環境の本・追いつめられる海
・追跡 間宮林蔵探検ルート~サハリン・アムール・択捉島へ~

2020年06月15日グローバルネット2020年6月号

追いつめられる海

著●井田 徹治

海の健康が損なわれているらしい、ブルーカーボンなどの言葉も耳にする、しかしよくわからない?という人たちから専門家まで、読めば納得の本である。

海洋酸性化、貧酸素海域発生メカニズム、「栄養段階指数」を用いての海の生物の状況解析、海洋の成層化といった難しいはずの事象が、シンプルにわかりやすく説明されている。著者は共同通信科学部記者として環境と開発をライフワークとし、現在は編集委員。科学的なファクトをギリギリと詰め、研究成果を把握していく取材が、行間から垣間見える。

著者が世界各地に足を運んで見た風景、会った人びとのエピソード、多用された写真や図表も楽しい。(岩波書店、1,500円+税)

 


 

追跡 間宮林蔵探検ルート ~サハリン・アムール・択捉島へ

著●相原 秀起

測量により北海道地図作成へ多大な貢献をした間宮林蔵。彼の探検ルートを主とした、北海道新聞社の記者である筆者による足掛け約20年間の現地取材をまとめたルポルタージュ。心身ともに苦しく、現在でも容易でないというこの旅路での間宮林蔵の功績の背景には、先住民の協力や交流もあったという。林蔵の測量技術の師である伊能忠敬から信頼を寄せられていただろうとの記述もある。

筆者がこの地に足を運び続けてこそ得られた臨場感、筆者の取材仲間の人間力があってこそ得られたという情報も知ることができる。現場を自分の目で見ることの大切さや、人間力がものをいうことに、改めて気付かされる。(北海道大学出版会、2,500円+税)

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