平成13年11月

 

国際協力銀行の新環境ガイドライン(案)について

 

I. 検討の経緯・スケジュール

 

1.経緯

 

(1)       国際協力銀行法案が衆議院商工委員会で可決された際、附帯決議にて「環境配慮のための国際水準に照らして充分な内容を持つ統一ガイドライン等を策定」することが決議された。

(2)       2000年10月に、NGO、有識者、関係省庁、国際協力銀行の関係者が個人の資格で参加し、統合環境ガイドラインの在り方等に関する自由な意見交換を目的とする「国際協力銀行の環境ガイドライン統合に係る研究会」が設置された。

(3)       上記研究会は、2001年7月25日まで計16回にわたって開催され、2001年9月19日に「国際協力銀行の環境配慮ガイドラインへの提言」を発表。

 

2.現状

 

(1)        上記提言を受け、現在、行内関係各部署にて検討を行い、本行としてのガイドライン(案)を作成しているところ。

(2)        本行としては、研究会の開かれた検討プロセス及び提言の内容を有益かつ重要なものと認識。提言内容を可能な限り反映したいと考えている。

(3)        他方、新ガイドラインは、経済協力業務のみならず輸出信用等の国際金融等業務にも適用されることから、本邦事業者が他のOECD諸国等との競争において不利な立場に置かれないような配慮も必要であり、これらのバランスにも留意しつつ行内での検討を進めているところ。

 

3.今後の予定

 

(1)        本行のガイドライン(案)を年内までに取り纏めた上で、パブリックコメントを募集する。

(2)        パブリックコメントを踏まえた上で、本年度末を目途に、本行ガイドラインを公表予定。

II. 新環境ガイドライン(案)の主な内容

 

1.前書き

 

本ガイドラインが、国際金融等業務及び海外経済協力業務に共通に適用されること、経済協力開発機構(OECD)等での議論を踏まえて策定されたものであることなどを説明。また、プロジェクトの環境面での配慮の確認に加え、環境保全/改善に資するプロジェクトや、地球温暖化ガス排出削減等、地球環境保全に貢献するプロジェクトなどを支援する方針であることを説明する。

 

2.本行の環境配慮確認にかかる基本方針

 

環境配慮確認にあたり、借入国との対話を重視すること、さまざまな手段を活用して借入国(人)またはプロジェクト実施主体者により適切な環境配慮がなされていることを確認することを、基本方針として明記。また、借入人等に対するモニタリングを重視すること、透明性とアカウンタビリティーを確保したプロセスやプロジェクトに関わるステークホルダーの参加が重要であることに触れる予定。

 

3.ガイドラインの目的・位置付け

 

本ガイドラインが、本行が行う環境配慮確認の手続き(融資決定前、融資決定後を含む)及び、判断に当たっての基準を示すものであることを記述。

 

4.環境配慮確認にかかる基本的考え方

 

本行は、融資決定前及び決定後にプロジェクト実施主体により適切かつ十分な環境配慮がなされているか及びなされ得るかを確認する旨を記述。また、本行は、相手国の基準を遵守しているかを確認すると同時に、国際機関や先進国が定めている基準やグッドプラクティス等を参照する。

 

5.環境配慮確認手続き

 

本行はスクリーニングにより環境影響と借入人の事業への関与の態様に応じてA、B、C、FIにカテゴリー分類を行い、重大な影響のある可能性のあるプロジェクトから可能性の乏しいプロジェクトまでABCに分類する。なお、カテゴリFIは、本行の融資等が、金融仲介者等に対して行われ、融資承諾前にサブプロジェクトを特定できないもの。

各カテゴリにおける環境レビューについては、カテゴリAに関しては、プロジェクトに関する環境アセスメント報告書等が借入人等から提出されることが必要。本行は、環境アセスメント報告書等を用いて、環境レビューを行う。カテゴリBに関しては、環境アセスメント報告書を参照することもあるが、必須ではない。カテゴリCの場合は、スクリーニング以降の環境レビューは省略される。カテゴリFIは、原則、プロジェクトが本行の環境配慮上の要件を満たすことを金融仲介者がレビューし、保証しなければならない。なお、カテゴリA及びBのプロジェクトについては、一定期間、プロジェクト実施主体者によるモニタリングの内、重要な環境影響項目につき、本行もモニタリングを行う。

 

6.本行の環境配慮確認にかかる情報公開

 

環境アセスメント報告書等の情報の公開は、原則としてプロジェクト実施主体者の責任である。本行は、関係機関、ステークホルダーからの情報提供を歓迎すると共に、環境レビューに関し重要な情報につき、適切な手続と機会を設けて公開する。なお、情報公開の原則と商業上の秘密の保持が両立するよう努力する。

 

7.ガイドラインの適切な実施・遵守の確保

 

本行は、本行のガイドライン不遵守に関する異議申立処理に関し、本行へ具申する外部委員会の設置を検討中。

 

以 上