国際協力銀行の環境ガイドライン統合に係る研究会・フォローアップ委員会

5回会合 議事録

 

日時:20001214日(金)午後5時〜9時半

場所:国際協力銀行

配布資料:

 新環境ガイドライン案へのコメントその23.(4)>以降(作成:メコン・ウォッチ)

 若干の論点整理及びコメント(作成:寺田達志)

 参考資料「国連人権機関における一般的情報収集システム」(作成:市民外交センター)

 「第三者委員会」検討のためのメモ(作成:地球の友ジャパン 松本郁子)

 JBIC新環境ガイドライン(案)に対する意見書(126HPにて受付)

出席者:(敬称略、アイウエオ順)

 委員長:原科 幸彦/東京工業大学大学院・総合理工学研究科教授

 委 員:上村 英明/市民外交センター

     川崎 研一/外務省経済協力局有償資金協力課企画官

     馬場 義郎/財務省国際局開発政策課課長補佐

     松本 郁子/地球の友ジャパン

     松本 悟/メコン・ウォッチ

     本山 央子/地球の友ジャパン

     門間 大吉/財務省国際局開発企画

 

     桜井 典子/(財)地球・人間環境フォーラム

     畠中 エルザ/(財)地球・人間環境フォーラム

     福田 健治/メコン・ウォッチ

 

 国際協力銀行

  天野 辰之/国際協力銀行金融業務部業務課係員

  入柿 秀俊/国際協力銀行総務部総務課長

  大矢 伸/国際協力銀行総務部総務課調査役

  佐藤 恭仁彦/国際協力銀行総務部総務課副参事役

  萩原 烈/国際協力銀行開発業務部専門調査員

  本郷 尚/国際協力銀行環境社会開発室第1班課長

  森 尚樹/国際協力銀行環境社会開発室第2班課長

 

議事録作成:

 波多江 秀枝/地球の友ジャパン

 

川崎:ドラフト案p.14付属書(2)について前回の議論で、1行目「原則とする」はこれでよいということだった。また、第3パラ「あるいはその概要等」の削除をJBICに検討していただくことになっていた。今日の議論は第4パラから始めたい。「協議記録等が作成されていなければならない。」の部分は提言では続けて「実質的な協議を確認」とあった。なぜ消えたのかという地球の友のコメントp.3373とメコン・ウォッチからのコメントがある。

JBIC文章としてここに入れるのが適当でなかった。付属書は事業者のやることを追加して示したもので、ここも事業者のやるEIAの内容について書いてある。実際の配慮確認の流れで本行が主体となって確認することは変わりない。

門間:同じ内容が他の箇所に書いてあると説明してもらえればわかりやすい。

JBICそれだけを取り上げては書いていないが、現地のEIA制度でどのような公開がなされ、どのようなことが行われているか確認する際に当然確認する。国際的なグッドプラクティスなどの中に自主的な合意の確保について書かれているので、それに準ずれば当然やることだ。

川崎:ご趣旨はわかる。それがこの記述のどの箇所で読めるかが知りたい。

JBIC本文p.6カテゴリA「借入人を通じ、プロジェクト実施主体者により…(略)…環境レビューを行う」という箇所ですでに、我々が確認しなければならないと書いてある。

松本郁:実質的な情報公開や協議がなされているのかを確認することが必要だが。

JBIC付属書(2)の内容が満たされているかを確認するのがレビュー作業ということだ。

川崎:「協議記録等が作成されていなければならない」というのはわかるが、提言p.12「地域住民等のステークホルダー等と実質的な…(略)…環境レビューの中において確認する」とある中の「実質的な協議や合意形成」という文字が消えている。書かれていなくても読めないといけないだろう。

JBIC例えば、ドラフト案p.12付属書(1)社会的合意及び社会影響の箇所で「計画されている国、地域において社会的に適切な方法で合意が得られるよう十分な調整が図られていなければならない。」という箇所がある。

松本郁:これは事業者への要望で、実質的な協議や合意形成かを確認することが重要だが。

JBIC事業者は実質的な合意形成を図る形でやらなければならない。付属書(1)で我々が求める内容が確保されていることを我々が確認する。同じ事が確保されていると思うが。

川崎:「確認する」は「レビュー」で読める。問題は、「実質的な協議や合意形成」が事業者に課される責務として読める箇所だが。

JBICドラフト案p.12になる。

川崎:多少の字の変換はあると思うが、「合意形成」は「合意が得られるよう十分な調整」でほぼ同じ意味だろうか。

松本郁:相手が実際に協議をしていると言っても、知っている団体のみ呼びなされている場合があるので、実質的な協議が行われたかを確認するという趣旨だったのだが。

川崎:「社会的に適切な方法で」とあるので、趣旨は変わっていないだろう。

JBICまたその下で、社会的弱者の立場が弱いことに留意し配慮することが書いてある。さらに先住民族についてもp.13「十分な情報に基づいて先住民族の合意が得られるよう努めねばならない。」とある。

門間:提言の「協議会記録等に基づき」「確認する」はどこかに書かれているか。

JBICドラフト案p.16別表「協議」の箇所で書かれている。

門間:これは定義か。

JBIC環境アセスメント報告書の中に入っていなければならない項目だ。同じ内容は何回も繰り返し出てくる。重要性は分かっているが、これ以上繰り返し書く必要があるか。

門間:整理されているかを確認しているだけだ。

川崎:提言では「協議会記録等に基づき」と手段を書いており、ドラフト案と一対一に対応しているものではない。全体を合せて読めばカバーされている、つまり、協議会や合意形成に関する責務を書き分けたという理解でいいか。

JBIC付属書(1)がやっていただきたいこと。(2)はそのための手段で、そのやるべき目標と手段を合せて本行は確認するということだ。

門間:ドラフト案p.12「社会的に適切な方法で合意が得られるよう十分な調整が図られていなければならない」という箇所により、協議という形でアセスメント書に書かれることは担保されるのか。

JBICこの箇所は結果を言っている。協議はプロセスもしくは手段で、それをやった上でこの結果が出ていなければならないという関係だろう。

門間:「調整」という言葉の中に「協議」が入っているので、当然含まれるということか。

JBICそうだ。

川崎:次に、第5パラと第6パラの間に提言p.12「カテゴリA案件の…(略)…保証されていなければならない。」の一文が削られていることについて。

JBIC構成として、事業者が行うべき話と本行が行うべき話とに分けているので、情報公開でもう一度まとめて話すことになっていたと思うが。

川崎:では次に、第6パラの後ろに、提言に書いてあるp.13「既存の環境アセスメント報告書の扱い」と特殊案件の取り扱いの2点が削除されている理由を説明していただきたい。

JBICここは本文から削除したという趣旨ではない。現地で実際にやったEIAを我々はそれを尊重する。二重にEIAを作ることが無駄になるケースはできるだけないようにということ。それは十分反映されており、あえてそこまで書く必要はない。同じことは実際に行われる。

本山:不足なところがあればやってもらうということは読めばわかるということか。

JBIC我々が要求しているものを書いているので、そうでなかった場合を書いてもいいとは思うが、あえて初めから書く必要はないだろう。

川崎:途中段階で不足な場合について書くのでなく、最終的に十分なものが出てくることを確保するということか。

JBIC実質的に同等なものを確保するということ。例えば、情報提供の箇所でもその精神を同じように反映している。借入人等から情報提供してもらうが、但し、不足な場合、我々は追加的に要求するという構成になっている。

門間:「カテゴリAに必要な環境アセスメント報告書」とだけ書いてあり、既存の報告書と書いているわけではないので読めるということか。

JBIC特殊案件については議論はあったが、正直言うと、そこまで細かい話は当然なので書かなくてもよいということになった。特殊案件はたくさんあり、これだけ取り上げて書く意味はないだろう。これは提言のドラフティングの際も何度も言った。

本山:逆にこれだけでないなら、JBICが知っている他の色々なケースを書いた方がいいと思う。実際に我々がケースを見る中で、例えば、複数フェーズの場合、環境レビューがどうなっているのか、これまで実際にどこにも書かれておらずわからなかった。なるべく色々なケースでどのような形で環境レビューをしているのか、明確にしてもらいたい。

JBIC提言p.13では3つ挙げているが、金融機関等との情報交換は入れている。

川崎:論点は、最後のエンジニアリングサービス借款(ES借款)だろう。

JBICESも絶対に必要なのか。今の話は複数フェーズの話だろう。

JBICこれは統合ガイドラインなので、1つの金融形態のみ、例えば、円借款の特殊な借款のみを取り上げた文言が入るのは趣旨に合わない。あくまで円借款、国金業務の両方に使われるガイドラインだ。

本山:統合ガイドラインはただ原則が書いてあればいいわけではない。原則は両業務で同じものをやるという話だったが、色々なケースの場合に手続きをしっかりやることが大事だ。FIについて書くのも同じ話だろう。

川崎:特殊なケースが一般的なケースや規定により全てカバーされていると読めるなら問題ない。特別なケースがそこから外れていて特別な配慮が必要なら、統合したからと言って一つの言葉で書く必要はない。ケース毎に注のようなものが付くなら、ロジックとしてはおかしくないだろう。どこかですでに読めているのなら、2回書く必要はないが。

JBIC複数フェーズはむしろ、こちらの都合で複数になっているだけの場合が多く、事業全体は一つだが、全体の一部のみ融資しているスタイルが多い。一般的にEIAは事業全体に対し出てくるが、我々が勝手にフェーズ1、フェーズ2と分けるケースと、実際に事業全体がフェーズ1、フェーズ2と分かれている場合の二通りがある。例えば、マスタープラン全体の中の事業が幾つかあり、それを一つ一つやっていく際、マスタープラン全体の環境レビューが必要かはケース・バイ・ケース。実は一般的なケースとあまり変わらないので取り立てて書く必要はない。

松本郁:一般的に違わないとはどういうことか。

JBIC我々は事業全体の一部のみを融資し全体に融資はしない。いずれにせよ、一部に融資し、融資対象でない部分があるということ。

JBICどのようなものを複数フェーズとして懸念しているのか。

本山:例えば、第1フェーズで事業の周辺整備、第2で本体工事に取りかかる場合がある。

JBIC1、第2フェーズという言葉は同じと理解。第1フェーズと第2の関係はどのようなものか。

松本郁:JBICの中で融資の期間が具体的に分かれている場合、第1フェーズで審査済みなので、第2フェーズでは全く審査なしでOKということが実際にあれば困るということ。

門間:某案件でフェーズ1で発電所、フェーズ2でパイプラインというケースがある。

JBICそれは普通、フェーズ1、フェーズ2と言わない。

川崎:複数フェーズのケースは私の知る限りでは、3通りある。一つは、1期のトンネル工事で途中まで掘り、2期工事で別の部分という場合。2つめに、1期工事がダム建設、2期工事がそれ以降の発電プロジェクトにつながる場合で、JBICの相手もプロジェクトも同一だが、1期と2期に分けてやる。もう一つありえるのは、例えば、上水道を整備する場合に、1期工事では世銀、2期ではJBIC3期ではADBがやるという場合だろう。

JBIC何を事業として捉えるかという一般的な問題だろう。我々の融資全てに共通する話で、複数フェーズだからという特徴が本当にあるのか。

川崎:提言には、1期の情報を活用しつつ、2期は改めて環境レビューを行うと書いてある。1期からスタディーするかというやり方の問題はあるが、1期で環境レビューがあったから、2期で環境レビューを全くやらないことはないだろう。先程の議論にあったように出口で全て確保されているという意味か。

JBIC発想として、「最初のフェーズを活用しつつ」と入れる方がかえって怪しいという疑いを持たれるのではないか。単にプロジェクトとしてやるならいらないと思う。

門間:フェーズに分かれていると言っても、フェーズ毎にちゃんとやるということか。

JBIC:第1フェーズ、第2フェーズで全く違う内容なら、我々がチェックするポイントは全部違うので、同じプロジェクトとは扱いようがない。

JBICもちろんダムを作る際は、わかっている範囲で発電所のことは考える。

川崎:1期でダムを作り、2期で発電所を作る場合、1期で調査をしたら、発電所は無条件で作れるということはないのか。

JBICない。だから、かえって書かないほうがすっきりする。

JBICごく一般的な問題だと思う。

松本郁:以前は同じプロジェクトでは最初にしか審査をせず、2期の時点で審査をしなくてもよかったと聞いたのだが。

JBIC必ずやるが、例えば、トンネルの半分を1期、残りの半分を2期というケースでは、最初に半分だけを審査するのでなく全体を通して審査する。したがって、2期はある程度簡略化し見直しになるが、やることはやる。

