Press Release For immediate release - 2005年6月24日

森林生態系に配慮した紙製品の調達に関するアンケート結果発表

71%が紙製品のサプライ・チェーンを
「把握をしていない」と回答

本日、グリーンピース・ジャパン、国際環境NGO FoE Japan、WWFジャパン、地球・人間環境フォーラム、熱帯林行動ネットワーク(JATAN)の5団体は、「森林生態系に配慮した紙製品の調達方針の策定・実施に関するアンケート」の結果を発表した。

アンケートに回答した組織のうち、71%が紙製品のサプライ・チェーンを「把握をしていない」と回答しており、製品原料の生産地(伐採地)からの供給ルートや、原料の生産地の環境や社会への影響が、紙の調達側で把握されていないことが明らかになった。

5団体は昨年10月、「森林生態系に配慮した紙調達に関するNGO共同提言」を発表し、企業や行政機関に対して、世界の森林を破壊から守るために購入・調達する側からの積極的な働きかけや支援が必要であると訴え、森林生態系に配慮した調達方針の策定を呼びかける活動を行ってきた。

この活動の一環として、紙製品を利用する全国の企業や自治体965組織を対象に、紙製品の調達方針に関するアンケートを3月1日から4月11日にかけて行ない、214組織(回収率22%)からの回答を得た。アンケートの主な内容は、「森林生態系に配慮した紙調達に関するNGO共同提言」への賛同の有無、紙製品の原料やサプライ・チェーンの把握の有無、紙製品の調達方針の有無とその内容、今後の取組みの予定・取組みのために必要と考える事項などである。

「森林生態系に配慮した紙調達に関するNGO共同提言」に対しては、69%の組織が「賛同できる」または「概ね賛同できる」と回答し、「一部賛同できる」は20%、「分からない」または「無回答」が12%で、「賛同できない」と回答した組織はなかった。

紙製品の原料の生産地における環境や社会に配慮した文書化された調達方針については、35組織(16%)が「持っている」と回答した。調達方針の内容を確認すると、中には「グリーン購入の推進」や「古紙利用の推進」としか明記していない組織もあった。その一方で、NGO共同提言で求めている内容の一部をなんらかの形の表現で含んでおり、紙原料のサプライ・チェーンを把握している組織も、供給側の企業を中心にいくつか見られた。NGO共同提言では、紙原料の合法性の確認、保護価値の高い森林の回避、地域住民や利害関係者との対立や紛争を起こしているものの回避、元来の生態系に重大な影響を与えるものの回避、森林認証製品/原料の利用といった内容を含む調達方針を作成・公表することを求めている。

一方、現在調達方針を持っていない組織のうち、26%が今後調達方針を策定の予定が「ある」と回答した。現在調達方針を持っておらず、今後策定の予定もない組織からは、その理由として、「実施のための情報・支援策が少ない」(35%)、「実施のための方法がわからない」(28%)といった回答が見られた。今後、森林生態系に配慮した調達方針策定を進めるためには、具体的な方法や情報・支援策を提供することが重要であることがわかった。

5団体では、6月15日より「森林生態系に配慮した紙製品の調達に関する検討会」を開始した。この検討会は、企業や自治体において、紙原料の生産現場における森林環境や社会に配慮した紙調達を進めるために、関心を持つ企業・自治体からの環境または調達担当者に参加してもらい、具体的な方法・事例についてのNGOからの情報提供とともに、参加各組織の取組みの現状や今後の課題についての情報交換を行うもので、10月までに4回にわたって行う予定である。

5団体では、こうした取組みを行う組織を増やしていくことによって、森林環境に配慮した木材や紙の需要を喚起し、木材生産国の森林環境の破壊を止めることにつなげていきたいと考えている。

森林生態系に配慮した紙製品の調達に関するアンケート集計結果
森林生態系に配慮した紙調達に関するNGO共同提言

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