フロント/話題と人小池 宏隆 さん(持続社会連携推進機構アース・シェルパ代表理事)

2025年10月17日グローバルネット2025年10月号

国際経験を生かして、団体を設立~地域と連携し、気候政策を前へ~

小池 宏隆(こいけ ひろたか) さん
持続社会連携推進機構 アース・シェルパ代表理事

今年2月、地方創生と気候変動対策のシナジーを目指して、持続社会連携推進機構アース・シェルパを立ち上げた小池さん。学生時代の東日本大震災被災地でのボランティア経験を機に、防災や開発に関する国連会議の場でユース組織のコーディネートを担い、地球環境戦略研究機関(IGES)では国連やASEAN諸国との協力を推進。国際環境NGOグリーンピース・ジャパンでは、気候変動やプラスチック条約の国際交渉において、日本政府・企業との交渉や内外のNGOとの連携をリードしてきた。

数多くの国際会議・交渉の経験を通して、脱炭素に向けて国レベルの政治を動かしていくためには、地域から、変化を求める声と現場の課題に即した政策提言が必要だと感じたという。8月には長野県諏訪市で、地元の酒・みそ蔵事業者と連携し、気候変動とこれら地場産業の今後を考える勉強会を開催した*。気候変動対策ではエネルギーや産業の脱炭素の話になりがちだが、冬の温暖化や夏の高温は、米や大豆など材料の質や温度管理などの面で、地域の伝統食品の現場にも悪影響を及ぼしている。「日本の伝統文化・食材を通して、自分ごと化できる活動を広げていきたい」と言い、今回まとまった意見は現在見直しが進む「長野県ゼロカーボン戦略」へ反映を目指して、報告や議論を進めていくという。

「国や地域は影響を与え合う関係にあり、自治体レベルの野心度や連携が、国や国際社会を動かすこともある」と考えている。これまでの経験を生かして、アース・シェルパでは、今後も日本各地で、酒や国産大豆といったさまざまな切り口で勉強会やワークショップの開催を検討するほか、地域とそのリーダーの発信・連携の支援にも取り組む予定だ。

地方創生と地球規模の課題解決に向けて挑戦する人の“シェルパ”(山登りのガイド)として、地域と連携して取り組むパナーになることを目指している。日本各地の気候変動への危機感を共有して声にし、国や国際レベルの政策の強化にどのようにつなげていくのか、数々の交渉の場に挑んできた小池さんが、地域から動かす今後の取り組みに注目していきたい。(克)

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