フロント/話題と人アントニウ・ブンプ
(ルーマニアのNGO Declicキャンペーナー)

2019年03月15日グローバルネット2019年3月号

ルーマニアの違法伐採をなくすため日本のバイヤー企業に訴える

アントニウ・ブンプさん
(ルーマニアのNGO Declicキャンペーナー)

「なぜ私がわざわざ日本に来て皆さんに会っているのか、その理由を知ってもらいたい」と切り出した。ルーマニアから来日。地球・人間環境フォーラム等が主催するセミナーに登壇し、ルーマニアとその周辺国に残るヨーロッパ最後の原生林の破壊が日本への木材輸出とつながっていることを訴えた。

ブンプさんは、ルーマニアのNGO・Declicのキャンペーナー。公正な社会の実現を目指す同団体は、反汚職と環境問題の二つのテーマを掲げ、40万人に上る会員に対してSNSなどを使って問題を伝え、オンラインを含めた署名の形で市民の声を集め、それを問題解決に結び付ける活動を展開している。

東欧の国ルーマニアは、1989年の共産主義政権の崩壊で共和制に移行、2007年のEU(欧州連合)加盟から10年以上がたつにもかかわらず、貧困状態にある人が欧州内で最も多い。犯罪組織と腐敗する企業や政治とのつながりを背景に、国の富が一部の人に偏っている状況が森林破壊の要因にあると、ブンプさんは訴える。

控えめに見積もっても国内伐採木材の半分が違法と、政府自らが認めるほどルーマニアの違法伐採は深刻だ。国際NGOのEIA(環境調査エージェンシー)が2015年に発表した報告書「Stealing the Last Forest」では、ルーマニア最大の伐採企業シュバイクホファー社(HS社)が違法伐採の要因だと結論付けている。また、森林認証制度FSCも法令違反や土地制度の悪用などを指摘し、同社の認証を剥奪した。このような状況を受けて、欧州のいくつかのバイヤー企業はHS社との取引をやめているが、HS社の主要な取引先である日本の大手商社は取引を継続している。 今回の来日でブンプさんは商社を訪問。「HS社の操業方法を変えるためにはルーマニアでの活動に加えて日本のバイヤーの力が不可欠」と訴えた。

ルーマニア産の木材は日本では一般住宅の構造材として使われることが多い。「ルーマニアの美しい自然を日本の皆さんに知ってもらうため写真展などを開催したい」と協力者を探している。

休日に愛犬と森でキノコ探しをするのが趣味。(希)

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