚、野生生物資源、特に涅地、マングローブの沼沢地及び珊瑚礁の保護、保全、持続的利用にとって貴重な生息地

f)固有の価値を有する地域(歴史的、考古学的、文化的、審美的、科学的)

g)人口又は産業活動が集中しており、それ以上の産業開発又は都市拡大が重大な環境問題を引き起こしそうな地域(特に、大気及び水質について)

h)特定の脆弱な人口集団にとって特別な社会的価値のある地域(例えば、伝統的な生活様式を持つ遊牧民等の人々)

 

2.環境影響の明確な記述が必要なプロジェクトには以下のようなものがある。

a)再生可能資源の利用における重大な変更(例えば、農業生産、森林、牧草地への転換、農村開発、木材生産)

b)耕作法及び漁法の重大な変更(例えば、新作物の導入、大規模な機械化)。農業における化学物質の利用(例えば、殺虫剤、肥料)

c)水資源の開発利用(例えば、ダム、灌漑・排水事業、水及び流域管理、水供給)

d)インフラストラクチャー(例えば、道路、橋、空港、港湾、送電線、パイプライン、鉄道)

e)産業活動(例えば、金属精錬工場、木材加工工場、化学工場、:発電所、セメント工場、石油精製・化学工場、農業関連産業)

f)採掘産業(例えば、鉱業、砕石、泥炭、石油及びガスの発掘)

g)廃棄物の管理及び処分(例えば、下水道施設、廃棄物埋立地、家庭ごみ処理施設及び有害廃棄物処理施設)

正及び負の環境影響のタイプはプロジェクトにより異なり得る。例えば、灌漑プロジェクト〔上記c〕は淡水漁業の新たな可能性の創出という正の効果を与え得る。同時に、塩水化、土壌浸食のような負の影響も与え得る。

 

3.他の地域への影響例としては、産業排水が処理されずに水域へ排出される場合の下流の水生生物への影響がある。

決定においてタイムラグを考慮することの重要性を示す例としては、自然地域を通過する道路による2次的影響がある。これらの道路はしばしば大規模な(移動)耕作や環境悪化を引き起こす。

 

4.緩和策は、負の環境影響を減少または軽減するためにとられる行為である。例としては:

a)水域に排出される前に産業排水を処理すること。

b)高速道路及び産業プロジェクトに防音壁を供給すること。

c)開発目的のために利用される土地を補償するための野生生物保護区や他の保全地域を設定すること。

 

6.影響を受ける人々は、開発プロジェクトに関連する計画の問題や解決策の実施を明確にし、理解することに参加すべきである。これは開発に際して公平性に重点を置くことと、意志決定過程の分散化を必要とする。これには、持続的開発と農村人口の側の完全な参加を促進するための努力が伴うべきである。

 

8.プロジェクトまたはプログラムの環境アセスメントはプレ・フィージビリティ・スタディまたはプロジェクトの提案段階で始めるべきであり、費用効果及びエンジニアリング・フィージビリティ調査とともに実施されるべきである。

 

10.プロジェクトに関連する環境情報の浸透を確保する1つの方法は、プロジェクトの最終決定の前に、途上国において省庁間の協議過程を設けることである。

 

11.途上国政府機関の強化策の例としては、環境アセスメント及び管理に関する研修コースの提供及びプロジェクト、プログラム、政策から発生し得る環境影響を評価する政府職員を補佐し、意志決定者及び公衆に対して、負の環境影響を緩和し、当該地の人間環境の質を高めるための合理的代替策を知らせるための環境アドバイザーの提供がある。民間及び非政府機関は地域住民の環境意識の向上のために援助され得る。