研究会提言とJBIC環境ガイドライン案の比較・コメント

2001.12.10

地球の友ジャパン

 

1.全般に関して

●単語の定義や使用について確認の必要

     「環境配慮」→「環境社会配慮」

     「環境レビュー」/「環境配慮の確認」:なぜ定義をしておきながら場所によって表現を変えるのか?事業者だけでなくJBICも主体的に環境配慮を行なうのが趣旨であるため、確認だけするかのような表現は不適切。

     「借入人」「実施主体」「事業者」

     「ステイクホルダー」:住民やNGOがステイクホルダーと見なされないことが多いことを認識して明記すべき。

●構成

・環境配慮の要件、単なる事業者への伝達事項ではなく、JBICの基本的考え方を示すものであり、付属書とするのは不適切。モニタリングの扱いも同様。

     提言の4章以降や平文中のJBICに対する要望事項についても尊重し、検討して案を示すよう求める。

 

2.個別事項

 

提言

JBIC案

コメント・問題点

3.1

前書き

 

持続可能な発展と人権に関する原則、条約、協定に沿った融資業務。その具体的な実施のためのガイドライン策定・公表・実施

提言をまったく尊重せず

国際的に認められた環境社会配慮の規範を引いて銀行の姿勢を宣言することが趣旨。

 

出資についても融資案件と同様にガイドラインの手続きで環境配慮行なう旨を明記すべし

記述なし

記述すべき。

3.2

 

相手国主権の尊重、相手国・借入人・実施者との対話重視

これまで通り実施者だけを重視する対話姿勢を一番最初に置くのは不適当

 

 

「様々な手段を活用し」と「もって・・・」の間に文を挿入

基本方針の表明という趣旨を不鮮明にする。

 

事業が環境社会配慮の要件を満たすよう・・・

プロジェクトの性質に応じた適切な環境配慮が行なわれるよう・・・

「要件」の使用を避ける理由は。

 

地域住民等のすべてのステークホルダーの参加

当該プロジェクトに関わるステークホルダーの参加

もとの表現に。

3.3

目的

環境社会配慮上の要件やグッドプラクティスを示すことにより、銀行の融資等を受けようとする事業者、借入人等に適切な環境社会配慮の実施を促すこと。

・・・融資等の対象となるプロジェクトに求められる環境配慮を示すことにより、融資等を受けようとする借入人を通じ、プロジェクト実施主体者に対し、プロジェクトの実施地における政府が定めている環境配慮に関する法令、基準の遵守を含め、本ガイドラインに沿った適切な環境配慮の実施を促すものである。

         グッドプラクティスは?

         現地の法令・基準遵守はJBICの求める要件に含まれているが?

・「要件」を避ける理由は。

・「借入人を通じ・・・」は前回議論のあったとおり。

3.4

その事業が環境や地域社会に受け入れられることのできないような影響をもたらすことがないよう・・・要求する。

適切な環境配慮が行われていることを原則とする。

もとの表現に。

 

環境および社会への影響

「社会」なし

もとの表現に。

 

 

専門家委員会の設置

(銀行のレビュー→要件へ)

事業者に対するアドバイス委員会(世銀の)か?その場合は趣旨が異なるので別記を。

3.5

銀行による環境配慮のレビュー(環境レビュー)

「環境配慮確認」

「責任主体」

JBICとしての主体的配慮が曖昧となるので不要。

 

レビューの結果を意思決定に反映。融資しないこともあり得る。

なし

別の個所では言明あるが、レビューの目的が意思決定への反映であることを明確にすべき

 

 

リスク評価の重要な一側面あるとの認識に立って・・・

効率的に・・・モニタリングも重視

旧輸銀ガイドラインの記述を取り入れる意味は。環境レビューの目的・趣旨の強調点異なる

 

第三者からの情報提供

ステークホルダーの説明なし

説明ないと意味不明

 

実施国EAにおける参加・情報公開の確保について確認

対象国のEA制度に基づき行われている状況について確認

実質的な中身を審査することが不明

 

特に影響の大きいものは専門家によるサイトレビュー

         必要に応じ

         「社会」なし

もとの表現に

3.6

基準として用いる国際的諸基準の明示をJBICに求める

なし

検討して案を示すよう求める。

 

 

環境配慮のあり方がそれらの基準やグッドプラクティス等と比較検討し大きな乖離がある場合には、相手国(地方政府を含む)、借入人、及びプロジェクト実施主体者との対話を行い、その背景・理由等を確認し、必要に応じ対応策を検討する

対話の結果どうするのか?

3.7.1

情報の提供あればなるべく早期にスクリーニング

なし

できない理由は?

 

カテゴリーN

カテゴリーCに含める。

スレッシュホールドの導入については合理的説明をお願いしたい。

 

提出すべき情報のリスト、様式を提示

 

現行のスクリーニングフォームに変更なし?

3.7.2

本ガイドラインに示す要件を満たしたEIA

付属書では「原則」。

EIAの要件を満たすことは絶対に必要。

 

環境パフォーマンスを改善するための方策

環境改善を図るための方策

意味は同じ?

 

 

大規模非自発的移住だけのときはEIA不要

理由は?具体的にEIAがいらないケースとは?

 

カテゴリーFIの要件

記述はきわめて簡略

これだけでは不十分。

 

 

環境チェックシートを用いる

チェックシートに変更なし?個別分野に関して他に参照する諸基準は?

3.7.3

 

公開の保証の要件なし。

JBICとして確実に公開をしないつもりか?また「実質的にJBICが確認」はなくてもよい?

3.7.4

既存のEIAの扱い

記述なし

記述の必要はないのか?

3.7.5

特殊案件

記述なし

具体案を示すよう求める。

3.8

関係機関、NGO、地域住民その他の人々からの情報提供

ステイクホルダーからの情報提供

明示必要。

 

案件の概要に関する情報を具体的に例示

なし

何を公開するかJBICとして明らかにすべき。

 

カテゴリAはEIAおよびその他文書、Bはこれに準ずる文書を必ず公開

入手状況を公開

EIAおよびこれに準ずる文書はJBICの判断の基礎情報として必ず公開すべき。

 

公開期間をガイドラインで明示する

なし

必要。

 

 

本行と借入人との間の契約上、情報開示が禁じられる情報については借入人等の同意又は法の要請のない限り情報開示は行わない。

契約上情報開示が禁じられる情報とは具体的に何?

3.9

融資契約あるいはこれに付随する文書に環境社会配慮上の要件を明記する。

融資契約あるいはこれに付随する文書を通じ、以下の内容を確保するよう最大限努力する。

内容は変わりうるが要件の明記は必要。

 

対策やモニタリングの方法およびその報告

対策やモニタリングについて報告

対策・モニタリング方法について契約に入れておくことが重要

 

問題発生時のJBIC、借入人、住民等の間での解決方法

借入人は協議を求めるよう努力

「求めるよう努力」?借入人が実施主体の場合は?

3.10

円借款A/B案件報告書への環境記述は要件

必要に応じ・・・求める場合もある

カテゴリーA/Bで記載が必要ない場合とは?下記と矛盾するのでは?

 

 

原則としてA・B案件はモニタリング

この点の明確化は評価できる。

 

JBICと借入人等とでモニタリングの方法について合意し、融資条件とするよう努める。

なし

 

4以降

組織体制の強化について検討を求め、基本的事項についてはガイドライン中に明記

なし

検討して案を示されたい。