国際協力銀行の環境ガイドライン統合に係る研究会・フォローアップ委員会

6回会合 議事録

 

日時:20001217日(月)午後5時半〜7

場所:国際協力銀行

配布資料:

 「第三者委員会」検討のためのメモ(作成:地球の友ジャパン)

出席者:(敬称略、アイウエオ順)

 委員長:原科 幸彦/東京工業大学大学院・総合理工学研究科教授

 委 員:上村 英明/市民外交センター

     大村 卓/環境事業団

     小川 晃範/環境省地球環境局環境協力室長

     川崎 研一/外務省経済協力局有償資金協力課企画官

     馬場 義郎/財務省国際局開発政策課課長補佐

     松本 郁子/地球の友ジャパン

     松本 悟/メコン・ウォッチ

     本山 央子/地球の友ジャパン

     門間 大吉/財務省国際局開発企画官

 

     畠中 エルザ/(財)地球・人間環境フォーラム

     福田 健治/メコン・ウォッチ

 

 国際協力銀行

  天野 辰之/国際協力銀行金融業務部業務課係員

  入柿 秀俊/国際協力銀行総務部総務課長

  大矢 伸/国際協力銀行総務部総務課調査役

  佐藤 恭仁彦/国際協力銀行総務部総務課副参事役

  竹内 元/国際協力銀行開発業務部企画課副参事役

  萩原 烈/国際協力銀行開発業務部専門調査員

  本郷 尚/国際協力銀行環境社会開発室第1班課長

  森 尚樹/国際協力銀行環境社会開発室第2班課長

 

議事録作成:

 波多江 秀枝/地球の友ジャパン

 

原科:まず、今後の予定と進め方について確認したい。

JBIC次回は修正箇所をご説明するだけになる。

川崎:ご説明はどこが修正箇所か及び議論があった箇所で修正がなかったことの理由で、それ以上は次回に議論になったとしても修正はできないのか。

JBICそうだ。

川崎:我々としては、議論があった箇所を事前に照合してから次回に臨みたい。

JBIC21日中に修正したドラフト案をお送りしたい。

原科:では、次回の委員会は25日午前10時半から12時までとしたい。そこでご説明いただいた後、26日から2ヶ月のパブリック・コメントに入るが、その後の予定は。

JBICその後はコメントをとりまとめ、またドラフトをリバイズする。

原科:パブリック・コメント中も当委員会で引き続き議論をするという話だったが。

JBIC当方ではパブリック・コメント中に12回、パブリック・コンサルテーション・フォーラムのようなものを主催する予定。ぜひご出席いただきたい。

川崎:他の方からの意見もあるだろうし、別途コンタクトの場があるというのもおかしい。パブリック・コメント期間中は別途会議を設けるのでなく、パブリック・コンサルテーション・フォーラムのような機会に出席し発言するほうがフェアだろう。

原科:では、我々もパブリック・コメントを利用して意見を出していきたい。1226日からパブリック・コメントを開始し、225日頃に締切った後はどのような予定か。

JBICコメント次第だが、3月中にはまとめたい。

原科:コメントをまとめた後、3月初めに最初のミーティングをもつか。

川崎:その時どのような議論の仕方をするのかが問題だ。この場は全員を代表しているわけではないので、パブリック・コメント後この場で我々だけが議論するのはいかがか。どこを修正するかJBICからご説明いただくということになるだろうか。

原科:そういうことになるだろう。また、この場を継続してそれに対するディスカッションをし、我々以外の方にはオブザーバーとして参加いただくのはいかがか。

JBICこの場は誰でも参加でき透明だと言っても、途中からでは来にくいという具体的な意見を企業の方からいただいている。できるだけ皆が参加するコンサルテーション・フォーラムで議論できるほうがありがたいということだ。コンサルテーション・フォーラムを1、2回設けることは計画しているが、そのようなコメントも踏まえた上で、進め方、位置付け、また、その先どうするかについて検討したい。どのようなコメントが来たかは我々もおさらいする必要があるので、どのような形でやるのが適当かを考えたい。

川崎:現段階では、パブリック・コメントがどのように反映されるのかご説明いただく機会を最低一度は設けるということを確認するまでとしたい。この場で最終ドラフトを決めるということではないからこそ、先週までここで議論してきた。そこを踏まえていただきたい。

門間:来週いただく案の中身次第だろう。財務省として関心のあるところは、パブリック・コメント期間中であろうとなかろうと申し上げざるをえない。

川崎:外務省も同様だ。また、政府とJBICとの関係もあるので、外務省としてのコメントがあれば、この場とは別に調整することとしていただきたい。

原科:では、パブリック・コメントが225日頃に締切りなので、1回目の会合は2月中か3月頭くらいになるだろうか。

JBICパブリック・コメントの期間をまだ最終的に決めていないので、留保させてほしい。

原科:では、それについてはまた次回に相談することとしたい。

JBIC:コメントの出具合いにもよるが、できるだけ早い段階で一度ご説明したい。

原科:次に、「第三者委員会」について、継続的に検討していきたいがいかがか。

JBIC我々が主催する形で、別途研究会を立ち上げるなりしたいと考えている。

原科:そのメンバーはどのようになるのか。

JBIC別途検討させていただきたい。

松本郁:今までのガイドラインの議論を踏まえて第三者委員会を検討していく中で、これまで議論に参加してきたメンバーが確実に議論に参加できる形をお願いしたい。もちろん新しい方に議論に参加していただくのは結構だが。

