国際協力銀行の環境ガイドライン統合に係る研究会・フォローアップ委員会

3回会合 議事録

 

日時:20001210日(月)午後5時〜7

場所:国際協力銀行

配布資料:

 研究会「提言」と「ドラフト案」の対照表(作成:国際協力銀行)

 新環境ガイドライン(案)へのコメントT(作成:メコン・ウォッチ 松本悟)

 研究会提言とJBIC環境ガイドライン案の比較・コメント(作成:地球の友ジャパン)

 人権に関する付属書(案)(作成:市民外交センター)

出席者:(敬称略、アイウエオ順)

 委員長:原科 幸彦/東京工業大学大学院・総合理工学研究科教授

 委 員:上村 英明/市民外交センター

     川崎 研一/外務省経済協力局有償資金協力課企画官

     寺田 達志/環境省地球環境局総務課長

     馬場 義郎/財務省国際局開発政策課課長補佐

     松本 郁子/地球の友ジャパン

     松本 悟/メコン・ウォッチ

     本山 央子/地球の友ジャパン

     門間 大吉/財務省国際局開発企画官

 

     大仲 千華/市民外交センター

     畠中 エルザ/(財)地球・人間環境フォーラム

     福田 健司/メコン・ウォッチ

     山口 明住佳/衆議院議員河野太郎事務所

 

 国際協力銀行

  天野 辰之/国際協力銀行金融業務部業務課係員

  入柿 秀俊/国際協力銀行総務部総務課長

  大矢 伸/国際協力銀行総務部総務課調査役

  佐藤 恭仁彦/国際協力銀行総務部総務課副参事役

  萩原 烈/国際協力銀行開発業務部専門調査員

  本郷 尚/国際協力銀行環境社会開発室第1班課長

  森 尚樹/国際協力銀行環境社会開発室第2班課長

 

議事録作成:

 波多江 秀枝/地球の友ジャパン

 

JBICまず、先週の動きを簡単に説明。126日のパブリック・コンサルテーション・ミーティングは80人強の出席者をえて、企業、NGOからさまざまなご意見をいただいた。また、9日に関西でNGOJBIC意見交換会を開催し、長時間にわたりさまざまな話題を意見交換した。環境ガイドラインへの関心も高く、さまざまな意見をいただいた。フォローアップ委員会は今週、来週で2回予定されているが、なるべく早くパブリック・コメントにかけたいので、パブコメ期間中も委員会で意見交換する形がよい。

原科:今日は対照表の順番に沿って議論したい。

松本悟:配布した資料『新環境ガイドライン(案)へのコメント』だが、基本的に新しいガイドライン案の項目の流れに沿い3.(3)の項目まで提言と照合し、かつ新しく入ったものは必要性も吟味しながら書いた。まず、前書きに関しては、「環境配慮」と「環境社会配慮」の明確化が1点目。これは後ろ部分にも関連する。いくら「環境配慮」が社会を含めたものだと前書きで定義しても、その後に、提言で「環境や社会への影響を配慮し」と書いてあるところまで「環境への配慮」としてしまうと「社会」がかなり弱くなり、環境配慮を狭く捉えてしまう。例えば、私の資料p.2◆付属書(1)の1項目目で指摘しているようなことは、提言通り「環境社会配慮」としてはいかがか。2点目は、「確認」という書き方。「確認」は借入人等が行う環境社会配慮をJBICが確認するということだが、このガイドラインはJBICが主体となって行うことにまで触れているので、「確認」と限定するのはいかがか。3点目も「確認」という言葉の使い方。4点目の人権は、研究会で議論し、提言341 p.6の最終段落に書いたことを踏まえ、前書きで述べていただきたい。

本山:地球の友ジャパン配布資料『研究会提言とJBIC環境ガイドライン案の比較・コメント』の1.全般に関してのコメントだが、まず、単語の定義や使用方法について確認が必要。最初の「環境配慮」は松本悟さんと同じ点。2点目の「環境レビュー」「環境配慮の確認」に関しては「環境レビュー」を一回定義しているが、場所により表現が変わっている印象があるので確認したい。3点目は「借入人」「実施主体」「事業者」という言葉の使い方を確認したい。4点目は「ステークホルダー」という言葉を確認したい。住民やNGOがステークホルダーとみなされないことが多いことを認識し、提言では「住民やNGO等」と表現していた。構成は、付属書の扱いについて後で述べたい。また、提言の4章以降や平文中のもので抜けているところが多い。

 前書きは主に2点。提言の平文通り、国際的に認められた環境社会配慮の規範を引いて銀行の姿勢を宣言することが趣旨なので、提言通り「持続可能な発展と人権に関する原則、条約、協定に沿った融資業務」とし、そのためにガイドラインを策定・公表・実施することを明確にしてほしい。2点目は、出資も融資案件と同様にガイドラインの手続で環境配慮を行う旨を明記すべきと平文で注文したのだが、見当たらないので記述してほしい。

JBICまず、「環境配慮」という言葉とその後で「環境及び社会」という表現が「環境」のみになっていることについて。付属書(1)で、自然環境と非自発的移住や先住民族などの社会環境の両面を含め「環境配慮」と定義付ける形で整理した。「社会」を落としたということではなく、最初に書いてある定義(「環境」)で一本化して示した方が、むしろすっきりするだろう。

