特集/シンポジウム 地域から考える気候変動問題 in 三重 ~伊勢志摩サミットに向けて気象キャスターと地球温暖化

2016年05月15日グローバルネット2016年5月号

気象予報士多森 成子(たもり せいこ)さん

特集/シンポジウム 地域から考える気候変動問題 in 三重 ~伊勢志摩サミットに向けて

近年、世界中で気候変動の影響が現れています。しかし今後どのような温暖化対策を取ったとしても温暖化は進み、それにつれて、自然災害、農業、自然生態系、健康などさまざまな面で深刻な影響が生じる恐れがあります。気候変動問題に関する最新の動向を紹介し、これらの情報をいかに伝え、今後どのような対策を進めていくべきかを考えるシンポジウムが、伊勢島サミットを5月末に控える三重県鳥羽市で3月18日に開催されました(主催:環境省、共催:三重県)。講演とパネルディスカッションの内容を紹介します。

1999年から、三重テレビで月~金曜毎日夕方5時40分から生放送で天気予報をお伝えしています。

多森 成子(たもり せいこ)さん

近年の天気の特徴に、記録的な豪雨が挙げられます。三重県では2014年8月9日、県内全域に初めて大雨特別警報が発表され、津市では1時間に110㎜という猛烈な雨が降りました。また、2011年には台風12号により、河川の氾濫や大規模な洪水・浸水被害など紀伊半島で甚大な被害が発生した豪雨「紀伊半島大水害」がありました。これをきっかけに特別警報が制定されたといわれています。

また、記録的な猛暑も近年の天気の特徴です。最高気温の更新記録のほとんどが2000年代に入ってから観測されており、35℃以上の猛暑日も増加傾向にあります。さらに、豪雨や猛暑のほか、所によって干ばつや高潮が起こるなど、世界中で天気が極端化しており、今後、温暖化によるさまざまな影響が予測されています。私たちの身近なところでも、すでに温暖化の影響は出ています。桜の開花が早まっています。全国82地点を平均した桜の開花日は、ここ50年間で4.2日早くなっているという統計があります。そして近年、ジカ熱やデング熱など、蚊を媒介した新しい病気の名を聞くようになりました。また、熱中症患者が増える心配も出てきています。

今後、気象情報を伝える私の役目は、いつもの雨・晴、寒い・暑い、など皆さんの生活行動の基になるような情報を提供するだけではなく、災害や地球温暖化に備えるための情報も増えていくのではないかと感じています。そうなると、これまで以上にわかりやすく伝えることが肝心です。天気予報には専門用語や、意外と知らない言葉、わかりにくい言葉などもありますので、視聴者の皆さんがすぐに理解できるよう、丁寧にわかりやすく伝えることをさらに心掛けていこうと思っています。

多森 成子(たもり せいこ)さん
気象予報士。みえ防災コーディネーター/三重県新エネルギービジョン推進会議委員を務める。三重テレビ『三重テレビNEWSウィズ』、『週間気象情報』、『津市広報番組 つ いいと、ツイート!』他に出演中。身近な天気の話や予報の裏話、近年頻発している異常気象を紹介しながら、未来の天気や環境の変化(温暖化)、または、防災について考える講演にも積極的に出演。

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