JBIC一方で、我々は非常に重要なポイントの一つとして、産業界から色々なコメントを受けている。例えば、悪意の第三者がそのような機関を利用してプロジェクトを中止するような話になっては大変だというコメントだ。どのような点が問題になるのかを考え合わせ、メンバーを慎重に考えていきたい。

松本郁:企業の方が議論に入るのはいいことだ。確認したいのは、議論の継続性だ。今までの手続きや進め方、例えば、議事録や資料はオープンにする形でやっていただきたい。また、メンバーについても十分考えていただきたい。

川崎:ガイドラインの中に第三者的な委員会についてどう書くかは別とし、意見の経過期間中に完成していれば、ガイドラインの施行に合せての実施は可能だろう。パブリック・コメント期間中はむしろこの他の部分の議論が大事になるだろう。また、ガイドラインの実施についての遵守に関しては、改めて、議論したい。メンバーは入れ替えがあってもいいと思うが、議論の方向性と手続きについては継続していただきたい。

JBIC了解した。

松本郁:事業者の方に入っていただけなかったのは残念だが、この研究会は専門家、NGO、関連省庁の方々にメンバーとして入っていただけた点で、非常に有意義だった。この形はぜひ継続していただきたい。

原科:事業者はだんだんこのような問題が見えてきて、意見を出すようになっている。これから参加していただけるだろう。その新しい研究会は4月以降の設置になるのか。

JBIC周知期間にもよる。なるべく早く設置したい。

川崎:努力目標としては、経過期間内にできるということでよろしいか。

JBICそうだ。

原科:では、次に、テキストの内容について、まず、地球の友に「第三者委員会」検討のためのメモをご説明いただきたい。

松本郁:今回の資料は前回のものをもう一度調整したものだ。今後の継続的な議論の元になればよいと思う。前回の資料を元にした議論では、それをガイドラインにそのまま落とすのは難しいということだったが、今回のペーパーの下線部については最低限ドラフトに入れていただきたい。一つは「目的」として、現在のドラフト案よりもはっきりとペーパーの下線部「環境ガイドラインの基本方針に沿って、…透明性を確保する」のように唱ってほしい。また、提言では異議申し立てを受け付け、調査をし、銀行に対する勧告を行うとなっていたが、ドラフト案では異議申し立ての受け付けまでしか書いていない。これに関して、「活動」として、下線部「専門性を持って…Recommendationを提出することができる。」と具体的な行動について書いてほしい。また、法改正が難しい状況の中、JBIC内に機関を作るしかないとは思うが、その際、機関の独立性の確保が問題となる。この点に関して、「要件」として、下線部「委員および事務局が銀行の投融資部門から独立していること。」のように書いてほしい。以上3つのポイントをガイドラインの中に入れてほしい。また、今後の継続的な議論の中で明らかにすべき点についても下に示した。

川崎:議題を追加したい。提言の内容がドラフト案で落ちているところを議論しておいたほうがよいだろう。まず、「目的」として精神規定を入れるかどうか。主なエレメントとして漏れているのは、「受け付け」は入っているが、地球の友からも指摘があったように「専門的な調査を行い」及び「勧告」についての点。また、もう一つ抜けている点は、提言2)にある「受け付けた異議申し立て、調査の結果、銀行に対する勧告を公表する。」という部分。地球の友の資料でもこの部分について書いてはあるが下線が引かれていないので、この部分についても議論に加えていただきたい。また、投融資部門からの独立については議論になるだろうが、提言では1)、2)の上の部分で第三者的な委員会を設けることを検討する旨が記してあり、そのやるべきこととして1)、2)が書かれている。ドラフト案の「必要な措置」という言葉の中にそういった機関を設けるか否かが含まれているという趣旨なら、あえてそこに「委員会を設けた上で必要な措置をとる」と書かなくてもいいだろう。少なくとも、そういった委員会について議事録を残す形で検討することを明らかにした上で議論していただきたい。

JBICまず、地球の友の言われる目的はガイドライン全部にかかる話なので、ここにまた書くのは整理が悪い。元々提言にも入っていなかったものなので、特にここでは追及しなかった。また、我々の趣旨としては、「措置」の箇所に「調査をする」ことも含め「措置」としている。「勧告」とすると、すでに第三者的な委員会を先取りしたものになるので、第三者的な委員会を設置するかも含め検討中であるということから、ここでは「必要な措置」に留めた。公表の点については、プロセスをどこまで公表するかという問題がある。民間企業からはこの申立機関が悪用される可能性があるというコメントが随分来ている。したがって、あらゆる異議申立ての内容等について公開するのが適当か留保したい。通常は異議申立てに対する措置をとった場合、その異議申立てについて当然公表すべきであることに異論はない。ただ、悪用の点までは考えていなかったので、この原案では書いていない。

川崎:今般ガイドラインとして一定の文章を決めておき、後に第三者的な委員会を発足させ運営していく際、このドラフトを書きかえる必要が出るのはいかがか。「必要な措置」の中に、一定の条件付きであっても公開の問題、あるいは、第三者的な委員会を設け、勧告ではなくともコンサルテーションをするプロセスが入るという理解でよいか。

JBICはい。

川崎:その理解でよければ、「必要な措置」でもよいと思う。何度も繰り返すが、ここで「公開」と入っていないために後に公開は一切できないと言われるのは最低限避けたい。

原科:「必要な措置」のスコープを記述すべきということか。

川崎:この中に記述する必要はない。

JBIC限定されるよりは、こちらの方が広くてよいだろう。

川崎:提言に入っていた「公開」を今回落としたことで、後に「必要な措置」に「公開」は入らないと言われ、入れようと思ってもできないことになると困る。議論が必要なポイントの詳細は全て4月以降に考えればよいのではないか。