原科:表現をすっきりさせるため「環境配慮」にするなら、逆に「環境社会配慮」でもいいのではないか。

JBIC初めに「環境社会配慮」という言葉にすればそれでもいい。ただ、「環境社会配慮」は前回の議論でもあった通り、こなれた言葉ではないので「環境配慮」がいい。

原科:先週のリオ+10の話では、環境と社会を明確に分けて表現していた。先進国では環境は広い意味だろうが、途上国では環境の概念を狭く捉える場合もあるかもしれないので、環境と社会をクリアに書いた方がいいだろう。日本はそのような概念がないし、表現上の問題だけであれば、明確に分けて表現し、むしろ「環境社会配慮」という概念を日本に広めた方がいいのでは。

上村:賛成だ。ガイドラインはわかりやすいことが非常に重要。「環境社会配慮」とした方が全体的にもわかりやすくなる。付属書で明記したとしても、全体に新しい概念が了解されているのだから、今までの概念より広いことを言葉で明示した方が読み手に対しても親切だ。「環境社会配慮」という言葉を使わない理由は何もない。

JBIC開発分野の「社会配慮」は、貧困層支援なども強く想定したものになる。ガイドラインで網をかけようとするものも、かなり大きな範囲になるイメージがあり座りが悪い。

原科:「環境社会配慮」という用語を使い、定義を一行加えれば解決する。前書きと基本方針のどちらでやるか。提言の前書きはコンパクトだが、ドラフト案の前書きは長い。いずれにしても、調整が必要。

川崎:前書き第1パラ「環境配慮」を「環境社会配慮」とし、以降「環境配慮」を全て「環境社会配慮」に一括変換するのも一案。JBICはその際、「環境社会配慮」の概念を明確にし、誤解を生じないのならよいという理解でよろしいか。定義には、積極的な貧困層への対応ではないとは書かないが。

JBIC「環境配慮」と書き「配慮すべき社会面は」と書くのがドラフト案。「環境社会配慮」と書き「社会配慮は」と制限してしまうのはあまり積極的でなく抵抗感がある。

川崎:なぜ、積極的でないのか。

JBIC広い意味での「社会配慮」のうち、限られた部分を対象にするのは気分がよくない。

門間:「環境配慮」とだけ書き「社会」を全く無視するのとどちらがプレゼンスがないかだ。

JBIC両様あるだろう。

原科:「環境社会配慮」という用語を使用してはいかがか。これに関連し、前書きで概念を言う場合に括弧は適切でない。今の提案のように、「環境社会配慮確認を通じ、国際社会…(略)…ガイドラインを定め、公表する」とし、その次に「環境社会配慮とは」今括弧の中に書いてあるような○○だとしてはいかがか。「環境社会配慮」は、通常の自然環境だけでなく○○を含むものであると、ワンセットの新しい言葉としてはいかがか。

川崎:前回は「環境配慮」という言葉を前提としていたが、どちらの言葉を使うにせよ、例えば、「この環境社会配慮とは、○○の自然科学の側面のみならず、○○、人権の問題を含めた社会面の配慮を含むものだ」と括弧の外で一度書くことを提案した。括弧の中でなく、注としてもう少し長い文章にしてもよいのでは。

原科:「自然環境のみならず」くらいで、長くしなくてもよいだろう。「環境社会配慮とは、自然環境のみならず、非自発的移転や先住民等の人権の尊重他の社会面への配慮を含むものである」としてはいかがか。

JBIC社会開発配慮ハンドブックとの関連もある。

川崎:タイトルは環境ガイドラインのまま変えなくていいのか。

原科:中で定義をし、タイトルは環境ガイドラインでいいのでは。

JBICこれこの点については内部でも議論があった。「環境」を言葉で整理すると我々の概念は、歴史的に最初に出てきた典型的なポリューション・コントロールの話。それから、エコロジカルな話。最後に人の問題として社会面が出てきた。この経緯を考えあわせると、どれか一つだけ取り出すのでなく3つのバランスが重要。社会を落とすことに意味があったのでなく、3つを等しく入れているということだ。一方ECGでは、環境のスコープの中に社会は入れるべきでないという議論もあった。最終的には、国内事情のある国もあるということで、社会面を落とした経緯がある。個人的には、「環境社会」と外に社会を出すよりは、むしろ「環境」とし、その中に「社会を入れている」と明示した方が環境から社会を除外しないという点で強いと思い整理した。

原科:英語ではEnvironmentという表現で、幅広く意味をとるという理解でもいい。日本語では「環境社会配慮」とした方がよく理解されると思う。

JBICこれまでのガイドラインでも、すでに自然環境だけでなく住民移転や先住民などを含め「環境配慮」としてきた。JBICの求めている「環境配慮」のカテゴリーとして、借入人にもこれまでのイメージがある。「環境社会配慮」という言葉にし、「社会」が先住民や住民移転の範囲以上に広がってしまいイメージだけで大変だと借入人に捉えられてもどうかと思ったので、「環境配慮」にすれば環境配慮の基本的なところは何ら変わらないというメッセージにもなるのではないかと言葉を選ぶ時に考えた。もちろん子供の権利やエイズなど取り入れられるものは多少プラスして取り入れようとしているが。

門間:いずれにしても定義を置くのだから、その懸念は無用では。

松本悟:ただ、最初に言ったように、後の方で、「環境及び社会」と書くべきところを「環境」のみにしているのはいかがか。

JBICそれについては後で具体的に教えてもらいたい。一生懸命考えたつもりだが、意図に反し落ちていたり間違えたりしているところもあるかもしれないので。

川崎:「環境社会配慮とは……」と後ろに続く定義が同じなら、定義は変わらない。メッセージの伝わり方に関して、事業者にはJBICがこれから説明するだろうが、一般の人に対する効果を考えると、逆に「環境配慮」から「環境社会配慮」に変えることで、これから社会面をもっと見るというメッセージが伝わる。言葉の選択として、どちらの目で見て、より効果が得られるかということだろう。

