第三部 行動計画、科学上及び技術上の協力並びに支援措置

1 影響を受ける国である開発途上締約国、自国に係る地域実施附属書の枠組みの中の影響を受ける国である締約国その他国家行動計画を作成する意思を常設事務局に書面により通報した影響を受ける国である締約国は、第五条の規定に基づく義務を履行するに当たり、適当な場合には、砂漠化に対処し及び干ばつの影響を緩和するための戦略の中心的要素として、既存の成功した関連する計画を可能な限り利用し及び基礎として国家行動計画を作成し、公表し及び実施し、並びに小地域及び地域の行動計画を作成し、公表し及び実施する。行動計画については、現地における活動から得られた教訓及び研究の結果に基づいて、継続的な参加型の手続により更新する。国家行動計画の作成については、持続可能な開発のための国の政策を策定するための他の努力と密接に関係付ける。

2 先進締約国は、第六条の規定に基づく種々の形態による援助を提供するに当たり、合意により影響を受ける国である開発途上締約国(特にアフリカの開発途上締約国)の国家行動計画並びに小地域及び地域の行動計画を直接に若しくは関連する多数国間機関を通じて又はこれら双方により支援することを優先させる。

3 締約国は、国際連合及びその関連機関の内部機関、基金及び計画並びに協力することのできる立場にあるその他の関連する政府間機関、学術機関、学界及び非政府機関がその権限及び能力に応じて行動計画の作成、実施及び監視を支援することを奨励する。

1 国家行動計画の目的は、砂漠化の一因となっている要素並びに砂漠化に対処し及び干ばつの影響を緩和するために必要な実際的な措置を特定することである。

2 国家行動計画においては、政府、地方の地域社会及び土地利用者の役割並びに利用可能な及び必要な資源を特定するものとし、特に次のことを行う。

P 砂漠化に対処し及び干ばつの影響を緩和するための長期的な戦略を当該国家行動計画に含め、実施を重視し並びに当該国家行動計画を持続可能な開発のための国の政策に組み入れること。

Q 当該国家行動計画を変化する事情に応じて修正することができるようにし並びに社会経済的な、生物学的な及び地球物理学上の種々の状況に対処するために地方の段階において十分に弾力的なものにすること。

R まだ劣化しておらず又は軽微な劣化が生じているにすぎない土地に係る防止措置の実施に特別の注意を払うこと。

S 気候学、気象学及び水文学についての国の能力並びに干ばつの早期警戒のための手段を向上させること。

T 連携の精神をもって、拠出を行う社会、政府のすべての段階、地方の住民及び地域社会集団の間の協力及び調整を進展させるための政策を促進し及びその進展のための制度上の枠組みを強化し並びに地方の住民による適当な情報及び技術の取得を円滑にすること。

U 非政府機関並びに地方の男女双方の住民、特に資源の利用者(農民及び牧畜民並びにこれらの代表的団体を含む。)が地方、国及び地域の段階において、政策の策定、意思決定並びに当該国家行動計画の実施及び検討に効果的に参加するための措置をとること。

V 当該国家行動計画の実施についての定期的な検討及び進捗状(ちよく)況の報告を求めること。

3 国家行動計画には、干ばつの影響について準備し及びこれを緩和するため、特に次の措置の一部又は全部を含めることができる。

P 適当な場合には、早期警戒体制(地方及び国の制度並びに小地域及び地域の段階における共同体制を含む。)及び環境上の避難民を援助するための制度の確立又は強化

Q 季節ごとの気候予測から多年にわたる気候予測までを考慮に入れた干ばつについての準備及び管理(地方、国、小地域及び地域の段階における干ばつについての緊急時計画を含む。)の強化

R 適当な場合には、食糧の安全保障のための体制(貯蔵及び市場に係る制度、特に農村地域におけるものを含む。)の確立又は強化

S 干ばつが起こりやすい地域において収入を提供し得る代替の生活手段についての事業の確立

T 作物及び家畜の双方について持続可能なかんがい計画の作成

4 国家行動計画には、適当な場合には、各影響を受ける国である締約国に特有の事情及び要請を考慮の上、特に、影響を受ける地域において砂漠化に対処し及び干ばつの影響を緩和することに関連し並びに住民に関連する次の優先される分野の一部又は全部における措置を含む。

