特集/水Do!フォーラム2018報告 海ごみから考える脱使い捨てと水のエシカル消費発表1 海ごみはどこから

2018年05月15日グローバルネット2018年5月号

水ジャーナリスト
橋本 淳司さん(はしもと じゅんじ)

近年、海洋ごみの問題は深刻化に歯止めが掛からず、いまや国際社会が緊急に取り組むべき課題の一つとなっています。中でもその多くを占めるプラスチックごみの削減が求められ、ペットボトルはレジ袋とともに対策を取るべき主要品目とされています。本特集では、使い捨て容器入り飲料の利用を減らし水の域産域消を推進している「水Do!ネットワーク」が、今年2 月22 日に東京都内で開催した「水Do!フォーラム2018」での講演と欧州調査の報告、また異なる分野でこの問題に取り組む団体による発表の概要を紹介します。(2018 年2 月22 日、東京都内にて)

 

今日は「海ごみはどこから来るのか」ということを改めて考える会かと思います。

実は日本では、ごみが原因で古代の都が遷都した経験があるのです。奈良の都、平城京の周りに穏やかに流れる佐保川という川は水源兼ごみ捨て場になっていました。古代の人々は、川を「すべてを浄化してくれる存在」と考え、佐保川は平城京のごみや生活排水を分解する役割も果たしていました。しかし、人口が増え、排水やごみの量が増えると佐保川の浄化能力を超え、病気も流行したため、京都の平安京に遷都したのです。

なぜ日本人が「水に流す」と言うかというと、日本の地理的な特徴に少し関係があるのではないかと思っています。川の水源から流域を経て海まで雨が駆け下る傾斜や距離を見ると、一般的に日本の川では、山に降った雨はとても短い距離をジェットコースターのように下ってくる。勢いが強いので、仮にごみを捨てたりしても流れて行ってしまうので、ごみがたまることを意識しにくいのです。

しかし、流れても分解されないごみというものがあります。それがマイクロプラスチックです。マイクロプラスチックは東京湾で捕獲された魚のお腹の中からも検出されています。

2014年に水循環基本法が成立し、15年に施行されています。水を循環的に考えよう、水は国民共通の財産だから循環を考えながら保全し使っていこう、という法律です。これは理念法なので、具体的な規制や罰則については規定していませんけれども、「循環」について考える場合、やはりこの「水源から海まで」ということを考えなくてはいけない、その中にごみの問題もあるのではないか、と思うのです。ですからセクターを越えて、対策を考えていく必要があると改めて考えさせられています。

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