本山:私も定義があればどちらでもいいとも思うが、定義は少し考える必要がある。括弧内で「先住民等の人権の尊重」とあるが、これでは先住民の人権しか考えないとも取れる。コミュニティーなどの言葉も用い、社会的にネガティブな影響を防ぐことが明確になるような表現を考えてほしい。

原科:これは、「人権の尊重他の」の「他の」で入っている気もするが。

JBIC他も入っていて代表させているという理解だが、例示については今のコメントを受けて、ワーディングを考えてみる。

原科:「環境社会配慮」という表現を用い、括弧の外で定義を文章化するという案は。

JBIC後ろの部分と密接に結びついているようなので保留させてほしい。

川崎:前書きの「確認」というキーワードについては。

JBIC本文では、個別の事業に対する融資の適切性を「確認」するという使い方をし、言葉の定義は、事業者が行う環境配慮を金融機関の目で見るということ。前文では、3つの本行がやるべき環境配慮の概念、つまり、1.個別案件のガイドラインによるレビュー(環境配慮確認)、2.環境にいいプロジェクトへの積極的な融資、3.企業経営のうち、ここでは初めの2つの環境配慮を取り上げているが、1つめの概念の中で、我々が融資する個別案件で事業者が行った「環境配慮」を本行が「確認」するという使い方をしている。

門間:個別案件で事業者が行う環境配慮を「確認」するという通常の狭い意味で「確認」を定義しているということか。

JBICそうだ。

松本悟:それはわかるが、例えば、対照表p.7「意思決定、融資契約等への反映」のドラフト案「適切な環境配慮がなされるよう借入人を通じ、……融資等を実施しないこともありうる。」の箇所で明示しているのは、狭い意味の「確認」だけでなく、その確認をした上で、問題があれば是正させる働きかけをJBICが主体的に行うということ。それがJBICにとっての環境配慮だと理解している。一般的に「確認」とした場合、その働きかけがない感がある。JBICとして働きかけも意識している以上、「確認」という言葉では非常に狭い。

本山:同感だ。ドラフト案「環境配慮にかかる基本的考え方」の「環境配慮の責任主体」という項目も今言った趣旨で入れられているのだろう。これを読む限り、環境配慮の主体はあくまで実施者で、JBICは主体でなく単に「確認」するだけという宣言が最初に入ってしまっているようにも見える。研究会の議論で、JBICが環境配慮のため責任をもって積極的にレビューをし、モニタリングについても積極的にアクションをとっていくことで、「主体的に環境配慮を確保する」ということにしたので、配慮は実施者、JBICは「確認」という線引きは意味が非常に狭いのではないかという懸念を持つ。

JBIC今の議論を聞いて残念だ。ずっと議論してきたのは一体何か。我々は事業者に働きかけはしても事業者ではない。環境配慮を実施に移すのは事業者だ。金融機関である本行は融資についての責任はあるが、事業そのものを行うものではない。こうした概念を「配慮」と「確認」で整理してきたと理解。

福田:それはわかる。そのことを日本語として「確認」とは言わないと思うが。

JBIC確認をうけて働きかけている。そこを言葉として、できるだけわかりやすくしなくてはいけない。もし中身が同じであれば大きな問題はないが、私達自身が事業をできないというのは重要な点。我々は事業者ではないから事業者がやっていることを確認し、問題ないと我々が判断すれば融資する。問題がある点は指摘し実施を促す。それで本当にだめな場合は融資をしない。

原科:対照表の前書き2行目「環境配慮確認を通じ」は「環境社会配慮を促し」という表現でもいいのでは。

川崎:事業実施主体が「環境配慮」を行うことについての誤解はないと思うが、JBIC自身は果たして環境配慮をしないのかという疑問は残る。2行目は別として、前書きのそれ以降の箇所で、「本行は、融資等の対象となるプロジェクトについて環境面での配慮を適切に行う一方で」とした場合に何が困るのか。

JBIC誤解がないということはわかった。

原科:前書きは一般的な目標。2行目「確認を通じ」は、手段の話をしてしまっている。

松本悟:「環境配慮の確保を通じて」あるいは「環境配慮が行われていることを確保して」であれば理解できる。「確保」というのは、問題がないかを確認し必要な働きかけをするということが含まれる。

門間:言葉の議論であれば慎重に考える必要がある。短い言葉で言う方法、あるいは、言葉を増やす方法もある。短い言葉なら、例えば、「推進し」という言葉もある。

川崎:手続の表現が前書きにも出てきているので逆にわかりにくい。「確認」という言葉を使わずに前書きを書くのは一つの手かもしれない。後ろの手続の箇所ではテクニカルタームとして「事業実施主体の環境配慮を確認する」と出てきてしまっても仕方ないが。

JBICp.2以降がまさに「確認」の世界。

原科:一つの案として、「環境社会配慮を促す」などの表現で検討していただきたい。

本山:「持続可能な発展と人権に関する……」という提言の一文はどうなっているのか。これは、JBICがこのような形で主体的に融資等の業務を行うことを宣言していたのだが。

JBIC人権は付属書案を市民外交センターからいただき勉強しているが、まだ消化しきれていないので来週に回していただきたい。時間も長くなると思うので。

上村:JBIC側で人権の扱い方に懸念があり、さまざまな人権条約を出されても困るということだったので、最低限ガイドラインに相応しいと判断できるものを列挙した付属書案を作った。これが付属書の形なのは、論理的な構造として、人権に関する原則は短くとも前文に書かれていることが前提だ。

