環境条約シリーズ 337パリ協定のルールなどで合意できなかったUNFCCC COP25

2020年04月15日グローバルネット2020年4月号

前・上智大学教授
磯崎 博司(いそざき ひろじ)

2019年12月2日から15日までスペイン・マドリードにおいて、国連気候変動枠組条約の第25回締約国会議(COP25)、また、京都議定書の第15回締約国会合(CMP15)、パリ協定の第2回締約国会合(CMA2)、科学・技術上の助言に関する補助機関(SBSTA)および実施に関する補助機関(SBI)それぞれの第51回会合が開かれた(本誌2019年4月)。

COP25に先立ち若年世代の活動を契機に世界中で、各国に対して「気候危機」対策の強化と即時の行動が求められた。国連事務総長も各国に温室効果ガスの削減目標の引き上げを要請し、それに応えて84カ国が引き上げまたはその検討をすると発表した。しかし、排出量の多い国々は消極的な姿勢に徹した。実際、会期中に、中国(排出量1位)とインド(3位)は、国情に基づいて野心的な目標を定めたと述べ、その引き上げに応じなかった。米国(2位)はパリ協定からの離脱を決めたし、日本(5位)はパリ協定長期戦略を同年6月下旬に提出したばかりで、その基礎となっている削減目標(2015年提出:13年度比で30年度に26%)を引き上げるという検討には至らなかった。

COP25とその他の会合においては、長期目標の見直し、気候資金、報告制度の透明性確保、男女と気候変動、気候変動対策による社会経済的影響、適応、技術開発・移転、能力構築、農業、研究と組織的観測など多様な事項が論議され、関連決定が採択された。

しかし、最重要課題であった「パリ協定6条」(排出削減の二重計上の回避と環境完全性の確保)と「損失・損害」の決着は20年11月に英国で開かれる次回COP26に先送りされた。前者については、京都議定書の削減分をパリ協定に繰り越し算入することの是非をはじめ多くの事項に合意できなかった。後者についても資金支援の在り方に合意できなかった。

COP26に向けて、各国には削減目標の見直しが求められている。その中で、日本は20年3月末に、提出済みの削減目標を維持すること、また、その確実な達成を目指すとともに早期に見直すことを決めた。

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