各援助機関・輸出信用機関の環境配慮の確認手続き

(作業中・未定稿・第1版)

12月18日研究会用

 

以下の表は、検討のための素材として、JBICの国際金融等業務及び海外経済協力業務、並びに、世銀、国際金融公社(IFC)、米国輸銀及び米国民間投資公社、カナダ輸出開発公社(EDC)のガイドラインにおいて、「どのような環境配慮の確認を行っているか」について整理を試みたものである。それぞれのガイドラインを完全に反映しているものではない。

修正すべき点があれば、ご意見願いたい。

 

スクリーニング

カテゴリ分類基準と手法

国際協力銀行

その他機関

国際金融等業務

海外経済協力業務

 

·            スクリーニング用フォームを用いて、地域環境特性、事業規模、事業特性、融資機関の関与に応じて3カテゴリに分類する。

 

·            事業規模、地域環境特性、事業特性に応じて3カテゴリに分類する。

·           世銀・IFC/事業規模・種類、地域特性、環境影響の程度に応じて環境部が4カテゴリに分類。

·           米輸銀/長期取引、プロジェクトファイナンスがスクリーニングの対象となる。短・中期の取引(元本1,000万ドル以下及び返済期間が7年以内のもの)、信用保証機関や輸出信用保険によってカバーされる個別の短期及び中期の取引、合衆国の輸出業者のための運転資本支援を提供する取引については環境レビューは条件とされないが、重大なマイナスの環境影響を及ぼす可能性がある場合には、エンジニアリング・環境部(E&E部)の判断によって条件とされることもある。スクリーニング文書によって4カテゴリに分類される。

·           OPIC/環境影響の程度、事業特性に応じて、環境部門が6カテゴリに分類。

·           EDC/スクリーニング質問書を用いて、環境影響・リスクがあるもの(国立公園、熱帯雨林、珊瑚礁、世界遺産指定地などの地域環境特性/金属加工、石油ガス開発、火力発電、水力発電・水資源管理、廃棄物・排水管理などの事業特性によって)、融資機関の関与(性質と規模)に応じて環境審査が必要なものとそうでないものに分類する。原子力プロジェクトは原子力規制当局の承認書の提出の上に環境審査の対象となる。

(詳細な環境アセスメントを要求するカテゴリ)

·            カテゴリA:Sensitive Areaに立地するもの(原生林、熱帯雨林、国指定の湿地、珊瑚礁、マングローブ林、干潟、保護対象地、国立公園、国指定の海岸地域、貴重種の生息地、世界遺産、少数民族あるいは先住民族の居住地、または大規模な非自発的住民移転を引き起こす地域)。

·            A種:1)大規模なプロジェクト(道路・鉄道、空港、発電、鉱山開発、林業、広範囲の水没を伴う開発、河川集水域の開発、大量の有害化学物質・農薬の製造・利用を伴う開発、水面埋立を伴う開発)、2)以下の地域で実施される、または影響を及ぼすおそれのあるもの(塩類集積あるいは土壌侵食の発生するおそれのある地域/半乾燥地帯、熱帯の自然林、水源、魚及び野生生物資源の保護・保全もしくは持続的利用にとって貴重な生息地(珊瑚礁、マングローブの生態系を含む)/歴史的、文化的、科学的に固有の価値を有する地域/人口または産業活動が集中して、大気、水質環境の更なる悪化が懸念される地域/特定の脆弱な人口集団(伝統的な生活様式を持つ遊牧民の人々等)にとって特別な社会的価値のある地域)、3)広範囲、多様かつ不可逆的な環境影響を生じるもの、多くの住民に影響が及ぶもの(住民移転の影響を除く)、再生不可能な自然資源を大量消費するもの、土地利用または社会的、物理的、生態的環境の著しい変化の原因となるもの、大量の有害廃棄物の発生・処理を伴うもの。

·           世銀・IFC/A:提案された案件が環境に著しく悪影響を与え、その影響が鋭敏であったり(→注)、多岐にわたっていたり、先例が示されていないと考えられる場合(注:予測される影響が不可逆であったり(例えば主要な自然生息地の損失を招く)、ぜい弱な集団や少数民族に影響を与えたり、非自発的な移転や移住を伴ったり、また重要な文化遺産地域に影響を与えるような場合は、その影響が「鋭敏である」とされる。)

