各援助機関・輸出信用機関の社会影響への配慮

(作業中・未定稿・第1版)

2月27日研究会用

 

以下の表は、検討のための素材として、JBICの国際金融等業務及び海外経済協力業務、並びに、世銀、国際金融公社(IFC)、米国輸銀及び米国民間投資公社、カナダ輸出開発公社(EDC)のガイドラインにおいて、「どのような環境配慮の確認を行っているか」について整理を試みたものである。それぞれのガイドラインを完全に反映しているものではない。

 

なお、世銀等では、別途ポリシーペーパーに政策、手続、配慮事項等が記載されている。別途、配布する世銀関係の文書の仮訳を参照して読まれたい。

また、これらの世銀の文書は現在に向けて新しい案がパブリックコメント受付中であり、近日中に正式に改訂される予定である。

 

(修正すべき点があれば、ご意見願いたい。)

 

社会配慮と環境ガイドライン

 

国際協力銀行

その他機関

国際金融等業務

海外経済協力業務

 

·      「環境配慮の適切性を確認するための基準等」として「社会環境(特に住民の非自発的移転)」を挙げている。

 

·        ガイドラインでは住民移転について4つの考え方が示されているほか、チェックリスト等において文化遺産等への言及がある。

·        HANDBOOK ON SOCIAL DIMENSIONS FOR ODA LOANS』(旧OECF、1999年)を作成・提供している。

·        世銀/GP4.01付則「EAのための潜在的問題チェックリスト」で、先住民族については「OP4.20先住民族」(策定中、現在は1991年OD4.2)、非自発的移住については「OP4.12非自発的移住」(策定中、現在は1990年OD4.03)、文化遺産については「OP4.11文化遺産の保護」(策定中、現在は1986年OPN11.03)を参照することとしている。

·        IFC/「プロジェクトが重大で多様な社会的影響を引き起こす可能性がある場合、IFCは提案されたプロジェクトが引き起こす可能性のある社会的影響に関する情報を集め、このような問題をそのプロジェクトのアプレイザル・プロセスの一部として検討する」とし、世銀のセーフガードポリシーOP4.12、OP4.12、OP4.11とIFC独自の政策宣言「有害児童労働」(1998年)を定めている。

·        OPIC/「OPICは、民間部門投資に適用可能な範囲でこの(世銀の業務)方針を利用している」としている。

·        米輸銀/記述なし。

·        EDC/記述なし。

 

 

統合ガイドラインにおいて検討すべきこと:

¨      環境配慮に、社会配慮が含まれていることを、まず明確にすること。

¨      配慮すべき社会的項目(非自発的移住、先住民族、文化遺産、ジェンダー、児童労働等)を具体的に挙げること。

¨      社会配慮の目的・原則・考え方をガイドラインに明文化すること。あるいは、OECFで作成したハンドブック、または、既存の世銀等の文書を参照する規定をおくこと。

¨      HANDBOOK ON SOCIAL DIMENSIONS FOR ODA LOANS』を国際金融等業務においても適用すること。


住民移転/非自発的移住

 

国際協力銀行

その他機関

国際金融等業務

海外経済協力業務

 

·      「環境配慮の適切性を確認するための基準等」として「社会環境(特に住民の非自発的移転)」を挙げ、「自然環境への配慮だけではなく、社会環境、特に非自発的な移転を余儀なくされる住民及び周辺住民に対して、説明が十分なされるなど、住民の同意が得られるための適切な配慮がなされていることが必要であり、本行はこれを確認する。何らかの問題が生じた場合には、本行は、配慮の適切性について、国際的に認知されている考え方・手法を参考にしつつ確認する」としている。

·      カテゴリAには「少数民族あるいは先住民族の居住地、または大規模な非自発的住民移転を引き起こす地域」でのプロジェクトが含まれ、「必要に応じて住民移転計画、先住民開発計画等の情報に基づき、『環境チェックリスト』を活用しつつ、『Sensitive Area』の持つ特性に関連する環境影響に対する配慮の確認を行なう。この際、原則として、現地実査を含む専門的な観点からの確認を行う」としている。

