環境の本・有機農業で変わる食と暮らし ~ヨーロッパの現場から
・エネルギー使いの主人公になる1 エコなお家が横につながる

2021年07月15日グローバルネット2021年7月号

有機農業で変わる食と暮らし ~ヨーロッパの現場から

著●香坂 玲、石井 圭一

本書は、環境政策と農業政策の研究者2人が、欧州で有機農業が拡大・定着しつつある要因を考察し、日本における有機農業の未来図を描いている。オーストリアのスーパーマーケット、ドイツの公的機関、フランスの有機農家の事例を紹介し、欧州で有機農業が拡大した理由を、生産者数や生産量などの「量」を増やす原動力となった「範囲拡大」と「質的変化」、そしてそれを支える「人材」とその結び付き、と分析する。

そして筆者は、欧州と同様のプロセスを日本がたどるとすれば、不安定な供給や少量多品種生産に食品関連業界が適応することなどに加え、消費者も意識や態度を変える必要があると指摘。パンデミックによって変わる消費行動が有機農業を後押しする方向に進んでいくことを期待したい(岩波書店、520円+税)。

 

 

 

 


エネルギー使いの主人公になる1 エコなお家が横につながる

著●小林 光

タイトルを見て一瞬「どういう意味?」と思ってしまったが、読んで納得。サブタイトルにもなっている「エネルギー使い」の家庭が横につながり、エネルギーの使い方をどうしたら変えられるかを模索する内容だ。

環境庁(当時)入庁から事務次官を務め、退官後も環境問題一筋の「環境屋」である筆者は、これまでも自身のゼロエミッション住宅に関して費用内訳まで詳らかにしてその効果を実証してきた。

本書ではさらに一家庭を超えたレベルでの取り組みを、実例を挙げながら紹介している(海象社、1,000円+税)。

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