本山:そのときは1期の環境問題の結果も合わせて見るのか。

JBICもちろんだ。その結果に残っている部分の調査を取り入れてやる必要がある。基本的な設計などはもう決まっているので、それが審査の中心になる。

川崎:極端に言うと、フェーズ12と言っても別事業だという意味で、各々にEIAも環境レビューもつくという理解でよろしいか。

JBICそうだ。例えば、1000億円のプロジェクトの初年度分100億円、次年度分200億円の場合に、次年度分、つまり、1年後にどのようなレビューができるかは程度の問題。それはプロジェクト毎に何が必要か判断する。

JBIC承諾の都度、必ず責任を求める。

川崎:複数フェーズの問題はよろしいか。論点としてESの話はいかがか。

JBICESに関するEIAは事業全体をさす。ESは事業の一部で、ESだけ取り出したEIAはない。

松本郁:ES自身がEIAを作るものである場合、事業全体の影響も考えて見てほしい。

JBICEIAを作るためのESならできないだろう。

JBICガイドラインに基づき是々非々で判断するほうがよいだろう。制約説に立てば怪しいということかもしれないが。

本山:原則論を書くのとは別に、個別にやるべきことをある程度はっきりと書いたほうが基本的にはいいと思う。他機関のガイドラインでも、個別のことについてそれなりに書いてある。是々非々で判断するというのはわかりづらい。

門間:丁寧に書いて、印象をよくすることも一つあるかもしれない。

川崎:これを書かないことによる具体的な問題はあるのか。基本的には、ESは工事自身を行うものではない。極端な場合、EIAを作るなど技術協力のようなものだ。なおかつ、ESだけで終わるものもあるだろう。

JBIC結果的に結びつかないものはあるが、基本的にそれはない。実際に設計の途中で事情が変わり計画の見直しがされ、中止になることは当然ある。また、EIAを作るためのESなら、その過程で色々わかり中止ということもある。ES自体そのようなものだ。

川崎:ESの段階でどうであったにせよ、その本体工事の段階で、それ自体が一つの違う借款であり環境評価があるということか。

JBIC必ずある。

JBIC逆に、次のプロジェクトとの近さという程度問題もある。例えば、通常の民間ビジネスで考えると、設計やESがどの程度その後の実際のコンストラクション・ワークなどに関わってくるかという場合、かなり近いものならプロジェクトがわかっているので、むしろプロジェクトの中身で評価することもあるだろう。国金業務でそのような話が出れば、プロジェクトとの近さにより判断し、プロジェクトがわかっている場合はABCのどの分類もありうる。一律Bという議論はわからない。

川崎:逆にプロジェクト本体全体を見てAということもありえると。

JBIC当然ある。

門間:商売では無駄な金をあまりかけたくないと思うので、ESだけやり、後で環境レビューでだめだったということは避けたい。カテゴリ分類はともかく、当然ESは、実際に環境に配慮しながらやることになるのだろう。

JBIC提言での議論は、わからないことがあるなら無理にAにせず、一律Bでそれなりにやればいいのではというもので、あまり詰めていなかったと思うが。

川崎:ESなら物は作らないし、それ自身は計画書でしかない。

本山:ケース・バイ・ケースで判断ということか。今のスクリーニングの書き方だけを見ると、ES借款がどこに入るか全然わからない。何も規定がないと、全部カテゴリCとも読めなくはない。

JBIC今の議論で考えても、Cであるのが普通だと思うが。

本山:そう思うが、では、なぜ研究会ではカテゴリBで議論をしていたのか。

JBIC今の円借款のガイドラインに入っているので、それを残そうということだった。ただ、実際に考えるとあまり意味がなかった。

本山:今の円借款では、カテゴリBの扱いなのか。

JBIC正確に言えば、A種に属するプロジェクトのエンジニアリングサービス借款は無条件にBになる。

JBIC実際には、ES借款をかける際にF/Sがあり、F/Sに合せてEIAがあるケースもある。その場合、当然レビューするのでCにはならない。環境レビューもやりつつESをし、さらに環境レビューをしていくという構図になる。

川崎:後ろの本体がAなら、全部Aとしてレビューするのか。

JBICその時点ではそうだ。

川崎:ESをやった段階から早めに環境レビューを行うという問題では、どれくらい時間差があるか。

JBICそのような問題だけでなく、その時点でAとするだけの情報がない。

川崎:この部分に関して無理に入れるメリット、違いがあるかを考えた場合、ESだから早めに検討するという問題くらいではないかという話でないのか。

JBICES借款の具体的内容として、例えば、発電所を作る場合、詳細設計を行い、必要な場合に環境影響評価を行う。一つのプロジェクトの設計自体はそう簡単に終わることはなく時間もかかるので、入り口でAと設定し、レビューもやってしまう。後の本体でもう一度レビューしなくてはいけないのが普通だ。あとは設計の前にどのくらいやるかの程度問題がある。テクニカルに言うと、物によっては本体工事で要請がくるが、まだ詳細設計が煮詰まっておらず、まずはESという場合にAになりえる。一律Bという話ではない。

川崎:少なくとも、一律Bというロジックはおかしいだろう。

JBIC先程の言ったように、F/SEIAもできていて、あとは設計だけというES借款の場合、設計をやること自体無理になるかもしれないので、この段階でやる必要がある。それはES借款の内容による。この場合はこうなるとはっきり書かないほうが適切だろう。

本山:大体話はわかったが、同じだから何も書かなくていいというよりは、今おっしゃったことの説明があったほうがベターだろう。ES借款の場合なら、JBICとしては次のプロジェクトではこのような判断をするというように。

JBICガイドラインに書くのか、解説のようなものにするのか考えたい。実際、ES借款はそんなに多くもない。

JBIC例えば、金融仲介はそこそこ件数もあり、我々も必要だと思ったので入れた。ES借款は年に1件あるかないかだ。

川崎:数が多い少ないはルール作りの基準にするべきでない。1件でも重要な問題であればカバーすべき問題だ。ただ、ESに関しては、追加的に書けばわかりやすいが、ロジックとして、書いてないから支障があるというわけではない。

JBICむしろES借款が何かということから始めないといけなくなる。

川崎:考えられる余地があるなら、ガイドラインの解説書のようなものを作ったとき、ES借款について書くのがいいだろう。本文に書くかという問題よりは、むしろ、そのようなところで論ずる問題だろう。

門間:例えば、フェーズと書いてあるが、その解説書に基づいてやっていると言えば、JBICの信頼性も高まるだろう。ES借款についても、本体計画との関連を配慮するなど。

JBIC我々のドラフティング・コミッティーでも、これは解説書にしようかという話で、削除しようということになった。

川崎:では別途、ガイドライン解説書のようなものを作ることをご検討いただきたい。

JBICガイドライン自体の広報についてやり方を考えたい。

門間:ちなみに、パブリック・コメントの際もある程度説明があった方がいいだろう。

JBICパブリック・コメントで質問が来た時、同じものに何度も答えるのはつらいので、FAQを作ることを検討している。

川崎:では、今の点はガイドライン本文と切り離し、別途検討できるところで織込んでいただきたい。付属書(2)の次の論点として、第3パラ「閲覧可能」を「入手可能」にしてほしいというメコン・ウォッチのコメントの趣旨を確認したい。

JBIC「閲覧」でコピーを取れないことはない。それが前提になっているのだが。

松本悟:タイのサムット・プラカンでは今コピーができない。

JBICそれは、今新しい制度になっていないからでは。

松本悟:この付属書は現地の話だろう。JBICは本文の話。

福田:実際に現地の実施機関に行ったところ、物は見せてもらえるがコピーはできない。

JBICそれは閲覧とは言わないだろう。

松本悟:閲覧は許していると言っている。

福田:閲覧ということで見ることはできる。

川崎:メモは取ってもいいのか。

福田:メモは取っても構わない。但し、かなり分厚いので非現実的だが。

JBICそれは我々がここで言っている意味とは違う。

福田:JBICの課長は今、その状況を指して「閲覧」と言い、公開されているから問題ないと言っている。

JBIC我々の言う「閲覧」は見て、コピーも取れる状況だ。

川崎:私の知る限り、それは「閲覧」とは呼ばない。手帳に移すのはいいが、持ち出しはだめ。物理的にそこに体を持っていかなければ見ることができないというのが「閲覧」という意味だ。

松本悟:コピーを取れないのは非常に大きい。

門間:「入手可能」と書いた場合、問題はあるのか。

JBIC意味がよくわからない。

松本悟:自分の費用でコピーができればいい。

川崎:もう一つ、持ち出し禁止というルールはある。コピーは取っていいが、本体が一部しかないのでそこでコピーをするというもの。

本山:コピー、あるいは、写しが入手可能というのはだめか。英語でも「Copy should be obtained」とあるが。

JBIC違うことを言っているわけではないので、ワーディングを考えたい。

JBICそのような書き方も考えたが、書き方としてあまりかっこよくないので閲覧にした。

川崎:外務省のコメントとして、特定の国により公開されていない場合、公開しなければならない、あるいは、閲覧可能でなければならないとこのガイドラインで書き切っていいかまだ考えている。前回の議論から、法律を変えろということではないのは了解したが、望ましいなどの表現であれば構わないのだが。また、一番上で「原則とする」がかかっているので、どうしようもない場合は例外がありうるという理解であれば構わないかもしれないが。

門間:財務省の考えは異なる。国の法律を改正しろというわけではないが、日本の公的機関が支援するプロジェクトの場合、国内において十分な協議なりコンセンサスがされることが望ましいと考えるので、要件にしてもよいと考える。ただ、「原則」という書き方になっているので、現在の案文で落ち着き所としてはいいだろう。

川崎:我々もJBICの行為なら責任は持てるが、相手国との関係でこの付属書にどこまで書けるかについては必要があればコメントしたい。立場を留保させていただきたい。「閲覧」の表現ぶりと合せて検討してもらいたい。

JBIC適切な方法で開示されていなければならないという感じだろうか。

川崎:前半ですでに公開されていれば、後ろ部分では手に入ることがポイントだろう。

松本悟:コピーが手に入ることだ。今の議論でいけば、現在、サムット・プラカンは閲覧可能ではないということになる。

JBICコピーを取る際に一部しかないと、コピーを取っている間、他の人が見られないということはあるだろう。

松本郁:閲覧をして入手可能な状況というのは、少なくとも23部は準備し、誰かがコピーしている間でも見られるのが当然だろう。

川崎:ドラフト案p.63)カテゴリFIの記述の問題に移りたい。財務省、地球の友、メコン・ウォッチからコメントが出ているが、まずJBICに説明していただきたい。

JBIC最初に書いたワーディングでは色々な解釈が可能で、結果としてよくわからない。ここでは、我々がレビューする同じ内容を実質的に確保するため、あまり手段を書いてもしょうがないので結果だけを求める表現にし、我々のやりたいことをシンプルに2行で表した。FIの場合、その先に来るプロジェクトがわからないから何もしなくていいわけではなく、特別なカテゴリを設けてやり方を決めなくてはいけない。FIには色々な形態があるが、プロジェクトがコミット前にわかっていれば、その時点で環境レビューすればいいし、融資後にわかれば、その時点でやればよい。いずれにせよ、我々のガイドラインと同じ内容が確保できるやり方を実際に取っていくという趣旨だ。国際機関では、小さいプロジェクトなら、もう少し簡単な方法でいいというやり方をするところもないわけではないが。

川崎:気になる点は、ドラフトの文末に「確保されるよう求める」とあるが、提言では「保証しなければならいない。」あるいは「確認する。」となっており、結びが変わっている点。