 

·        「環境配慮に関する基本的事項」として「住民移転」を挙げ、「i.プロジェクトの計画と実施に当たっては、非自発的な立ち退きと再定住が求められる住民及び主たる収入源を喪失する住民(以下「移転住民」という)への配慮が必要である」「ii. プロジェクトは、その計画策定段階で移転住民数が必要最小限になるように代替案の慎重な検討がなされたものでなければならない」「iii. 住民移転が発生するプロジェクトにおいては、影響を軽減するための計画が予め策定されていなければならない。その計画は、借入国によって移転住民の意向が十分聴取されたものでなければならない。」「iv. 住民移転に伴う影響を低減するための計画は、移転住民の移転後の生活、所得の回復を目的としたものでなければならない」としている。

 

·        世銀・IFC/非自発的移住についてはOP4.12「非自発的移住」(策定中、現在は1990年OD4.03)をセーフガードポリシーとして採用している。セーフガードポリシーの目的は「移住させられる住民が利益を得ることを保証すること」とし、非自発的移住の回避・最小化の原則、移住を伴うプロジェクトへの移住計画策定の義務づけ、移住計画策定プロセスへの住民参加の促進、(移住先の)受入住民への配慮をプロジェクトのできるだけ早い段階から考慮すべき項目として列挙している。さらに移住計画や住民参加の促進、受入住民との統合、社会経済調査、銀行の役割などについて具体的内容を記述している(別紙参照)。

·        OPIC/大規模水力発電のマイナス影響の一つとして、先住民の非自発的移住をあげ、5,000人以上の移住を伴う大規模ダムプロジェクトは禁止カテゴリに入れている。

·        EDC/記述なし

·        米輸銀/記述なし

 

 

 

統合ガイドラインにおいて検討すべきこと:

¨      海外経済協力業務に示されるような、住民移転についての基本的考え方を統一的に採用すること。

¨      さらには、世銀等のポリシーに示される諸項目についても、基本的考え方としてガイドラインあるいはグッドプラクティス集としてとりいれること。

¨       


先住民族

 

 

 

国際協力銀行

その他機関

国際金融等業務

海外経済協力業務

 

·      カテゴリAには「少数民族あるいは先住民族の居住地、または大規模な非自発的住民移転を引き起こす地域」でのプロジェクトが含まれ、「必要に応じて住民移転計画、先住民開発計画等の情報に基づき、『環境チェックリスト』を活用しつつ、『Sensitive Area』の持つ特性に関連する環境影響に対する配慮の確認を行なう。この際、原則として、現地実査を含む専門的な観点からの確認を行う」としている。

 

 

·        カテゴリAには「特定の脆弱な人口集団(伝統的な生活様式を持つ遊牧民の人々等)にとって特別な社会的価値のある地域」でのプロジェクトが含まれるとしている。

 

·        世銀・IFC/「OP4.20先住民族」(策定中、現在は1991年OD4.20)をセーフガードポリシーとして採用している。セーフガードポリシーの目的を、世銀のプロジェクトによって@先住民族が利益を受けることを保証すること、A先住民族への悪影響を回避または緩和すること−としている。先住民族への十分な情報提供、重大な問題が生じる場合に先住民族計画の必要性、先住民族の定義、先住民族計画の内容、銀行の役割などについて具体的内容を記述している(別紙参照)。

·        OPIC/世銀のセーフガードポリシーを参考にするとしている。

·        米輸銀/記述なし。

·        EDC/記述なし。

 

 

 

統合ガイドラインにおいて検討すべきこと:

¨      先住民族、少数民族により注意が払われるべきことをガイドラインで示すこと。

¨      さらには、世銀等のポリシーに示される諸項目についても、基本的考え方としてガイドラインあるいはグッドプラクティス集としてとりいれること。