レポート「持続可能なバイオマスプログラム:持続不可能なものを認証する」を発行しました

2025年07月31日お知らせ

この度、当団体と海外の環境NGO4団体の共同で、レポート持続可能なバイオマスプログラム:持続不可能なものを認証するを発行いたしました。(掲載ページはこちら

概要はプレスリリース(日本語訳)をご覧ください。日本語全訳の公開は10月上旬を予定しています。

バイオマス発電は、経済産業省の「再生可能エネルギー固定価格買取」(FIT)制度で「カーボンニュートラルな再生可能エネルギー」とされ、消費者負担の再エネ賦課金を原資に支援されてきました。

製材の残材や間伐材を燃料とすると言われてきましたが、実際には約7割の発電所で、海外から輸入される木質ペレットやパーム核殻(PKS)を燃やしています。2024年の輸入量は、木質ペレット638万トンとPKS 600万トンに上っています。

SBP認証を受けたBC州のペレット工場に積まれた丸太(c)Michelle Connolly

当団体では過去にカナダ・ブリティッシュコロンビア州の現地視察を行い、ペレット生産と原生林等の貴重な森林の伐採と関係など、現地の問題をお伝えしてきました。

本レポートは、カナダのペレット工場のケーススタディも踏まえて、現地で広く用いられている「持続可能なバイオマスプログラム(SBP)」の問題点を解説するものです。

 

 

日本のFIT・FIP制度は燃料の持続可能性の証明を「認証」に過度に依存しており、SBPも既に証明方法として認められています。早急な見直しに向けて、本レポートは極めて重要な分析を提供しています。

当団体担当・飯沼佐代子のコメント

「日本政府は、バイオマス発電の燃料の基準においてSBPを持続可能性の証明として認めており、これらの木質ペレットを燃焼する発電所が補助金を得られるようになっています。しかし、このレポートは、SBPが未認証の木材の混合を許可し、原生林由来の原材料の使用を認め、パリ協定の目標達成に必要な緊急の温室効果ガス削減を無視していることを示しています。バイオマスエネルギーが温室効果ガス排出量を増大させ、森林の生物多様性を損なうという明確な証拠にもかかわらず、SBPは単に『持続可能』と表現しているのです。このレポートが、高炭素でエネルギー効率が低いバイオマス発電に対する公的支援の削減に貢献することを願います。」