各援助機関・輸出信用機関の情報公開・協議

(作業中・未定稿)

2月13日研究会用

 

以下の表は、検討のための素材として、JBICの国際金融等業務及び海外経済協力業務、並びに、世銀、国際金融公社(IFC)、米国輸銀及び米国民間投資公社、カナダ輸出開発公社(EDC)のガイドラインにおいて、「どのような環境配慮の確認を行っているか」について整理を試みたものである。それぞれのガイドラインを完全に反映しているものではない。

修正すべき点があれば、ご意見願いたい。

 

<借入人に対する融資機関の要求・関与>

関係者(住民含む)との協議

 

 

国際協力銀行

その他機関

国際金融等業務

海外経済協力業務

 

·         自然環境への配慮だけではなく、社会環境、特に非自発的な移転を余儀なくされる住民及び周辺住民に対して、説明が十分なされるなど、住民の同意が得られるための適切な配慮がなされていることが必要であり、本行はこれを確認する。

 

 

·         借入国内での所要の手続きを終了した環境アセスメント報告書が借入国政府から提出されなければならない

·         環境アセスメント報告書は、借入国内において公開されたものであることが望ましい

·         住民移転が発生するプロジェクトにおいては、(中略)借入国によって移転住民の意向が十分聴取されなければならない

 

·         IFC/できるだけ早期の段階から協議を行うよう推奨。特にカテゴリAプロジェクトに対しては、@スコーピング直後でTOR完成前、A影響評価書案が準備できた段階の最低2回を明示。Public Consultation & Disclosure Planの作成を義務づけ、できるだけ早い段階から準備を始め、常に改定されていくべきとしている。EIA手続きが終了している場合は、追加協議を要求している。

·         IFC/カテゴリAについて公開協議のマニュアルDoing Better Business through Effective Public Consultation and Disclosureを必ず参照すべきとしている

·         米輸銀/「プロジェクトの環境的および社会文化的側面についての情報源」として、米国政府、国際開発銀行のほか、第三者を位置づけている。

·         OPIC/IFCのマニュアルを参照することを推奨。影響を受ける人々が理解できるような言語、形式、媒体で公開することを指示している。

·         OPIC/すべての申請者(特にカテゴリA)に対し、EIAのスコーピング、準備と完了、およびその他環境研究について、すべての地域利害関係者と有意義な公開協議を実施するように強く勧告している。

 

 

統合ガイドラインにおいて検討すべきこと:

¨         借入人/相手国に対し関係者との協議を求めること

¨         協議や情報提供を求める関係者を被影響住民に限らず、NGO等広くとらえること。

¨         借入人/相手国における環境アセスメント報告書の公開を必要条件として求めること(相手国の制度や案件によっては、公開が必要条件でない場合もありうるが、JBIC側として必要条件とするかどうか)

¨         協議や公開の頻度・時期等について具体的に求めること。

 


情報公開

 

 

 

国際協力銀行

その他機関

国際金融等業務

海外経済協力業務

 

·         影響を受ける住民については、説明が十分になされるなどの配慮が必要であるとしているのみ

 

 

·         借入国内での所要の手続きを終了した環境アセスメント報告書が借入国政府から提出されなければならない

·         環境アセスメント報告書は借入国内において公開されたものであることが望ましい

 

·         世銀、IFC/影響評価書案とその他公衆協議に提供された書類すべてを全ステークホルダーに公開を義務づけ(現地語含む)、その概要英語版の公開は融資機関側の責任としている。

·         IFC/カテゴリAについて公開協議のマニュアルを必ず参照のこととしている。

·         OPIC/IFCのマニュアルを参照することを推奨。ウェブサイトで今後支援を予定しているプロジェクト一覧(特徴と場所、申請者・スポンサー名は非公開)。FIプロジェクトについては企業秘密等の保護の観点から「公表範囲を特定する」としている。

·         OPIC/借入人に対してEIAなどをいつでも相手国において公表できるようにしておくよう勧告している。またOPICに提出する際に、公表しやすいように読込専用のファイルでの提出を求めている。

 

 

統合ガイドラインにおいて検討すべきこと:

¨         (関係者との協議に同じ)

 

文書化 (環境アセスメント報告書の作成)