松本郁:4月以降の議論は、委員会を作るか作らないかということも含めたものか。

JBICそうだ。

松本郁:作らない可能性も十分ありえるのか。

JBICそれはあまりないと思う。

川崎:どのような範囲の苦情を受け付けるのか、どの部分が情報公開の対象になるのかなど方向性の議論になると期待していいのだろう。

JBICそうだ。

原科:組織は作るが、その第三者性がどの程度あるかだろう。

JBICあまり予断はしないほうがよい。現実的には、寺田さんが提案されているような形に収まるとは思うが。

JBICまた、どの段階で予算措置が必要か、また、なされるかも問題になるだろう。

門間:再来年の4月に実施するなら、来年の予算編成に間に合う。その観点から、7月前にある程度議論が固まっている方がいいだろう。最終的に決まっていなくてもいいが、ある程度どのようなものになるのかイメージがあれば、実現性は高いのではないか。

本山:ガイドラインでこの程度しか書かないのなら、今後具体的にどのようなことを議論していくのかを含め、ステイトメントという形で出していただくのは可能か。

JBIC具体的には出しづらいので、ここでも書きあぐねている。継続的に議論はしていくが、相手方に守ってもらう話でなく我々内部のプロセスの話なので、ガイドラインにはこの程度書いておき、あとは内部の手続きとして順番に決めていくプロセスで十分だと思う。

本山:少しでもそのような積極的な姿勢を銀行として外に伝わったほうがいいだろう。むしろ、そのようなステイトメントを出すのはJBICにとっていい方向ではないか。

JBIC確かに、異議申立てのプロセスを今後充実していくという話ならいいかもしれない。

川崎:具体的に書くのは議論の後なので、軽軽に情報を全て公開するなどとは書けないだろう。平成1441日にガイドラインが制定され、ほぼ同時期に検討委員会が起ち上がるなら、形式としては独立の紙になるだろうが、「今回とりまとめるガイドラインには提言にある第三者的な委員会についてまだ織込んでいないので、その性格も含め今後検討していく」という言葉をほぼ同時に出せば、それ以上のことをする必要はないと思う。できればガイドライン公表の際に一言、「異議申立ての処理の仕方については今後、別途検討する。詳細は別の○○の文書を参照」などとあるのがベターだろう。

原科:今の点は、検討していただきたい。

JBIC検討したい。

門間:今の件に関連し、恐らくパブリック・コメントでも「必要な措置」とは何かなど色々な質問が来るだろう。どこまで書けるかわからないが、今のような手続きの話、例えば、検討の場を設けることについて、何らかの形で外に出した方がパブリック・コメントもスムーズに進むのではないか。やり方はお任せするが、この点をご検討いただきたい。

JBIC今後話をしていく中で検討が必要なポイントだと思うが、言葉として、「第三者委員会」の「第三者」という言葉が適当なのか。この言葉以外のものが適当である可能性も含めて考えたほうがいいだろう。

原科:第三者委員会と呼ばなくてもいいだろう。

JBIC「外部委員会」という言葉も、我々に対する調査権を含めて言う場合、外になればなるほど、中の情報はアクセスしにくくなる。そこをどうバランスさせるかという問題がある。目的が明確なら、どういう方法、名称が適当なのかという問題になるだろう。「第三者」という言葉があまり一人歩きしないほうがよい。

門間:普通名詞を使うのは困難。むしろ性格を表した一般的な呼び方、例えば、「構成中立な立場からJBICの○○の遵守を確保するような有識者の委員会」のようなものはいかがか。無理に第三者委員会とする必要はない。

原科:組織の名称より中身が重要だ。

川崎:「第三者」という言葉が一人歩きしないように、「第三者的な」としたほうがよいかもしれない。イメージは恐らく全員同じだと思うが、地球の友の「投融資部門から独立」の「独立」という言葉がきつければ、提言にある「公正な立場で」あるいは「中立な立場で」とすればよいのではないか。組織の議論をするときにその言葉が一人歩きしないよう気をつけたほうがよい。

原科:そのようなものの一つの具体例として、地方自治体の環境アセスメントの審査会は自治体の組織だが、公正な立場で組織を作っている。今、審査会の公開が進んできている。また、行政として専門家の意見も聞き、社会的に認知もされてきている。

JBICもう一点、公開性と守秘義務の両立が大事だ。これは言葉では入っていないが、その両立をしなくてはいけないという点の理解は共通ということでよろしいか。

松本悟:基本的には理解できる。ただ、遵守のためのメカニズムの中では、情報公開でなされるインカメラの話なども含め、ここまでの守秘義務とは違うもう少し踏み込んだ情報公開になるという理解でよいか。

JBIC委員会に対する情報公開と委員会から外に対する情報公開と2段階の情報公開だろう。それをうまくバランスさせなければならない。

松本悟:委員会への情報公開はかなりオープンにやらないと意味がないだろう。

JBIC委員会に対する情報公開のアクセスが強ければ強いほど、今度は逆に完全オープンにはできなくなる。そこをどのような構成にするかは重要だろう。

松本悟:委員会から外に出る情報に対しては一定の守秘義務があるだろうが、委員会がたとえ外部者を含んでいようと、その委員会に対しては原則的に全面公開だろう。そのような2段階ということか。