JBIC「確保する」であればいいのか。

川崎:「適切な環境配慮がなされることを確認する」ということか。

JBIC「確保されなければならない」でもいいが、文言はまた考えたい。「求める」で弱いということはわかった。

川崎:では、それで考えていただき、詳細なポイントが入っていない点はよろしいか。

JBICむしろ、こちらの方が成果主義なので厳しい。

本山:提言では、どのような方法で確認するかを細かく書いてあるので、このような結果を出すことと並んで、手続きも書けばいいのでは。

JBIC我々はこれに限らず、やるべきことを全部やろうと思っているので。

JBIC提言の限界は手続きが23種類書いてあるが、実際のツー・ステップ・ローンはこれほどシンプルには割り切れないこと。色々なバリエーションがありえるので、このケースで当てはまるものばかりではなく、これを書くと逆にわかりにくい。それより、我々がやることを示し、それに合せて実際のストラクチャーをケース・バイ・ケースで考えていくということ。

松本郁:例えば、IFCは機関の能力、どのような環境審査ができるかに非常に重点を置いているが。

JBICそれは相手を評価し相手に全部任せると言っているので、IFCが甘いということだ。我々は必ずしも相手を信用していない。

松本郁:そういうものが最低限の一つの手法だと思ったことが一点。また、一つ一つのプロジェクトがわかった時点で報告がいくということは最低限あったほうがいいのではないかと思ったのだが。

JBIC後半はモニタリングの話で、我々は通常、事後報告でそれを求めている。また、相手の能力を評価する場合、我々との見解の相違は当然あるので、私達は大丈夫だからという人が多く来られても困る。我々は全部任せるよりは自分達でやる方に立つということ。

松本悟:確かに読み方によっては、こちらの方が厳しい。大きな違いはもう一点、ドラフト案では「金融仲介者等を通じ」という言葉が入っており、JBICとしては、あくまで金融仲介者等を通じた働きかけに徹するとなっている。しかし提言では、JBICが最初に審査した段階で、金融仲介者の融資に関わるさまざまな能力を見たかどうかという点にJBICの大きな責任があることが書かれている。ドラフト案の働きかけをすることはよくわかるが、その場合、どこにJBICとしての一番大きい責務があるのかが曖昧になるのではないか。そうでなければいいが。

JBIC金融仲介者がなければいいのか。仲介者を信頼しているように見えるが、そうではないだろうという指摘か。

川崎:カテゴリABも借入人との契約関係で、JBICがやることと当該人がやることを書き分けている。FIも金融仲介者を通じてでないと無理があるだろう。また、JBIC自身が何を行うべきかは、JBICと金融仲介者間でお互い誰がどこまで責任を負うのかで、この手続きとは別のところで問われるべき問題だ。また、中身が書かれておらず確保されなくてはならないというほうが、無条件に色々なケース全てに適用されなくてはならないので強い縛りだ。よく分からない場合に色々な例を書くと逆に抜け道になる。個々に書き切れればいいが、書いてないものをやらなくていいことになるので、例外が出る場合はむしろない方がいいだろう。

門間:「確認する」という言葉は抵抗があるので、「確保されなければならない」という言葉がいいだろう。

川崎:「確保されなければならない。」ことを確認するということだろう。

JBICレビューをやることが基本なので、両方は書けない。レビューに相応しい表現にさせていただきたい。

川崎:「求める」のではなく、結果について責任をもつという趣旨なら、「確保されなければならない」だろう。

福田:大部分のお金が一つのプロジェクトに流れることが最初にわかっていたかは別問題とし、ツー・ステップという形で巨額が出る場合、ここで示されているような環境レビューをJBICがするのかがわからない。

JBICこう書いてあれば、事業毎に見ないとだめだという話になる。

松本郁:先程モニタリングでの事後報告とおっしゃったが、提言では、事前に「承認を得ることとするなど」となっている。事後報告でなく事前に報告を得るということで考えているのか。

JBIC事前とはいつか。

松本郁:融資を行おうとする前。

JBICプロジェクトがわからないので、融資を行う前にはできない。

松本郁:金融仲介者が融資を行おうとする前ということだが。

JBIC事前にはこれ以上のことはできない。実際に金融仲介者が承認するとき確保する。

松本郁:そのときにJBICの承認を得なければならないということならわかった。

JBIC色々なケースがあるが、テクニカルな問題として、ある一定の金額以下、例えば、1000万円、2000万円の小さいものなら、いらないことはあるかもしれない。その場合も実質的には事後報告を受ける。色々な形で確保していく。

JBIC内容は確保されていなくてはならないということだ。

川崎: ABについてはこの段階でのレビューについて記述してあるが、FIは全部を通じての環境配慮を適切に確保することがたまたまこの箇所に書いてあり、他のカテゴリと時間軸の切れ方が違うということだろう。ロジックとしては、別の箇所でFIは一括で全部やるという書き方にした方がいいのかもしれないが、そこは編集者がどう整理するかだ。時間軸で見て、後でやらないのではないかという心配はないだろう。

JBICない。

川崎:次に(4)について4点。まず、地球の友からドラフト案P.73行目「そのモニタリング結果の確認を行う」という箇所は評価できるというコメントがあった。2点目は地球の友と財務省から、6行目「必要に応じ」はいらないとのコメント。3点目は地球の友から、同パラの後ろで「JBICと借入人等とでモニタリングの方法について合意し、融資条件とするよう努める」という提言が処理されていないとのコメント。最後は財務省から、付属書(1)のモニタリングやフォローアップの記述は本体に移動するべきとのコメント。まず、「必要に応じて」の説明をお願いしたい。

JBICここは文章自体が蛇足だと思っているが、提言にあったので残した。環境についてのモニタリング経過はプロジェクトの内容により、提出方法もさまざまだ。プロジェクト・ファイナンスの場合モニタリング・レポートは四半期、半期、年単位等、特別なレポートが出てくるケースもある。したがって、モニタリングについてそれなりに求めるものがあるので、必ずしも「進捗状況や完了に関する報告書」だけで述べてもらう必要はない。きちんとしたレポートが他にあるなら、そちらに変えてもらえばいい話で、ここのように二重、三重に書く必要はない。その意味で「必要に応じて」と入っている。我々としては、結果としてきちんとやってもらえればいいという趣旨だ。本当は、この文章を入れずにすっきりさせたい。

門間:ここでは「プロジェクトの進捗状況や完了に関する報告書等が提出される場合」となっているが、今の話で、モニタリングをやるときにもう少しやっていると言うのは、どのような手続きのことか。

JBIC環境に関するモニタリングを求めたとき、特殊なレポートである場合もあれば、進捗状況報告書のようなものに入っている場合もある。ただ、進捗状況報告書のようなものが全てのプロジェクトにあるわけではない。例えば、輸出信用にはない。したがって、別途、我々は報告してほしいと求める。これだけで全てがカバーされているわけではないので、必ずしもこのワーディングが必要だとは思わない。カテゴリABはきちんとしたレポーティングが必要だと書くほうが、わかりやすいしすっきりする。ご理解いただけるなら削除したい。

本山:確かこれは最初、円借款の進捗報告書について議論していた。

松本悟:我々はもう少し一般論として出したが、実際に円借款側の対応とうまく抱き合わせた形で長い文章になったということだったので、必ずしもそれに引きずられなくていいだろう。

JBICそこはワーディングを工夫させてもらってよいか。

門間:もう一度、おっしゃっていただけるか。

JBIC環境に関する報告がなされなければならないということ。

門間:そのタイミングはいつか。

JBICプロジェクトの内容しだいだ。モニタリングは原則、融資のある限り行う。ただ、プロジェクトの内容によっては、そこまでやらなくてよいケースもあり、ケース・バイ・ケースで決まる一定期間、レポーティングしてもらう。ただ、そのときの頻度はまちまちで、年に一度で十分な場合もあれば、センシティブに考え四半期に一度になる場合もある。

門間:「進捗状況や完了に関する」とあるが、プロジェクトの終了時だけでなく、その途中でも必ず求めるのか。終了時だけのモニタリングをもらっているのでは意味がないだろう。

JBIC建設中と建設終了後の操業と大きく2つに分かれ、建設するだけが目的のものもあるが、その後の操業が目的のものもある。そういうものは一定期間でやるのが原則。ただ、頻度はプロジェクトの性格にもよる。

門間:頻度についてではなく、単に報告するというだけではいつ報告するのかわからないので明確化した方がいいのではないか。例えば、ダムは途中で見なくてはいけないだろう。

JBICその通りで、プロジェクトしだいということだ。例えば、5年かかるダムのケースでは、5年目に終わった時点で1回きりではおかしい。毎年、場合によっては、四半期に一度になるかもしれない。ただ、国金業務でやるプロジェクトには、承諾してから建設が終わるまでに3ヶ月や半年、1年というケースもある。

門間:いずれにせよ、単に報告するだけでは説明が足りないだろう。

川崎:役所言葉でいう「適時」「適切に」という言葉が入ればベターだということか。

門間:何も書かないと、パブリック・コメントで必ず質問が来るだろう。

JBICでは、そのような趣旨のワーディングを考えたい。

川崎:次に、このパラの後ろに、提言p.17「銀行によるモニタリング」第3パラの部分が反映されていないことについて。

JBIC紛争があった場合の具体的な解決のメカニズムについてと、もう一つはモニタリングの方法について、2つ同じ趣旨の指摘があったと思う。まず、契約書上反映させる内容と、そうでない内容がある。融資契約では我々が求める内容を書き、あとの細かい内容、方法については別途お互いに合意しながらフレキシブルにやるのが通常だ。これは、状況が変わったときに契約を変更するのは大変で、とくに相手が国家である場合、少しの変更でもかなりの手続を経なくてはならないからだ。また、モニタリングについては、EIAの承認をしたときに、いくつかのコンディションのうちの一つになるのだが、具体的にどこで、どういう方法でやるかなどは書かない。モニタリングという義務を課した後、彼らと相談しながらやっていくので、我々が実際に仕事をやっていくときにそこまで書くのは細かすぎる。

川崎:これも先程と同じで解説書のようなもので、事業者に対するJBICのやり方の解説ということで入れてもらえればいいのではないか。次に、付属書(1)のモニタリング・フォローアップの記述について。

馬場:これまでの議論で、実際に分けて書くことにより整理したと理解した。

松本悟:4)でもう一点。ドラフト案p.7第3パラ「本行はフォローする」の意味は何か。

JBIC用語が統一されておらず適切でないかもしれないが、確認するという意味。

松本悟:また、提言p.18最終パラ「具体的には、住民や…(略)…重要である」というのは一つの事例なので、書くのは相応しくないということか。

JBICこれは事業者がやるべきこととして、付属書(1)ドラフト案p.13の最後に入れた。この話は重要で、指摘があった場合、まず事業者に解決してもらい、それを我々が確認するほうが現実的ということ。

松本悟:提言では必ずしも事業者として書いてあるのではないと思うが。

JBIC問題が起こったときには、そのプロセスに我々がいきなり入るよりは、まず事業者のモニタリングがありきで、それを我々が確認する。問題があれば働きかけ、だめなら融資をストップというのが前提だ。そのほうが物事を解決する上で望ましい形だろう。ここに我々が入ると事業者の責任は逆に弱まってしまう。

JBIC実際に問題に直面した場合、我々も問題点を指摘はできるが、実際の解決方法は事業者に責任をもって考えてもらう必要がある。それを実行するのも事業者だ。そこは事業者と融資機関との違いがある。

松本悟:紛争解決のための第三者委員会というようなものはなるべく開かれないほうが望ましいと思うが、そのために、このプロセスはかなり重要だろう。JBICの力の入れ具合が大事だと思うが。

JBICそれは重要。例えば、現地で関係者が集まってモニタリング委員会を作るなどでうまくいく場合がある。それはオーナーシップを彼らが持ちやっているからだ。彼らがそれをやらないならば、我々が働き掛けることは必要だ。まず、そうした役割分担をはっきりしておかないといけない。

JBIC我々は海外の仕事をやっているので、時間的にも距離的にも行くのは遠く、我々のところに設けても実効性にも問題があるし、限界がある。現地で現地の人にやってもらう。事業者に責任をもち案を出してもらい、実行してもらうのが一番の方法だ。