 影響を受ける国である締約国は、適当な場合には、関連する地域実施附属書に従い、国家計画を調和させ及び補完し並びにその効率性を増進させるために小地域又は地域の行動計画の作成について協議し及び協力する。前条の規定は、小地域及び地域の計画について準用する。その協力には、国境を越える天然資源の持続可能な管理のための合意された共同計画、科学上及び技術上の協力並びに関連する機関の強化を含めることができる。

 影響を受ける国である締約国は、他の締約国及び国際社会と協力して、この条約を実施することを可能にする国際的な環境の促進を確保するために協力すべきである。その協力については、技術移転、科学的な研究及び開発、情報の収集及び普及並びに資金の分野をも対象とすべきである。

1 第九条の規定に従って行動計画を支援する措置には、特に次のことを含む。

P 必要な長期的計画の作成が可能となるような予測可能性を行動計画に与えるための資金協力を行うこと。

Q 試験的計画において成功した活動がある場合には、そのような活動の実施を促進するため、地方の段階における一層の支援(非政府機関を通ずるものを含む。)を可能にする協力のための制度を設け及び利用すること。

R 地方の地域社会の段階における参加型の行動に適する実験的かつ反復的な取組方法に沿うように事業の立案、事業への資金供与及び事業の実施における弾力性を増大させること。

S 適当な場合には、行政上及び予算上の手続において協力及び支援計画の効率を高めること。

2 影響を受ける国である開発途上締約国に対して1に規定する支援を行うに当たっては、アフリカの締約国及び後発開発途上締約国を優先させる。

1 締約国は、行動計画を作成し及び実施するに当たり、直接に又は関連する政府間機関を通じて緊密に協力する。

2 締約国は、重複を避け、参加及び取組方法を調和させ並びに援助の効果を最大にするため、先進締約国、開発途上締約国並びに関連する政府間機関及び非政府機関の間における可能な最大限度までの調整を確保する運用上の制度(特に国及び現地の段階におけるもの)を設ける。影響を受ける国である開発途上締約国においては、資源の効率的利用を最大にし、有効な援助を確保し並びにこの条約に基づく国家行動計画及び優先される事項の実施を円滑にするために国際協力に関する活動の調整が優先される。

 行動計画に組み入れられる要素は、影響を受ける国である締約国又は影響を受ける地域の社会経済的、地理的及び気候的要素並びにこれらの締約国又は地域の開発の段階に応じて選択され及び調整される。特定の小地域及び地域に係る行動計画の作成並びに当該行動計画の正確な焦点及び内容についての指針は、地域実施附属書に規定する。

 締約国は、自国の能力に応じ、影響を受ける地域の土地の劣化の組織的観測を確保し並びに干ばつ及び砂漠化の過程及び影響をより良く理解し及び評価するため関連する短期的及び長期的な資料及び情報の収集、分析及び交換を統合し及び調整することについて合意する。これにより、特に、望ましくない気候の変動の期間についての早期警戒及び事前の計画作成がすべての段階における利用者(特に地方の住民を含む。)の実際の利用に適する形態で達成されることとなる。このため、締約国は、適当な場合には、次のことを行う。

P 情報の収集、分析及び交換並びにすべての段階における組織的観測のための機関及び制度に係る地球的規模の協力網の機能を円滑にし及び強化すること。この協力網については、特に次のことを行う。

Q 特定の問題を解決するために情報の収集、分析及び交換が地方の地域社会及び意思決定を行う者の必要に対応し並びにそのような活動に地方の地域社会が関与することを確保すること。

R 資料及び情報(特に物理的、生物学的、社会的及び経済的指標が統合されたものを含む。)の収集、分析及び交換について明確化し、これらを実施し及び評価し並びにこれらに対して資金を供与するための二国間及び多数国間の計画及び事業を支援し及び一層進展させること。

S 特に、種々の地域の対象となる集団において関連する情報及び経験を普及させるため、適当な政府間機関及び非政府機関の専門知識を十分に利用すること。

T 社会経済的な資料の収集、分析及び交換並びにそのような資料と物理的及び生物学的資料との統合を十分に重視すること。

U 砂漠化に対処し及び干ばつの影響を緩和することに関連する公に利用可能なすべての情報源から得られた情報を交換し及び十分に、自由に、かつ、速やかに利用に供すること。