JBICどちらで守秘義務を確保するかという話では、今おっしゃったことは、委員会と外のところで守秘義務を確保するという話になる。

川崎:外部に対する情報公開という点で、例えば、審議過程の議事録まで出すのか自問自答しているところがある。異議申し立ての事実、その却下あるいは受理、銀行に対する意見など、そういったものの公開が最低限満たされるならよいのでないかという問題だ。商業上、あるいは、国家間関係の守秘義務が発生することが予想されるので、この委員会のような議事録が全て出ると、むしろ公開されることにより議論がしにくくなり、調査できなくなることもあるだろう。

原科:我々の議論もものによっては非公開でもやむを得ないという議論だった。

川崎:また、昔このような苦情処理をやっていたとき、申立者を代理人でもいいという規定を作った経験がある。これは輸入業者が直接所管省庁にクレームをつけるというものだが、名前が知られると困ると思っている業者がいたため、代理の人でもよいということにした。どこまで名前が出るかという点等についても議論していただきたい。

JBICそれは異議申立てするか他の資格、その方の名前の出方の問題とを二つに分けて考えるべきということか。

JBIC受け付けの事実自体が匿名になる可能性もあるだろう。IFCの方によると、受け付けたことを秘密にしておかないと、しろその後の調査が進まない、あるいは、調査をしようとしてももう証拠が全部なくなってしまう可能性があるということだ。その点を考慮すると、受け付けた事実についてある程度秘密にするプロセスがむしろ必要な場合があるのではないかと思う。

川崎:それはタイミングの問題もあるだろう。調査結果が出るときに同時に出るならいいだろう。

原科:どのタイミングでどの情報を公開するかは重要だ。

門間:申立てをした人に対し、それが受理されたのかわかるようにする必要はあるだろう。

JBICそれはもちろんだ。ただ、世銀の場合のインスペクション・パネルは受け取ると外部に公開しているが、IFCの場合は、苦情を受け取っただけではWEBには公開していない。それは公開すると内部の調査が進まなくなる可能性があるからということだ。

松本悟:それはメモの最後にある「今後の議論で明らかにすべき点」だろう。今日のこの最終会合で、ある程度の認識をもって終わらせるのかに関わってくることだろう。もしメモにある「要件」まで話が終わっているなら、この今後明らかにすべき点にどのような項目が入るのか議論したらよいと思う。

上村:それも大事だが今日やるべきことは、第三者委員会という名称はともかく、この機関がJBICのプロセスの中で大事な位置にあるという大きな方針をまず確認することではないか。悪意の第三者の問題もあるが、こうした機関に一定の守秘義務は当然あるものだ。その範囲は申立ての手続きの中で決めていけばよい。ここの「要件」までが方針、例えば情報公開するという方針であり、あとの細かい点はテクニカルな部分で解決できるものだろう。モニタリングに関するシステムは日本の中でもたくさん動いているし、前回紹介したような国連のシステムもある。細かい点はそれらの事例を集めて別の場でやり、ここでは大きな方針として、この第三者的な機関の意義や活動の原則などをできるだけ具体的に明確にすべきだと思う。

川崎:ドラフト案の議論が一旦終了ということなら、「要件」と「明らかにすべき点」について、どの点を注視していくべきか議論してはいかがか。

原科:ドラフト案はこれでよろしいか。手を加えるべき点がまだあるか。

松本郁:ガイドラインに沿った形で第三者的な委員会ができることが、ガイドラインの目的の中で唱われ、そこで確認されているのなら、必ずしもドラフト案のこの箇所にこのメモの文言を入れなくてもよいかもしれない。ただ、このドラフト案を全く変えないかと言われれば、私たちの考えている要件などと差異がないのか確認したい。考え方が違っているのなら確認したいし、場合によってはテキストも変えていただかなければならない。

JBICここの異議申立ての話は遵守を確保することが目的で、その中で「必要な措置をとる」ということだが、その「必要な措置」が具体的に何かという議論をするために、このメモに書いてある今後明らかにすべきポイントは当然議論すべき点になる。ご懸念の点はその議論の中で解決されるだろう。

JBIC今回のドラフト案は、今の段階で何が書けるかという観点から検討した。第三者的な委員会については今後、皆さんからいただいたコメントの方向で検討が進むだろう。しかし、その際、このメモがあるから例えば勧告を行う案に合意したという話にはならない。委員会を作る以上は、私たちも情報公開をしないメリットはないので、その点は組織デザインで解決していく問題と考えている。第三者的な委員会の検討に後ろ向きということはなく、目的や活動内容についても、今後、どのような関係を銀行と構築すればいいのかなどをオープンにして検討していきたい。

門間:イメージはそう食い違ってはいないのではないか。目的も、活動もほぼ差異はないはずだ。有識者からの意見については、その意見が公表されればJBICもその意見を尊重せざるをえなくなるので、個人的には、「意見」にしても「Recommendation」にしてもあまり違いはないと思っている。紙に書いてあるようなことを皆イメージとして持っていると思うので、そういう意味では私は楽観的に考えている。

原科:では、ドラフト案の表現でよろしいか。第三者的な委員会に限らず、色々なパターンはあるが、仕組みを作るということが読めないので、「必要な措置をとるための仕組みをつくる」などの表現を加えてもいいかもしれないとは思ったのだが。

川崎:それなら「検討する」になるのではないか。ただし、「今後これを検討する」というのは規定ではないので、ガイドラインの中では「とる」と書かないと意味がないだろう。

門間:この「必要な措置をとる」は、仕組みも入っているし、異議申立てに対し適切に処理するということまで入っているのだろう。

川崎:だとすれば、それを信用すればよいのではないか。

原科:では、ここの議論も4月以降の研究会に反映されることになると思うので、議論を進めたい。少し議論を進めた上でイメージの食い違いがあるようなら、テキストを変えてもらう議論にまた戻りたい。