門間:まずは事業者だが、最終的にはやるのだろう。その説明では腰が引けていると感じてしまう。

松本悟:先程おっしゃった現地での解決手段の点について入れてもらいたい。

JBIC我々もこれまでのプロジェクトから、事業主体が問題解決のために関係者と議論してゆく場として第3者委員会のような仕組みを作ることがひとつの有効な方法であることを学んだ。現地のイニシアティブから出てくることがより大事だと思っている。

本山:事業者に対し要求事項を書くのはいいが、この事項はJBICのやるべきことの中に入れ、事業者がやるべきことの方では、地元の住民の参加を促進し、十分な協議のもとに問題解決に努めるべきという書きぶりのほうがいいと思うが。

JBIC「借入人等を通じ事業者等による適切な対応を促す」という表現よりは弱いかもしれないが、意味は同じ。

JBIC我々のすべきことはp.7に書いてあり、その具体的内容が事業者のやるべきこととしてp.13に書いてあるので、おっしゃることは確保されていると思うが。

本山:事業者のやることだけではなくポリシー的な考え方についても強調しているので、事業者に要求することは、例えば、ステークホルダーが参加し、対策を協議する場が十分確保されなければならないなど、違う表現のほうがよいと思う。

門間:提言の「重要である」がドラフト案p.13で「望ましい」となっているが意味はあるのか。また、ドラフト案のその上で、「重要である」「しなければならない」「望ましい」「望ましい」とあるが、どう書き分けているのか。

JBIC提言通り「重要である」がよいのか。他の箇所は重要性に応じ、「せねばならない」「望ましい」などで書き分けている。ここの「重要である」のほうがかえって浮いている。どちらでもいいが。

上村:ドラフト案p.13に関連し、現地での協議の場の設定の重要性は十分理解しているが、注意しなければならない点は、現地では事業者と住民の間に大きな力の差があることだ。p.13「十分な情報公開のもと」というのは一つの担保だが、「住民の平等な参加を促進し」などという表現を追加しておかないと、ただ単に協議の場を作ればいいという話になる。事業者には弁護士はじめ環境や財務などの専門家が何人もいて、住民は専門用語すらわからないという協議の場もありえるのではないか。

JBIC提言自体を変更するということか。

門間:提言の「住民やNGO、事業者等を含むすべての主要なステークホルダーが参加して」が抜けているので、懸念されるのではないか。住民やNGOなどと書いてあれば平等な感じがする。

JBICp.13で「当該プロジェクトに関わるステークホルダー」とあり、定義はこちらのほうが広い。

JBICこの点については考えたい。

川崎:まず、提言に書いていないことを入れるなら、それができるかできないかという問題がある。また、「参加者の平等な参加の保証」はこの箇所で書かなくても、他の箇所にある人権のようなもので担保されるなら、包括的に処理される話。また、ステークホルダーの書き分けの問題はペンディングになっている。書き替えても意味は変わらないが、明示的に書くことで懸念が晴れるなら工夫してもらえればベターという整理でよいか。

松本悟:もう1点、提言P.182パラ平文の箇所について、議論がされたのなら伺いたい。

JBICこれについては、ここに書かれている通り。融資を止めた場合に被る損失の保証は、訴えた側の利益、訴えられた側の不利益という双方のバランスが難しいという議論だった。

松本悟:難しい止まりで、これを乗り越える議論にはなってないということか。

JBICそうだ。企業側の反応は、悪意のある第三者が出てきて止めようと思えば何でも止まってしまうので、このような話は非常に困るというものだった。平文の後ろの部分がないともっと大きな議論になってしまうだろう。

松本郁:もう1点確認だが、提言p.18「銀行によるモニタリングとフォローアップ」の第1パラ「銀行としても…(略)…条件とするよう努める。」の箇所については。

JBICこれは先程のモニタリングと紛争解決の方法の話と同じ。契約書にはやることを書き、詳細はあとで別途話し合う。

松本郁:契約書でないところで、何らかの合意がお互いにされるということか。

JBICそうだ。

川崎:今の文章は規定するものではないが、解説書などでこのようなことを処理しようということだった。

 

10分休憩>

 

川崎:ドラフト案p.71)の議論だが、まず、2行目「ステークホルダー」という言葉について地球の友からコメントがあるが、これは全体で検討していただくことになっている。次に、財務省からp.82行目「そのほかの秘密」とは何かというコメントがあった。

JBIC我々の感覚では商業上の秘密もその他の秘密も同じだが、業界の方からすればそれは違うので、ぜひ分けてほしいということだった。また、商業上の秘密と技術上の秘密という分け方にするかという問題は、業界の方々も「技術」で完全に包含されるという自信もないようなので、「その他」とした。結局、コアになるのは商業上の秘密だが、その概念に包含されないようなものも含まれる余地を残しておきたいということだ。

門間:基本的に、商売上の競争上の理由ということか。

JBICそうだ。

松本悟:ここはそれなりに限定した方がよい。柔軟性を全く認めないわけではないが、情報公開の中で留意する点を明示したほうがよい。その他というのはいかがか。

上村:「技術などを含む商業上の」という表現はいかがか。

JBIC企業の方は、商業上の秘密に技術が含まれるとは思っていない。

川崎:オプションは2つあるだろう。「商業上等の秘密」とするか、「商業上、技術上等の秘密」とするかで考えていただきたい。「その他」は広すぎる。

JBIC「商業上等の」という感じだろう。

松本郁:技術以外で具体的にあるなら、出してもらったほうが私達もクリアになるが。

JBIC我々も産業界から言われてやっているところはある。すぐに思いつくのは知的財産権に属するようなものが色々あるだろう。

松本郁:業者の方に個別で話を聞いているなら、具体的に何があるか更に確認していただきたい。「その他」は広すぎる。「等」は仕方ないとも思う。特定できるなら、そのほうがよい。

JBIC1月のパブリック・コンサルテーション・フォーラムで、また話は聞きたい。

川崎:文章は「商業上等」とし、具体的に出てきたものは解説書のようなものに例示すれば、無条件には広がらないし、予想がつくのでベターだろう。

JBIC情報公開法で縛られるので、それほど広がるものではない。いくつか情報公開法で非開示にしなければならないものもある。

原科:「借入人等の商業上等の秘密を尊重し」とし、補足的な説明を文章として付けることで検討していただきたい。次に、(2)情報公開の時期と内容について。

川崎:1点目は、一つ目の●「プロジェクトの概要」となっているが、対照表p.7で見ればわかる通り、提言では括弧に具体的内容が書かれている点。2点目は、二つ目の●「入手状況」となっているが、入手した内容を公開しなくてよいのかという点。3点目は、公開の時期が特定化されていない点。最後に、下から2行目「情報開示が禁じられる情報」を限定してほしいという点。

JBIC「開示の禁じられる情報」は技術上の情報等の問題。借入人と関係上、どうしてもコンフィデンシャリティ・アグリーメントを結ばなくてはならないケースがあり、主に通常、技術上の情報をコンフィデンシャルにする。

門間:「開示の禁じられる情報」を前の「本行と借入人との間の契約上」と並べて書いているがいいのか。

JBIC必ずしも、技術上の情報を秘密にするという書き方になっているとは限らない。

門間:商業上等は。

JBICそれを含む情報にしないと、契約と整合性が取れないと困るので。

門間:この場合の懸念は、契約で禁じれば何にでも広げられるとうこと。これでは限定が足りなすぎる。

JBIC情報公開法と守秘義務契約では、前者が優先する。

門間:情報公開法と言うが、財務省の立場は、JBICが情報公開法に基づく情報公開をすればそれだけで十分だという見解にはない。

JBIC我々が今やっているのは、できるだけ守秘義務契約を結ばず、結ばなくてはならない場合でも、秘密を限定すること。あるいは、法の要請がある場合は出すことを要件にしている。趨勢として、契約を結んでいるから何でも秘密にできるだろうということはない。

門間:どのようなものを契約に書いた場合に非公開にすべきか、ある程度共通の認識があったほうがよい。基本的には、商業上の秘密や、環境に関係ない部分についての情報を出してくれということはないだろう。書き方の問題かもしれないが、今の書き方では借入人に契約さえ結べば逃れられるというロング・シグナルを与える可能性がある。

JBIC2)の最後「法の要請のない限り」とあるので、法の要請があれば開示する。

JBICコンフィデンシャリティ・アグリーメントを結ぶ際に、我々が借入人に常に言っているのは、国会の調査権や会計検査院の検査もあるので、コンフィデンシャリティ・アグリーメントを結んでも、当該法律の要請がなされれば結局情報は出てしまうということ。我々も契約を結びObligationなど負いたくない。

門間:「法の要請のない限り」でいいのか整理しきれていないが、極端な例を出すと、環境アセスメントを公開すべきだと私が仮に考えていた場合、法の要請としては、途上国の環境アセスメントを公開しないといけないとはどこにも書いていない。仮に環境アセスメントは公開しないと守秘義務協定を結べば、これは保護される規定になってしまう。

JBIC法の要請とは情報公開法の要請のこと。同法で書いてある禁じられた情報以外のものは全部出すということなので、開示請求があり我々が情報を出さない場合、同法の要請から出せということになるという意味だ。

門間:情報公開法で禁じられた情報について規定は何もないが。

JBIC法の要請とは、例えば、情報公開法上の不開示事項に当たらない限りという場合もある。ただ、国会の調査権や会計検査院の検査など、それ以外の法律もある。情報公開法だけ規定すると、我々がそれ以外の法律に基づき対応しなければならない場合にできない。

松本悟:しかし、ここは基本的に、積極的な情報公開について述べる項目であり、わざわざ開示について書く必要があるのか。

JBICそうは言うが、産業界にとっては非常に重要なポイントだ。コンフィデンシャル・ビジネスの世界ではコンフィデンシャリティ・アグリーメントは当然。プロジェクトの初期段階では、プロジェクトの存在自体を知られたくないなど、情報自体がコンフィデンシャルなケースもある。そういったことを全部公開というのは非現実的だ。

門間:そのような情報を公開しろと言っているわけではない。JBICが何を公開し、何を公開しないのかの話だ。商業上の秘密について公開しろとは誰も思っていない。書き方の問題かもしれないが、そこを工夫できないか。

JBICこれでは不都合なのか。

JBIC産業界の強い要請というのは、ちゃんと秘密に配慮することをガイドラインの中で言うことと、さらに、それを制度的に担保することを書いてほしいということだ。

本山:1)は情報公開の原則的なことなので、商業上等の秘密を公開しないと書いてある。(2)はJBICが環境配慮のためにどの情報を公開するかを規定する部分。ここに関しては、JBICがどの情報を出すのかはっきり書いてもらいたい。そうでないと、法に基づく請求があった場合に議論になるだろう。「開示が禁じられる情報」についてはここに書く必要はなく、(1)の原則で書けばよい。

JBIC我々は産業界の方とも話すが、彼らも不当なことはしてほしくない。ここで、こちらがやることと、やらないことを両方バランスさせて書いてあげてもよいのでは。

本山:しかし、(2)はJBICが基本的に公開する情報を規定する部分だろう。

JBICこの下の34行はなお書きだ。我々はこうするが、一方でこういうことにも配慮しなくてはならないというバランスの問題だろう。

松本郁:その考え方で(1)に書けばよい。

原科:確かに、重複感はある。

JBIC2)の内容を(1)に移せばよりすっきりするのでいいかもしれない。

JBIC趣旨はご理解いただいたのか。

本山:最初から理解している。JBICが積極的に公開する箇所をはっきりさせてほしい。

川崎:一番のキーワードは「契約上」という言葉がかかっていること。これがなくて、借入人等の商業上等の秘密を公開しないというのなら問題ない。

原科:このパラの「なお」以下の2行は、上の2行「本行は借入人等の商業上等の秘密には十分配慮し…」と重複しないか。

JBIC守秘義務契約の一般的な書き方は、本件に関してAからBに提出した資料は法の要請がない限り出さないという契約。それをこちらから積極公開はできないが、但し、法の要請があれば出すという話だ。