JBIC理解が違っていたようだ。我々は、条約等の中で個別の案件で確認可能なものはかなり限定されるという議論から始めた。どこの国も納得しているようなものが幾つかあるが、それは個別に確認するというより高い理想に向かっていく性格のものなので、本文の中で具体的に列挙しても個別に確認するには使いにくい。したがって、その精神を生かす意味で、本文の一部をなす付属書という形でなく、前書きの中で取り上げることはできないかということで、ご提案いただいたものだと思っていた。

上村:少し理解が違う。国際的な合意をどう判断するかなど、人権基準文書は、JBICの視点からは、準拠する基準として非常にわかりにくいということだった。人権基準にも、主要なもの包括的なものがあり、広い国際的合意として具体的に利用されているものがある。これらをわかりやすく列挙する付属書をつけようということだった。ここでの作業は個別案件の細かい基準作りではないのではないか。JBICの下に刑法や裁判所をつくる話ではなく、対話や判断で準拠可能な規準をガイドラインとしてどう明示するかという作業だろう。

JBIC基準と準拠の言葉の意味を確認したい。私達が可能という場合、典型的な例として、大気汚染では150ppm1,000mgなど、明確な数値のようなものを基準と考える。

原科:いずれにせよ、長くなるので、人権については持ち帰って検討していただきたい。

JBIC付属書(案)の条約を全部チェックしているが、曖昧なものも、具体的なものもある。ただ、具体的なものでも業務と関係ないものもある。例えば、「最悪の形態の児童労働の禁止及び撤廃のための即時の行動に関する条約」では、売春やわいせつな演技のために児童を使用し、斡旋し、また、提供することを禁じているが、あまり本行業務と関係ない。

上村:ILO182号は、例えば、子どもの債務奴隷、鉱山労働、子ども兵士など、子供の権利に関して、広範な最悪の形態の児童労働に言及している。JBICの規準として直接有効でない条文もあるかもしれないが、開発プロジェクトに関わる重要な条文もある。完璧にツールかと言われると、我々がどう考えるかによる。

JBIC例えば、先住民労働者募集の条約(ILO50号条約)には具体的なことが書いてあり、労働者の募集を伴う経済開発計画を承認するときには、具体的ないくつかの措置をとらなくてはいけないと書いてある。しかし、先住民移転計画レビューにおいて、我々はこの程度のことであれば既に確認しているのではないかと考えており、今のオペレーションと違うところがあるかどうかをチェックしなくてはいけないと思っている。

本山:もしかしたら全ての条文がJBICの事業とrelevantではないかもしれない。しかし、個別の案件をこれに沿ってチェックするかしないかというよりも、今日の資料にも繰り返し書いたが、前書きでこのようなことをあげる趣旨は、国際的に認められた環境社会配慮の規範を引いて銀行の姿勢を宣言することだ。

JBIC我々もそういう理解。ただ、いただいた案が、付属書の形で、「国際的に承認された人権基準と事業との関係に関する情報の送付を求めることができる。」と書かれていたので、先週の話と違うと思った。そうなると一つ一つの条文を勉強する必要が出てくるので、にわか勉強を始めたところだ。

上村:そうした表現をどうするかは、案という形なので議論可能だ。。

本山:では、少なくとも、「持続可能な発展と人権に関する原則、条約、協定に沿った融資業務を行う」ということに関しては、前書きに入れるのは可能ということか。

JBIC前書きで姿勢を示すのはいいが、原則、条約、協定が具体的に何かという説明責任が発生する。一般的に条約と言って姿勢を表明するのは、ガイドラインには向かないだろう。

原科:「持続可能な発展の考え方と、人権に関する原則・条約・協定」と中黒(・)にした方がいい。

JBIC条約や協定を個々に引っ張ってくると色々な議論があると思うので、むしろ、条約・協定のはずしてはいけない概念を入れておくことが重要だろう。

原科:人権に関する原則・条約・協定というのは、要するに国際的ルールということだ。

JBIC国際的ルールも全部と言うと、待ったがかかる。

原科:環境や人権に関すると限定しているのだから全部ではない。環境や人権に関する国際的ルールを守れというのは当然のこと。

JBIC本行業務に直接関連するものもあれば、しないものもある。むしろ、はずしてはいけないものを本文に入れておく方がいい。

原科:直接関連しないものは問題なく、業務に関係するものだけが関係あるのだから問題ない。これは宣言であり姿勢を示すものなので、あまり長く書くのはおかしい。短くすれば宣言だとわかる。そういう趣旨で提言では前書きをコンパクトにした。

JBICやる、やらないについては、理解に違いはないと思う。

川崎:提言は「国際的に合意され、我が国政府が指示をしている」という修飾語が付いているので、絶対やるはずの話。例外はまずありえない。これを書いたからといって特に前向きになるものでも、書かなかったからといって後ろ向きになるものでもない。その意味において、どちらにしてもやることではある。また、環境や人権に関する一般的合意なので、他のものに関連するものではない。

JBIC人権が問題だ。

川崎:具体的に何かご懸念の点があるのか。提言をそのままにするのが普通だろう。

門間:懸念がないのであれば、提言通りにすればよい。

JBIC借入人に対して、日本がしている条約を守ってくれと言えるかという話。

原科:前書きは提言をこのまま使ってもらいたい。前書きについて相当懸念するのであれば、コンパクトにした方が姿勢を示すのにわかりいい。長くなると段々ややこしくなる。前書きの「(以下、「本行」)」や「(以下、「プロジェクト」)」などの表現も、段階が違うとういうことで本文中に移し、基本方針から以下で「本行」などとすればよい。

