フロント/話題と人奥村 宣明さん (株)ミナトフーズ代表取締役社長

2019年01月18日グローバルネット2019年1月号

能登の野菜とだしの残渣からできた「のとふり」でエコプロアワード2018 地方創生賞を受賞

奥村 宣明さん(株式会社ミナトフーズ代表取締役社長)

「のとふり」とは、認定こども園の給食で使った昆布やかつお節の残渣(ざんさ)と地元農家が生産した野菜を乾燥・粉末にして混ぜ合わせたふりかけ。「給食現場のもったいないと生産農家のもったいないを融合しました」というのが応募時のアピール。大企業のエコプロダクツが多く表彰される中で、能登半島の付け根に位置する石川県七尾市の従業員7人の会社の製品が「エコプロアワード優秀賞」の一つの「地方創生賞」に選ばれた。

(一社)産業環境管理協会が主催し、昨年12月に東京ビッグサイトで開かれたエコプロ2018の展示会と表彰式に出席した奥村さんは「国連の持続可能な開発目標(SDGs)は私どものような小さな会社にとっても、地域で生きていくための目標。自分たちの取り組みがそれにかなっているのか知りたくて応募しました」と、受賞の喜びを控えめに話した。

エコプロ2018のテーマは「SDGs時代の環境と社会、そして未来へ」。食品ロス、地方創生、温暖化防止等、SDGsに関連する企業、自治体、大学、NGOの取り組みが一堂に紹介された。「のとふり」は「食を通じて地域がつながり、子供たちの地域や資源に対する意識を高める素晴らしい取り組み」(審査評)と地域発のSDGsの取り組みとして高く評価された。

地元でIT関連の会社を経営している奥村さんが、幼児や学童向けの給食提供事業に乗り出したのは、こども園を運営し、食育に力を入れている父親から「地元の食材の本当の味を小さい時から教えたい」と相談されたからだ。2011年から給食事業に乗り出し、管理栄養士を中心に事業を進め、今では3園等に毎日200食を提供している。

同社では、食へのこだわりから昆布、かつお節からだしを取っているが、まだ60~70%も栄養素の残っているだし殻が出てしまう。それを能登の野菜と掛け合わせることでできたのが「のとふり」だ。子供たちにも人気があり、余りがあるときは一般にも販売されている。同社は栄養教育、「ぎょしょく教育(水産版食育)」、移動動物園等の教育支援事業も行っており、奥村さんは「食を通じて地域社会に貢献し、地域の循環の輪を築かなければいけない」と語った。55歳。(H)

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