本山:2)はJBICが環境配慮をしていることを明らかにするための積極的な情報公開の話で、そこに契約上の情報不開示の話が入るとぶつかってしまう。基本的に契約上の守秘義務があるのは理解できるが、それに関わらず、環境配慮に関して必要な情報を積極的にここで示す手続きにより公開するというのが(2)だ。

JBICここに書いてある通り、公開する情報にこのような秘密が含まれないように促すということはあるが、出てきたものの中にそれが入っていることがある。

本山:JBICが基本的に公開すべきものの中に守秘義務でぶつかる事項があると。

JBIC入っている場合もある。例えば、環境アセスメント報告書の中には色々な情報が入っている。

福田:環境アセスメント報告書に含まれるであろう商業上等の秘密には何があるのか。相手が国である円借款の場合にも出てくる可能性があるのか。

JBICそれはないが、EIAの中にもプロセスがあるので。

原科:アセス文書は公開が前提だろう。

福田:現地国で公開されていることを付属書ではrequirementにしているが。

JBICここに書いてあること自体にどのような問題があるのかわからない。

本山:JBICが基本的に環境配慮のために積極的に公開するものを規定している箇所に、なお書き以降が入ると、契約がある場合にはわからないというように見えてしまう。

門間:1)は商業上等の秘密は尊重し、両立するよう努力すると書いてある。つまり、商業上の秘密は黒塗りにして出すことで対応できる。(2)では何でも出せというのでなく、環境に関する主要な文書などを積極的に公開すると書いてある。環境に必要な情報を出す場合に、商業上の秘密があるなら黒塗りなりして出せばよいのではないか。

JBIC秘密に配慮するという宣言を担保する手立てして、例えば、守秘義務契約を結ぶというプロセスもガイドラインに入れてほしいという要請があった。

門間:商業上の秘密を隠したいのだから、「契約上、記載された商業上の秘密」あるいは「契約上、情報開示が禁じられる商業上の秘密の情報」などと書けばよい。

JBICここは、契約が重要だ。

門間:「契約上、情報開示が禁じられる商業上の秘密の情報」ならよいだろう。このままでは、契約にあれば何でも出さないと読めてしまうので懸念している。

JBICその方向で検討したい。

川崎:同意は必要なのだろう。そこは「同意を得た上で開示する」という書き方であればまだいいが、「同意がないと開示しない」となっている。手続きだけを決めたいのであれば、修正したほうがいいだろう。

JBIC書きぶりをポジティブにし、○○の上行うという言い方にするということか。

JIBC法の要請というから、法の要請がないと出さないのかという話になってしまう。

川崎:守秘義務がかかっているのに出てしまうと違反になるので、手続は必要。

JBIC考えさせていただきたい。

原科:次に、一つ目の●「プロジェクトの概要」の箇所について。

JBICプロジェクトの概要は米輸銀とほぼ同等のもの、もしくは、それ以上のもので考えている。これはWEBサイトに出すので、今、そのデザインと合わせて考えている。

本山:ガイドラインのドラフトを出す段階までにどのような項目になるかを示すか。

JBIC間に合えばそうしたい。間に合わなければ、フォローの際に議論できるだろう。

本山:具体的に提言で案を出した。それに関して今議論があるのか。

JBIC今、どういう形で出すのが適当か議論している。産業界の意見も聞く必要があるので、これで大丈夫かを確認しているところ。1月のコンサルテーション・フォーラムでは、産業界の強い関心のある部分なので、具体的に示したい。

門間:今、どの項目が懸念として出されているか。

JBIC金額、資金規模、事業社名などの点が議論になっている。

JBICこの前のコンサルテーション・フォーラムで企業名をおっしゃる方が1人もいなかったことを見ると、企業名には抵抗感はあるのだろう。

JBICここはカテゴリ分類をして融資承諾に至る前のプロセス。我々の検討過程なので、非常にセンシティブだ。要請しただけで、全部出てしまうのかという話になる。悪意のある第三者がいれば、どう使うかわからないので。

川崎:逆に実施者を出すことにこだわるか。

松本悟:名称や場所だけでもいいだろう。

門間:資金規模、金額はかなりセンシティブなのか。

JBIC金額は商業上の秘密の第一番にくるものだ。

門間:金額でカテゴリ分類されていたが、それより上かどうかはわかるのでは。

JBICカテゴリCかは見ればわかるだろう。

本山:先程、契約の話があったが、全体にざくっと規定をし、あとは契約でとなると困る。どの時期にどういう情報を公開するのかがはっきり規定されることを確認したい。

JBIC今の時点ではまだ出せない。

JBICコンフィデンシャリティ・アグリーメントとここのカバレッッジは関係ない。

川崎:パブリック・コメントには今のテキストのままで出る可能性もあるのか。

JBICそうだ。WEBサイトに出るので、ここに書く必要性はない。

JBICどのような情報になるかはまだ決まっていないが、カテゴリ分類の終了後、WEBサイトに情報が出るので、それを見てもらえればどの情報が出たかわかる。

本山:NGOもここは非常に気にしている。少なくとも、円借款の場合はここまで出るなど、コンサルテーションの段階である程度のものを出してもらわないと議論しづらい。

JBICそこが議論のポイントなので、もちろん出す。

川崎:最終的には、この後ろに括弧でどの情報が出るのかという記述が入るのか。

JBICガイドラインとして規定する必要があるのか。

門間:世銀の場合もある程度書いてある。財務省としては、最終的にJBICで検討して残った項目については、透明性の観点から残していただきたい。

川崎:括弧の中のものがなく「概要」とだけ書くと、苦情処理委員会に回し違反しているのかと言われたとき、審査のしようがない。WEBに出ているものが概要と言われても。

JBIC少なくとも米輸銀くらいのことはやろうと思う。

本山:円借款についてはもちろん規定されるのか。

JBIC要請情報は我々にオーナーシップがない。むしろ、政府の問題だ。

本山:そこはぜひ詰めていただきたい。

JBIC要請を受けた段階で我々としてどこまで出していいのかは政府しだいだ。

JBICこれまでは、名前も出してはいけなかった。

川崎:要請書自身は国から我々が預かっているので、信頼関係の問題でどこまで出せるかという問題がある。ただ、カテゴリ分類を終了したものを出す場合は、JBICがこれから融資を行おうというプロジェクトについてなので、当然性格が違うものと思うが。

JBICこれまでは、案件の名前も含め情報がオープンになるのは事前通報。ここで出すのはそれよりも前の段階なので、そのルールの変更の話になる。

川崎:そこは調整したい。今まで政府にとっての開示は極端に言えば、E/Nなどしかなかった。実際には情報はそのずっと前からある。ただ、皆さんの知りたいものはプロジェクトになりそうなものでないか。そのとき、不要な情報がたくさん入っても困ると思うので、ある程度整理して出すべきだろう。色々な情報を全部出すと全く進まないものについても手間がかかることになる。相手にとっての秘密もあるだろう。また、情報を出すタイミングの問題もある。我々の理解は、カテゴリ分類を終了した時点で、そこから先に進むものに関し情報をなるべく早めに出すということ。

JBICそこを決めていただきたい。

川崎:タイミングとその範囲について、整理したい。

門間:場合によっては、概要を円借款と分けて書くこともありうるということだろう。

JBICできるだけ共通にしたいが。

松本悟:提言には、あまり難しいことは書いていないと思うが。

JBIC今まではルールとして出してはいけないことになっていたので。

川崎:カテゴリ分類が終わった時点で出すと書いてあるので、それは構わない。その川上の要請や相談の段階は別の話だ。

原科:では、それに対応した表現に変えていただきたい。

松本郁:国金業務では、実施者と資金規模についてコンフィデンシャルなものという話だったが、米輸銀では例えば、環境の影響までHPに載っている。

JBICカテゴリ分類の結果とその根拠は公開する。

原科:米輸銀は実施者については出していないのか。

JBIC出していない。金額も出していない。

門間:円借款の場合、「想定される主要な環境影響などカテゴリ分類の根拠となった情報」について出る可能性は高いだろう。

川崎:案件の概要がわからないと困るだろう。案件名、サイト、事業内容など。

JBIC少なくとも、問題のないものについて列挙し、最後に「等」と付けるのは可能では。

JBIC検討したい。

原科:次に、「十分な時間的余裕を確保して行うよう努める」について。

JBICここのコンセプトは、スクリーニングをなるべく早いタイミングでやるということと同じ。我々のリスクをできるだけミニマイズする観点から、できるだけ早く十分な期間をもつということだ。実際には、とくに国金等業務は金融種類もあり、その中でプロジェクトの関わり方も違うので、一律の期間を設けることができるか、何が適当なのかを今考えている。産業界の意見も聞いているところだ。

門間:円借款の場合のタイミングはどうなのか。

川崎:JBICにプロジェクト・サイクルがあるように、政府の中にもミッションや審査などのプロセスがあり、そのどの段階でスクリーニングをやっていくのかという問題だ。精神としてなるべく早くというのはわかるが、相手国との関係がある。自分の情報だけ勝手に出すことは問題ないが、国により、どういう話を進めているのかについて開示する場合、相手国の了解も必要なので、どの段階でできるのか詰めないといけない。

本山:十分な時間をとり公開するというのは、特に環境の影響の大きいものに関しては、外部からの情報も得て決めるということだった。他の機関を見ても、大体何日間位とある程度示しているが、これは銀行がどこまで環境配慮しているのかを見るかなり大きな指標であり、これが曖昧なままなのは問題だ。輸出信用機関で示しているところもある。

JBIC輸出信用機関といっても色々あり、輸出信用しかやっていないところもあれば、我々のようなところもあり、一概に言えない。

門間:米輸銀はどうか。

JBIC米輸銀は輸出金融だけだ。

門間:米輸銀は何日と書いてあるのか。

本山:カテゴリAだが、45日間後にコンサルテーション期間をおき意思決定する。

松本郁:投資金融を分けることはできないのか。

JBIC統合ガイドラインということを示すために分けない方がいいと思っていた。一律にするなら、最大公約数的なところになる。短く一律にはしたくない。

門間:円借款などでも分けて調整していただきたい。単に十分な期間というよりは、むしろ分けてもいいので具体的に示したほうがいい。また、将来、文句を言われたときにも、十分な期間をあげたと言えると思うが。

JBICいいアドバイスなので、中の議論に非常に役立つだろう。

JBIC他の援助機関を見てもIFCの方が世銀よりも短いが、JBICの国金で短い期間に設けると、旧輸銀は情報開示に熱心でないと言われるのではと非常に悩ましい。

川崎:確かに、国金業務と円借款のプロセスは違う。今の仕事の仕方を全く変える必要がないとは、我々も思っていないが、今すぐできることとできないことがあるので、当面スタートするときに差を設けるべき点があれば配慮していただきたい。

原科:いずれまた変えていくことでもあるし。

川崎:円借款の場合、現行の政府の仕事の仕方もあり、JBICだけでやると言われても困るので、調整させていただきたい。

松本郁:この時点での「意思決定」とは具体的にどの時点を想定されているのか。

JBIC融資契約の承諾時。

JBICサインしないと結局意思決定にはならない。

松本悟:次の議論と抱き合せで考えたい問題だが、入手状況だけを公開するなら、役員会の60日前や45日前に公開されたとし、そこから情報公開法に基づき公開請求の手続きをする。そのとき、請求をそちらが一回延長すれば、それで45日は過ぎてしまい、結局意味がない。出てきた時には期間が終わっているということは十分にありえる。何日か決めるのと情報公開法に基づいたやり方を提案しているのは、抱き合せで考えないといけない。

原科:入手状況は目次のようなものなので、そのリストにアクセスすればよいのでは。

JBICそんなに何日もかからない。例えば、20日や30日かかることはありえない。

JBIC縦覧か閲覧かという問題もあったが、情報公開法に則ってとは言っても、基本的に公開なので言われれば見せるということだ。

松本郁:基本的に公開なら「公開」と書いていただきたい。

JBIC「閲覧」というのは「公開」のこと。

松本郁:では、ぜひ書き換えていただきたい。

門間:まず、入手したものをWEBに載せる。これを見たいとJBICに言うと見られる。

福田:文書そのものが閲覧に供されているということか。

JBICそうだ。

松本悟:では、情報公開法によるものではないのか。

原科:情報公開法ではない。アクセスすれば、すぐに見られるのだろう。

JBIC料金や窓口をどうするかについては情報公開法の手続きに則った方が楽なので、そういうことにする。だが、基本手的には公開すると決めているものなので、来てもらえれば見せる。さらに一歩進み、それをWEB上に載せるのは事務的な手間が大きすぎるので、供え置くことにしたい。