JBIC憲法の前文と同じで、本文の解釈にも影響を与えるものなので。

原科:方針なので、あまり細部にわたって書くのはいかがか。

JBIC条約や協定などは、具体的なものがあるので問題になる。

JBIC外務省はどうなのか。人権を含めてだが、日本の批准している協定ないし原則に反していれば、例えば、円借款は供与しないという方針か。日本政府の方針に引っ張られる話だ。

川崎:その点は私も確認するが、国家の主権問題もある。例えば、日本は支持しているが、特定の被援助国は批准していない条約がある場合、その国には条約の批准を強制できるだろうか。ただ、そういう理由により円借款供与が止まっていたのなら、少なくとも今借款を出している国は、そういう理由がないから出ているということだ。すると、実体問題はそれ以外の国で無理やり出そうとした場合、障害があるかという問題になるが。

門間:融資の対象が日本が支持する条約に反することをしていれば当然、貸せない。

川崎:融資の対象がそうなら、そうだろう。ただ、その他の一般的条項として、何か批准していない条約があるときに、このままだと出さないという表現になってしまうとまずいのではないかということだろう。

JBICそこで整合性がとれるようなものにしたい。

門間:ここでは、どのような場合に融資をするのかという基本方針を書いているだけで、融資の条件としてその条約を結べと相手国に言っているわけではない。批准しろと言うのと、それを破るような融資をするなと言うのは別問題だ。JBICの業務として、日本政府が方針としている条約を推進することは問題ない。それに反する融資なら政府は止める。だから、これを書いていても何ら混乱はないのでは。

川崎:それだけがご懸念なら、100YESとこの場で即答できないので確認したい。

JBIC政府の方針がそう出ているのであれば、その下にあるガイドラインは全く問題ない話。政府が裁量の範囲内だと言えば、我々は政府にしたがってやるとしか言えない。

JBICそれは日本の民間企業でも同じ。

JBIC総論としては理解できるが、具体的判断が難しいのではないか。グレーゾーンはかなり大きいのではないか。縦軸にクリティカルな条約とそうでないものを置き、横軸にかなりの国が支持しているもの、かなりの国がまだ支持するに至っていないものを置くと、4つの組み合せがあるだろう。クリティカルな内容で、かつ、ほとんどの国が支持しているようなケースが、積極的に介入し、政府が止めろという話だろう。

門間:JBICが融資することにより、日本がやるという条約に反する行為になるとき、途上国の批准に関しては独立国家だから強制できない。JBICが融資した結果、その条約を犯すような中身のものを融資対象にしていた場合、日本国政府がどうするかということだ。その場合、政府も止めた方がいいと考える確率の方が極めて高い。

JBIC我々もそれはしないと思う。但し、条約に反する程度の問題は、判断が難しい。

門間:でも、反することはしないだろう。

JBICそれはしない。しかし、色々な協定があり難しい。ILO182号条約の第何条に違反する恐れがあると異議申立てをされた場合、ガイドラインに書いているので持ち出すという話になると思うが、テクニカルな点で違反しているという議論になるのは避けたい。また、一般的に人権などで問題なのは、大体人権を尊重していない国はどうするのかという話。まさに、政府レベルの話だ。そのようなクレームをつけてくる可能性のあることをガイドラインに入れるのはいかがか。実施機関としての我々を若干超えたところにある話。

上村:門間さんの意見に賛成だ。国際規準に明確に違反するものには明確な態度を取る以外にないが、国際的な人権システムでもグレーゾーンに関しては、話し合いあるいは対話で進めていくことは常識だ。JBICが主体として、違反しているという疑いがあれば追加情報を求める。あるいは、担当者に来てもらい具体的に手続き、進行状況について対話を行う。そして、このグレーゾーンの対話にも、準拠する規準が必要だ。繰り返すが、刑法や裁判所を作る作業ではない。まさに、方針を示すだけなので、提言の文章が原則として前文に入るだけなら何ら問題ないのではないか。

原科:そういう趣旨で前文にした。

川崎:前書きはそのような精神で書く。一方でグレーゾーンはどうしてもあり、普通に行政を行っていくときには、必ずコンフリクトが起きる。人権を尊重していないなど、そのときにどの根拠で来るか全く予想できないことが困ったことなのだとすれば、手続でそれを明確にするのか。あまりグレーゾーンが多いものでは、作ったはいいが、常に解釈をめぐって議論が続くことになる。プロジェクトが止まるのは融資を受ける側も損だろうから、そこをどのような組み合わせにするか。実体問題として、批准云々の話より、グレーゾーンが残ることでJBICとしての仕事がしにくくなることも心配しなくてはならない。

JBICそのような精神で、住民移転、少数民族等幾つかの項目を入れてある。それは、これだけの議論を繰り返し、可能なもの、やるべきものについて、こういう形で入り確保されたのだと思う。

門間:それで、前書きに一般的に書くことがおかしいということにはならない。さらに懸念するなら、川崎さんがいうことも考えるということだろう。ス本文に書いてあることと照合し解釈するので、前書きで書いてあることで訴えられることはそうない。

