日本環境ジャーナリストの会からのメッセージ~日本環境ジャーナリストの会のページ環境の現場を伝える魅力とむずかしさ

2016年12月15日グローバルネット2016年10月号

クリエイトブックス代表、日本環境ジャーナリストの会理
岡山 泰史

鳥類園ウォッチングセンターで鳥の魅力を熱弁する♪鳥くん。ガイド役がいることで、わずか3時間で実に21種もの野鳥と出会えた

週末の葛西臨海公園はたくさんの人でにぎわっていた。東京駅からJRでわずか十数分の場所に位置しながら、都内最大規模を誇るこの自然公園の一番の魅力は、何といっても海の近さと生き物の豊かさだろう。

この日の野鳥観察会のガイド役は、プロのバードウォッチャーで、『♪鳥くんの比べて識別! 野鳥図鑑670』などの著者でもある「♪鳥くん」こと永井真人さん。トキのかぶり物とフランクな語りが場を和ませてくれる。

20名ほど集まった参加者は、現役の学生さんから新聞記者まで実に多彩で、鳥や自然への関心の高さが少し話を聞いただけで伝わってくる。

日本環境ジャーナリストの会主催による「環境ジャーナリスト講座」が9月23日から始まった(参加者随時募集中)。この観察会は連続8回の講座の中で、唯一の現場取材の機会でもある。幸い雨も降らず、全員が双眼鏡を首から下げて、熱心に「♪鳥くん」の解説に聞き入る。

双眼鏡の使い方を習った後は、手始めにハシブトガラスを観察する。ハシボソガラスとの違いは、おでことくちばしの太さだ。続いて、ドバト、スズメ、モズ、ヒヨドリと、身近な鳥を双眼鏡と高倍率のスコープ(単眼鏡)でじっくりと観察する。なるほど、普通に見るよりかわいげで、生き生きとした姿を垣間見せてくれる。

「カラスは3歳児並みの賢さと言われています。ベランダに来てしまうのなら、脅すのも有効ですが、舐められないようにしましょうね」 「ヒヨドリはこの時期、渡りの最中です。波状に飛ぶのが特徴です」

そんな解説の合間に、「キュリリ……」と美しい鳴き声が響いた。すかさず、「お?今、カイツブリが鳴きましたね」と、ホワイトボードに「今日の鳥」を書き加える。

突然、「あれ見て!」と♪鳥くんが言う。皆、その指先に注目するが、木の頂上にいた鳥はすぐ飛び去ってしまい、見ることができたのは数人だった。

「あれは、この時期だけ見られる旅鳥のエゾビタキです。夏はサハリンやシベリア南部、カムチャッカで過ごして、南のフィリピンやニューギニアで冬を越す途中、日本に立ち寄ります」

レアな鳥も、詳しいガイド役がいることで、その存在を知ることができるのがありがたい。

池では先ほどのカイツブリの親子をスコープでじっくり観察する機会にも恵まれた。親鳥のレンガ色の首筋と、まだグレーの小さなひなの取り合わせが美しい。「この時期まだひながいるということは、かなり時期がずれていますから、きっと台風などで繁殖に失敗したのかもしれませんね。これだけ遅いと、冬を乗り切れるか心配です」

その後は鳥類園の中にあるウォッチングセンターに移動し、保護区でもある「東なぎさ」や、近くの池にいる鳥を観察する。おなじみのユリカモメ、猫のように鳴くウミネコ、クチバシが反り返るオオソリハシシギなど次々と鳥の名前が挙がる。結局、わずか3時間ほどの間に21種類の鳥と出会えたのだった。

この環境ジャーナリスト講座には「選ぶ・調べる・伝える技術」という副題を付けた。

講座の魅力は、なんと言っても新聞記者やテレビ局のプロデューサー、雑誌編集長まで、普段、話を聞く機会がなかなかない第一線のジャーナリストから直接学べることだ。

環境に関心の高い人は多いが、その魅力や取り組むべき課題について広く伝えようとしている人は少ない。それは、暮らしや社会の問題と比べて緊急性やテーマの身近さがどうしても劣るからだろう。この講座から、一人でも多く伝える志を持つ人が増えることを期待したい。

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