川崎:WEBに載る入手状況のリストをクリックするとその情報自体が出ることはないのか。

JBICそれは難しい。

原科:コピーを送ってもらう、買う、見るということはできるのだろう。

JBIC基本的には来て見ていただく。

原科:送るくらいのサービスがあってもいいのでは。

JIBCお送りはするが、実費でなら情報公開法の手続きに則り簡単にできる。

川崎:相手国との関係では、EIAなど当然相手国で公開されているものが対象となっているのでないかJBICが相手国で公開されていないものを持っているからといって勝手に出すということではないだろう。まさに便宜を供するために公開されているリストがあるということか。

JBIC相手国で公開されていれば30日も待つ必要もない。来てもらえればお見せする。

松本悟:この「閲覧」は「公開」であると。

JBICそうだ。

原科:その場では読みきれないので、コピーできることは必要だ。

川崎:「一般の便宜に資する」などの表現にしてはいかがか。「閲覧」は先程も議論があったが、普通そこに行きメモはいいが、コピーを取るのがだめなので、JBICが意図しているものが違うのなら、違う言葉にしたほうがよい。

原科:「提供する」でもよい。

JIBC言葉は考えたい。

門間:また、読んだとき、「一般の閲覧に供する」の主語は「入手状況」と読めてしまう。

JBICそれも修正したい。

松本悟:私もそう読んだから、先程のようなことを考えた。

JBIC先程おっしゃっていた、図書館に行けば供え置いてあるというような縦覧に供するものはコストの関係を考えたい。

松本悟:費用ともかく、コピーをもらうことはできるのだろう。

本山:寺田さんが提案されているPDFファイルなどの件はいかがか。

JBICそれは手間がかかるので無理だ。PDFファイルで出してもらっても、秘密を消す作業は同じ。

JBICむしろボリュームが大きい。1,000ページ、2,000ページになるものは当然ある。それをPDFでもらっているわけではないので、大変だ。

本山:最近は、電子データでもらっているところが多いと聞いたが。

JBICそれがオーソライズされなくてはいけない。

原科:そのことについては技術の進歩に応じ対応できるので、とりあえずは入手状況のリストがあり、その現物も手に入るということでいきたい。大事なのは文書が手に入ること。「入手状況をウェブサイト上にて開示し」となるのか。

JBIC表現は考えたい。

川崎:「掲示」はいかがか。「開示」はおかしい。

原科:それらについては、要求に応えて提供するということにしていただきたい。

JBIC検討したい。

門間:意思決定というのは契約書にサインしたときなのか。

JBICよくわからないところもあるので、内部で調整したい。

本山:2つ目の●でもう1点。カテゴリAEIAを出し、カテゴリBはその他の部分を出すということがはっきりしていないが、それに関しては提言通りの理解でよろしいか。

JBICABを分ける必要性を感じなかった。

松本悟:意思決定の何日前という期間のほか、一つ目の●スクリーニングが終わり公開までの時期もあるが、ここでは「できるだけ速やかに」とあり数字がない。

JBICスクリーニングが終われば、そこで留め置く利益はない。事務手続上の問題だけだ。

本山:最終的には何日前となるということか。

JBIC検討したい。

原科:それが具体的に示されていればいいということ。

松本悟:2つ目の●「入手状況」の箇所にも提言では「速やか」があるが。

JBIC具体的にどのようにやれば速やかにできるかということで、WEBサイトにした。

松本悟:それで速やかだということか。

松本郁:入手されたら、できるだけ早く出していただけるということか。

JBIC「速やかに」のポイントも踏まえ文言を検討したい。

原科:「速やかに」と入れていただいた方がいいだろう。

松本郁:環境アセスメント報告書とそれ以外にも色々なドキュメントがある場合、順番に出てくるのか。それとも、環境関連の報告書が出てきたと載るのか。

JBIC入手状況なので、その時点で入手した都度出る。

原科:基本的にはリクエストを受けるので、そうしないと意味がない。

JBICそのレイアウトは今考えている。

川崎:入手したもの全てが公開できるとは限らないが、入手状況は全部出るといことか。国家機密に関する文書が付属書などに入っている場合、公開はしなくても入手していること自身は書かれるということか。

門間:「原則として」で、そこに入っているのだと思っていたが。

JBIC入手状況も載せないという情報はあまりない。

川崎:全部出るが、どうしても出せないものについては、公開の対象にならないので閲覧不可と書いてあっても仕方ないということだろう。

松本郁:環境関連で秘密に関わるような情報はあるのか。

原科:環境関連ではないのでは。

川崎:あとは、相手国政府が公開していれば問題ない。JBICが入手したので勝手に出してしまうということにはならない。

JBICそこは同意を得る必要がある。

原科:ここに書いてある項目では、環境アセスメント報告書、環境許認可証明書等とあるので、オープンになるだろう。

川崎:本来、性格的に出すものであるだろう。これも手続きの問題で相手国の同意などプロセスが必要だということ。

原科:次に5.意思決定、融資契約等への反映の議論に移りたい。

川崎:5点コメントがある。地球の友コメントP.3393点。1点目は、第2パラに提言にあった要件の明記が必要ではないかという点。2点目は、一つ目の●「モニタリングについて」の「について」が提言では「モニタリングの方法およびその報告」だった点。3点目は、2つ目の●「協議を求めるよう努力」となっている点。財務省からのコメントは、3つ目の●「借入人以外のプロジェクト実施主体者及び相手国政府(地方政府を含む)」について、これに限るのか。最後に4つ目の●の文末「ことがあること」となっているが、その前で止めるべきというコメント。

松本悟:もう1点、最初のパラ2行目「プロジェクトが環境に望ましくない影響」は提言「環境・社会」の通りにすべきではないか。

JBICこれについては、最初に「環境配慮」か「環境社会配慮」かの議論があったので、これから議論することになるが、この案では全部「環境配慮」に統一し、環境の定義を自然環境プラス幾つかの社会的側面とした。

松本悟:「配慮」がつけば確かにそのような認識だったが、環境という言葉が社会を含むというのは合意できていたか。

JBICそこは「環境配慮」、「環境社会配慮」の議論と合わせて検討したい。

JBIC趣旨は同じだ。

原科:その用語はご検討いただきたい。次に第2パラ「最大限努力する」について。

JBIC要件と書いても、これは交渉次第なので意味がない。我々ができる最大限の努力をするという意味で、このワーディングを考えた。努力するという我々の固い決意でもある。研究会でも、要件としたいという議論だったが、これは契約上の話。

原科:要件の明記が必要というコメントなので、その表現はいいのではないか。

JBIC具体的要件は4つの●にある。

本山:了解した。

原科:次に「モニタリングについて」の箇所。

JBIC具体的なモニタリングの方法などの2点は先程の通り。また、一般的に言おうとしたので借入人と事業者を分けて書いたが、借入人=事業者の場合は当然貴方がやるという契約内容になっている。それは個別に契約内容に反映される。

本山:「協議を求めるよう努力」というのは借入人だからか。

JBIC事業者であれば協議しろと書けるが、借入人であればその先に事業者がいるので。

原科:次に、最終パラ「ことがあること」と「こと」が続いている点。

JBIC最大限の脅しだ。

馬場:重大な影響が及ぶことが明らかになった場合には、求めるのではないかという趣旨。

JBICおっしゃる通りだが、この場合、基本的な融資契約の書き方としてメイン・タームに書き、レバレッジをきかせて重大な影響があることが明らかになったときに出せないという話だ。契約に書く場合、このような書き方以外ありえない

JBIC契約の一般的な書き方だ。常に求めるとなると大変だ。

JBIC今度はこちらの責務になってしまう。そこは住宅の賃貸契約と同じで、家賃を払わない場合に追い出すことはできないが、求めることはできる。

原科:「求めること」はいいが、最後の「があること」がいらないという趣旨では。

JBIC「求めることがある」というのが、追い出すよりはいいだろう。

原科:それはそのほうがいいだろう。

松本悟:地球の友がコメントした「努力すること」に関する質問だが、提言p.16では3つ目の●「問題解決方法等」ともう少し広く意味を取っている。必ずしも協議だけではないので、「協議を含む問題解決方法等を」とはできないのか。

JBIC契約上、借入人に対し求め、借入人はそれを受け、具体的な方法を考える。

原科:協議は入り口で、その協議をした上で別の解決方法をということか。

JBICまずは協議しないと始まらない。

松本悟:それはわかる。協議を含めて問題解決の方法を見出すと書けないか。

JBIC提言では主語が「借入人等」で事業者を含んでいるので、一般的な書き方になっている。ドラフト案では主語を「借入人」としており、契約上の話なので借入人に限って言わざるを得ない。借入人ができることを書いている。

川崎:問題解決は別の時限の話で、ここに書いてあるのはガイドラインとしての手続ということか。さらにそれを越えた問題解決は、何か別の手当てをしなくてはならないのか。

JBIC事業者については、対象プロジェクトに求められる環境配慮を参考にしつつやってもらう。

本山:「借入人は」を主語とすると、一般の人には実は非常にわかりにくい。例えば、円借款で相手国が事業者の場合、結局何を求めていくのかさっぱりわからないのだが。

JBIC一言で言うとわかりにくいということだろう。英語で詰めればわかりやすいのかもしれない。表現を工夫したい。

JBICただ、我々の契約上の話なので、テクニカルに工夫が必要だ。

松本悟:提言にもあるよう、紛争処理や第三者委員会のようなものはできるだけ使わない方法をたくさん入れておいたほうがいい。融資契約の中でも、問題が起きた場合の具体的な解決方法を書いておいたほうがいいという意味で、単に協議を求めるだけで果たして十分なのかというのが私の意見。文言の訂正の際に検討していただきたい。

JBICわかった。

門間:3つ目の●に関して、提言に該当するものがなかったので、この文章の趣旨、意図がわからなかった。役割が重要とはどのような場合かも含めて伺いたい。

JBIC提言p.16矢印の3番目に書いてある。

門間:この「借入人以外」が「プロジェクト実施主体者及び相手国政府」と限定されているのはよいのか。

JBIC「等」と広げればよいのか。

門間:提言で念頭においてものと、ドラフト案のこの限定とに齟齬がなければよい。

JBIC研究会の時は、例えばで入っていたのが政府だった。「借入人以外」ではわかりにくいので明示的に入れた。また、「借入人等」でなく「借入人」としているので、「等」に当たる事業者の部分を「実施主体」として合せて追加した。

松本悟:借入人がプロジェクト実施主体者でない場合に縛れないので、取り決めをしたほうがよいという議論だった。

川崎:基本的集合関係は変わっていない。提言では政府という文字はなかったが、今回は書いたということ。

松本悟:「努力すること」には変わっているが、理解できないことはない。

 

本山:2パラ「以下の内容を確保するよう最大限努力する。」は最後の●までかかっているのか。

JBIC2段階に分かれている。まずは、契約上に4つの●のことを盛り込むために最大限の努力をしなくてはならないといこと。

門間:4つ目の●3行目「環境に重大な影響が及ぶこと」という要件が提言に付加されている。提言では、重大な影響であろうがなかろうが、借入人が正しい情報を提供していなかったことが明らかになった場合、破棄することがあるとなっている。正しい情報が提供されなかったことで環境に重大な影響が及んだとなれば、当然止めることだろう。