JBIC本文でSpecificに○○を確認すると書き、それできちんと押さえられているのなら、前書きはもっときれいな書き方をしてもいいのではということか。

JBIC繰り返すが、我々もやりたくないということではない。明確にできることを書かないと、皆が困ってしまう。この点については、今検討しているところだ。

門間:そういう理解で前書きに書くということであればいいが。

川崎:あまり条件にはしたくないが、付属書で出てくる人権に関する事項についてセットとし、ある程度、範囲を明確にし、グレーゾーンがなるべく小さくできるのであれば、前書きは提言のままにしてもらうということでいかがか。

原科:人権の部分だけでなく、提言の2つのパラ全部をそのまま使ってもらいたい。それがコンパクトでいい。

JBIC検討したい。

本山:もう一点、出資については、どこかに書いてあるのか。

JBIC出資をする場合は、事業者に近い責任があるのではないかということで、場合によっては、我々が通常行う事業者による配慮を確認する以上のことをしなくてはいけない。しかし、出資というのは、普通はなかなか出ないものなので、あえて単独のガイドラインを作るほどでもない。そこで苦肉の策として、「融資等の対象となる」の「等」ということにし、精神は尊重しつつやろうということ。

本山:これも説明があった方がいいのでは。

門間:融資等の「等」は、融資プラス出資という理解でよろしいか。

JBIC提言のp.3でも、「融資等」と述べているのは、「輸出信用業務、アンタイドローン、円借款、海外投融資等すべての投融資事業を対象とすることを想定」とある。

松本悟:提言と同じ定義ということか。提言では、出資を別にしたが。海外投融資等に出資が入るということか。

門間:「等」の中に入っているが、それは、より思い責任と役割を有するということか。

JBIC事業主体者が我々になる可能性があるということ。まさに我々が付属書(1)、(2)を守るということ。

門間:出資については、事業者としての責任が出てくるので、提言p.3では「出資案件に関する意思決定……その旨ガイドラインで明らかにしておくことが必要である。」とある。明らかにされたのか。

JBIC明らかにしてないというより、自分達が事業者であれば自動的にこれが適用されるので。出資はほとんどないので、そこはあまりケアしていなかったポイント。検討したい。

原科:では、前書きの部分は今日の議論を踏まえ、書き直していただきたい。基本方針に関する議論に移りたい。

松本悟:U.ガイドライン以降の「確認」は狭い意味と理解しているが、この基本方針までは、先程の理由から広い意味の「確認」なのではないかという懸念がある。また、一番大きい問題として、「ステークホルダー」に対する考え方。とくに、最初のパラの存在意義も不明だし、かつ、ここと連関してステークホルダーの定義が重要ではないかという点。第2パラの「確認」は同じ。第5パラの「借入人等」の定義は、Exportersの話も含め、ここで共通認識が必要だろう。

本山:私のポイントもほぼ重なっているが、最初のパラがここにある意味がわからない。実施者との対話を重視するのはこれまで通りなので、これが最初にくるのはいかがか。また、「借入人を通じ」という文も不鮮明になるので、入れる必要はないのでは。また、提言の「事業が環境社会配慮の要件を満たすよう」という表現が、「適切な環境配慮が行われるよう」とされている。「要件」という言葉があちこちで避けられているような気がするが、この理由はあるのか。また、「ステークホルダー」の定義。「借入人」、「実施主体」、「事業者」という言葉を定義しておくべきだ。

JBICこれでは時間がかかりすぎる。この場で答えるのも無理なので、一通り、説明を受け、まとめて来週に答えることにしては。

原科:前回の議論では、1ページずつ確実にやっていく方がいいということだったが。

門間:委員会の回数を増やした方がいいのでは。

川崎:12月中にまとめることを前提とするなら、それは必要。

JBICなるべく早めに、すべて公開してやりたい。パブリック・コメント期間中も引き続き議論させていただければと思う。

門間:その前に集中的にやることと、幅広くやることの間にコンフリクトがあるのか。

JBIC同時にやるのと集中的にやる話は別だろう。集中的に議論しても終わらなかったら、パブリック・コメント期間中に平行的に議論してはいかがか。

松本悟:パブリック・コメントに関して、以前の話では、一応、ここでのファースト・ドラフトに関する議論をもとに、もう一つできたドラフトをパブリック・コメントにかけるという話だった。

JBICここの議論に時間がかかるなら、いただいたところまで直し、ドラフトにし、それをパブリック・コメントにかけ、その間も議論させていただくという形にしたい。この委員会の議論はすべてオープンなので、パブリック・コメントしようとする人にも反映されるものと理解。

原科:パブリック・コメントはいつスタートしたいのか。

JBIC今月下旬にはしたい。

川崎:例えば、1から5まであるうち12はやったが、3から5は全く手付かずでパブリック・コメントに出るというよりは、主要なポイントだけでもいいので、1から5まである程度通しでやった上で出してもらいたい。

原科:パブリック・コメントの期間はどのくらいか。

JBICできれば1ヶ月以上、2ヶ月くらい。できるだけ長くしたい。

原科:パブリック・コメントを受けてからは。

JBICコメントにもよるが、想定では、1ヶ月で全部まとめることにしている。パブリック・コメントは原科先生からも最低2ヶ月は必要といわれていたので、12月の下旬にはパブリック・コメントを始めないと間に合わない。

原科:今週水曜12日は6時半から8時半。私は7時位に来るので、議長代理を川崎さんにお願いすることにしたい。それから、金曜14日の夜6時半から8時半。来週の月曜と水曜日19日にやりたい。

JBIC19日は、予備日ということにしていただきたい。我々も行内の準備があるので、できれば来週月曜までに収めたい。年内にパブリック・コメントをしようと思うと、来週もずっとやっては間に合わない。

