木材、パーム油、漁業資源、鉱物資源の「出所」に目を向けよう

持続可能な原材料調達 連続セミナー


第1回 ”食”の原材料と持続可能性 (終了。結果概要および資料ダウンロード
第2回 植物油脂(パーム油と大豆油を例に) (終了。結果概要および資料ダウンロード
第3回 鉱物資源 (終了。結果概要および資料ダウンロード

第4回 木材と木材製品 (終了。結果概要および資料ダウンロード
第5回 責任ある融資 (終了。結果概要および資料ダウンロード
第6回 企業の取り組み事例 (終了。結果概要および資料ダウンロード

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開催趣旨
 日本は、世界有数の資源消費国であり、多くの資源がさまざまな形で発展途上国から輸入されています。本来、原材料の調達にあたっては、日本国内だけでなく生産地における環境・社会配慮が欠かせないはずですが、複雑なサプライチェーンや情報の不足から、これらの問題は必ずしも消費国で認識されてはいないのが実情です。私たち消費者がより安いものを求め、企業がそれを提供することに注力すればするほど、原材料生産にあたって必要な環境社会配慮の費用が支払われず、そのツケを払うのは、環境問題や社会問題で被害を受ける現地の人々ということになりかねません。企業の社会的責任が問われる今こそ、集積された過去の事例に学び、国として、企業として、原材料調達の問題に戦略的に取り組むことが重要です。
 本連続セミナーは、私たちの身近な食や住まいなどに使用されている一次産品がいったいどこから来るのか、どのような環境社会 影響が生じうるのか、また、それを解決するための企業の取り組み事例について報告しました。


<結果概要及び資料ダウンロード>

第1回 “食”の原材料と持続可能性
日時 2006年5月30日(火) 13:30〜17:00
場所 環境パートナーシップオフィス エポ会議室(東京都渋谷区神宮前5-53-67 コスモス青山B2F)
内容

人類はこの50年の間に、海洋性の大型捕食性魚類の少なくとも90%をとりつくしてしまったと言われています。 また、牛肉や大豆の生産が、アマゾンの熱帯林の破壊に寄与していると報告されています。この回では、私た ちの食卓を支える食べ物の原材料と持続可能性の問題を考えました。参加者からは「回避すべき原料の最低基 準は何か?」「地元コミュニティへの配慮とは具体的には何をさすのか」「MSCの魚はおいしいのか?」などの 質問が寄せられました。

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■ 食卓からみた生物多様性 足立直樹(CSR経営研究所、地球・人間環境フォーラム客員研究員
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講演要旨(html)

生物多様性は私たちの「食」を支えています。と同時に、今、牛肉、大豆、パーム油などのさまざまな「食」の原料のにおいて、急速な生物多様性の破壊が進行しています。食と生物多様性の問題と、求められる企業のアプローチについてお話頂きました。

■ 世界の漁業は今 井田徹治(共同通信社科学部)
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講演要旨 (html)

世界の漁業資源の直面する危機は私たちの想像を上回るものがあります。「マサバの代わりのタイセイヨウサバでいいの?」「安ければいいの?」「情報公開は?」といった私たちの問いかけが問題の改善には必要です。「We must act !」という熱い結論が印象に残りました。

■ 持続可能な漁業と認証制度の可能性 伊沢あらた(WWFジャパン)
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持続可能な漁業を支える具体的な手段として、今、MSC(海洋管理協議会)による認証が注目を集めています。日本において、認証の普及・促進に取り組む伊沢さんに、具体的事例を交えて、認証の背景や具体例についてお話いただきました。

■ 企業の取り組み事例 満田夏花(地球・人間環境フォーラム)
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持続可能な原材料調達方針策定のヒント、手法とともに、企業の事例を紹介しました。日本企業においては、まだ「食品原料の持続可能性」という視点から包括的な原材料調達方針を策定しているところは少ないようです。

参考
情報
第2回 植物油脂(パーム油と大豆油を例に)
日時 2006年6月27日(火) 14:00〜17:00
場所 環境パートナーシップオフィス エポ会議室(東京都渋谷区神宮前5-53-67 コスモス青山B2F)
内容

