環境の本「土」の本

「土」の本

著●金澤　晋二郎

　地球を覆う、たった18 cmほどの層が土壌。世界の常識では1 cmの土壌ができるのに約500年かかるといわれている。本書では、その土壌の中の目に見えない世界で活躍する微生物の働きや、森の循環機能などが解説されている。

　米ぬかやビール麦芽粕などを使用し、東洋医学の考え方を応用した有機肥料「土の薬膳」について力を入れて説明されているが、これは農薬消費量が世界第3位の日本で、農薬に頼らない農業を広めるために筆者自らが製作している土だ。また、微生物の力を生かして筆者自身が取り組んでいる緑茶栽培、コンポスト、土に還る防護服、宇宙農業などについてもわかりやすく紹介されており、土と微生物の可能性が幅広い分野に広がっていることを感じさせてくれる。（株式会社Pヴァイン、2,200円＋税）