·           米輸銀/B:1)保護地域、プロジェクト・ファイナンス、水力発電、2)以下の地域で建設、または著しい環境影響をもたらすもの(プロジェクトへの輸出含む)。原生林、熱帯林、国の指定湿地、保護指定の荒地、国立公園、国の指定鳥獣保護区、民族や原住民の自治区、プロジェクトが大規模な移住を強いる地域。水力発電プロジェクト、水資源管理プロジェクト。

A.     OPIC/カテゴリA:影響を受けやすく、多様または先例のないほど深刻な環境影響を及ぼす可能性があるプロジェクト。具体例は付録Eに収録。大規模プラント、工業用地、原油精製、大規模火力発電プロジェクト(200メガワット以上)、鉄鋼業、農薬及び有害化学物質の製造・輸送、健康リスクをもたらすすべてのプロジェクト、輸送インフラ整備(道路、鉄道、2,100メートル以上の滑走路を持つ空港、大規模港湾開発、1,350トン以上の船の航行が可能な国内の運河と港、油・ガス開発、石油・ガスパイプライン、有毒または危険な廃棄物の処理・埋め立て、禁止カテゴリに入らないダムおよび貯水池の建設または大幅な拡張工事、紙・パルプの製造、鉱業、沖合いでの炭化水素製造、石油・石油化学製品および化学製品の貯蔵、林業/大規模伐採、大規模汚水処理、家庭用固形廃棄物処理設備、大規模観光開発、大規模電力供給、大規模干拓(灌漑、開墾、埋立)、未開拓地の開発などを含む大規模農業、人々に潜在的に重大な影響を及ぼす可能性があるすべてのプロジェクト、または深刻な社会経済的事象を伴うすべてのプロジェクト。国家的または地域的に重要な環境上影響を受けやすい場所に位置するか、またはその近くに位置するプロジェクト(湿地帯、考古学的に重要な地域、侵食や砂漠化の傾向にある地域、温帯林、寒帯林、珊瑚礁、マングローブ林、国で指定された海岸地域、管理資源保護地域、IUCNの保護地域)。

·           EDC/環境影響を及ぼす可能性があるとEDCが考えるプロジェクトは、工業、金属加工、石油ガス開発、火力発電・送電、森林開発、紙・パルプ製造、化学・石油化学施設、水力発電と水資源管理、廃棄物・排水管理、国立公園・熱帯林・珊瑚礁・世界遺産指定地・世界自然保護地域などにおけるプロジェクトがあげられている。

 

(簡易な環境アセスメントを要求するカテゴリ)

·            カテゴリB:開発途上国で行われるA、C以外の「環境チェックリスト」に示す14セクターに該当するもの。

·            B種:1)A種以外またはA種ほど環境影響がないもの、2)A種に属するプロジェクトのエンジニアリング・サービス借款。

·           世銀・IFC/B:人類または環境面から重要な地域(湿地、森林、牧草地および他の自然生息地を含む)に与え得る環境に関する悪影響が、カテゴリA案件による影響より小さい場合。

·           米輸銀/C:AやBに属さないすべての長期取引が含まれる。

·           OPIC/カテゴリB:Aよりも深刻な環境影響をもたらす可能性の低いプロジェクトで、かつA、C、D、Eに該当しないもの。例としては、農業、電力供給、電気、食品加工、軽工業、通信、服飾および観光が挙げられている。

(環境アセスメントを要求しないカテゴリ)

·            カテゴリC:1)「環境チェックリスト」14セクター以外の分野のプロジェクト、2)「環境チェックリスト」14セクターのプロジェクトだが、環境への影響が通常予見されないあるいは軽微なプロジェクト(環境対策設備新設・増設プロジェクト、拡張を伴わない設備リハビリプロジェクト等)、3)先進国で実施される出融資等対象プロジェクト、4)融資機関の関与が小さいまたは規模が小さいプロジェクト(総プロジェクトコストに占める融資割合が5%未満の案件、1,000万米ドル未満)。

