JBIC新環境ガイドライン

20011214

市民外交センター

 

参考資料

 

国連人権機関における一般的情報収集システム(通報検討制度:1503手続き)

 

1.1970年経済社会理事会決議1503XLVIII)によって設立

2.基本的な制度

@国連のいかなる機関に送られた人権申し立てに関する「通報」も、ジュネーブの「人権高等弁務官事務所」の「通報部(Communication Unit)」に集められる

A通報部担当官が、明らかに不適当と思われるもの(交通事故賠償、離婚訴訟、金銭貸借問題など)、取り扱えないと判断したもの(通報者が明らかに精神的に不安定であるなど)を除外

B通報部担当官は、「通報作業部会」に残った通報を上程し、この段階で「受理」された旨を通報者に伝達し、通報月別リストに「要約」を掲載する

許容性規準(受理の条件)

1)通報の目的:国連憲章および世界人権宣言など国連の人権文書の原則に矛盾しない

2)匿名の否定:匿名でなされた通報は受理されない

3)通報者の条件:人権侵害の被害者の個人および団体、それらの人権侵害に関して直接かつ信頼に足る知識をもつ個人および団体、国連憲章をはじめ国連人権規準に反する活動をする団体であってはならない

4)通報の内容:事実の説明・通報の目的・権利の侵害について明確な指摘がある、情報の入手が間接的であっても構わないが、すべてマスメディアによる情報である場合には受理しない

C通報部担当官は、通報を受理した場合、通報者に関する情報を削除した後、これを関係政府に送り、反論を求める

D「通報作業部会」は、5名の委員から構成され、毎年10日間の会合を開いて、これらの通報と政府からの反論に基づいてこれを処理する

E通報が「重大で、かつ、信頼できる証拠のある一貫した形態の人権侵害」であると3名の委員が認識した場合には、上部の人権機関に付託される

 

参考文献:

久保田洋『実践国際人権法』三省堂、1986

阿部浩己、今井直『テキストブック国際人権法』日本評論社、1996