新環境ガイドライン案に対するコメント(案)

 

2001.12.24

地球の友ジャパン

 

1.「前書き」について

l         P11パラ「環境配慮とは、自然環境のみならず、非自発的住民移転や先住民等の人権の尊重他の社会面を含む環境への配慮である。」

コメント:人権がやはり限定的にとらえられている印象を与え、用語説明としてもわかりにくい。

提案:「環境配慮とは、自然環境への影響のみならず、人体の安全や健康、現地コミュニティへの社会影響も含め、プロジェクトによる受け入れがたい悪影響がないように確保することを指す。また環境影響とは、自然環境および地域への社会影響を含む、プロジェクトが及ぼす影響を指す。」

 

l         環境と社会への影響(全般に関して)

「環境配慮」の定義で社会面を含むことを確認しても、「環境」という言葉に社会面まで含むとの共通理解はないので、「環境や社会に対する影響」等の表現では社会という言葉を残すよう、改めて求める。

 

2.第1部の1および3のタイトルについて(1「本行の環境配慮確認にかかる基本方針」、3「環境配慮確認にかかる基本的考え方」)

 

コメント:どちらが上位にあるかわからず混乱する。1はJBICによる環境に配慮した融資業務の原則、3は個別案件の環境レビュー実施に関することだろう。JBICの融資業務原則としての「環境配慮」と、個別案件に関する「環境配慮の確認」とは明確に区別すべき。「環境配慮の確認」と「環境レビュー」という言葉の使い分けも明確でない。

提案:1を「本行の環境配慮にかかる基本方針」、3を「銀行による環境レビュー(の基本方針)」とする。また本文内にある「環境配慮の確認」は、適切な場合、「環境レビュー」と言い換える。

 

3.第1部−1

l         P21パラ「さまざまな手段を活用し、<プロジェクト実施主体者により適切な環境配慮がなされていることを確認し、>もって」

コメント:上述したように、確認は個別案件のレビューに関することであると整理すれば、委員会で議論したように<>内はなくてよい。

l         2パラ「当該プロジェクトに関わる地域住民や現地NGOを含むステークホルダー(以下「ステークホルダー」)」

コメント:現地NGOと限定すると、例えば専門性をもつ国際NGOは含まれないのか。委員会の議論では単にNGOとする案が有力だったが。

 

4.第1部―3

l         P3(3)第1パラ「プロジェクトにおける環境配慮の主体はプロジェクト実施主体者であり、本行はこれを本ガイドラインに照らし確認する」

コメント:日本語として意味が通じないので、「これ」を「適切な環境配慮が行なわれていること」に置き換える。

 

5.第1部―5 情報公開(2)情報公開の時期と内容

l         プロジェクトの概要として公開する情報の内容

コメント:円借款、国金業務別に具体的な案を早期に示されるよう希望する。

l         「この情報公開は、意思決定に先立ち十分な時間的余裕を確保して行うよう努める」

コメントNGOの関心が非常に高い問題であり、ガイドラインで曖昧なままにしておくべきではないことを改めて指摘したい。最終決定が融資契約時点であることは委員会の議論で明らかにされたので、これに先立って意思決定に影響を与えるのに十分な時間が確保される必要がある。円借款と国金業務とで公開期間が異なることもありうるとの前提で早急に具体的な日数を含めた提案を公にされるよう求める。

 

6.第14―(4)モニタリング・フォローアップ

コメント:現地での問題解決の手段に関して、JBICの方針の部分でも文言を入れることは検討したができないのか。

 

7.第2部−2 カテゴリAに必要な環境アセスメント報告書

l         「環境アセスメント報告書(制度によっては異なる名称の場合もある)」

コメントEIAは結局現地制度に基づいて作成された文書を指すのか、それともJBICの要求する内容を満たす文書なのか、検討の結果を確認したい。

 

8.解説書・付属文書

解説書あるいは付属文書において別途規定や方針を示す事項について確認したい。特殊案件の扱い、グッドプラクティス、人権に関する諸条約、遵守確保の委員会、経過措置等、ガイドライン本文では書かない代わりに付属文書で別途規定や方針を明らかにすることを検討するとしたものがいくつかある。パブリックコメント開始までには間に合わなくても、最終版の完成に至るまでに文書により提案されることを期待する。