フロント/話題と人ヴァレリー・マッソン=デルモットさん
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第1作業部会共同議長

2017年02月15日グローバルネット2017年2月号

科学はパワフル、必要なのは好奇心
若い人に気候変動に関する知識を深めてほしい

「科学者は蓄積した知見を共有しなければいけない。皆さんは科学者そしてIPCCの活動を支援して、専門家と社会の懸け橋になってください」。先月、東京都内で開かれた環境省主催の気候変動に関するシンポジウムに招かれたデルモットさんは、満員の聴衆にこう訴えた。

ヴァレリー・マッソン=デルモットさん

地球温暖化に関する科学的な研究の収集・整理のための国連機関、IPCCの気候変動の自然科学的根拠を担当する第1作業部会の共同議長。氷床コアなどの分析による過去の気候変動の研究を専門とする、フランスの科学者だ。

「雲」が科学者を志す原点。小さい頃、美しい雲の形やその動きが不思議で、飽きずにずっと眺めていたという。「新しい知識を得て、それが本当かを確かめ、その情報や手段を共有するプロセスは素晴らしい。科学はとてもパワフル」と言う。

科学に必要なのは「好奇心」と言うデルモットさんは、一般市民、とくに子供に対するアウトリーチ活動に積極的に取り組んできた。これまでに気候変動や極地に関する本を20冊近く執筆(共著を含む)。昨年10月にはフィールドワークの拠点であるグリーンランドについて、物理科学・生物科学・社会科学など多分野の情報を集めた本を出版した。また、以前は小学校へも積極的に出向き、出前授業を行っていたが、最近は多忙のためなかなか時間が取れないのが残念だという。

15歳と18歳の娘がいるお母さん科学者でもあるデルモットさんは「とくに若い人たちに気候変動に関する知識を深めてほしい」と訴える。気候変動に対しどんな行動を取るべきか、持続可能な開発とは何か、自ら考え、行動し、問題提起もしてほしい、と呼び掛ける。

女性で、しかもまだ若い共同議長。「女性であることで不便や困難はまったく感じない」と笑うが、「経験豊富な科学者の先輩たちからどんどん多くのことを学びたい」と言う。2021~22年に公表を予定しているIPCC第6次評価報告書については、「政策決定者だけでなく、さまざまな人とのコミュニケーションを向上させ、気候変動の解決策についてさらに理解を深めてもらいたい」と抱負を語った。45歳。(絵)

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