パーム油は、その効率性、栄養価の高さなど、すぐれた植物資源ですが、反面、急激なパーム・プランテーションの 拡大が熱帯の貴重な森林生態系に与える影響や、開発に伴う住民の権利の侵害、労働問題や農薬汚染などが指摘されてきました。同様 の問題は大豆油にも指摘されています。
今回のセミナーにおいてはパーム・プランテーションや大豆生産の環境社会影響、及びそれをいかに解決していくか、さまざまな視点から考えました。出席者からは、「大豆の自給率を高める工夫は?」「食料供給とバイオ燃料開発が競合する根拠は?」などの質問がよせられ、活発な議論を行いました。

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■ 持続可能なパーム油と大豆油とは? 満田夏花(地球・人間環境フォーラム)
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講演要旨 (html)

アブラヤシ(オイルパーム)の生産時における典型的な環境社会影響、および大豆生産のアマゾンやセラードといった生態系に及ぼす影響について紹介しました。

■ パーム・プランテーションの現場から 峠 隆一(フリージャーナリスト)
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特にマレーシアにおけるアブラヤシ・プランテーションの状況を、現場取材に基づき、ご紹介いただきました。生産現場においては、児童労働や農薬被害など、深刻な問題が生じています。
サワラクの森林の状況やプランテーションでの写真(PDF 1.3MB)

■ 「持続可能なパームオイルのための原則と基準」の採択をふり返って
   足立直樹(CSR経営研究所、地球・人間環境フォーラム客員研究員)
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「問題はわかった。ではどうすればいいのか」という企業の方々へのヒントです。「持続可能なパーム油のための基準」が昨年11月に採択されています。また、トレーサビリティをどのように確保していくかの検討も進められています。すでにこれらの仕組みの一部は実証されています。

■ SARAYA ボルネオ環境保全事業 中西宣夫(サラヤ株式会社)
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「宇宙船地球号」で紹介された、罠が鼻にからまったゾウの映像・・・。多くのパーム油のユーザー企業の中で、サラヤは唯一、この番組の取材に答えました。生産地の生態系保全という観点から、体当たりで取り組むサラヤの姿勢に共感を覚えた方も多いでしょう。

■ エコ燃料の落とし穴〜地域産バイオマスにこだわるわけ 泊みゆき(バイオマス産業社会ネットワーク)
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講演要旨 (html)

バイオマス燃料がすべて環境にやさしいとはかぎりません。今、温暖化防止という観点から、日本は国を挙げて、バイオマスの導入に取り組んでいます。その大半は輸入になるのではないかと予想されます。しかし、国際的にバイオマス燃料の需要が一気に高まれば、生産地においてさまざまな問題が発生することが懸念され、また食料との競合が生じることも予想されます。「輸入バイオマス燃料」の問題点と、解決に向けた提言についてお話いただきました。
参考情報
第3回 鉱物資源
日時 2006年7月25日(火) 14:00〜17:00
場所 環境パートナーシップオフィス エポ会議室(東京都渋谷区神宮前5-53-67 コスモス青山B2F)
内容

鉱山の開発や操業は、大きな環境社会影響を伴います。鉱山の探査からサイト準備の段階において、生態系の消失・分断、水質影響、道路開発に伴う各種影響等が生じ、大規模な住民移転を伴うこともあります。操業中には、水質影響のほか、採掘される余分な岩石や尾鉱の廃棄に伴う影響、浸出水の影響が大きく、大量の水の使用により地表水・地下水の水文に影響を与えることもあります。また、新たな「鉱山の町」が形成されることになり、地域の文化・経済に良きにつけ、悪しきにつけ大きな影響を与えます。
この回は、日本においてはなかなか情報がない、鉱物資源の生産現場における環境社会影響及びそれを解決する取組についてとりあげました。ディスカッションでは、「資源はだれのものか?」「グリーンでクリーンな鉱物資源を調達することは可能か?」「IT関連のメーカーも鉱物資源の問題に目を向けていきたい」などの質問・意見が出されました。講演者からは、「企業の調達担当者は、誰かがグリーンでクリーンな鉱物資源を持ってきてくれるのを待つのではなく、自らアクションを起こすべき。まずは現場を見ることから」との提案がありました。