V 自国の法令又は政策に従って地方の伝統的な知識に関する情報を交換すること。その交換に当たっては、当該情報の十分な保護を確保し並びに地方の関係住民に対し公平な基準及び相互に合意される条件に基づいて当該情報から生ずる利益を適切に還元する。

1 締約国は、自国の能力に応じ、国の、小地域の、地域の及び国際的な適当な機関を通じて砂漠化に対処し及び干ばつの影響を緩和することに係る分野における技術上及び科学上の協力を促進することを約束する。このため、締約国は、次の研究活動を支援する。

P 砂漠化に対処し、干ばつの影響を緩和し、生産性の向上を達成し並びに資源の持続可能な利用及び管理を達成するため、砂漠化及び干ばつをもたらす過程、その原因となる要素(自然的なもの及び人為的なもの)の影響並びに当該要素の間の区別に関する知識の向上に貢献するもの

Q 十分に明確化された目的及び地方の住民の特別の必要に対応し並びに影響を受ける地域の人々の生活水準を向上させる解決策の特定及び実施に至るもの

R 地方の伝統的な知識、ノウハウ及び慣行を保護し、統合し、向上させ及び確認するもの。その支援に当たっては、自国の法令又は政策に従い、当該知識を有する者がその商業的な利用又は当該知識から生ずる技術開発から公平な基準及び相互に合意される条件に基づいて利益を直接得ることを確保する。

S 影響を受ける国である開発途上締約国(特にアフリカの開発途上締約国)における国、小地域及び地域の研究能力を開発し及び強化するもの。その開発及び強化には、特に研究の基盤が弱い国において、学際的かつ参加型の社会経済的研究に特別の注意を払って地方の技術を開発し及びその適切な能力を強化することを含む。

T 適当な場合には、貧困、環境上の要因による移住及び砂漠化の間の関係を考慮するもの

U 地方の住民及び地域社会の効率的な参加により持続可能な開発のための改良された、かつ、利用しやすい技術を開発することを目的として、公私双方の部門における国の、小地域の、地域の及び国際的な研究機関の間の共同の研究計画を実施することを促進するもの

V 影響を受ける地域において、特に人工降雨の方法により水資源の利用可能性を向上させるもの

2 行動計画には、特定の地域及び小地域の研究における優先順位であって種々の地方の条件を反映するものを含めるべきである。締約国会議は、科学技術委員会の助言に基づいて定期的に研究における優先順位を検討する。

1 締約国は、相互の合意により、自国の法令又は政策に従い、影響を受ける地域における持続可能な開発の達成に貢献するため、環境上適正な、経済的に実行可能な、かつ、社会的に受入れ可能な技術であって砂漠化に対処し又は干ばつの影響を緩和することに関連するものの移転、取得、適応及び開発を促進し、これらに資金を供与し又はその供与を円滑にすることを約束する。そのような協力については、場合に応じ、政府間機関及び非政府機関の専門知識を十分に利用して二国間又は多数国間で行う。締約国は、特に次のことを行う。

P 利用可能な技術並びにその出所、環境上の危険性及び取得のための一般的な条件についての情報を普及させるため、国の、小地域の、地域の及び国際的な既存の関連する情報体系及び情報センターを十分に利用すること。

Q 相互の合意による有利な条件(緩和されたもの及び特恵的なものを含む。)で、知的所有権を保護する必要性を考慮して、地方の住民の特別の必要に応ずる実際的な利用に最も適する技術につき、その社会的、文化的、経済的及び環境上の影響に特別の注意を払って特に影響を受ける国である開発途上国による取得の機会を円滑にすること。

R 影響を受ける国である締約国の間の技術協力を資金援助又は他の適当な方法により円滑にすること。

S 影響を受ける国である開発途上締約国との技術協力(適当な場合には合弁事業を含む。)、特に代替の生活手段を助長する部門におけるものを拡充すること。

T 適切な技術、知識、ノウハウ及び慣行の開発、移転、取得及び適応に資する国内市場の条件及び奨励措置(財政上のものであるか他のものであるかを問わない。)を整えるために適当な措置(知的所有権の十分かつ効果的な保護を確保するものを含む。)をとること。

2 締約国は、自国の能力に応じ、かつ、自国の法令又は政策に従い、特に関連する地方の伝統的な技術、知識、ノウハウ及び慣行を保護し、促進し及び利用するものとし、このため、次のことを約束する。

