フロント/話題と人岡田 美保さん
(一般社団法人タクトリサイクル 代表)

2019年05月15日グローバルネット2019年5月号

使い捨てコンタクトレンズのケースを回収
リユースカップを作ってサーフィンの国際大会に導入

岡田 美保(おかだ みほ)さん
(一般社団法人タクトリサイクル 代表)

プラスチックの海洋汚染が地球規模で問題になっているが、岡田さんは6年前から使い捨てコンタクトレンズの空き容器を回収するプロジェクトを進めてきた。名付けて「Eye Love Earth」。

千葉県・一宮町でご主人が眼科を開業していたため、使い捨てのコンタクトレンズの普及とともに、PP(ポリプロピレン)製の容器が大量に捨てられるのを目の当たりにしてきた。知人からの「このケースはどうなるの?」というさりげない言葉をきっかけに、大手コンサルタント会社で環境の仕事を担当する娘さんから「CSRとは日本語で『企業の社会的責任』。その活動の一環なら、容器の回収はできるのでは」とアドバイスを受け、「資源になるものを『捨てない意識改革』を持つことが地球の未来のために必要だ」と決心。2013年に代表を務める有限会社で回収をスタートし、翌年には「タクトリサイクル」を立ち上げ、以来、レンズ容器のリサイクルに取り組んできた。

回収した容器は、岡田さん自身がほぼ毎月、車で県内の処理工場に運ぶ。資源として売れた収益はアイバンクなどに寄付してきた。回収ボックスは眼科の待合室だけでなく、一宮町役場の玄関、学校、企業などに置かれ、6年間で1.2tを超える、110万個以上の容器を回収してきた。

見える形でリサイクルをしたいと、これまでメガネのフレームの原料にするなど知恵を絞ってきたが、今年4月29日から5月4日にかけて一宮町の釣ヶ崎海岸で開かれたサーフィンの国際大会で約1,000個のリユースカップとして使われた。釣ヶ崎海岸は1年後の東京五輪でサーフィンの公式会場に選ばれ、世界のトップサーファーから注目されている場所だ。

飲料容器として使用するには食品衛生法の規格基準に適合しなければならないが、容器メーカーの台和(東京都台東区)の協力で、カップの製造、基準をパスすることができた。「近くの神社にお参りに行って、おみくじを引いたら大吉が。その翌日に食品衛生法合格の連絡がありました」と岡田さん。「今後は広く千葉県内のイベントでリユースカップを広めたい」と意気込む。

大学生の頃から、環境や女性の人権問題に関心を持ち、尊敬する人に元国連難民高等弁務官の緒方貞子さんを挙げる。純粋で行動的な女性だ。 (H)

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