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■ 鉱物資源の生産における環境社会影響 谷口正次(国連大学ゼロエミッションフォーラム理事)
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講演要旨 (html)

地球規模でのダイナミックな鉱物資源のフローのトータル・システムから、世界各地で生じている鉱山開発の問題までお話をいただき、国益と地球益の狭間の中で日本が戦略的な資源の獲得・利用を行くための提言を頂きました。
「鉱物資源の採取には巨大な環境・社会インパクトが伴う。こういう資源の恩恵を受けながら、資源調達を商社まかせにして、国内対策のみのCSRなど、CSRとは言えない」。世界中の鉱山現場を見聞された、今や「絶滅寸前」だというマイニング・エンジニアである谷口さんならではの重みのある一言が印象に残りました。

■ 責任ある鉱業に向けた挑戦 満田夏花(地球・人間環境フォーラム)
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講演要旨 (html)

「No Dirty Metal」キャンペーン、「責任ある金」のためのルール、ICMM(国際金属・鉱業評議会」の原則、認証の試みなど、持続可能な鉱物資源の利用に当たっての取り組みを紹介しました。

 事例研究1:インドネシア、バツ・ヒジャウ鉱山 貴島兼隆(ヌサ・テンガラ・マイニング(株)取締役副社長
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インドネシア・バツヒジャウ鉱山において、テーリング(鉱滓)・マネジメント、水質保全、モニタリング、景観保全、コミュニティ開発などへの取り組みをお話して頂きました。コミュニティ開発にあたっては、あくまでコミュニティの自立性を重んじることを留意されており、こういった環境管理・社会配慮は「Social Lisence」の獲得には不可欠であると認識されているとのことでした。

■ 事例研究2:ニューカレドニア、ニッケル鉱山開発 井田徹治(共同通信社科学部)
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講演要旨 (html)

「天国で一番近い島」、多くの固有種と特有の生物相により、生物多様性の「ホット・スポット」とされているニューカレドニアにおいて、無秩序なニッケル鉱山開発が進んでいます。そんな中、現在開発工事が進められている「ゴロ・ニッケル」事業は、不十分な環境影響評価、先住民との土地所有をめぐる紛争、海洋自然保護区やマングローブ林による影響などへの懸念により、強い反対運動が展開されています。なお、ゴロ・ニッケルには、住友金属鉱山と三井物産の合弁会社であるSumic Nickel Netherland社が21%の権益を有しています。

■ 事例研究3:フィリピン、リオツバ・ニッケル製錬事業 波多江 秀枝(国際環境NGO FoE Japan)
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講演要旨 (html)

ニッケル精錬所の建設・操業を行っているフィリピン・リオツバ・ニッケル精錬事業においては、因果関係は証明されていないながら、周辺住民において皮膚病や咳の症状の増加など健康被害が懸念されます。さらに、先住民族の「自由で事前の、情報提供を行った上での合意」(Free and Prior Informed Consent)が取得されたとはいないことが問題視されています。

参考
情報
第4回 木材と木材製品
日時 2006年9月26日(火) 13:00〜16:15 ※終了しました
場所 新宿御苑インフォメーションセンター2F レクチャールーム(東京都新宿区内藤町11 新宿御苑内)
内容 今、木材の話題がホットです。グリーン購入法も木材合法性、持続可能性という観点から改正されました。この回では、地球・人間環境フォーラム他環境5団体が、2006年4月から6月にかけて行ったアンケート結果をもとに、企業に広がる木材/木材製品のグリーン購入の動きについてご紹介します。また企業の取り組みとして富士ゼロックスの紙調達方針についてご紹介いただき、あわせて、インドネシアやロシアなどの木材生産国の現状についてご報告します。
1.グリーン購入法改定で進む日本の違法伐採対策〜持続可能な森林経営を支える需要側の最近の動き 坂本 有希(地球・人間環境フォーラム/フェアウッド・キャンペーン
2.紙の大手購入者として責任を果たすために〜用紙調達規定をいち早く導入した富士ゼロックス(仮題) 秋山 裕之(富士ゼロックス(株)CSR部環境経営管理Gグループ長
3.増える中国の木材需要と中露国境の木材貿易 山根 正伸(神奈川県自然環境保全センター研究部専門研究員/総合地球環境学研究所アムールオホーツクプロジェクトメンバー
4.インドネシアで広がる木材の合法性・持続可能性証明の試み 三柴 淳一(国際環境NGO FoE Japan/フェアウッド・キャンペーン)
第5回 責任ある融資
日時 2006年10月27日(金) 14:00〜17:00
場所 環境パートナーシップオフィス エポ会議室(東京都渋谷区神宮前5-53-67 コスモス青山B2F)