JBIC重大な影響が及ぶ場合、実際には止めると思うのだが、契約上では、我々は「止めることがある」と書く。「求める」と書くと義務になってしまう。

門間:では、重大な影響の部分を落とし、提言と同じにすればよい。

原科:確かに、これはなくてもよい。

JBICそれだけで問題になるわけではないだろう。

原科:だから、「こと」があるのだろう。

JBIC実質的な問題が発生しなければ、止める必要もない。そこを明示的に書いた。

門間:重大な影響が出れば絶対に止めなくてはならないので、止めると書くべき。それを技術上書けないのなら、重大な影響を取ればよい。重大な影響があるのに止めないことがあるのはおかしいだろう。

JBIC重大なが問題ということか。それなら、わかった。

JBIC検討したい。

原科:例えば、「正しい情報が提供されなったことにより環境に影響が及ぶこと」とする。6.の議論は後にし、7.の議論を先にやりたい。

川崎:財務省から3点コメント。1点目は、3行目「我が国の法人等、開発途上国政府等……」は提言ではなかったので、趣旨を確認したいということ。2点目は、第2パラ○年○月○日は平成1441日ではないのか。3点目は、同じ行「実質的な融資要請」の「実施的な」の趣旨を確認したいということ。

松本悟:もう1点。周知期間がここに入るのではないかという点。研究会の議論では、制定から施行までを周知期間と呼び、その間主に途上国の制度的準備が必要だと何度も議論した。したがって、ここでは周知期間がなぜ必要なのか明示した方がよい。なおかつ、制度・体制的準備が整えば、施行前でもなるべくこのガイドラインの内容を尊重する旨を盛り込めないか。

原科:経過措置のようなものだろう。それは盛り込んだほうがいい。

JBICまず、「我が国の法人等……」と入れたのは、我々のファイナンス上のお客様を無視しているのではないかという指摘を受け、当然ファイナンス上のクライアントのご意見をお聞きする必要があろうということで追加した。

門間:旧輸銀の部門が入ってくるので、これが必要なのか。世銀のガイドラインは、関係機関、専門家、NGO3つの明示だった。法人や開発途上国政府は当然なので、最後の「等」で含んでいるのかもしれない。

JBIC世銀の理事会には、借入人すべて、全加盟国が形式的には参加している。

門間:あとは順番を逆にしてもらいたい。財務省と外務省は関係機関の中に入っているのだろう。政府が先に来るべきだ。

川崎:法人と途上国政府については政府を先にしてもらいたい。

JBIC了解した。

JBIC周知期間等については、検討している。

JBIC周知期間を置かないのではなく、周知期間の規定の書き方の問題として、例えば、周知期間を終了した○月○日から施行するという書き方もあるのではないかと考えている。

門間:ここの年月日は41日だと思っていたが、これは施行か。

JBICそれは1年くらいはありうる。

門間:では、「実質的な融資要請」は、1年置いてからの実質的な融資要請、その前の実質的な融資要請になるのか。

JBIC「実質的」と書いたのは、駆込みで頭出しだけしておこうということを防ぐ趣旨だ。

門間:例えば、円借款ではどの時点を言うのか。

JBIC円借款はわかりづらいのだが、例えば、企業がプロジェクトを構想している場合、紙一枚を持ってこられてプロジェクトがあると言われても、それは実質的とは言えない。逃れる術を絶つとうということだ。

松本郁:公式な融資要請ということか。

JBICそういうことではない。むしろ実質的で絞っているわけだ。

松本郁:実質的な要請を受ける場合に必要な資料というのはあるのか。

JBICF/Sを添付せよというのはある。

JBIC国金業務の場合は通常、お客様に提出していただく書類は渡すので、それが全部そろっていれば。

松本郁:何か別に取り決めがあるのか。

JBIC通常、最初に案件があると電話で連絡をもらうと、事業計画用のフォームをFAXで渡す。内容が同じであればフォームに書く必要はないが。それにしたがって紙が出てくれば我々として審査できる。名前は特にない。

JBICかなりバリエーションがあるので、形式的には考えていない。実質的に審査ができる段階になれば始めるということ。

川崎:バリエーションはあってもあまり幅はなく、大体これだというイメージがあるということだろう。これも、解説書などで例示してもよいだろう。

松本悟:やはり駆込みはありうるのではないかと思っている。

原科:「受け付けている」という表現は不明確なので、「実質的な融資要請に至っている」という表現のほうがいいだろう。

JBICスクリーニングできないようなものが来ても何もできない。

JBICまた、プロジェクトによっては、我々が審査をすると後で借入人に費用をお願いすることもあるので、ここから審査を始めると宣言することもある。

松本悟:審査はわかる。ここは要請になっている。

JBICそれは表裏一体だ。

JBIC例えば、プロジェクトの中身が何も詰まっていないのに、名前だけを書いておき、とりあえず登録してしまおうということがないかという点が懸念なのだろう。

松本郁:例えば、スクリーニングの時に必要な情報のリストを作っていただきたいと提言にも書いたが、そのような資料がそろった時点で、実質的な要請と考えるのか。実質的な要請が何なのか私達にはわからない。

JBICそんなに誤解はないと思うが。

原科:実質的かどうかは銀行が判断することだろう。

川崎:例えば、今の話を言葉に書き、解説書のようなものを作るときに、円借款の場合に必要なものを例示すればよいのでは。

JBIC恐らくお客様からもそのようなお問合せいただくと思うので。

川崎:それをある程度資料として解説してもらいたい。

松本悟:懸念しているのは、例えば、まだ23の許認可が下りていないが、プロジェクトとしてかなりでき上がっている場合。許認可が全部下りてから要請をしなくてはならないが、新しいガイドラインになる前に3つの許認可が下りることを条件で申請しようというようなケースはあるのではないか。

JBIC申請という行為があるわけではなく、だらだらと来る。解説書を書きたい。

原科:「施行以前に、融資要請が実質的なものになっている場合」という表現がいいのでは。

JBIC「受け付け」という言葉がよくないのかもしれない。適切な表現を考えたい。

松本郁:融資案件を受ける場合、アセスメントは相手国の承認を受けたものでなければならないが、アセスメントの許可を得ていないものは基本的には融資要請を受けないのか。

JBIC今の段階の要請では既存のものでやり、このガイドラインは適用されない。

川崎:効力が発生してないということだ。

松本郁:円借款のほうはその規定が入っているがということか。

JBIC国金業務の場合、入り方にかなりバリエーションがある。一番わかりやすいのは輸出信用の典型的なケースで、受注が決まり輸出入契約が結ばれてから相談というもの。プロジェクト・ファイナンスのケースは伝統的なやり方は通じず、我々のような公的機関が比較的初期の段階から一緒に考えていくのが大事。

JBIC事業のリスクを我々が負うので、早い段階で関与する必要がある。

JBICEIAも同時並行的に作成するケースがある。いずれにせよ、我々が融資、プロジェクトをスタートさせるためには、当然EIAが作られ、承認されていなくてはならない。

JBIC環境配慮のためにはプロジェクトに早くかんだ方いいが、早くかんでいけばいくほど、EIAがまだできておらず追い越すケースもある。その場合、EIAを事業者と一緒に作っていく立場になる。

松本郁:プロジェクト・ファイナンスの場合、資料が全部整っていない時点で要請を受けているということか。

JBICその典型はプロジェクト・ファイナンス。それ以外のケースでもある。

松本郁:その場合、プロジェクト・ファイナンスを一緒にするということ自体が要請か。

JBICプロジェクト・ファイナンスは莫大な費用がかかるので、ある程度、ここから始めるという合意をする。

門間:技術的な理由から伺うが、41日に本ガイドラインを策定し、施行は○○になるということか。

JBIC恐らく、表紙に日付が入る。

門間:制定くらいは書いたほうがいいのではないか。

原科:制定は書くだろう。

JBIC国際公約であるコモン・アプローチの施行の時期があるので、早くやらなくてはいけないのではないかというご懸念もあると思うが。

門間:すでにコモン・アプローチ程度の環境基準は満たしていると解釈しているが。そちらは来年の11日から自主的に施行することになっている。

原科:部分施行という手もある。

川崎:平成1441日が制定になり、施行は1年くらい後なのか。

JBIC色々な方のご意見を聞き考えたい。

JBIC部分施行もありえるとは思うが。やれるものはやっていくということだろう。

川崎:それなら、自主的に、あるいは、これは期日前に奨励するなどと書いてはいかがか。JBICガイドラインの中に、期日前に奨励するという書き方をするかは別問題だが。

川崎:ガイドラインというステータスは前提としても、経過措置についてどうするかの問題だ。国によってはこれから説明しなくてはならないところもある。輸出信用とは違い、我々は1年サイクルの仕事である。1年あれば年次サイクルの中で必ずミッションが出るので説明はできるだろう。年次ミッションがないから説明しないわけではないが。

JBIC実際に要請するまでにF/Sを作るなどの準備が必要だが、その段階から考えると実際には2年かかる。1年でも短い。

JBIC広く意見を聞いて考えていきたい。

門間:1年以上にするつもりはないのだろう。

川崎:本当は1年では間に合わないだろう。

JBICOECFのガイドラインを1度改訂した際は2年とった。EIAを義務づけたのが大きな理由である。通常EIA調査だけで1年かかり、それから要請がなされ本行の承諾までに約1年かかるので合計2年ということだった。しかし、やってみたところ、2年でも間に合わず、EIAが提出されず当該年度で承諾できなかったケースがある。ただ、今回はすでに現ガイドラインでEIAが義務付けられており、アセスメントのやり方で厳しくなったところをもう少しちゃんとやってくれという話なので、大きく変わる話ではないかもしれない。しかしながら実際対応可能かについては開発途上国にも話をし聞いてみないとわからない。

原科:1年くらいを目標にしていただきたい。

JBIC検討したい。

原科:経過措置はいかがか。新しいシステムに適応できる場合は積極的にしていくという話だが。日本ではあまりやられていなかったが、最近、土地収用法の改正案でやった。

川崎:精神として、なるべく早く適用してもらいたいが、義務付けは現行のものでやるということだろう。

本山:周知期間中に新ガイドラインに沿ってやることを奨励する文がどこかに入るのか。

JBIC検討する。

川崎:本文の中に書く話ではないだろう。公表する際の表書きなどに書くことだ。

原科:次に付属書(1)の議論に移りたい。

松本悟:まず、付属書の呼び方は検討することになっていたので、お願いしたい。ただ、位置付けを付属書の冒頭に一文明記してほしい。

JBIC解説がなく、事業者の責任だとわかりにくいと使いにくいので、検討したい。

本山:最初に「適切な環境配慮が行われていることを原則とする」とあるが、提言の「……要求する」ではない理由を伺いたい。また、提言p.7一番下の項目「特に影響が重大と…(略)…求めることができる。」は、JBICで扱うのが難しい案件について専門家からなる委員会を設置し、意見を求めるという話だった。この話が付属書にあると事業者が委員会を設置する話になるが、カテゴリAでは専門家委員会を設置して意見を聞くという世銀が求めているようなものを考えているのか。趣旨が違うので、ご説明願いたい。

JBIC専門家委員会は、先程のモニタリングの話と同じ。「異論の多い」、つまり、プロジェクトを実施するところで色々な意見がある場合、まず地元で人が集まり議論するのが一番だ。そのために世銀のような形で専門家委員会を作るのが一番望ましい。我々がやるというより、むしろ事業者がやるのが先だということで付属書に入れた。

本山:事業者が専門家委員会を設置するのに異議はない。提言では、JBICのレビューに関して意見を求める趣旨だった。

JBICそこに関しては、これまで、基本的に第三者としての専門家に委員会に出てもらったりしながら意見を聞き、それを外部の意見として我々が勘案するというやり方だった。このやり方で大きな問題はなく、これを越えてやる必要性は感じていない。

本山:EIA委員会のような形は考えていないのか。

JBIC我々は事業者ではない。プロジェクトの問題自体は地元でやるのが一番よい。

松本悟:ドラフト案p.43パラ「本行は、必要に応じ外部専門家等の意見を求めることがある。」が今の話の該当部分と理解しているが、これが今までのものを踏襲するなら、外部専門家の意見は外に出ないことになる。付属書には「レビューの質とアカウンタビリティを向上」とあるが、このアカウンタビリティの要件を満たさないのではないか。そういう意味で、これまでの外部専門家を一歩越えたものを研究会では議論したはずだ。

