フロント/話題と人サム・マウトールさん(NGO Mighty Earth(マイティ・アース)シニアアドバイザー)

2021年05月17日グローバルネット2021年5月号

チョコレートの裏側も知って、ともに行動を
~ガーナの持続可能なカカオ産業の実現に向けて~

サム・マウトールさん
NGO Mighty Earth(マイティ・アース)
シニアアドバイザー

日本で消費されるチョコレートの原料、カカオの7割超が生産されている西アフリカのガーナ。同国ではカカオ生産量拡大のために森林が大規模に伐採され続けている。一方、世界のカカオ生産では児童労働が横行しており、ガーナとコートジボワールでは児童労働の95%が危険で有害な労働に当たるとされるなど、カカオ生産をめぐる問題は深刻だ。当フォーラムでは、アジア最大のチョコレート市場である日本のサプライチェーンと持続可能なカカオの消費国となるための必要な取り組みを考えるオンラインセミナーを開催し、マウトールさんにガーナのカカオ農家が置かれている現状などを話してもらった。

世界第2位のカカオ生産国であるガーナだが、植民地時代から残る構造的な仕組みから、農家は自分たちが生産するカカオの価格決定に関わることができない状況に置かれている。2000年前後にカカオの価格が落ち込む中で、天然林にカカオを植えるというアグロフォレストリー栽培から、短期で増収が見込める生産方法(高収量品種の単一栽培)に切り替えざるを得なかった。これが要因で、2018年に森林減少率は対前年比60%減と、世界の熱帯林で最も高い数字を記録した。

マウトールさんは、政府や企業への提言にとどまらず、国内外のカカオ生産のプロセスに参加することを目指して、カカオ農家が自ら意見やアイデアを発信できるようになるための能力開発にも取り組んでいる。

今年3月、マウトールさんが所属するMighty Earthを含むNGOなど5団体は、世界の大手チョコレート企業を採点した「世界チョコレート成績表」(※下記注参照)を発表した。これは、問題のあるカカオを使用していないか、カカオ農家の状況の改善に取り組んでいるかなどについて評価したもの。対象となった31社のうち日本企業は4社、そのうち3社が最下位となった。

「日本の消費者の皆さんは個人でも重要な役割を果たすことができる。好きなチョコレートを買うだけではなく、その裏側にある問題を知ってもらい、どのようなカカオが原料に使われているかという問い掛けを、メーカーや小売店などにぜひ届けてみてほしい」と、マウトールさんは呼び掛けた。(と)

※注:世界の大手チョコレート企業のアンケート回答に基づいて、児童労働や森林減少などサステナビリティ分野の課題への取り組みを採点している。世界チョコレート成績表はこちらのサイトからご覧いただけます。

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