松本悟:一つ気になるのは、「寺田さんのペーパーに書いてある第三者的な委員会のようなものになるだろう」というJBICのコメントだ。そのペーパーでは「少なくともアセス審査担当の部局を明示し、かつそれをサポートする諮問機関を作り、その位置づけをガイドライン上も明確にしたほうがよいのではないでしょうか。」と書いてあるが、これを読むと環境社会開発室をサポートする仕組みとして、しかも、諮問機関として存在しているという印象がある。その仕組みについて地方自治体の「審査会」とだぶらせて書いてあるのだが、これは研究会で議論した「EIA委員会」のようなものではないのか。そうであれば、ここの遵守の話とは違う話ではないかと思う。この点に関するJBICの理解についてご説明いただけないか。

松本郁:私も「サポートする諮問機関」では私たちがもつイメージと違うと感じた。

原科:「サポートする」という表現は従属関係だが、そこは第三者性が大事なところだ。諮問と言えどさまざまで、例えば、長野では、できるだけ独立性をもってやってほしいという田中知事の意向を受け、諮問機関はいいなりにならないというスタンスでやっている。JBICもそのようなスタンスでやってもらえればよいのはないか。

川崎:その点については、議論が行ったり来たりしてしまうので、項目の順番で議論してはいかがか。

上村:その前に、中途退席しなければならないので、前回市民外交センターから提出した参考資料の解説をさせていただきたい。前回議論になった悪意の第三者からの通報をどうするかという問題に対するテクニカルな解決方法のひとつとしてご参考願いたい。国連人権機関は幾つもモニタリングのシステムを持っているが、これはそのうちの一つで「1503手続き」というシステムだ。経済社会理事会の決議番号からそう呼ばれている。例えば、当該プロジェクトと直接関係ない専門家から植民地時代の古文書が発見され、それによるとプロジェクト・サイトは地盤が弱いなどというインフォーメーションが来るかもしれない。そういった広範な情報収集を前提にして、どう対処するかを規定したシステムだ。(参考資料:「国連人権機関における一般的情報収集システム」に沿って12.@ABを説明)ジュネーブに設置されている「通報部」に数人配置される担当官には一定の裁量権が認められているが、その要点は、通報受理の条件として「許容性」の規準がある。(「*許容性規準」の項目を説明)「4)通報の内容」については国連の場合、別の経済社会理事会決議で規定された「許容性」規準に従って、一定のコミュニケーションのフォーマットも決まっている。(CDEを説明)このような通報のシステムと許容性の規準とをうまく使えば、悪意の第三者の問題は、ステークホルダーを限定しない形でも、ある程度対処できるのではないかと思う。これは30年間運用されてきたシステムで、現在でもこのシステムが機能している。

JBICこの制度の基本的な目的は何か。人権侵害がある場合、上部の人権機関に付託するための制度なのか。

上村:人権侵害に関する基本的な審議は人権委員会や経済社会理事会でやるのだが、そのメンバーは政府なので、NGOや個人の情報が入ってこないと、どのような人権侵害があるのかを検討できない。その意味で、広く情報収集することが大前提となっている。例えば、アフガニスタンで、あるマイノリティーの人々が虐殺されたという事実があってもその情報はなかなか政府から出てこない。また、外交関係が絡むと他の政府も知っていても出しにくい。その場合に民間ベースで情報収集できるNGOやその場に何らかの形で関わった個人などから情報を出してもらい、それが上部の人権機関での審議に値するかどうかを審査するシステムだ。

JBIC基本的な目的は情報収集にあり、その結果、上部機関にあげるか否かを判断する制度か。

上村:そうだ。但し、その点、悪意や意味不明あるいは根拠の薄弱な情報も送られてくる。

原科:一般的情報収集システムということだ。

JBIC上部にあげられたものは自動的に何かの手続きに乗るのか。

上村:そこからある言い方をすれば「対話のプロセス」に入る。上部機関としては、人権小委員会、人権委員会、経済社会理事会があるが、とくに人権委員会以降は、政治の場なので、どのような形で取り上げられるかは別の処理システムの問題になる。ここで紹介したシステムは入ってくる色々な情報をまずどのようにスクリーニングするかというものだ。

JIBCまず、担当レベルで一旦スクリーニングをかけ、調査にたるとなれば当該国政府に照会する。その政府の回答を担当官が判断し、調査にたる内容であれば上部機関にあげ、政府の説明がリーゾナブルだと判断した場合は、そこで却下されるということか。

上村:第一段階は「許容性」基準に従って担当官が判断する。そして、残ったものについて当該国政府に照会するまでが担当官の仕事だ。通報と政府回答を照合して、第二段階の判断をするのは、上部にある人権小委員会の作業部会があたる。

JIBC上部にあがった場合に調査などの話はないのか。

上村:例えば、人権委員会で調査しなくてはならないということになれば、人権委員会には特別な調査担当官を任命する権限がある。ビルマに関して調査が必要であると人権委員会が判断した時には、現在中央大学の教授の横田洋三氏がその「特別報告者」に任命された。一般に予算とスタッフが付く。その調査担当官が現地で人権状況について審査をし、レポートをもう一度人権委員会などに提出するというシステムがある。

JBICご紹介いただいたシステムは、異議申立ての受け付けの手続きについて、ある程度参考になるのではないかというご趣旨と理解した。先程、「ステークホルダーを限らなくても大丈夫だろう」とおっしゃったが、「通報者の条件」にある「直接かつ信頼に足る知識をもつ個人」という「直接」「知識をもつ」というのはどういうことか。