原科:では、17日で終わることを目標とし、19日の午後5時からは予備日とする。

JBIC議論の方法だが、前書きや方針などは哲学的な議論が多くなるので、できれば効率的に進むところを先にしていただきたい。また、すでに文章でいただいたコメントは、こちらの意見をまとめておく。細かい部分はパブリック・コメント期間中にもまた議論できるので、なるべく大きなところに絞ってもらいたい。なぜ、単語を変えたのかなどで時間をとるよりは。

松本悟:そこは誤解されているかもしれないが、非常に重要な点だ。

JBICプライオリティーの高いコメントからご議論いただきたい。

原科:では、ファースト・ドラフトを修正してパブリック・コメントにいけるようなドラフトを作るため、今日で1ページだけでも仕上げたい。

 基本方針で出てきた「確認」については、前文と同じように考えていただくということでよろしいか。また、「ステークホルダー」の表現はいかがか。これは地域住民等と入れていけないわけではないだろう。

JBICこの第6パラは、「地域住民等のすべてのステークホルダー」とした方が意味が明確になるということか。

原科:「当該プロジェクトに関わるステークホルダー」を「地域住民等の全てのステークホルダー」という表現に変えるということではないか。

JBICこの表現は両方入れないと意味がないのではないか。

原科:そうなると、「当該プロジェクトに関わる地域住民等」という表現になる。

川崎:どちらが広い意味か。地域住民等と当該プロジェクトを変えることで、意味を狭めようとしているのではないのだろう。

原科:ステークホルダーの中に地域住民が含まれない場合もあるので、特に地域住民という言葉を加えた。ただ、ステークホルダーの中に地域住民は当然入るので、私としてはなくてもいいと思ったが。

JBICなくてもいいと思った。あまり意味が変わらない気がする。

原科:私はステークホルダーという言葉を昔から知っているので、私の概念の中では、当然入っているということ。

川崎:ただ、相手はそうではないので、意味が変わらなくて心配ないなら入れればよい。

原科:では、「地域住民等」と入れてもらうことにしたい。

JBIC「地域住民」がキーワードなのか。

福田:地域住民も含まれるということを相手に示すことが重要。

原科:ステークホルダーは幅広いので、提言では「地域住民等のすべてのステークホルダー」という表現になっている。ここがポイントだ。地域住民等を含めたすべてのということで、ステークホルダーが広い概念であることをわかっていただくことが重要。

JBIC「すべての」でまた、誤解が生じる。例えば、全く関係のない国の関係のない団体の問題が出てくる。

原科:それはステークホルダーではないだろう。

JBICわかりやすく言えば、インターナショナルNGOが入るか入らないか。

原科:それは、場合による。渡り鳥の問題などはインターナショナルNGOがステークホルダーとなる場合もあるだろう。

川崎:いずれにせよ、ステークホルダーに入っている人は皆入るし、入ってない人は当然入らない。「すべて」という修飾語が付いたからといって、人が増えたり減るわけではない。

JBICもともと、ステークホルダー自体が広がってきた概念なので、「すべての」とすると二重表現になる。

原科:入れた方が確実だろう。

JBIC検討したい。

原科:「借入人等」については、輸出者も含めるべきだということだが。

本山:「借入人等」に輸出者が入るのかという問題と、「借入人等を通じて」事業者にという表現の問題を確認したい。

原科:まず、「借入人等」に輸出者が入るのかの確認。

JBIC場所によって違う。情報提供をしてもらう点においては、輸出者も入る。事業者がやるモニタリングなら、実際のモニタリングを行うのは事業者。概念が適切な文章に反映されているかは、もう一度改めて確認したい。

原科:しかし、ここに書いてある「借入人等」は「借入人及びプロジェクト実施主体者」という定義がある。

川崎:定義がなければ、それで一つは解決する。定義がなくて「借入人等」であれば、その都度、輸出者が入ってくる場合もあれば入らない場合もある。ここで限定してしまっているので、輸出者は明示的に絶対にどこにも入らないことになる。定義がなければ、あとは解釈の幅の問題だ。どうしても危ないと思えば、輸出者を明示的に書いておけばいい。

原科:それがよいだろう。

JBIC輸出者がどこで責任を負うのかをチェックし、輸出者が責任を負うべき場所で明示するのは可能だろう。

原科:では、もう一度、検討していただきたい。

川崎:定義は残るのか。定義を変えろと言っているのではなく、定義を書かず、その都度、輸出者が入ったり入らなかったりということもできる。

JBICそのやり方も含め、検討したい。

川崎:もう一つは、「借入人等」という言葉を定義した上で、輸出者が入るところは明示的に「輸出者・借入人等」とする方法もある。

JBICケース・バイ・ケースで輸出者の責任を明示できないこともある。

川崎:それは「等」にすればよい。

JBICワーディングの整合性の問題なので、次回水曜日まででは厳しいが検討したい。

本山:結局、「借入人」と「事業者」はどう分けて使われているのか。

JBIC通常の場合、契約上我々と契約関係にあるのは借入人だけ。事業者は直接的な契約関係でない場合もある。

本山:借入人の中に事業者が入っている場合ももちろんあるか。

JBICバリエーションが多くある。

本山:そのときは、借入人を通じて事業者にという表現が妥当といことか。

JBIC借入人を通じてしか、契約上は影響を及ぼしえない。もっと強く言えば、借入人と結んだ融資契約を通じて。

JBIC強制力を持たそうと思ったときに、「借入人を通じ」となる。

川崎:目的などの場合は、借入人を通じた法的拘束力でなく、さまざまな手段を活用して環境配慮を確認するということでよいのでは。基本方針のところまでがポイントで、それ以降は、「借入人を通じて」で構わないのだろう。基本方針に限っていえば、ここで「借入人を通じて」がいるのか。

原科:いらないのではないか。「さまざまな手段を活用し、プロジェクト実施主体により適切な環境配慮がなされている……」でよいのでは。

松本悟:最初のパラについては?

