環境条約シリーズ 332 ラムサール条約湿地都市認証

2019年11月15日グローバルネット2019年11月号

前・上智大学教授 磯崎 博司

2019年6月に開かれたラムサール条約の第57回常設委員会において今期(2019-21年)の湿地都市認証に関する手続きと日程が定められ、応募呼び掛けが公表された(本誌2015年8月、2019年2月)。

その背景には、世界中で市街地の拡大に伴い湿地の消失が増加していることがある。それを受けて、条約目的である湿地の保全と賢明な利用の実現を目指して、都市域の湿地の価値や役割(たとえば、急増している都市水害の抑制機能など)に対する認識を高め、条約登録湿地に限らず重要な湿地の管理を統合的都市計画に組み入れることが求められているのである。

その対象は、登録湿地または生態系サービス面で重要な湿地の、全部または一部が行政区分内に存在している都市(日本では、都道府県市町村)である。

その認証基準は決議XII.10に提示されており、その評価は、以下のような項目に関して各都市が申請書に記入する情報に基づいて行われる。それらは、法政策的措置・計画、湿地の復元・創造、統合的都市管理計画、地元社会の参加、湿地価値の認識レベル、世界湿地の日への取り組み、地域委員会の設置、水質・公衆衛生基準の充足、生態系サービスの認識・維持、および、地元社会と湿地のつながりである。

希望する都市は、2019年12月31日までにラムサール条約の担当部局(環境省)に申請書を送付する。担当部局は、申請内容を確認し、推薦書とともに申請書を2020年3月15日までに条約事務局に送付する。

条約事務局は、2020年4月15日までに独立助言委員会(IAC)に申請書を転送する。IACは、すべての申請書を上記の基準に照らして評価し、認証都市を決定し、第59回常設委員会に対してその60日前までに報告する。常設委員会は、IACの報告を検討し、認証都市を承認し、締約国会議に報告する。

第14回締約国会議において、条約事務局長は、湿地都市認証書を締約国を通じて該当都市に交付する。それは6年間有効であり、その後も上記基準の充足が確認されれば、更新される。

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