開催趣旨
 日中韓の協力による脱温暖化地域づくりのために
  大河内 淑恵/持続可能な都市のための20%クラブ事務局、(財)地球人間環境フォーラム研究員


 持続可能な都市のための20%クラブ事務局を担当しています、(財)地球・人間環境フォーラムの大河内と申します。どうぞよろしくお願いいたします。10分と短い時間になりますが、20%クラブの概要と今回のワークショップの目的などについて簡単にご紹介いたします。

 まず、20%クラブ事務局が籍を置く「財団法人 地球人間環境フォーラム」について簡単にご説明します。環境フォーラムは1990年に設立された環境省所管の財団で、主に地球環境問題に関する調査・研究、またそうした調査結果や環境情報の普及を広く行っています。主な活動内容は大きく5つ、@環境情報の普及(月刊誌「グローバルネット」の発行など)、A持続可能な地域づくり(温暖化防止モデル事業、リユースカップ普及調査事業など)、B温暖化、森林、砂漠化などの地球環境問題に関する調査研究、C企業のCSRや持続可能性報告など環境コミュニケーションの促進、経営トップへの環境情報の普及、D国際協力活動で、分野によってはネットワーク組織の事務局機能を担っているものもあります。

 持続可能な都市のための20%クラブは、AとDの両側面を持った活動です。地球温暖化をはじめ現在の環境問題の多くは、国境を超えてその影響が広がっている一方で、問題解決に向け重要な役割を担っているのは、ライフスタイルを足元から見直す市民であり、その際一番身近な行政組織である地方自治体であり、また地域に根ざし活動する多くのNGO/NPOだと思います。20%クラブは、こうした認識に基づき1997年1月に発足しました。会員数は2004年11月現在で67自治体(海外26、国内41)です。

 発足当初は、各会員の取り組みの実効性を高める意味合いから、@具体的数値を含む施策目標(例えば「リサイクル率を2003年までに97年比で20%増やす」「市役所からのCO2排出を2005年までに98年比で10%減らす」等)を自治体に宣言・登録してもらい、毎年の達成状況を調査しWEB上で公表していました。また、効果的な環境施策に関する情報・経験の交流を促進するため、Aニュースレターやケーススタディを発行(年2回)してきました。

 2000年からは、WEBやニュースレターだけでなく顔の見える交流をと、B年1回のワークショップの開催を始めました。そして発足から5年経った2001年からは、C中国・韓国・日本という東アジア地域における自治体ネットワークの強化を活動の柱に加え、日中韓の自治体や環境NGOを集めたワークショップを、2001年度(横浜市)、2002年度(韓国・楊平郡)、2003年度(岩手県葛巻町)と重ねてきました。今まで20%クラブの情報交流では、どうしても英語が中心でしたが、この日中韓の交流事業では、漢字語を共有する文化圏であることを大切にする意味でも、英語ではなく各国の母国語でのコミュニケーションを重視しています。この点では、環境情報発伝所さんの全面的な協力が得られており、大変感謝しています。

 ただし、日中韓以外のメンバー自治体への英語による発信はやはり重要で、WEB上でのワークショップの事例報告などは引き続き行っています。この英語での発信事業については、神奈川県に支援をいただきながら「神奈川宣言ネットワーク」と連携して進めています。このネットワークは、2002年4月開催の「アジアの地方自治体による国際環境シンポジウム」(神奈川県・環境省主催)に参加した自治体・NGOの情報交流ネットワークであり、革新的な施策に関する情報・経験の発信をWEB上で行っています。今日ご発表いただく各事例についても、後日神奈川宣言ネットワークおよび20%クラブの会員自治体に向け、英語によって発信される予定です。

 さて、今回のワークショップでは、こうした情報交流から一歩進めて、日中韓の自治体を中心とした環境協力の具体的なプロジェクト化を目指しています。とくに自然エネルギー・省エネルギー分野での日中・韓中間の具体的協力関係がこのワークショップを契機に形成できることを期待しており、今日は自治体およびNGOの担当者にそのスタートを切るための議論をしていただくため、お集まりいただきました。建設的な議論が交わされ、協力関係の具体化の可能性について高い見通しが得られれば、今後20%クラブとしては、日本の環境省やJICA(国際協力機構)など関係機関へプロジェクト申請し、早期実現を目指したいと考えています。皆さんの熱意とご協力・ご支援をいただければ幸いです。