JBIC新しいガイドラインと現行の仕組み、また、情報公開法の世界を考えると明らかに性格は違う。我々が行った結果は公開するので、外部専門家の意見を公開しないということはない。

JBICレビュー結果は出すので、当然第三者の意見も公開されるだろう。

松本郁:それは融資契約が終わってからということか。

JBICそうだ。外部専門家の意見もレビューのプロセスの途中で聞くので。

本山:オランダEIA委員会の公開レビューの例を提言にも書いたが、そのようなイメージで議論はしていたが。

JBICオランダのケースはグラントでありそれとは違うだろう。

松本悟:ドラフト案p.43パラを「必要に応じ…(略)…求めることによって、レビューの質とアカウンタビリティの向上を図る」とするのはいかがか。趣旨がそうならいいが。

JBIC実質それで変わるのか。

JBIC検討する。

JBIC確かに、ここに「レビューの質とアカウンタビリティを向上」があるのは変かもしれない。

JBICアカウンタビリティーは入れてもいいかもしれない。

本山:付属書(1)の最初「原則とする」が「要求する」requirementになっていないのはなぜか。

JBIC一般的に「要求する」と「原則とする」だと、後者のほうが強いと思うが。

川崎:確実に強い。「要求する」だと求めるが、相手が応じなかったらそれで終わりだ。原則だとやることを前提にしている。

原科:原則だと99%やるということだろう。

門間:提言では「一般的に」「要求する」と書いてあるが。

JBICお客様に向かって、なかなか要求するいう言葉は使えない。

本山:「原則とする」で了解した。

松本悟:次に指摘だけだが、ドラフト案p.11の一つ目●2行目「環境への影響」とあるが「社会」を入れてほしい。2つ目●も「環境社会関連費用」と入れてほしい。また、p.11最終行をp.12で明確に「社会的関心事項」が入っているので、「調査・検討すべき環境・社会への影響」にしてもらいたい。P.12「社会的合意及び社会影響」の項目で一つ目●3行目に「環境や社会」とあるので、これに倣ってもらいたい。

門間:次に、最初の「基本的事項」一つ目●に関連して。提言は「その結果を事業計画に統合しなければならない」とあるが、「その結果を踏まえてプロジェクト計画を策定しなければならない」となっている。実質的に違うのか。

JBIC内容を変えているつもりはない。

門間:役人的にいうと、結果を反映させるのと踏まえるのとでは違う。その結果をプロジェクト計画に反映しなければならないのほうが提言の意味に近い。

原科:「その結果をプロジェクト計画に反映しなければならない。」でいいのではないか。

JBIC検討したい。

川崎:結果通りかということはあるだろう。例えば、ABと質が違うものがあれば、Aをそのままコピーするわけではない。それが反映だろう。

松本悟:次に、付属書(2)に関連して。提言p.12の「カテゴリA案件の場合は、環境アセスメント報告書を国際協力銀行が公開してよいことが保証されていなければならない。」が付属書(2)にないことについて、ご説明いただきたい。

JBICドラフト案p.8「入手状況を本行ウェブサイト上にて開示し、一般の閲覧に供する。」はワーディングを考えると言ったが、今の精神はここで反映させている。

松本悟:それを確保するために、この条項があったほうがいいのではないか。

JBICアセスメント報告書の中に「公開してよいことを保証する」という文言が入っているものは恐らくない。実質的に公開されることが本行の情報公開の仕組みで確保されていればよい。相手もこれを読んでアセスメント報告書を出してくる。

門間:相手国政府が公開していない場合にどうするかは、外務省も一緒に確認すべき点だと思う。私の理解は、公的機関であるJBICが融資するなら、カテゴリAについては、相手国政府が公開してよいかでなく、むしろJBICとして公開したものでなければ融資しないという姿勢で臨むべきだと考えている。

川崎:どう考えるかは手続的なものだと思うが、提言の「国際協力銀行が」という主語は違和感がある。EIAは当該国が作るもの。カテゴリAだから公開していいということではあるかもしれないが、JBICが主体としてそれを公開するのはおかしい。

原科:国際協力銀行が受け取ったら公開することを保証するということ。

松本悟:約束事をした上で公開するという趣旨だと思うが。

門間:途上国政府に、公開しないと融資できないとあらかじめ言い、合意をもらってから公開するということだ。

JBICそれは、同じ趣旨だろう。

川崎:それならわかるが、他の記述なしに提言だけを読むと、JBICが勝手に当該国の許可なしに出すと読めてしまう。他でこれが読めるなら書く必要はない。書くなら書きぶりを考えなくてはならないだろう。

JBIC途上国の許可を求めて公開するだとかえって後退してしまう。そのようにはしないだろう。

門間:今のような理解なら、あえてなくてもいいのではと思う。

川崎:現地で公開されており、それを入手したときには出していく。それは、途上国政府が主体となり判断できているからいい。

松本郁:「概要」という文言が入っているので、アセスメント報告書を公開しなくていいということになるのではという懸念があったが、アセスメント報告書が出るのなら、そういった記述がなくてもいいかもしれない。

門間:いずれにせよ、EIAを公開しろと言ったときにだめと言う国はないだろう。

JBICこの点は政府と調整したいところだ。

川崎:再度確認させていただきたい。

 

原科:6.については提案の説趣旨明だけしてもらいたい。

松本郁:資料にミスタイプがあるので、口頭で修正させていただきたい。地球の友の中で調整不足なので、松本案ということにしていただきたい。(資料「『第三者委員会』検討のためのメモ」「目的」の説明)2行目の「低減し」を削除していただきたい。まず、第三者委員会は短い時間では議論できないので、ガイドラインの提案の中には本当に必要な骨子、例えば、ここにある目的、活動、要件などだけを入れていただき、その後、引き続き議論させていただければと思う。まだ世銀でも試行錯誤の段階なので、半年位時間をかけ色々なケースを勉強しながら、検討したほうがいいのではないかと考えている。(「活動」の説明)「勧告」という言葉は強いかもしれないので、Recommendationに相当するような日本語があれば、検討していただきたい。(「要件」の説明)2行目の「事務局」を削除していただきたい。2行目の「専門性」に「見識」を付加していただきたい。5行目の「意見」を二つともRecommendationに置き換えていただきたい。(「今後の議論で明らかにすべき点」の説明)これは書けるのであれば、どこかに残していただいたほうがいいだろう。

JBICこの目的、活動、要件をこのままガイドラインに入れるということか。

松本郁:そうだ。

JBIC寺田さんのご意見とは随分違う。我々のポイントとしては、例えば、銀行と委員会の権限関係からいくと、我々の事業を監視するような委員会は、政府の機構との関係などから考えると軽軽に置けるものではない。例えば、諮問委員会みたいなステータスであればいいが、こういう形で簡単に第三者委員会とは書けない。

本山:議論は次回だが、論点としては何があるのか。

JBIC制度上の問題が一つ。寺田さんも法律を変えないとなかなか難しいのではと書いている。寺田さんは審査担当部局の諮問委員会という形を提案されている。

川崎:第三者委員会というから難しいのでないか。私が昔やった中には、法的権限はまったくないが、事務次官等会議申し合せや閣議決定でつくった苦情処理機関があった。要は、相談窓口に来たとき受け皿になる人、中立的な人が裁く機関が必要だ。

JBIC慎重に検討する必要がある。常設になるとしっかりした予算の裏付けがないといけない。軽軽にここで書くのは憚られる。

門間:提言に書いたから予算要求しなくてはいけないということはない。

JBICガイドラインに書くことだ。

門間:いいのでは。予算の面はわかった。恐らく第三者委員会と書いたので難しくなる。有識者委員会でもいいが、名前にこだわらなくてもよいだろう。法的権限があるようなRecommendationは無理なので、法的なものでなくアドバイスできるようなものが必要だ。

原科:助言機関でもいい。

川崎:よくあるのは、意見を言うことができるというもの。勧告は法律用語になってしまう。提言には勧告と書いてあるが、誤解を生むようなら書きかえればよい。6.に一部書いてあり、「異議申立を受け付け、必要な措置をとる」とある。そこをどれだけ膨らますかという話ではないか。

原科:寺田さんは諮問機関を作ったほうがJBICも助かるだろうと書いていた。

JBIC別の論点として、国際機関では持っているところが多いが、バイの機関では持っているところはないこと。一つの大きな違いは、国際機関は主権免除があり、通常の国内の裁判はない。つまり、直接、影響を受ける住民から申立を受けることに慣れているかもしれない。我々は主権免除がない。また、政治的なプレイアップの問題。例えば、世銀の中国の案件で、人により政治的なプレイアップに使われたのではないかという懸念がある。また、我々が懸念しているのは、年度内に少なくとも制定し公表したいので、今の我々の案以上に入れた場合、全体の流れが止まることだ。

川崎:逆に、これまでの議論は、異議申立のようなものが行われることを前提に収まってきた。提言に書いてあるように第三者委員会と呼ぶかは別だが、本行とは独立に何らかの苦情受付機関、係がいて、何らかの勧告、見解を示す機関がないと困る。どこまで書けるか問題はあるが、少なくともここでの案を作ればいいと思う。

JBICガイドラインの中でなく、我々が今後検討していくことをこのガイドラインの発表に合せ正式な形でステイトメントで出すこともできるだろう。

川崎:ガイドラインの中に書けるかの問題はあるだろう。書くなら規約として詰まっていなくてはならない。ただ、この機会に委員会の中身がどうなるかを話す価値はある。

JBIC議論はするが、基本的にこれ以上は書けない。

川崎:「本行は」と主語になっていることが問題なのだろう。

JBIC窓口などを置くとしても、独立の機関を置くと法律、予算の話になってしまう。投融資部門とは独立したところが受け付け、諮問委員会に持っていくということができるとすれば、この「本行は」という書き方になる。

門間:本行の中に置けばいいのか。

川崎:JBICの中に事務局があり受け付けるが、それを処理するときは外部の意見も聞くというスタイルだろう。

JBICそれを苦渋の末に書いたのが、この「本行は」「受け付け」「必要な措置をとる」だ。

JBICそれであっても、予算の問題はある。

門間:施行が1年後という話なら、これから議論していけばいい。

JBIC本行の中に、業務部門が審査し、それをチェックする環境室がある。チェック&バランスは本行内で一応完結している。ここで受け付け、意見を聞きつつ判断する機能を使うということ。それを書くとこうなる。

原科:アセス担当部署を監視するという感じか。

JBICアドバイス機能を持っているということで、監視とは違う。

原科:そういうものを作るなら、問題は人選とプロセスの透明性が確保されるかだ。

川崎:内部の審査を自信を持って公開できるならいいのだろうが。

JBIC例えば、情報公開審査会が政府の中にあるが、総理が任命するほど重きが置かれていて、役所が不服申立を受ければ自動的にそこに送られる。このように組織のアレンジメントで実効性を持たせるのはできると思うが、別に置くと法律や予算の話になる。

原科:長野県が設けた廃棄物の委員会は、人選は完全にIndependentで情報公開もやっている。実際にその結果は尊重してもらえるだろう。これは外部で設置しても、金は出すが口は出さないというスタンスだ。

JBICガイドライン案に書くのはこれでよいか。

門間:次回は、お互いに共通の理解が進むようにしたい。

川崎:実際には外部の意見を聞くこともあるのだろう。今やっていることの延長の範囲でこれがどのくらいできるのか議論したい。

JBIC今、色々な手続きが遅れているので、必要な議論は今週中に終えたい。また、コメントをいただき、我々がまたアイディアを出すと言ったが、一応それを反映した形でうちの中に図り、パブリック・コメントの準備をさせてもらってよいかという確認したい。

門間:検討結果がどのような形になっているのか見せていただきたい。

JBICパブリック・コメントにかける前にどう反映したかご説明したい。

川崎:結論と理由は示していただきたい。

JBIC今、このドラフト案は正式な手続を踏まえて、中の了解をとった上でやっている。次に提出する場合も、同じ手続を経たものになる。

門間:スケジュールはどうなるのか。

JBIC来週1週間で全部セットし、再来週早々に説明し、そのままパブリック・コメントに入りたい。