·            C種:1)環境影響が予見されないもの、2)通信、教育、人材開発等が含まれうる。

·           世銀・IFC/C:環境への悪影響が最小限もしくはまったく存在しないと考えられる場合。

·           米輸銀/A(除外カテゴリ):1)特定のプロジェクトの一部として識別されないような製品(例:数ヶ国にまたがって活動を行うような建設会社へ売却された建設機械)の輸出、2)B・Cではないと識別されるような輸出であり、かつ、航空機、機関車、鉄道信号機、通常の民生通信設備、既存の空港用レーダー設備、航路管制システム、衛星プロジェクト、既存施設向け電子データ加工設備、病院設備、環境教育やフィージビリティ・スタディを含めたコンサルティング業務のいずれかであるもの。

·           OPIC/カテゴリC:非常に少ないかまったく環境影響をもたらす可能性のないプロジェクト(環境アセスメントは不要)。例としては、branch banking、コンピュータソフトウエア開発、および通信等が挙げられている。

FIカテゴリ)

 

 

·           世銀・IFC/FI世銀/IFCによる融資が金融仲介者を通してサブプロジェクトに対して行われ、そのサブプロジェクトが環境に悪影響を及ぼす可能性がある場合OP4.01-8, 22)。

·           OPIC/カテゴリD:AまたはBに携わる明確なプロジェクトやサブプロジェクトへの投資や金融サービスを行う金融仲介(FI)。環境レビューの種類はサブプロジェクトをスクリーニングし、FIの性質と規模を勘案する。

 

FI以外の特殊プロジェクトに関するカテゴリ)

 

 

·           IFC/施設の拡張・近代化・改善、民営化、企業投資プログラムについて、独立外部コンサルタントによる監査を基本として、新規部分などはガイドラインに沿った通常の手続きをとらなければならないとしている。

·           米輸銀/N:原子力プロジェクト、原子炉や関連施設、および核燃料の生産に関連するあらゆる取引。

·           OPIC/カテゴリE:環境に便益をもたらすのが明らかな小規模かつ独立型のベンチャービジネス。

·           OPIC/既存の施設の民営化を含むプロジェクトに関して、建設前フェーズにおいてカテゴリA影響をもたらす大規模なインフラ整備プロジェクトについては、オペレーショナルフェーズで影響を及ぼし続けない場合にはカテゴリB。

(融資・支援禁止カテゴリ)

 

 

·           IFC/禁止カテゴリ:有害または搾取的児童労働を含む活動、実施国の法規制または国際条約等に違反するもの、武器弾薬、アルコール飲料、たばこ、放射性物質の製造・取引、ギャンブル関連産業、放射性物質・アスベスト・PCBなど人体に有害な薬物の製造・取引、国際条約で規制されている野生生物取引、原生熱帯林の伐採・木材取引、オゾン層破壊物質の製造・取引、流し網漁業、先住民が所有または所有権を主張して司法に訴えている土地を書面による完全な合意なしに侵す活動。

·           OPIC/カテゴリF:融資禁止カテゴリ(付録Fに列挙)。熱帯原生林での社会基盤整備や採取プロジェクト、重大で不可逆的な影響を有する「大規模ダム」の建設、オゾン層破壊物質・残存性有機汚染物質の製造・使用、5,000人以上の移住を伴う、世界遺産指定地・IUCNカテゴリに属する保護区など。

 

統合ガイドラインにおいて検討すべきこと:

●スクリーニングの考え方や基準は統一すべきではないか

 ・事業の環境への影響の程度は、融資機関の業務形態に限らず同じはずであるから、基準が異なるのは不自然。実際の業務面でも混乱が生じるのではないか

●世銀やOECD/DACなどを参考として、スクリーニング基準をなるべく整合的に作るべきではないか

●カテゴリFIに相当するものを導入すべきではないか(別項目を参照)

●スクリーニングに際して必要な情報が分かるような仕組みを考えるべきではないか。

●各業務の形態に応じて、スクリーニングを早期に行えるよう、借入人に対する協議や支援を明記すべきではないか

●スクリーニングの銀行内での内部手続を明確化すべきでないか

●禁止(融資しない)カテゴリを設けるべきではないか

 

 


カテゴリの見直し/ローン・プロジェクト形態との関係

 

国際協力銀行

その他機関

国際金融等業務

海外経済協力業務

 