上村:情報源の質の問題だ。実際に、色々な調査ができるNGOなどはこれに入るだろう。「通報の内容」にも書いたが、「すべてマスメディアによる情報である場合には」却下される。間接情報のみから構成される情報は基本的に好ましくない。但し、間接でもアフリカなどではよくあるが、植民地時代の報告書など他に直接アクセスする者がなかった場合には「間接情報」でも検討に値すると判断されるだろう。こうした場合は、「直接」の範囲に入れるということだ。

JIBC窓口機関にかなり大きな裁量を認めていると理解できるが。

上村:広く情報を集めるということは、大量の情報を扱うことでもあり、第一段階での裁量は窓口にある。但し、その許容性の基準は決議などではっきりと規定されている。

JBIC読む限りにおいては、例えば、「通報者の条件」の一つ目「被害者の個人および団体」は、「団体」をどうイメージするのか、1人入っていればよいのかなど色々問題が出てくるのではないか。また、二つ目の条件はかなり幅広い解釈になってしまうケースが想定される。例えば、ステークホルダーの議論で現地にいるNGO、現地にネットワークを持つNGOの議論があったが、「信頼に足る情報」となるとかなり幅が広くなってしまう。

原科:しかし、「直接かつ」なので制限されるのではないか。

JBIC一つの参考にはなるだろう。

原科:スクリーニングの面で参考になるだろう。では、他の議論に移りたい。

松本郁:メモの「活動」の点で確認したいことがある。「銀行に対してRecommendationを提出することができ」、それが「公開される」という点だが、基本的に守秘義務などは区別するにしても、Recommendationなどが公開されるという点は違いがないという理解でよろしいか。

JBICIFCの場合、最後の結果を公開しない場合がある。当事者が和解の内容を知られたくない場合に当事者間で合意が成立してしまえば、公開しなくてもよいという話だが。

本山:そこは、問題視している。

門間:その和解はIFCの機関が当事者となしたものか。

JIBCそうだ。当事者が出さないでくれと言った場合に公開しない。

JIBCもう一つの可能性は、事業者と異議を申し立てた人が合意し、後者がもう結構だと言った場合がありえる。

本山:和解案を提示するかという話とJBICRecommendationを出す話は別に考えたほうがよいだろう。IFCの情報公開については、当事者が望まない場合に全て出せという話はもちろんなかったと思うが、これまでの実例を見ると全く情報が出てこないということに関しては問題があると思う。ただ、今ここでこの詳細を話す必要はないだろう。

川崎:それはIFCの環境ガイドラインの遵守に関する異議申立てであることなのか。

JBICIFCの場合、インスペクション・パネルという制度ではなく、CAOCompliance Advisor / Ombudsman)という制度。ガイドラインの遵守状況について、Compliance Officerとしての立場もあるが、一方で具体的なプロジェクトに対しオンブズマンとしての立場から関わるものだ。

川崎:それは外で実体問題を解決するためのものなのか。

JIBC皆さんは、インスペクション・パネル的な機能をイメージされているのか。こちらは、まだモデルとしてイメージしているものはないのだが。

川崎:しかし、すでにドラフト案でも「不遵守に関する異議申し立て」と書いてあるが。

JBICIFCの場合も、若干規定の違いはあるにせよ、IFCのルールの違反を前提としている点では同じだろう。ただ、世銀のインスペクション・パネルの司法的なプロセスに比べれば、より利用当事者が合意できるような解決策を目指すものということだ。

原科:ここは遵守の話だが、実際に紛争Disputeとして適用性を争ってくる場合もある。本質的には別の問題だが。その意味で線を引きにくい問題でもある。

松本悟:つまり、JBICとして、遵守というのを一種の紛争解決という意味合いをこめて検討することがありえるということを示唆されているのか。

JBICそういうことではないが、ただ、Disputeがなく、まったく抽象的にガイドラインの遵守だけやっても仕方ない。両方ないということは普通の問題ではありえないと思っている。

原科:単に遵守しているだけでなく、さらにお互いに合意する別の条件をつけるのが和解なのだろうから、それほどネガティブでもないと思うが。

JBIC和解というより、今の話は我々のやっていることに対することのクレーム、つまり、遵守の申し立てだと思うが。

川崎:これまでの議論で、苦情の異議申立ての範囲については、ガイドラインに規定してある手続きに違反があるということに限定してきたと思う。そこは内部でもう一度拡散しないようにしていただきたい。公開という点について個人的な経験から申し上げると、我々も苦情処理の申立ての内容及び回答を全部公開してきたが、公開するときの資料は当然申立者と回答者に事務局が了解をとり公開する。その段階で言わなかったことにしてくれというコメントが来た場合は考える。他方、和解が成立したというように解決したのであれば、掲載すべきだろう。2点目は異論があるかもしれないが、年間50件から100件の色々な苦情が来ており、政府の分類ではその3分の1が誤解に基づくものだった。そのとき、極端に言えば、その申立てが間違っていたというような情報を公開することで、同じような苦情が来ないようにできる。その情報の公開が情報提供になる場合があるということだ。

JBIC恐らく、手続的なデザインをどうするか考えていく段階で議論することになるだろう。現段階で和解したものをどうこうする議論はできない。

川崎:今ここで決める必要はないが、論点として議論すればよいと思う。

原科:では、次に要件についての議論に移りたい。

JBIC下線部については、さすがに投融資部門の中に置くことはできない。

原科:2番目の「委員は高い専門能力と……」はいかがか。

JBICこれも全く異論はない。

川崎:投融資部門からの独立は当然だが、現状としてある環境社会開発室の諮問機関になるのか。そうであれば、環社室が銀行内でどのような位置付けになるのか。各部から離れて総務部レベルのより執行部に近いものになる可能性があるのか。もし何か考えているものがあるのなら、可能な範囲で伺いたい。