P 地方の住民の参加を得て当該技術、知識、ノウハウ及び慣行並びにこれらの潜在的な利用についての目録を作成し並びに、適当な場合には、関連する政府間機関及び非政府機関と協力してそのような情報を普及させること。

Q 当該技術、知識、ノウハウ及び慣行が十分に保護され並びに地方の住民がこれらの商業的な利用又はこれらから生ずる技術開発から、公平な基準に基づき、かつ、相互の合意により、利益を直接得ることを確保すること。

R 当該技術、知識、ノウハウ及び慣行又はこれらを基礎として開発する新たな技術の改善及び普及を奨励し及び積極的に支援すること。

S 適当な場合には、当該技術、知識、ノウハウ及び慣行の広範な利用のために適応させることを円滑にし並びに、適当な場合には、これらを近代技術と統合すること。

1 締約国は、砂漠化に対処し及び干ばつの影響を緩和するための努力における能力育成、すなわち、機関の設立、訓練並びに関連する地方及び国の能力の開発の重要性を認めるものとし、適当な場合には、次のことによって能力育成を促進する。

P 非政府機関及び地方の機関の協力を得て、特に地方の段階においてすべての段階の地域の住民(特に女子及び青少年)を十分に参加させること。

Q 国の段階において砂漠化及び干ばつの分野における訓練及び研究能力を強化すること。

R 関連する技術的方法及び技術を一層効果的に普及させるために支援業務及び拡充の業務を確立し又は強化し並びに天然資源の保全及び持続可能な利用のための参加型の取組方法において現地の職員及び農村の組織の構成員を訓練すること。

S 可能な場合には、技術協力の計画において地方の人々の知識、ノウハウ及び慣行の利用及び普及を助長すること。

T 必要な場合には、環境上適正な関連する技術並びに農業及び牧畜業の伝統的な方法を現代の社会経済的条件に適合させること。

U 特に燃料としての木材への依存を軽減するための代替エネルギー源(特に再生可能なエネルギー源)の利用について適当な訓練及び技術を提供すること。

V 相互の合意により、影響を受ける国である開発途上締約国が第十六条に規定する情報の収集、分析及び交換の分野において計画を作成し及び実施する能力を強化するために協力すること。

W 代替の生活手段を促進する革新的な方法(新たな技能の訓練を含む。)

X 意思決定を行う者、管理者並びに干ばつの状況に関する早期警戒の情報の普及及び利用並びに食糧の生産に関する資料の収集及び分析に責任を有する要員を訓練すること。

Y 既存の国の機関及び法的枠組みを一層効果的に運用し、必要な場合には新たな機関及び法的枠組みを設け並びに戦略的な計画の作成及び管理を強化すること。

Z 影響を受ける国である開発途上締約国における能力育成を長期的かつ相互的な学習及び研究の過程を通じて促進するための人的交流計画

2 影響を受ける国である開発途上締約国は、適当な場合には、他の締約国並びに適当な政府間機関及び非政府機関と協力して、地方及び国の段階における利用可能な能力及び制度並びにこれらを強化する可能性について学際的な検討を行う。

3 締約国は、砂漠化及び干ばつの原因及び影響並びにこの条約の目的を達成することの重要性についての理解を促進するため、影響を受ける国である締約国及び適当な場合にはそのような締約国以外の締約国において啓発及び教育計画を実施し及び支援するに当たって、相互に並びに適当な政府間機関及び非政府機関を通じて協力する。このため、締約国は、次のことを行う。

P 一般公衆に対する啓発運動を組織すること。

Q 公衆による関連する情報の取得の機会並びに教育及び啓発活動への公衆の広範な参加を恒常的に促進すること。

R 啓発に貢献する団体の設立を奨励すること。

S 教材及び啓発用資料(可能な場合には現地の言語によるもの)を開発し及び交換し、教育及び啓発の関連する計画を実施するに当たり影響を受ける国である開発途上締約国の要員を訓練するために専門家を交流させ及び派遣し並びに適当な国際機関において入手することのできる関連する教材を十分に利用すること。

T 影響を受ける地域の天然資源の特定、保全並びに持続可能な利用及び管理のため、影響を受ける地域における教育上の必要性を評価し、適切な学校教育課程を編成し並びに、必要に応じ、すべての人(特に女子)のための教育及び成人向けの識字の計画及び機会を拡大すること。

