《メディア掲載》米国南東部のペレット生産による大気汚染や健康被害について

2025年11月05日お知らせ

当フォーラムでは、9月下旬にアメリカでペレット生産の問題に取り組むNGOやコミュニティ代表者を招へいし、同国南東部のペレット工場による環境法違反や地域住民の健康・生活への影響、住民・市民団体の反対運動について、日本の関係者(国会議員、行政(経済産業省・林野庁)、金融機関など)への情報提供・提言を行いました。

9月29日(月)に開催したセミナー「米国のペレット産業と日本の再エネ-脅かされるコミュニティと森林」の内容を中心に、下記メディアに掲載されました。(2025年11月5日時点)

【メディア掲載】

●10/4 環境金融研究機構「日本の木質バイオマス発電で、米国南部の森林地帯が皆伐破壊され、木質ペレット製造工場の違法操業で周辺住民が健康被害。米NGOらが来日して日本政府や日本の電力消費者らに訴え」

 「日本の環境政策の影響で米国が大変な状況に陥っている」──米国のNGO幹部が9月下旬に来日し、日本がバイオマス発電用に米国から輸入している木質ペレットの生産活動等の影響で、米国の森林やコミュニティが破壊されている、と訴えた。
 この数年で、日本国内の木質バイオマス発電に使われる木質ペレットの輸入が急増。その輸入の約2割が米国産だ。同発電は経済産業省の固定価格買取制度(FIT)の対象となっているが、来日した南部環境法律センターの弁護士ヘザー・ヒラカー(Heather Hillaker)氏は「木質バイオマス発電は再生可能エネルギーではない」と指摘している。
 来日したのは、ヒラカー氏のほか、アラバマ州などでペレット工場建設の反対運動に携わるポーシャ・シェパード(Portia Shepherd)氏、英国や米国で活動する環境NGO「Biofuelwatch」の共同ディレクターのゲイリー・ヒューズ(Gary Hughes)氏。このほど環境金融研究機構の取材に応じたほか、東京でセミナーや記者会見も開き、国会議員や経済産業省や林野庁の担当部局等に、米国の現状を訴えた。
 3人によると、ミシシッピ州など米国南東部に木質ペレットの生産工場が立地し、同地周辺の豊かな森林が伐採され、木質ペレットの製造に充当されているという。こうした開発の進行で、南東部の豊かな森林は、その生物多様性の損失のリスクに直面、絶滅が危惧される種も少なくないという。さらに、工場の操業による大気汚染や粉塵公害も起きて、地域住民を悩ましている。
 同地で製造された木質ペレットは米国内での使用ではなく、大半が輸出に回されている。輸出先は英国や日本だ。実際に、日本の木質ペレットの輸入量は急増している。林野庁によると、2024年の木質ペレットの輸入量は638万トンで、20年の202万トンの3倍に増大している。638万トンの輸入量のうち米国産は約2割の118万トン。
 日本では2012年に始まったFITによってバイオマス発電が急増してきた。3人を招いた「一般財団法人地球・人間環境フォーラム」によると、同発電燃料の7割が輸入バイオマスとされ、そのうちの多くが輸入木質ペレットで占められているという。

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●11/3 東京新聞「木質バイオマス発電 黄信号 米で大型ペレット工場が環境汚染 米環境団体メンバー来日「再生エネでない」

 再生可能エネルギーの一つとして国が「固定価格買い取り制度」で支える木質バイオマス発電。2012年に制度を導入して以降、木を破砕、圧縮して作る燃料「木質ペレット」の輸入量も大幅に増加している。一方、輸入元で第3位の米国では、大型のペレット製造工場で、基準値を超えた大気汚染物質の排出が相次ぎ、周辺住民の生活に悪影響を及ぼしている。米国の環境団体のメンバーが来日し現状を報告した。
 米国で木質ペレット製造が急増したのは2000年代後半。木材由来の資源「木質バイオマス」の利用を率先した欧州連合(EU)の需要に応じ、米国南東部に年間最大40万~100万トンを生産する巨大な工場の建設が相次いだ。数年で世界最大の供給国となり、製品はEUや日本などへ輸出する。

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●10/23 しんぶん赤旗「環境・健康 被害深刻 木質バイオマス 米燃料工場」(紙面のみ)