JBIC環社室の役割は、より環境審査に純化し内部でのチェック体制を整えていく方向で検討している。環社室のチェックをさらにチェックする委員会がいいのか。それとも、環社室がチェックするにあたり、しっかりとした第三者性をもたせチェックする体制にするのか。その違いは今後検討していきたい。

原科:最初におっしゃったようなイメージを私は持っていた。先程の環社室のチェックをサポートするというイメージは違うと思った。これは今後議論していきたい点だ。

松本悟:先程も言及したが、「寺田さんが書かれたような線で」との具体的な示唆はどのような趣旨か。

JIBCそれは、今の制度的セッティングからいけば、その案が一番楽だろうということだ。

JBICそれは内部でも議論があるところだ。

門間:サポートと言うと誤解を招きやすい。

原科:サポートでなくチェックと言ったほうがいいかもしれない。

川崎:後で議題になる「組織」についての議論につながるが、委員会の位置付けがどうなるのかといったとき、JBIC内で各地域毎の融資決定とは独立になっている部門としてすでに環社室があるのなら、そういった部門をそれ以上設ける必要はないだろう。

JIBC投融資部門からの独立は大事だが、最初の融資承諾までのクリアランスのシステムに入っていないことが大事だろう。自分が意思決定に関わったものについて、後で自分で意思決定をチェックするのはおかしい。

原科:政府では、そのようなことがよくある。

JBICIFCのオンブズマンも個別のクリアランスには一切関わっていない。時々、日本の場合と同じように国際機関にも根回しに来ることがあるらしいが、そのような個別案件の事前の問合せには一切応じない。そのような独立性は組織としての部門の独立性も大事だが、機能面での独立性が非常に大事だと思っている。

門間:仮に環社室の諮問を受けるような形であったも、事前の申し立ては一切受けず、事後的なものになるということか。

JBIC組織としてどこにあるかはそれほど関係なく、機能として確保されることのほうが大事だろう。

JBIC環社室自身が融資の判断に際し意見を言う立場として、独立している。同時並行的に独立したものを設けることに意味があるのかという議論もしていかなくてはならない。全く同じことではなく、違う点である遵守の面で独立したものを設けるかという議論になるだろう。

川崎:JBICの組織の中だけでやっていくものになると、たとえ環社室が独立していたとしても、外部から見た透明性や説明責任の問題が出てくるだろう。事務局はJBICの中にあってもいいが、外の専門家が入り意見を聞くとうことになれば、対外的にも説明がしやすいのではないか。

JBICしかし、最初に根回ししてしまう形になってしまえば、あまり意味はないだろう。

川崎:その限りにおいては中でも根回しがあるだろう。

JIBCシステムとして、外部の人を入れたから中立で公正だということはないと思う。

川崎:もちろんそうだが、それはどのように中立性を確保するかの問題であり、ここは内部の人を信用しろというより、外部の人のほうがいいやすいだろうというアドバイスだ。

JIBC提案だが、この点は我々の中でも議論をしておらず、今ここでフリー・ディスカッションをしても始まらない。今日の進め方として、どういう角度からどういう点を議論すればよいのか確認してはいかがか。

JBICこのメモの「要件」で書かれている組織としての「投融資部門からの独立」はあまり関係ないと思う。非常に極端な話だが、営業第1部の中に環境担当の事後チェックの審査官がいてもいいだろう。そのようなものは確かに外部からは受け入れられないだろうが。

原科:その点はこれ以上議論してもきりがないので、要件のポイントとして、このメモであげられているような点について今後議論していくということはよろしいか。

JIBCはい。

本山:今、JBIC内の組織体制の話があったが、提言p.21「環境社会開発室の役割等」で議論している世銀のようなものを中で考えていらっしゃるのか。

JBICそれはまさに考えているところで、環境社会開発室の役割を見直し、環境審査に特化しようということだ。具体的には、案件形成機能を持つ社会開発班はあまりチェックになじまないので、切り離す方向で検討している。

本山:全体的な遵守状況をチェックする内部の機関と外部の機関という議論がある。提言4)では、「定期的にガイドラインの遵守状況及び実施上の課題についてとりまとめ、総裁あるいは担当理事に報告する」と書いてあるが、例えば今そのようなことを念頭において第三者的な委員会の話をするのは話が違うと思うのだが。

JIBC提言で言っているのは、世銀の場合だろう。それはJBICでは検査部が該当するので、検査部が環境面での検査をすることは十分考えられるが、新たな組織をことは考えていない。

本山:そこが遵守の状況も見ていくのか。

JIBC検査部の役割は業務の監査なので、手続きにしたがってやっているかどうか、また、品質管理ができているかを事後的にチェックする部門だ。

松本郁:提言p.19の最後から3行目「銀行が、このような組織・体制を検討し整備するに際しては、環境配慮に関する遵守の確保及び実施状況の評価について対象とするとともに」とあるが、この遵守あるいは評価の機関として、今は外部の遵守確保のための機関について議論をしており、内部の遵守確保や実施評価の機関を作る議論とは別と整理したいが。