U 砂漠化及び干ばつについての啓発を教育制度並びに正規でない、成人向けの、遠隔地向けの及び実用的な教育計画に組み入れるための学際的な参加型の計画を作成すること。

4 締約国会議は、砂漠化に対処し及び干ばつの影響を緩和するために教育及び訓練のための地域のセンターの協力網を確立し又は強化する。この協力網は、適当な場合には、計画を調和させ及び当該計画の間の経験の交換を組織化する目的をもって、科学、技術及び管理の分野における人材を訓練し並びに影響を受ける国である締約国において教育及び訓練に責任を有する既存の機関を強化するため、この協力網の調整のために設けられ又は指定された機関によって調整される。この協力網は、努力の重複を避けるために関連する政府間機関及び非政府機関と緊密に協力する。

1 この条約の目的を達成するためには資金供与が中心的な重要性を有するので、締約国は、自国の能力を考慮の上、砂漠化に対処し及び干ばつの影響を緩和するための計画のために十分な資金が利用可能となることを確保するためにあらゆる努力を払う。

2 このこととの関連において、先進締約国は、第七条の規定に従ってアフリカ以外の地域の影響を受ける国である開発途上締約国を軽視することなくアフリカの影響を受ける国である締約国を優先して、次のことを約束する。

P 砂漠化に対処し及び干ばつの影響を緩和するための計画を実施することを支援するために相当の資金(贈与及び緩和された条件による貸付けを含む。)を調達すること。

Q 十分な、時宜を得た、かつ、予測し得るような資金の調達(地球環境基金の設立文書の関連規定に従い、同基金の四の中心分野に関連する活動で砂漠化に関するものに係る合意された増加費用に対して同基金から新規のかつ追加的な資金を供与することを含む。)を促進すること。

R 国際協力によって技術、知識及びノウハウの移転を円滑にすること。

S 影響を受ける国である開発途上締約国と協力して、資金(基金、非政府機関及び他の民間部門の団体のものを含む。)が調達され及び供給されるための革新的な方法及び奨励措置(特に債務交換その他の影響を受ける国である開発途上締約国(特にアフリカの開発途上締約国)の対外債務の負担を軽減することによって資金供与を増加させる革新的な方法)を探求すること。

3 影響を受ける国である開発途上締約国は、自国の能力を考慮の上、十分な資金を自国の国家行動計画の実施のために調達することを約束する。

4 締約国は、資金の調達に当たり、借款団、共同計画及び並行融資を利用して、国内、二国間及び多数国間のすべての資金源及び資金供与の制度の十分な利用及び継続的な質的改善に努め、並びに民間部門の資金源及び資金供与の制度(非政府機関のものを含む。)を関与させるよう努める。このため、締約国は、第十四条の規定に従って開発された運用上の制度を十分に利用する。

5 締約国は、影響を受ける国である開発途上締約国が砂漠化に対処し及び干ばつの影響を緩和するための必要な資金を調達するために次のことを行う。

P 砂漠化に対処し及び干ばつの影響を緩和するために既に配分された資金を一層効果的かつ効率的に利用し、当該資金の成功及び欠点を評価し、当該資金の効果的な利用に対する障害を除去し並びに、必要な場合には、この条約に従って採用した総合的かつ長期的な取組方法に照らして計画を変更することによって当該資金の管理を合理化し及び強化すること。

Q 条約の実施を促進する活動(特に地域実施附属書の枠組みの中で遂行される行動計画)につき、多数国間の資金供与の機関、制度及び基金(地域開発のための銀行及び基金を含む。)の管理に係る機関において、影響を受ける国である開発途上締約国(特にアフリカの開発途上締約国)を支援することを十分に優先させ及び考慮すること。

R 国の段階における努力を支援するために地域及び小地域における協力を強化することができる方法を検討すること。

6 他の締約国は、砂漠化に関する知識、ノウハウ、技術又は資金を影響を受ける国である開発途上締約国に任意に提供することを奨励される。

7 先進締約国がこの条約に基づく自国の義務(特に資金及び技術移転に係るもの)を履行することは、影響を受ける国である開発途上締約国(特にアフリカの開発途上締約国)がこの条約に基づく義務を十分に履行することを大いに援助することとなる。先進締約国は、自国の義務の履行に当たり、経済的及び社会的開発並びに貧困の撲滅が影響を受ける国である開発途上締約国(特にアフリカの開発途上締約国)の最優先の事項であることを十分に考慮すべきである。

