特集/セミナー報告 2Rビジネスの新展開ナチュラルローソンにおける量り売りの取り組み(2Rビジネスの事例紹介③)

2021年04月15日グローバルネット2021年4月号

株式会社 ローソン
福嶋 麻希(ふくしま まき)さん

 現在、リユース容器による商品提供や容器包装をそもそも利用しない販売など、新たな2R ビジネスの動きが広まりつつあります。そんな中、東京都は2019 年12 月に策定したプラスチック削減プログラムにおいて、「使い捨てを徹底的に見直し、リユースを基調とした社会へ」と掲げています。
 本特集では、2R ビジネスの拡大を加速するため、東京都環境局が昨年11 月27 日に開催したオンライン・セミナー「2R ビジネスの新展開」での講演内容と、紹介された国内・海外の新しく始まっている2R ビジネスの事例について紹介します。なお、一部内容については各登壇者に確認の上、最新の情報に直してご紹介しています(2020年11月27日、オンラインにて)。

 

ローソングループはさまざまな業態を展開しています。コンビニのローソンが最も店舗数が多く、2020年2月現在、14,440店舗展開しており、コンビニエンス事業のほか、スーパーマーケットや複合型映画館などもグループ企業となっています。

ナチュラルローソンは、2001年に東京・自由が丘に1号店を開店し、2020年10月末現在、首都圏を中心に145店舗展開しています。

ストアコンセプトは「毎日だから大切に。」。女性を中心に、「美しく健康で快適な」ライフスタイルを身近でサポートするお店がコンセプトです。創業当初より、商品、環境と社会貢献、店舗開発についても、コンセプトを持って展開しています。植物由来の原料を使った商品の積極的な採用などにもいち早く取り組み、SDGs視点での商品採用についてもこだわっています。

洗剤から量り売り実験をスタート

2020年8月末より、洗剤の量り売り実験をスタートしました。8月末に2店舗、9月半ばからはさらに1店舗追加し、現在3店舗で実験販売を行っています。

通常の売り場に特別なゴンドラ什器を設置し、食器用洗剤、洗濯洗剤、柔軟剤、デリケート洗剤の4種類の洗剤を量り売りしています。バルクと呼ぶ大きなボトルに、細長いポンプを付けた状態で売り場に設置し、お客様自身で充填し、計量して、他の商品と一緒に会計していただきます。

なぜ洗剤から始めたかというと、プラスチック包装の代表商品が洗剤ではないかと考えたからです。また、実験販売を始めるにあたり、賞味期限がない点もリスクの観点から始めやすいと考えた理由です。少量購買ニーズについて検証したいという思いもありました。

販売する洗剤自体にもこだわり、エコストアというニュージーランドの、地球環境に配慮されたエコロジックなホームケアブランドから提供いただきました。

背景として、そもそもごみを出さないチャレンジをしたいという思いがありました。紙容器の商品開発や、中皿を撤去したプラスチックの削減、パンを入れる袋のバイオマス包材への切り替え、再生プラスチックボトルの洗剤や、生分解されて肌だけでなく自然もきれいにするような化粧品、紙パック容器入りの水など、環境配慮型商品の採用や、プラスチックから紙製品への移行を進めてきました。

その次のステップとして、そもそもプラスチックごみを生み出さない取り組みを行いたいと考え、量り売りにチャレンジしたのです。

コンビニエンスストアは、人員不足が課題の一つとなっています。そのため、人員不足でもできるオペレーションにもこだわりました。今、コンビニでは、人員不足の課題に対応してレジやコーヒー販売などセルフ操作のものが増えており、お客様もセルフ操作には慣れているので、量り売りの販売もセルフレジで購入できる形が良いと考えました。

また、外国人従業員の方も多いので、接客に不安がないよう、通常の商品と同様にスキャンするだけで他の商品と一緒に販売できる方法にしました。また、忙しいお客様も多いので、その都度店員を呼ばなくても購入できる手軽さも重視しました。

そのため、はかりの選定にはこだわり、見やすいモニター、音でオペレーションし、タッチパネルで操作でき、そのままレジで会計できるコード付きシールが出る、すべてセルフ操作で完結できるオペレーションを考えました(図4)。とくに、スマートフォンのように直感的に操作できるタッチパネルの画面については、はかりメーカーと開発を進め、わかりやすいアイコンと色分けで、お客様がどの洗剤を買いたいか、わかりやすく選択できるよう、色分けしたり、視覚的にも工夫した部分がたくさんあります。

図4 セルフオペレーションへのこだわり

大きかった反響 ~今後に向けて

8月21日にプレスリリースを出したところ、多くのメディアの方に取材していただきました。SNSなどでも、「すばらしい取り組み」と応援の言葉を頂きました。また、「近所のナチュラルローソンでも始めてほしい」との要望も頂くなど、身近なコンビニでのリデュース、リユースの取り組みに好意的な声をたくさん頂き、社会の皆さまの関心が非常に高まっていることをさらに実感することができました。

今後は、洗剤だけでなく化粧品、食品など取扱商品の拡大を目指したいと考えています。また、取扱店舗の拡大も検討中です。

これからも皆さまの近くで寄り添い、量り売りの取り組みを進めていきたいと考えています。

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