(明示なし)

 

(明示なし)

 

·            世銀/案件準備中に案件が修正されたり、新情報が入手可能となった場合、TTは、RESUと協議の上、案件の分類を改定するべきかどうか考慮する。(BP4.01-4)

·            IFC/新たな情報が得られれば、「環境部はカテゴリを変更する」としている。

·            米輸銀/事前にカテゴリCとしてスクリーニングされた取引のレビュープロセスの間に、当該取引がカテゴリBの取引として分類されるべきであると判断される環境情報をE&Eが受け取った場合には、輸出業者と事業主に迅速に知らせ、そして当該プロジェクトの環境影響を評価するために環境アセスメントの提出を求める。

·            EDC/(明示なし)

 

 

統合ガイドラインにおいて検討すべきこと:

¨         一端カテゴリ分類を行った後も、合理的な理由があれば、必要に応じて、カテゴリ見直しを行うことを明示すべきではないか。

 

FI(金融仲介者)の扱い

国際協力銀行

その他機関

国際金融等業務

海外経済協力業務

 

(明示なし)

(明示なし)

 

·            世銀/金融仲介者(FI)業務について、世界銀行は「各FIが、提出サブプロジェクトの審査を行い、また副借入人による各サブプロジェクトの適切なEA実施を、保証しなければならない」と定めている。案件を承認する前に、FIは、サブプロジェクトが当該国家もしくは地方当局の環境要件を満たし、かつ本OP並びにその他関連する世界銀行の環境政策と一貫していることを(独自の職員、外部専門家、または既存の環境団体を通じて)確認する。OP4.01-11)

·            IFC/付則F「金融仲介者(FI)プロジェクトの手続き」を設けているIFCの資金が特定のサブプロジェクトに直接当てられず、融資が環境的悪影響を及ぼす可能性のある金融機関を支援する場合、IFCは当該機関の環境管理プロセスに注目する。金融機関を通じて特定のサブプロジェクトにIFCの融資が当てられている場合、IFCはプロセスとサブプロジェクト両方に注目するとしている。

·          OPIC/カテゴリDに分類し、サブプロジェクトをFIの介入の質・規模を勘案した上でスクリーニングし、要求する環境レビューを当てはめる。カテゴリBに属する500万ドル以下のサブプロジェクトについては簡易レビューとする。情報公開についてはカテゴリAサブプロジェクトでもEIA等を公開しないことを認めている。

·          米輸銀/(明示なし)

·          EDC/(明示なし)

 

 

統合ガイドラインにおいて検討すべきこと:

¨         融資の審査を行う時点では、事業の内容が明らかでないツーステップローンやセクタープログラムローン等については、FIカテゴリを設け、適切な環境配慮手続き(*)を定めるべきではないか。

*:金融仲介者が銀行に成り代わってガイドラインに準じた環境配慮の確認等を行う能力・責務を有することを確認する。

投資の扱い

国際協力銀行

その他機関

国際金融等業務

海外経済協力業務

 

·          なお、借入人側が融資対象プロジェクトの運営に参画する案件について、当該プロジェクトの実施にあたり、環境配慮が現地基準に照らして十分でない等の指摘が第3者からあった場合には、その指摘を借入人に伝達する等の方法により、プロジェクト実施主体者や環境担当官庁による適切な対応を促すよう努めることとする。(5-2融資承諾後の環境配慮確認)

 

(明示なし)

 

·            世銀/(明示なし)

·            IFC/(明示なし)

·          OPIC/FIの一つとして、OPIC自身が意思決定プロセスに参画する「投資信託(investment funds)」について項目を設けている。迅速な投資意思決定が求められることから、小規模プロジェクトについてOPICの承認なしに迅速な融資が可能となる条件を示している。ただしすべてのカテゴリAに属する投資信託プロジェクトやコミットメントが500万ドルを超える、カテゴリA以外のすべてのポートフォリオ投資は、通常のスクリーニングとアセスメントを行うよう求めている。さらに、承認された改善計画に関して重大な非準拠が生じた場合に、OPICは投資信託会社に対して行使権の実施やポジションの中途解約を求めることができるとしている。

·         米輸銀/(明示なし)

·         EDC/(明示なし)

