【プレスリリース】天然林破壊と大気汚染・健康被害を許容しない再エネ政策に向けて ~FIT/FIPの「輸入木質バイオマス発電」ガイドライン改正に際して、 国内外11の環境団体が、経済産業省・農林水産省に抜本的対策を要請

2026年03月06日お知らせ

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報道関係者各位

     2026年3月6日

天然林破壊と大気汚染・健康被害を許容しない再エネ政策に向けて

FITFIPの「輸入木質バイオマス発電」ガイドライン改正に際して、

国内外11の環境団体が、経済産業省・農林水産省に抜本的対策を要請

 地球・人間環境フォーラムは、国内外の環境団体が日本政府(経済産業省・農林水産省)に提出した、輸入木質バイオマス発電による天然林破壊や、燃料生産地の地域社会への悪影響を回避するための規制を求める要請書に署名しました。
 本要請書には、木質ペレット生産の一大拠点である北米(アメリカ・カナダ)のNGOと主要なペレット消費地(日本、韓国、欧州)のNGOが連名し、今後、世界最大の木質ペレット消費国になると予想される日本[1]に対して、抜本的な規制の導入を求めています。

<要請の背景>

 現在、再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)およびFIPについて、輸入木質バイオマスの持続可能性・合法性の証明方法に関するガイドライン改正案が示され、パブリックコメント中[2]です。

 これまでのFIT/FIPの「事業計画策定ガイドライン(バイオマス発電)」では、「法に則って伐採された木材のみを燃料として認めている」としながら、燃料の加工段階(ペレット工場)における環境法令違反への対応は不明確でした。また、持続可能性・合法性の確認を、事業者の「認証の取得」に過度に依存してきましたが、認証制度の信頼性は、制度や国・地域によって大きく異なります。北米のペレット生産地では、天然林・原生林伐採や環境法令違反に関わる燃料であっても、「認証」の名の下で支援されています。

 「事業計画策定ガイドライン」では、既に事業者に対しては流通経路(トレーサビリティ)の確認を求めていますが、加工工場や伐採地までの確認を求めるものでなく、情報公開も義務ではないため、こうした問題のある燃料が「日本のどの発電所で燃やされているのか」も分からない状態です[3]。

 今回のガイドライン改正で、こういった課題の解決が期待されましたが、現在の改正案では依然として「認証取得」への依存が続き、天然林や熱帯林に由来する燃料や、環境法令違反・大気汚染に関わる燃料の除外は求められていません。また、加工工場までのトレーサビリティとその情報公開も改定案に含まれていません。

<要請書のポイント>

本要請書では、ガイドライン改正にあたり輸入木質バイオマスに関する以下の規定を盛り込むことを要請しています。

  1. 天然林(原生林・老齢林を含むがこれらに限定されない)から直接・間接的に調達される木質バイオマス燃料は、FIT/FIPによる補助金の対象としない
  2. 生産過程の合法性を、森林から加工工場、港に至るまで要求すること
  3. 合法性・持続可能性の規制の遵守を確保するために、完全なトレーサビリティと情報開示を要求すること

また、上記規定の実効性を確かなものとするための措置として、下記の措置も要請しています。

–      FIT認定事業者には、加工工場までの完全なトレーサビリティの確認と開示、木質ペレットのサプライチェーンについてのデューデリジェンスの実施、これらの情報の経済産業省への定期的報告と公開を義務付けるべきこと

–      ガイドラインの改訂では、森林認証やその他のバイオマスに特化した認証制度のみをもって、合法性・持続可能性への適合を証明する手段として認めるべきではないこと

–      生産地で規制対象となっている全ての大気汚染物質について、ペレット工場からの排出量の常時監視システムの設置と排出データの情報公開を求める、これらが実施されていることをFIT/FIPの支援の条件とするべきこと

<要請書掲載ページ>

Mighty Earthウェブページ “Global Groups Call for Japan to Protect Forests and People”(2026年3月5日)

※後半に和訳版が掲載されています。

https://mightyearth.org/article/groups-fighting-woody-biomass-around-the-world-call-for-protections-for-forests-and-people/

<関連情報>
  • 202512月に、米国NGO4団体により提出された要請書

「違法行為と地域住民の健康への影響を伴うペレット工場からの木質バイオマスに関する透明性と規制の要請」

URL:https://mightyearth.org/article/us-japanese-groups-call-for-transparency-on-wood-pellet-imports/

  • ガーディアン「ドラックス社、来年中に物議を醸すカナダ産木材の燃焼を停止へ」(2026226日)

https://www.theguardian.com/environment/2026/feb/26/drax-power-plant-to-stop-burning-controversial-canadian-wood-within-next-year

*英国のバイオマス発電大手ドラックス社が、カナダ産ペレットの調達をやめることで、日本含むアジア向けの輸出が増えることが懸念されています。

[1]Financial Times “Drax hit as Japan pivots away from burning wood pellets for energy” (2026年117)

https://www.ft.com/content/aef8e2ae-0756-4a2f-856e-eafab2315295

[2]「事業計画策定ガイドラインの改正案等に対する意見公募」

https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/detail?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=620226002&Mode=0

「発電利用に供する木質バイオマスの証明のためのガイドラインの改正案についての意見・情報の募集について」

https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/detail?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=550004279&Mode=0

[3] 詳細はMighty Earthらによる要請書「違法行為と地域住民の健康への影響を伴うペレット工場からの木質バイオマスに関する透明性と規制の要請」(202512月)

URL:https://mightyearth.org/article/us-japanese-groups-call-for-transparency-on-wood-pellet-imports/

本件に関するお問い合わせ先

地球・人間環境フォーラム 担当:飯沼、鈴嶋(event[a]gef.or.jp)