新環境ガイドライン(案)へのコメントT<3.(3)まで>

2001年12月10日

メコン・ウォッチ 松本 悟

 

◆前書き

     「環境配慮」⇒「環境社会配慮」

     3〜4行目の「環境配慮・・・確認を通じ」⇒これだと借入人等JBIC以外が行う環境配慮をJBICは確認すればそれでいいようにとれるので、「確認」をとる。

     下から5行目以降「環境面での配慮が適切になされていることの確認を行う」についても、環境社会配慮は、借入人が行ないそれをJBICが確認するものと、JBIC自らが行うものがあるので、「環境社会面での配慮を適切に行う」とする。

     人権については研究会において様々な議論をへて、銀行の姿勢として前書きで宣言するのが適当との結論に達した経緯を十分尊重すべき(提言3.4.1、6頁最終段落)。

 

◆T.本行の環境配慮確認にかかる基本方針

     前書きで指摘したのと同じ理由から、表題の「確認」をとる。

     最初の段落文章は特に必要ないと考える。もし入れるのであれば、対話を重視する相手に他のステークホルダー、とりわけ地域住民を加えるべき。

     2段落:「借入人を通じ・・・を確認し」はJBIC自身のイニシアティブを排除するようにとれるので必要ない。

     5段落:「借入人及びプロジェクト実施主体者(以下「借入人等」)」とあるが、借入人等には輸出入業者も含むべき。

     6段落:「ステークホルダー」の範囲を例示すべき。少なくとも提言にあるように「地域住民等」を加える。

 

◆U.ガイドライン 1.ガイドラインの目的・位置付け

     2頁最終行の「環境配慮確認」は、すでに書いている理由から確認ではなく「環境社会配慮」とする。

 

◆U.ガイドライン 2.環境配慮確認にかかる基本的考え方

     (1)では、「環境配慮の主体はあくまでプロジェクト実施主体者」とあるが、提言平文の4頁3.4冒頭に「第一義的に事業者の責務である」より限定的。提言の文言を活かし「環境社会配慮は第一義的にプロジェクト実施主体者の責務であり」とする。次段落の「プロジェクト実施主体者」は「プロジェクト実施主体者及び輸出入業者」にする(他の項目でも見られるので一括して同様の修正をする)。

     (2)の最終段落は新たに追加されている。「スクリーニングフォーム」や「環境チェックリスト」にこだわり過ぎるとレビューが○×的に行われる懸念がある。敢えて追加した理由は何か?

     (3)の第2段落では、提言の「地域住民等ステークホルダー、NGO等の第三者」が「ステークホルダー」となっている。情報提供者としての重要性という観点で考えれば、対象範囲は広いと考える。また、提供した情報を活用することに「必要に応じ」は要らない。また次段落でも、協調融資であれば情報交換は不可欠であり「必要に応じ」は要らない。なお、この段落は追加されたものだが、理由は何か?

 

◆付属書(1)

     <基本的事項>の黒丸1、黒丸2、<検討する影響のスコープ>の黒丸1:環境⇒「環境及び社会」とする。この点については、例えば2.(4)の第2段落にもあり、全体を通じて統一した修正が必要。

     <基本的事項>黒丸4は提言では環境レビューに入っている(7頁最終行)。これを付属書に回した理由は何か?JBICの説明では、本文はJBICが、付属書は借入人等が行うことと整理したそうだが、この項目はレビューをするJBIC側の対応ではないか。だとすれば、本文中に書くのが適当。

 

◆U.ガイドライン 3.環境配慮確認手続き

     (3)の脚注の意図がわからない。非自発的住民移転を伴うのであれば、環境社会配慮は極めて重要であり、なぜ環境アセスメント報告書の提出が必須ではないのか?また、2段落目に「必要に応じて住民移転に・・・提出されなければならない」とあるが、「住民移転を伴う場合は、必ず移転に係る基本計画等を提出されなければならない」にする。また、カテゴリーFIでは提言にあった具体的な対応が完全に抜け落ちている。「金融仲介者のよる保証」「JBICのレビュー内容」「サブプロジェクトごとに承認を求める場合があること」の3点を盛り込む。

 

◆付属書(2)

     3段落:「あるいはその概要等」はとる。環境アセスメント報告書の公開が要件。「閲覧」ではなく「入手」。大部のアセス報告書を閲覧だけでは分析できない。

     4段落:「協議記録等が作成されていなければならない」というのは形式的。提言では協議記録等の本質的意義は「実質的な協議や合意形成」を確認することにあると明記しており、この点は提言に沿って書き直す。

     提言では「カテゴリーA案件の場合は、環境アセスメント報告書を国際協力銀行が公開してよいことが保証されていなければならない」とあるが、JBICのドラフトにはない。研究会の議論を考えれば、商業上及び国防上の秘密を例外として、この項目は絶対に入れるべき。

 

以上