(公開協議のための概要作成、使用言語等の指定など)

 

 

 

国際協力銀行

その他機関

国際金融等業務

海外経済協力業務

 

·         カテゴリAについて「(英訳または和訳された)環境影響評価書(EIA)、必要に応じて住民移転計画、先住民開発計画等の情報に基づき」環境影響に対する配慮の確認を行うとしている。

 

·         A種について環境アセスメント報告書(英文もしくは和文の要旨が添付されたもの)が借入国政府から提出されなければならない

 

·         世銀/「カテゴリーA案件のための環境アセスメント報告書の内容」(OP4.01-B)に、書かれる言語<英・仏・西>と項目<概要、政策的・法的・行政的枠組み、案件の記述、基底情報、環境へ影響、代替案の分析、環境管理計画、その他添付書類>が詳細に定められている。またGP4.01「環境アセスメント」には時期や形式<ページ数、フォント数など>も記載されている。

·         IFC/「環境影響報告書の内容」(Guidance Note B)に書かれる言語と項目が定められている。報告書の概要は公開協議で使われるため、現地使用言語に翻訳することとしている。

·         米輸銀/相手国または他の融資機関の要望で、すでに作成されている環境影響評価書のコピーを提出することができる。また「環境アセスメントの書式と目次のアウトラインガイダンス」にサンプル項目や目次の例示がある。

·         OPIC/環境影響評価書や環境管理・モニタリング計画、初期環境監査の推奨記載内容と形式を示している。

 

統合ガイドラインにおいて検討すべきこと:

¨        要求する文書の内容等の条件付け、特に情報公開・公開協議への配慮

融資機関自身による情報収集方法・対象の位置づけ>

 

被影響住民以外の情報

国際協力銀行

その他機関

国際金融等業務

海外経済協力業務

 

·          なお、借入人側が融資対象プロジェクトの運営に参画する案件について、当該プロジェクトの実施にあたり、環境配慮が現地基準に照らして十分でない等の指摘が第3者からあった場合には、その指摘を借入人に伝達する等の方法により、プロジェクト実施主体者や環境担当官庁による適切な対応を促すよう努めることとする。(5-2融資承諾後の環境配慮確認)

 

(明示なし)

·            世銀/ガイドラインには明示がないが、Directive on Disclosure of Informationの下でBP17.50:Disclosure of Operational Informationの中にEnvironmental Assessmentsというセクションが設けられている。さらに現在 Information Disclosure Policy 策定中(パブリック・コメント受付中)。

·            IFC/ガイドラインには明示がないが、Policy on Disclosure of Information は、プロジェクトの影響を受ける地元住民との協議や情報の共有は、ひいてはIFC出資のプロジェクトの質を高めることになるとしている。IFCとしては、クライアントに影響しない範囲での情報公開が望ましいとしている。

·            OPIC/情報開示期間に受け取ったすべてのパブリックコメントを環境アセスメントと意思決定プロセスに反映させることとしている。

·            米輸銀/1)政府機関、国際機関及びNGO等のその他(借入人以外)の情報源から提供される情報も利用する、2)米輸銀によって妥当であると判断された案件についてその他の米国政府機関や米国大使館、多国間援助機関と協議し、プロジェクトの環境影響に関する情報を得る、としている。

·            EDC/EDCの支援を求めている団体以外(プロジェクトのその他の融資・保険機関、NGOなど)の情報源によって提供される、プロジェクトについての環境情報を考慮することがある(4.1)。

 

 

他融資機関の情報

国際協力銀行

その他機関

国際金融等業務

海外経済協力業務

 

·          なお、借入人側が融資対象プロジェクトの運営に参画する案件について、当該プロジェクトの実施にあたり、環境配慮が現地基準に照らして十分でない等の指摘が第3者からあった場合には、その指摘を借入人に伝達する等の方法により、プロジェクト実施主体者や環境担当官庁による適切な対応を促すよう努めることとする。(5-2融資承諾後の環境配慮確認)

 

(明示なし)

·            OPIC/新たなEISを作成する代わりに、同種のプロジェクトや類似した環境問題を内包するプロジェクトに対する既存のEIS、多くの同種プロジェクトをカバーする一般的なEIS、またはその他の機関が入手したEISを容認している。