JBIC先週、順番を入れかえるかという議論があったが、それも含めて検討するということだったので、結果が出たらということでよろしいか。

松本悟:もし、順番をいれかえて残るのであれば、相手国と借入人、プロジェクト実施主体者と出てくるのに、ステークホルダーという言葉がない。

JBIC本行がステークホルダーからの情報収集に努めることは明示してある。ステークホルダーと直接対話することが必ずしも適切ではない場合がある。

松本悟:しかし、これは重視するという基本方針だが。

上村:少なくとも、ガイドラインを作るときの基本方針に、対話を重視するということを最初に置くのは適切でない。とくに国際的な常識以上の具体的な意味が入っているわけではないので、なくてよい。

JBICここは検討中だ。できるかぎり早く返答したい。

原科:今週中ということにしてほしい。そのとき、対照表の形で出してもらいたい。

JBICそれはできない。我々は研究会の時とは違うステータスで参加している。行内の手続にそってやらないといけないので。

JBIC議論の進め方としては、コメントをいただき、意見交換をさせていただき、最終的にこういう案ですというものをまとめて公開したい。

川崎:ここで議論したとおりのことをすべて書いてほしいというのは無理だと思うし、内部の手続もあるだろう。ペンディングの部分が全部、原案のままなってしまうと。

JBICそういうことは考えていない。

JBIC全体を通して見てから、また戻ってくる箇所もあるだろう。

川崎:では、もう一度、通しで見る機会があるということで、どんどん進めていこう。

JBIC同時並行的に産業界の意見も聞いていきたい。6日のコンサルテーションで雰囲気もおわかりいただけたと思うが。

原科:どういう雰囲気だったのか。

松本郁:企業の方から、ODAOOFをなぜ一緒にするのか、あるいは、人権の問題は環境と別ではないか、EIAを事前に公開すると仕事自体がやりにくくなるという率直な意見があった。ただ、国際協力銀行の方針として、公的機関として環境配慮はしていかなくてはいけないと最後にコメントしてくださった。その方針はやらなくてはいけないということだったのかと思う。

JBIC補足すると、民間企業の方と毎日仕事で話をするが、環境を軽視していいという人は今時誰もいない。このガイドラインについても、総論としては支持してもらっていると思う。我々も議論しているように、個別具体的部分で現実的ではない部分を見直してもらいたいということ。例えば、人権の部分で現実的にできるところ、できないところがあるというのが、彼らの意見。

松本郁:ただ、コンサルテーションの中では具体的にどこが、どうしても困るという発言はなかったが。

JBIC80人いる場でこの条項のここがおかしいとは言いづらい。あの場では彼らも原則論を言う。

松本郁:すでにお聞きになっているのであれば、どこが具体的に難しいから、中で検討しないといけないというところをこの場でお話しいただきたい。ここでは、皆納得しているのに、中でどのようなコメントが言われているのかわからないうちに、できなかったと言われても、なぜだめだったのか結局もう一度ご説明いただくことになる。

原科:そういうことはないようにしていただきたい。

JBICまだ前書き、基本方針の部分しか議論しておらず、そこに至っていない。また、産業界の人からもこういう形で細かく意見を聞きたい。

川崎:議論を一巡し、一旦、色々なプロセスを経た上で、最終結果がまず報告され、その際、具体的な理由もできる限り合せてご説明いただければ。

原科:最終結果の報告はパブリック・コメント前になるが。

JBIC17日に説明できればいいと思うが。

JBIC内部の手続が終わり、パブコメをかける直前で。

原科:かける直前ということになると、1週間位かかると思うので、17で終わったとして、27日位になるのか。

川崎:17日に終わって、19日にやるというよりは、その間に時間があった方がいいだろう。17日に出た意見も処理しないといけないだろうし。

JBIC17日で決まった後、1週間くらいで可能だろう。

松本郁:もうすでに理由がわかっているものがあるのであれば、ここで出していただかないと話し合いをしている意味が薄れるが。

JBIC私達が説明しないという話ではない。残念ながら、まだ具体的なところにいっていないので。

JBICパブリック・コメントは早めにしたい。年末年始にかかり、実際のコメント期間を短くしたのではないかと痛くもない腹をさぐられるのはいやだ。

原科:2ヶ月期間を設けるなら関係ない。それが気になるなら年明けしかない。

JBIC何回も申し上げているが、できるだけ早くパブリック・コメントにかけたい。

原科:パブリック・コメントに出す前に最終チェックしたい。

JBICパブリック・コメントにはフォローアップ委員会の名前を出すわけではない。JBICとしての名前で出す。

原科:それはわかっている。この委員会で議論されたことが反映されているかを確認したい。

川崎:招集でなく、メールで時間の節約をするか。いずれにせよ、パブリック・コメントを出す日より前に一回プロセスがほしい。

JBICまだ、パブリック・コメントの日は設定できない。

 

 

次回以降の予定12日(水)午後6時半〜8時半

        14日(金)午後6時半〜8時半

        17日(月)午後5時〜7

        19日(水)午後5時〜7時(予備日)