環境の本・牡蠣の森と生きる~「森は海の恋人」の30年
・日本の地下水政策: 地下水ガバナンスの実現に向けて 

2019年06月14日グローバルネット2019年6月号

牡蠣の森と生きる ~「森は海の恋人」の30年

著●畠山 重篤、聞き手●鵜飼 哲夫

漁師が山に木を植え、海を豊かにする「森は海の恋人」運動が始まってから30年。植樹した木は5万本。体験学習に来た児童、学生は1万人を超えた。その活動の実践者である漁師の畠山さんの半生を「聞き書き」で収録した自伝的著作。その哲学は環境省の「つなげよう、支えよう森里川海プロジェクト」にも取り込まれている。

東日本大震災で気仙沼市・舞根湾の牡蠣養殖施設や船は津波ですべて流され、最愛の母親を亡くした畠山さんは「廃業」も考えたが、2ヵ月後、海辺で遊んでいた孫たちが「魚がいる!」と帰ってきた。牡蠣の餌になる植物プランクトンも大量に戻ってきた。一人の漁師の経験は人と地球の復活だ。(中央公論新社、1,300円+税)

 

 

 


日本の地下水政策~地下水ガバナンスの実現に向けて

著●千葉 知世

京都大学大学院地球環境学舎で地球環境学の博士号を取得した若き研究者の著作。空気と同様、貴重な資源として位置付けられてこなかった地下水は、国の水循環基本法(2014年)ができた後も、地下水管理の在り方、その方策、知識、ノウハウに混乱がみられるという。著者は血の通った制度作りを提案している。

本書は地下水問題の状況、地下水行政の歴史、地下水ガバナンスの現状などについて、自然科学と人文社会科学の総合的アプローチで研究している。地下水上昇による地下構造物の浮き上がりや地盤の液状化など新たな地下水問題も発生しており、今後の地下水政策・ガバナンス研究に大いに役立つ。(京都大学学術出版会、3,800円+税)

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