 

統合ガイドラインにおいて検討すべきこと:

¨         審査後も、銀行がその一員として経営等の意思決定に参画する「投資案件」については、環境配慮について特別の政策・手続等を定めるべきではないか。

 

 


内部手続き/内部の実施責任の明確化

 

国際協力銀行

その他機関

国際金融等業務

海外経済協力業務

 

·            スクリーニングおよびモニタリングの必要性についての検討結果は、環境担当部署により確認される。また、カテゴリA及びBに分類されたプロジェクトの中で、環境配慮につき特に専門的な観点からの確認が必要と判断されたプロジェクトについては、環境担当部署が環境配慮の確認を行う場合がある。

 

(明示なし)

·            世銀/RESUとの協議のもとに、タスクチーム(TT)は、提出案件の種類・位置・微妙さ・規模並びに潜在する影響の性質と程度を調査する。プロジェクトサイクルの最も初期の段階で、TTは、RESUの同意とともに、案件を4つのカテゴリに分類する。カテゴリAおよびB案件について、TTとRESUは、EAの結果を見直し、全てのEA報告書が、借入人と合意した実施要領に一貫していることを保証する。RESUは、見直しの結果、不十分だと判断した場合、勧告をすることができる。案件決定の段階で、RESUは、案件の環境面に関する正式許可を与える。

·           IFC/「IFCの責務」という項を設け、融資部、技術環境部など部署ごとの責任を明確にしている。融資部はプロジェクト作業全体の実施に責任を持ち、技術環境部が環境社会的事項に関する専門的支援や環境社会クリアランスの発行を含め、プロジェクトの環境社会的レビューの責任を負っている。

·           OPIC/スクリーニングを行うのは、OPICの環境担当部署、また「プロジェクトによる影響、OPICの支援に適用される基準および緩和条件を評価する」のは環境担当職員とされている。

·            米輸銀/E&Eに属する環境専門家は、環境手続の実施を含め、米輸銀内における環境関連事項の技術的なリーダーシップをとる責任を有する。専門家は、環境関連事項についてのその他の政府機関やNGOとの主任渉外担当者となる。E&E部は借入人を支援し、要求される環境情報の内容と準備に関する指針を示す。加えて、E&E部の技術スタッフは、彼らの専門領域における環境問題に関して技術的な専門知識を有しており、担当する取引の環境影響を評価する。

·            EDC/環境影響やリスクの評価について、必要に応じて内部の技術的能力を補うため外部の専門家を活用するとしている。

 

 

統合ガイドラインにおいて検討すべきこと:

¨         業務部、社会環境室、役員会などの責務・役割を内部手続きとともに明確化すべきではないか。

 

 


プロジェクトサイクル全体の中でのタイミング

 

国際協力銀行

その他機関

国際金融等業務

海外経済協力業務

 

(明示なし)

(明示なし)

·            世銀/「プロジェクトサイクルの最も初期の段階」でカテゴリ分類をするとしている。

·            IFC/「環境部ができるだけ早い機会に、環境や社会面の必要条件に関して指導するのは、プロジェクトスポンサーやIFCにとって有益である」と早期の環境レビューを推奨している。

·          OPIC/スクリーニングを「できるだけ早い段階で案件の潜在的な環境影響を明らかにするプロセス」と位置づけている。さらに、「EAとその他の環境関連報告書が、申請プロセスのできるだけ早い段階でOPICに提出されなければならない」としている。

·          米輸銀/「可能な限り早い時期」に借入人ににどのような環境情報が要求されているかを知らせるとしている。

 

 

統合ガイドラインにおいて検討すべきこと:

¨         「できるだけ早期」にスクリーニングを行うという姿勢を明らかにし、そのために借入人に必要な環境情報や協議の機会を求めているということを、業務形態に応じ、示すべきではないか。

 

 

環境審査における外部専門家の雇用

 

国際協力銀行

その他機関

国際金融等業務

海外経済協力業務

 

(明示なし)

 

(明示なし)

·            世銀/(明示なし)

·            IFC/(明示なし)

·            OPIC/タイムリーにレビュープロセスを完了できるように外部の専門家を雇うことがある。その際専門家に、機密情報保持の観点から機密扱い合意への署名が求められる。

