1/13(火) セミナー:生物多様性とビジネス―“進化のるつぼ”スラウェシの熱帯林と再エネの隠れた関係
2025年12月25日イベント
気候変動と生物多様性はどちらも企業にとっての重要課題ですが、生物多様性の数値化や評価は難しく、何をすればよいかわからないという声もよく聞かれます。特にサプライチェーンが長い場合、原料生産地の生物多様性を適切に評価することが極めて重要です。
「24時間安定供給可能な再エネ」として注目されているバイオマス発電は、日本では燃料の75%が輸入され、近年インドネシアからの木質ペレットが急増しています。代表的な生産地スラウェシ島では、熱帯林が伐採され日本向けペレットの原料となっています。
スラウェシ島は地理的な孤立性が高く、哺乳類の9割、両生類の8割がそこにしかいない固有種で、絶滅危惧種も多く存在する生物多様性ホットスポットです。「進化のハイブリッドゾーン(交雑地帯)」が複数存在し、現在でもサルやメガネザルの新種が生まれる可能性を持ち、進化の謎を解き明かすためにも極めて重要な場所です。
このセミナーでは、IUCN霊長類専門家グループのメンバーで生物多様性保全、気候変動緩和・適応策、環境政策の専門家であるインドネシア大学の保全生物学者ジャトナ・スプリアトナ博士から、「進化のるつぼ」と呼ばれる島の驚異的な生物多様性の秘密、その保全に必要な取り組みと、急成長するペレット産業が絶滅危惧種の生息に及ぼす影響について、お話いただきます。

スラウェシ島・ゴロンタロ州に生息する生き物:ゴロンタロマカク(©ヘンリック・イシハラ)、スラウェシバビルサ(©Masteraah)、ローランドアノア(トップ画像、本文©The Land)、クマクスクス(© ꦥꦤ꧀ꦗꦶꦒꦸꦱ꧀ꦠꦶꦄꦏ꧀ꦧꦂ)、セレベスツカツクリ(©Ariefrahman)、グルスキーメガネザル(©Meldy Tamenge)(いずれも、クリエイティブコモンズから取得)
日時
2026年1月13日(火)15:30~17:00(Zoom開場 5分前)
開催方法
Zoomウェビナー
参加費
無料(要事前登録)
お申し込みフォーム
https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_H084CaYxQP2xfIflGHHptw
プログラム(日英同時通訳付き)
※タイトルと内容は予告なく変更する場合があります。
- 解説:日本のバイオマス発電とスラウェシの森林(地球・人間環境フォーラムより)
- 講演:「生物多様性が生まれるところースラウェシ島のハイブリッドゾーンの意味と保全(仮)」 ジャトナ・スプリアトナ氏(インドネシア大学 地球と資源のための持続可能な研究所所長)
- コメント:足立直樹氏(株式会社レスポンスアビリティ代表取締役、企業と生物多様性イニシアティブ(JBIB)事務局長)
- 質疑応答
講師プロフィール
ジャトナ・スプリアトナ氏
インドネシア大学保全生物学教授。気候変動研究センターおよび持続可能な地球資源研究所の所長。国際NGOコンサベーション・インターナショナル(CI)インドネシア代表、副代表を長年務めた。気候変動緩和・適応戦略(CMAS, 米国サンディエゴ大学拠点)と太平洋沿岸大学協会(APRU、シンガポール国立大学拠点)の共同ディレクターを兼任。国連持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(UN SDSN)インドネシア国別議長。『IUCN Parks Journal』『Asian Primate Journal(IUCN霊長類専門家グループ)』ほか多数の国際学術誌の編集委員を務め、インドネシアの環境と生物多様性を主題とした著書と論文多数。研究分野は霊長類学、野生生物観光、景観保全、生物多様性保全、気候変動緩和・適応策、およびこれらを環境政策に結びつける研究である。ゴロンタロ州産のメガネザル(Tarsius supriatnai)ほか、ジャトナ氏に因んで命名された新種が複数ある。
主催、お問合せ
一般財団法人 地球・人間環境フォーラム (担当:鈴嶋・飯沼、E-mail:event[a]gef.or.jp)
協力
ウータン・森と生活を考える会、NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク、熱帯林行動ネットワーク(JATAN)