JBIC内部の体制は別途検討するが、そこは環社室の役割を見直していく方向で今検討しているところだ。

松本郁:つまり、環社室がガイドラインの遵守状況や実施評価をやるのか。

JIBC環社室は環境審査をし、その審査をちゃんとチェックする機能をもつ。全体のシステムがワークしているかは現在は検査部があるので、そこがしている。それが大きな体制だ。それをさらに内容的に強化していくことはあるが、組織的に改変することは今のところ考えていない。環社室の役割を見直す中で検討していきたいと思っている。

JIBC品質管理の話は、世銀ほどスタッフがいない中でどのように確保していくのかが課題だという議論がなされた。提言では、事業部局という融資を実際に行うところと審査をする環境室で研修をしながらやっていくという方法があがっていた。

本山:第三者的な委員会は、苦情があった場合に遵守状況を見るもので、全体的な遵守上状況を見ていくのは検査部という理解でよろしいか。

JIBC個別の話では環社室だ。全般的な状況は検査部だ。

原科:幅広い概念で考えてよいのではないか。実際的には、第三者的な機関があればそこに情報が蓄積される。そこで処理してしまったほうがいいかもしれない。

川崎:今のようにJBICの一般的な業務全般について適切かという話は、行政監察のようなものだ。個別の遵守状況、内部でのチェック状況の話を越え、そもそもガイドラインを作っても守っていないという話であれば、JBICの外の話だろう。

原科:この点についてもまた今後議論することにしたい。また、メモの「今後の議論で明らかにすべき点」の項目に挙げられた点について今後も議論していくということでよいか。

JIBCこのようなところが論点になると思う。

大村:銀行と委員会の権限関係を考えると、そもそも銀行の中での遵守がどのようになるのか。また、環社室だけでなく、役員会、融資部門、検査部などのそれぞれどのような役割、機能、手続きをもって意思決定していくのか。さらに、全体を見て遵守が確保されているのかという問題の中で外部委員会を置くのか。そこまで考えないと、なかなかイメージが掴めず役割もはっきりしない。例えば、調査内容についても環社室がどうやるのかということだけでなく、役員会合で結論付けるのかという話にもなってくるだろう。

川崎:論点で重要なものは3点ある。一つは、異議申立て手続などといった場合、すべて対象にするのではなく一定の要件を備えたものにするのかという点。2点目は調査について。先程話したように出てくる苦情の3分の1は誤解かもしれない。ただ、それを訴えてくる人に挙証責任を負わせるのは酷だ。言われた側が調査できる機能があれば信頼もされるだろう。3点目はRecommendationについて。勧告という言葉はどうしても法律の中の「勧告権」をイメージしてしまうので、これが法律に基づく権限関係を決めるようなものにならないということを前提とすれば、「調査権」や「勧告権」など「権」を連想させるようなものは適切でないだろう。「意見を言うことができる」くらいで十分で、できれば、「JIBCはその意見を尊重し業務を進める」という自主的な遵守についてのメッセージのが入っていてもいいのではないか。

原科:「意見」という表現も強いかもしれない。

川崎:正直言うと、意見を言うところまでいくのが大変だ。意見を言う機関に対する根回しがあると、意見が言えるかが問題になる。意見を言うことができるようにすることと、また、意見を言うときには調査をしっかりやり正しい意見が言えるようにすることが大事だろう。

原科:「勧告」とまではいかなくとも、アセスの場合「意見」は強い言い方だ。

JIBC1点、他の救済措置との関係について議題に入れていただきたい。基本的には我々のガイドライン遵守方法について審査などをする話だが、表裏一体のものとして、当該国で人権侵害をされたという話が出てくる。すると、その国では裁判などの救済措置があり、その結論と我々の関係がどうなるのかという問題がバイの機関なので出てくるだろう。これはデザインとしては、対象範囲の問題で議論できればと思う。

JBIC先程、守秘義務や要件の問題が重要だということだったが、もう1点。先程の国連人権機関のペーパーとの比較で申し上げると、この人権機関はある時突然話が持ち込まれるが、我々の場合は現行でも、新ガイドラインでも、仮に苦情等があった場合、常日頃応対させていただき、我々がすでに話をしている点が違う。それはこれからの議論の中で反映していただきたい。

川崎:今の点に関連して、できれば、タイムフレームワークを入れてもらいたい。異議申立てがあってから、受理をするか否かの検討を例えば1週間で行うなど。このプロセスが長くかかるのは問題になるだろう。

原科:今あげていただきた点について、議論していくということでよろしいか。

松本郁:もう1点、ガイドラインの苦情申し立ての中から、ガイドラインを改善していことを視野に入れていただきたい。第三者的な委員会の主な目的ではないが、苦情処理をやっていく中でガイドラインの強化点、改善点などが実際に出てきている機関もあるので、今後のガイドライン改訂の際にも有効ではないかと考えている。

本山:その点については、第三者的な委員会は、基本的に個別の案件に関しての異議申立てを見るもので、ガイドラインの全体的な遵守を見る話とは違うと理解しているので、基本的にはJBICの中にガイドライン全体の遵守に関して責任をもってモニターする部門をもっていただきたいと思っている。その関連で、今のような改訂の話にどのように全般的な遵守をつなげていくのかということだ。

JBICIFCCAOAdviserのような機能、つまり、ガイドラインの実施状況を見て、ガイドライン自体の改善点等をアドバイスする機能を持たせたほうがよいという意見か。

松本悟:提言のp.19真中に太字で書いてあることだ。

原科:それはまた別途議論したほうがよいだろう。

JBIC126HPにて受付けた「JBIC新環境ガイドライン(案)に対する意見書」の説明とその回答について説明)

 

次回の予定1225日午前10時半〜12