·            米輸銀/(明示なし)

·            EDC/プロジェクトに関する環境影響および/または環境リスク評価に関する内部の技術的能力を補完するため、適宜外部の専門家を求めることができる(4.2)。

 

 

統合ガイドラインにおいて検討すべきこと:

¨         外部専門家の雇用について記述する必要はあるか。

 

 


情報収集方法・対象の位置づけ

被影響住民以外の情報

 

国際協力銀行

その他機関

国際金融等業務

海外経済協力業務

 

·          なお、借入人側が融資対象プロジェクトの運営に参画する案件について、当該プロジェクトの実施にあたり、環境配慮が現地基準に照らして十分でない等の指摘が第3者からあった場合には、その指摘を借入人に伝達する等の方法により、プロジェクト実施主体者や環境担当官庁による適切な対応を促すよう努めることとする。(5-2融資承諾後の環境配慮確認)

 

(明示なし)

·            世銀/ガイドラインには明示がないが、Directive on Disclosure of Informationの下でBP17.50:Disclosure of Operational Informationの中にEnvironmental Assessmentsというセクションが設けられている。さらに現在Information Disclosure Policy策定中(パブリック・コメント受付中)。

·            IFC/ガイドラインには明示がないが、Policy on Disclosure of Informationは、プロジェクトの影響を受ける地元住民との協議や情報の共有は、ひいてはIFC出資のプロジェクトの質を高めることになるとしている。IFCとしては、クライアントに影響しない範囲での情報公開が望ましいとしている。

·            OPIC/情報開示期間に受け取ったすべてのパブリックコメントを環境アセスメントと意思決定プロセスに反映させることとしている。

·            米輸銀/1)政府機関、国際機関及びNGO等のその他(借入人以外)の情報源から提供される情報も利用する、2)米輸銀によって妥当であると判断された案件についてその他の米国政府機関や米国大使館、多国間援助機関と協議し、プロジェクトの環境影響に関する情報を得る、としている。

·            EDC/EDCの支援を求めている団体以外(プロジェクトのその他の融資・保険機関、NGOなど)の情報源によって提供される、プロジェクトについての環境情報を考慮することがある(4.1)。

 

 

他融資機関の情報

国際協力銀行

その他機関

国際金融等業務

海外経済協力業務

 

·          なお、借入人側が融資対象プロジェクトの運営に参画する案件について、当該プロジェクトの実施にあたり、環境配慮が現地基準に照らして十分でない等の指摘が第3者からあった場合には、その指摘を借入人に伝達する等の方法により、プロジェクト実施主体者や環境担当官庁による適切な対応を促すよう努めることとする。(5-2融資承諾後の環境配慮確認)

 

(明示なし)

·            OPIC/新たなEISを作成する代わりに、同種のプロジェクトや類似した環境問題を内包するプロジェクトに対する既存のEIS、多くの同種プロジェクトをカバーする一般的なEIS、またはその他の機関が入手したEISを容認している。

·            米輸銀/1)国際金融機関やホスト国政府に対して既に準備されているプロジェクトの環境アセスメントのコピーを申請者が提出することができる、2)米輸銀によって妥当であると判断された案件についてその他の米国政府機関や米国大使館、多国間援助機関と協議し、プロジェクトの環境影響に関する情報を得るとしている。

·            EDC/EDCの支援を求めている団体以外(プロジェクトのその他の融資・保険機関、NGOなど)の情報源によって提供される、プロジェクトについての環境情報を考慮することがある(4.1)。

 

統合ガイドラインにおいて検討すべきこと:

¨         銀行の環境審査をより確実に行うために、被影響住民以外の情報源(NGOなど)を活用することを位置づけ、そのための手続等を明確にすべきではないか。

¨         銀行の環境審査を合理的かつ効率的に行うために、すでに他融資機関向けに作られた存在する環境アセスメント報告書などを活用する、また融資機関との情報交換を位置づけるべきではないか。

¨         個々の案件について各機関の環境審査結果の整合を図るべきではないか。


融資機関自身による情報公開

 

国際協力銀行

その他機関

国際金融等業務

海外経済協力業務

 

(個別案件について)

(明示なし)

 

(明示なし)