1 締約国会議は、資金供与の制度の利用の可能性を促進し、及び影響を受ける国である開発途上締約国(特にアフリカの開発途上締約国)が資金供与の制度の下で資金を利用する可能性が最大となるよう奨励する。このため、締約国会議は、特に次の取組方法及び政策の採択を検討する。

P この条約の関連規定に基づく活動のために国、小地域、地域及び地球的規模の段階において必要な資金を供与することを円滑にするもの

Q 前条の規定に適合する二以上の資金源からの資金を供与するための取組方法、制度及び取決め並びにこれらについての評価を促進するもの

R 関心を有する締約国並びに関連する政府間機関及び非政府機関の間の調整を円滑にするため、これらの締約国及び機関に対して利用可能な資金源及び資金供与の態様に関する情報を定期的に提供するもの

S 適当な場合には、影響を受ける国である開発途上締約国の地方の段階に対して資金を迅速かつ効率的に供給するために砂漠化に関する国の基金(非政府機関の参加を伴うものを含む。)のような制度の確立を円滑にするもの

T この条約の実施を一層効果的に支援するため、特にアフリカにおいて小地域及び地域の段階における既存の基金及び資金供与の制度を強化するもの

2 締約国会議は、また、国際連合及びその関連機関における種々の制度並びに多数国間の資金供与の機関を通じ、開発途上締約国がこの条約に基づく義務を履行することを可能にする活動に対する国、小地域及び地域の段階における支援の提供を奨励する。

3 影響を受ける国である開発途上締約国は、すべての利用可能な資金を効率的に利用することを確保する調整のための国の制度であって国の開発計画に組み入れられるものを利用し及び、必要な場合には、確立し又は強化する。また、影響を受ける国である開発途上締約国は、資金の調達、計画の作成及び実施並びに地方の段階における集団による資金供与の機会の取得の確保に当たり、非政府機関、地方の集団及び民間部門が関与する参加型の手続を利用する。そのような活動については、援助を提供する側の改善された調整及び弾力的な計画の作成によって拡充することができる。

4 既存の資金供与の制度の効果及び効率性を増すために、影響を受ける国である開発途上締約国に対する贈与又は緩和された条件若しくは他の条件による相当の資金(技術移転のためのものを含む。)の調達及び供給をもたらす行動を促進するための地球的規模の制度をこの協定により確立する。地球的規模の制度は、締約国会議の管理及び指導の下に機能し、並びに締約国会議に対して責任を負う。

5 締約国会議は、第一回通常会合において地球的規模の制度を受け入れる機関を指定する。締約国会議及びその指定した機関は、地球的規模の制度の下で特に次のことが確保されるための方法について合意する。

P この条約を実施するために利用可能な関連する二国間及び多数国間の協力計画を特定し及びその目録を作成すること。

Q 締約国に対し、その要請に応じて、革新的な資金供与の方法、資金援助のための資金源及び国の段階における協力活動の調整の改善について助言を与えること。

R 関心を有する締約国並びに関連する政府間機関及び非政府機関の間の調整を円滑にするため、これらの締約国及び機関に対して利用可能な資金源及び資金供与の態様に関する情報を提供すること。

S 締約国会議の第二回通常会合の冒頭において地球的規模の制度の下における活動について報告すること。

6 締約国会議は、第一回会合において、地球的規模の制度を受け入れる機関として自己が指定したものとの間で地球的規模の制度の事務的な運用のための適当な取決め(可能な限り既存の予算及び人的資源について記載したもの)を行う。

7 締約国会議は、第七条の規定を考慮の上、第三回通常会合において、4の規定に従い締約国会議に対して責任を負う地球的規模の制度の下における政策、運用の方法及び活動について検討する。締約国会議は、その検討に基づいて適当な措置について審議し、及びその措置をとる。


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条約本文 第三部 ←you are here
条約本文 第四部〜第六部
附属書T アフリカのための地域実施附属書
附属書U アジアのための地域実施附属書
附属書V ラテン・アメリカ及びカリブのための地域実施附属書
附属書W 地中海北部のための地域実施附属書
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