·            米輸銀/1)国際金融機関やホスト国政府に対して既に準備されているプロジェクトの環境アセスメントのコピーを申請者が提出することができる、2)米輸銀によって妥当であると判断された案件についてその他の米国政府機関や米国大使館、多国間援助機関と協議し、プロジェクトの環境影響に関する情報を得るとしている。

·            EDC/EDCの支援を求めている団体以外(プロジェクトのその他の融資・保険機関、NGOなど)の情報源によって提供される、プロジェクトについての環境情報を考慮することがある(4.1)。

 

統合ガイドラインにおいて検討すべきこと:

¨         銀行の環境審査をより確実に行うために、被影響住民以外の情報源(NGOなど)を活用することを位置づけ、そのための手続等を明確にすべきではないか。

¨         銀行の環境審査を合理的かつ効率的に行うために、すでに他融資機関向けに作られた存在する環境アセスメント報告書などを活用する、また融資機関との情報交換を位置づけるべきではないか。

¨         個々の案件について各機関の環境審査結果の整合を図るべきではないか。

<融資機関自身による情報公開>

 

国際協力銀行

その他機関

国際金融等業務

海外経済協力業務

 

(個別案件について)

(明示なし)

 

(明示なし)

·            世銀/借入人がカテゴリA EA報告書を世界銀行に正式に提出すると、その概要(英文)は各国理事に配布され、報告書はインフォショップを通じて入手可能となる。世界銀行がインフォショップを通じてEA報告書を公開することに、借入人が反対した場合、世界銀行職員は以下のいずれかの行為をとる。a)IDA案件に関しては、その案件処理手続を中断する。b)IBRD案件に関しては、更なる処理に関する問題を各国理事に提出する。(OP4.01-19)

·            IFC/世銀と同様、借入人が反対した場合、案件処理手続を中断するが、承認を得た場合はカテゴリAについてはEA報告書(案の段階から)を(60日間)、カテゴリBについては環境部が作成する環境レビューサマリー(ERS)と協議の結果を(30日間)、世界銀行インフォショップを通じて一般に公開するとしている。

·            OPIC/情報開示プロセスについては、IFCのGood Practice Manualを参照することを推奨している。また、情報の自由法(FOIA)における情報開示要求を条件とする一方、企業秘密情報を除外する。カテゴリAについては、内容・場所をOPICのウェブサイト上で公開した上で、申請者から提出されたEIA等を公衆のコメントを求めるために60日間にわたって開示する。ただしFIについてはEIA等の開示を行わず、単に内容・場所と企業秘密に該当しないようなその他の情報を、借入人と相談の上ウェブサイト上で開示するにとどめる。

·            米輸銀/カテゴリB、Cについて最終的なコミットメントのための申請書を受領した際に、NGOやその他の利害関係者からプロジェクトの環境影響に関する有益な情報を引き出すため、米輸銀のウェブサイト(www.exim.gov)に、当該プロジェクトの内容と実施場所(例:フィリピン・レイテ島の地熱発電設備)を閲覧可能な状態にする。さらにカテゴリBについては、環境アセスメントが入手可能であることが、その入手方法とともにこの一覧表に記される。外部の人々に対して機密情報を開示することをTrade Secret Actにより禁じられている。なお、提供された環境情報をレビューし考慮に入れるが、情報を提供した個人や団体に対し返答することはできないとしている。

·           EDC/商慣行に倣って、EDCは、機密情報として公衆に知られていない取引情報を考慮し、関係団体や集団の許可なくこうした情報を開示しない(10.1)。

 

(年次報告について)

 

 

·            OPIC/プロジェクトの規模と特徴等について、企業秘密情報は除外した上で、年次報告書において開示され、議会と公衆に報告する。

·            EDC/年次報告書において、クライアントとその他の団体に関連する機密情報を尊重しつつ「環境レビュー・フレームワーク」の適用に関する報告を行う(8.0)。

 

 

統合ガイドラインにおいて検討すべきこと:

¨         銀行自身で、審査中の案件に関する情報を公開する手続を定めるべきではないか。

¨         年次報告等で、環境審査の実施状況等について公表すべきではないか。