·            世銀/借入人がカテゴリA EA報告書を世界銀行に正式に提出すると、その概要(英文)は各国理事に配布され、報告書はインフォショップを通じて入手可能となる。世界銀行がインフォショップを通じてEA報告書を公開することに、借入人が反対した場合、世界銀行職員は以下のいずれかの行為をとる。a)国際開発協会案件に関しては、その案件処理手続を中断する。b)国際復興開発銀行案件に関しては、更なる処理に関する問題を各国理事に提出する。(OP4.01-19)

·            IFC/世銀と同様、借入人が反対した場合、案件処理手続を中断するが、承認を得た場合はカテゴリAについてはEA報告書(案の段階から)を(60日間)、カテゴリBについては環境部が作成する環境レビューサマリー(ERS)と協議の結果を(30日間)、世界銀行インフォショップを通じて一般に公開するとしている。

·            OPIC/情報開示プロセスについては、IFCのGood Practice Manualを参照することを推奨している。また、情報の自由法(FOIA)における情報開示要求を条件とする一方、企業秘密情報を除外する。カテゴリAについては、内容・場所をOPICのウェブサイト上で公開した上で、申請者から提出されたEIA等を公衆のコメントを求めるために60日間にわたって開示する。ただしFIについてはEIA等の開示を行わず、単に内容・場所と企業秘密に該当しないようなその他の情報を、借入人と相談の上ウェブサイト上で開示するにとどめる。

·            米輸銀/カテゴリB、Cについて最終的なコミットメントのための申請書を受領した際に、NGOやその他の利害関係者からプロジェクトの環境影響に関する有益な情報を引き出すため、米輸銀のウェブサイト(www.exim.gov)に、当該プロジェクトの内容と実施場所(例:フィリピン・レイテ島の地熱発電設備)を閲覧可能な状態にする。さらにカテゴリBについては、環境アセスメントが入手可能であることが、その入手方法とともにこの一覧表に記される。外部の人々に対して機密情報を開示することをTrade Secret Actにより禁じられている。なお、提供された環境情報をレビューし考慮に入れるが、情報を提供した個人や団体に対し返答することはできないとしている。

·           EDC/商慣行に倣って、EDCは、機密情報として公衆に知られていない取引情報を考慮し、関係団体や集団の許可なくこうした情報を開示しない(10.1)。

 

(年次報告について)

 

 

·            OPIC/プロジェクトの規模と特徴等について、企業秘密情報は除外した上で、年次報告書において開示され、議会と公衆に報告する。

·            EDC/年次報告書において、クライアントとその他の団体に関連する機密情報を尊重しつつ「環境レビュー・フレームワーク」の適用に関する報告を行う(8.0)。

 

 

統合ガイドラインにおいて検討すべきこと:

¨        銀行自身で、審査中の案件に関する情報を公開する手続を定めるべきではないか。

¨        年次報告等で、環境審査の実施状況等について公表すべきではないか。


(融資)計画への反映方法(L/Aなどの契約文書に条件としてどう書き込むか)

国際協力銀行

その他機関

国際金融等業務

海外経済協力業務

 

 

·           環境ガイドラインには明示されていないが、「海外経済協力業務実施方針」に「環境ガイドラインに基づき、事前に厳しく審査し、その結果に応じて、適切な対策を講じるとともに、環境に与える影響次第では実施しないこととする」とある。

·            世銀/TT(タスクチーム)とLEG(法律部)は、貸付条件にEMPの実行義務が含まれること、またEMP実行において効果的な監督・モニタリングを促進するために適当な場合には、EMPで特定された具体的な方策が付加条件として含まれること、の二点を保証する。(BP4.01-19)

·            IFC/反映事項が融資合意書に書き込まれ、公開される。借入人が公開に同意しない場合、IFCの作業はストップする。

·            OPIC/環境社会要件が法的文書(契約関連文書)に反映されていることを確認する。

·            米輸銀/(明示なし)

·            EDC/(明示なし)

 

 

統合ガイドラインにおいて検討すべきこと:

¨        環境審査において、借入人等が対策等の実施を確実に行うことを担保するよう、契約文書など法的文書に、環境配慮の審査結果に基づき、必要な事項を書き込むことを明らかにすべきではないか。