表参道駅(東京メトロ:銀座線・千代田線・半蔵門線)から
B2出口を出て、そのまま道沿いに直進し、約5分ほど歩くと国連大学の大きなビルが見えます。その右手奥です。青山ブックセンター近く。(B2出口より5分)

■渋谷駅(JR・東急・京王井の頭線・東京メトロ)から
(東横線改札より約10分)

内容 資源の持続可能な開発には、金融機関が大きな役割を果たします。世銀グループなどの公的国際金融機関での「責任ある融資」の議論は、シティグループやHSBCなどの民間銀行にも広がっています。
1.持続可能な原材料調達における金融の役割 藤井 良広(上智大学大学院地球環境学研究科 教授) 
2.資源開発と責任ある融資 過去の事例に学ぶ 神崎 尚美(国際環境NGO FoE Japan
3.エクエーター原則採択から3年 みずほコーポレート銀行の経験 小田原 治(みずほコーポレート銀行 プロジェクトファイナンス営業第一部グローバル環境室室長
4.NGOが銀行を変えた〜責任ある融資へ向けた市民社会の力 川上 豊幸(レインフォレスト・アクション・ネットワーク
第6回 企業の取り組み事例
日時 2006年12月12日(火) 13:00〜16:15
内容 原材料のCSR調達に関する企業の取り組みが始まりました。しかしその過程は決して容易ではありません。企業の方々の取り組みを紹介します。
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【イントロダクション】
資源の持続可能性と原材料調達〜第5回までを振り返って 満田 夏花(地球・人間環境フォーラム) 
【CSR調達に向けた企業の取り組み】
商品憲法の経験から 竹本 徳子(株式会社カタログハウス 取締役 エコひいき事業部長)
CSRを通じた企業と社会の対話
   〜CSRとイオン・サプライヤーCoCを中心として〜
上山 靜一(イオン株式会社 環境・社会貢献部部長)
紙製品・木製品の責任ある調達〜グリーン購入法改定を受けて 亀井 一行アスクル株式会社 社長室環境マネジメント(兼)品質管理 統括マネージャー)
【会場とのディスカッション】
CSR調達の新たな展望 モデレーター:足立 直樹(地球・人間環境フォーラム客員研究員、株式会社レスポンスアビリティ代表取締役)
場所 新宿御苑インフォメーションセンター2F レクチャールーム(東京都新宿区内藤町11 新宿御苑内)

■地下鉄丸の内線新宿御苑前駅 1番出口(新宿門)より新宿門へ(徒歩5分)。
■JR新宿駅 南口より徒歩10分。

インフォメーションセンターは新宿門に向かって左側にある建物です。入園料は必要ありません。

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参加費
各回1,000円(4回以上の参加:一律3,000円。主催団体、協力団体の会員は無料)

お問い合わせ
担当:根津亜矢子・満田夏花

主催
地球・人間環境フォーラム

協力
FoE JapanWWFジャパングリーンコンシューマー研究会グリーン・フォワードサステナビリティ・コミュニケーション・ネットワーク(NSC)日本環境ジャーナリストの会日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会(NACS)バイオマス産業社会ネットワーク(BIN)標準により消費者の利益を増進するコア・グループ(NCOS)(ABC、50音順)

連続セミナーご案内(PDF, A4 2ページ) ダウンロード

[関連ページ]
持続可能な原材料調達における調査中間報告会(2005年11月、12月)
発展途上地域における原材料調達のグリーン化支援事業

参考報告書
「発展途上地域における原材料調達グリーン化支援事業 サプライチェーンを遡ってみれば」(2006年3月)

※なお、上記発表資料・写真などの無断転載は固くお断りしております。

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